百 合 8       100句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
離陸機の大き旋回百合植うる 多田ユリ子 201607
裕子さん色の百合起きてよと言って了った 篠田純子 あを 201607
鬼百合の開かむとして茎動く 大谷昌子 馬醉木 201608
卓上に庭の鬼百合反り返へる 森理和 あを 201608
そよ風と語らひ揺れる小百合かな 王岩 あを 201608
鬼百合にズボンの染まる窯どころ 升田ヤス子 六花 201608
百合蝶と化しパレードの鼓笛追ふ 柴田近江 201608
鬼百合の海鳴りの崖掴み咲く 佐々木よし子 201608
山百合や転ばぬ隠れ切支丹 村高卯 201609
竜宮へとどけ散骨百合しろし 藤井明子 馬醉木 201609
白といふ色の深さや月の百合 齋藤晴夫 春燈 201609
鬼百合のごとき穢を持ち我在りぬ 荒井千佐代 201609
笹百合の群生の径奥の院 岡淑子 雨月 201609
鉢のまま芝に埋められ苑の百合 森清堯 末黒野 201610
満開の百合の何処かに翳りあり 岩月優美子 201610
洋子さんと声かけられる百合の花 岩田洋子 201610
あんぐりと大輪の百合開きけり 松村光典 やぶれ傘 201610
公達の面立ちに似て大白百合 樋口正子 京鹿子 201610
庭に咲く白百合を添へ柩閉づ 金森教子 雨月 201610
白百合や遺影の君の男振 古賀しぐれ ホトトギス 201611
草丈を抜き笹百合の一花かな 中村襄介 ホトトギス 201611
天網恢恢野百合の多(さは)にひらきけり 犬塚李里子 201611
信心とは投げ掛けられて百合白し 久保夢女 201611
心の帆浮かべ透して百合抱いて 伊藤希眸 京鹿子 201611
先端を大きく反らし百合咲けり 出口誠 六花 201611
散るまでを百合の香りの衰へず 住田千代子 六花 201611
細道に百合が実を持つ墓参かな 小林愛子 万象 201611
黒百合の妖しきまでに落暉炎ゆ 大内マキ子 万象 201611
アルプスを望むリフトや車百合 渡辺絹代 末黒野 201611
鉦打てば百合のひとひらはらり落つ 元橋孝之 京鹿子 201612
海百合と三葉虫と聖樹なり 田尻勝子 六花 201612
百合抱いて遠くの波を見てをりぬ 山田佳乃 ホトトギス 201701
鹿の子百合するつと百越ゆ健康寿命 藤本啓子 京鹿子 201701
百合の香をさらふ山風海の風 稲畑汀子 ホトトギス 201707
動くたび百合の香りの部屋となる 稲畑汀子 ホトトギス 201707
テロなきを祈りつ鉄砲百合植うる 多田ユリ子 201707
一本の百合咲く崖の不動尊 中江月鈴子 201707
風鎮のかすかなる揺れ百合ひらく 井原美鳥 201708
鳴子百合葉蔭に咲きてうすみどり 田中藤穂 あを 201707
百合花粉真夜に触れば呪誼となる 有松洋子 201708
百本の百合に溺れて母は逝く 江島照美 201708
百合の香にて窒息といふ自死ありや 有松洋子 201708
一寸の百合芽確かめ薬飲む 中田みなみ 201707
壕を出て壕に黙礼百合一輪 中本清 万象 201708
限りまで膨らむつぼみ白百合の はしもと風里 201709
母逝きて白百合の香のあるばかり 曽根富久恵 201708
廃校の遠近の崖山百合咲く 田中藤穂 あを 201708
白百合の一花受胎告知かな 岩月優美子 201709
覚えなし胸もとにある百合花粉 能村研一 201709
鬼百合の滓面目立ちぬ咲ききって 今井妙子 雨月 201709
庭先の鉄砲百合はこちらむく 菊池洋子 やぶれ傘 201709
長き茎根元でたわむ百合の花 大野芳久 やぶれ傘 201709
遺影よりやさしき声す百合の花 荒井ハルエ 春燈 201709
迷はぬやう薔薇灯りなほ百合灯り 加藤峰子 201710
姥百合の咲くところまで舗装道 箕輪カオル 201710
バケツごと鉄砲百合をもらひけり 池田光子 風土 201710
白百合の嚥下の露の走りけり 奥田筆子 京鹿子 201710
山百合の斜面を埋め触れ合はず 久保村淑子 万象 201710
百合の香や遺影の笑みに笑み返し 石川裕子 万象 201710
腹蔵なきまで鬼百合の花弁反る 山田夏子 雨月 201710
横向きの鉄砲百合を供花とせり 太田チヱ子 末黒野 201710
山百合や風呼び雲を引き寄せて 森清堯 末黒野 201711
白百合の祈りの様に首垂る 五味紘子 末黒野 201711
鬼百合の重なり合うて咲きに 延川五十昭けり 六花 201711
百合の香に触れて夜風の濃くなりぬ 池田雅かず ホトトギス 201712
裏山に生き人形や百合の群 瀬川公馨 201712
山路へついとつき出す百合の花 泉一九 やぶれ傘 201710
どんと挿す百合の香夜はなほ強し 三井所美智子 201712
室咲きの白百合の香と薪の香 火箱ひろ 201803
百合を手に初聖体の子等の列 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
百合捧ぐ受胎告知の大天使 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
百合がをります開閉はお静かに ふけとしこ 船団 201805
百合を手に初聖体の子等の列 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
百合捧ぐ受胎告知の大天使 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
百合の芽五寸大輪の予感あり 飯田久美子 末黒野 201806
心眼で見る姥百合と天守閣 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
百合の花いのちの賛歌謳ひあぐ 寺田すず江 201809
ひとり居に鉄砲百合の援護かな 中貞子 201809
一本の百合を菩薩と親しめり 平野多聞 201809
鬼百合と岬の風に刻解す 松本鷹根 京鹿子 201809
百合の香や一点みつめ麗子像 あさなが捷 201809
峠越えて笹百合に逢ひひと休み 小巻若菜 六花 201810
八方に鉄砲を向け百合咲けり 中島和子 六花 201810
白百合の香の立つ庭となりにけり 池田節 春燈 201810
海光をまとひて百合のひらくかな 岡田史女 末黒野 201810
花器の百合雄しべ取られて黙秘する 山本佳代 船団 201811
方丈の庭の一隅百合一輪 田中嘉信 春燈 201811
百合の木の実の落ちてゐる橋の上 田中藤穂 あを 201811
夕べより一輪増えし床の百合 浦川哲子 201902
百合の名に鬼や鉄砲闇匂ふ 白井友梨 馬醉木 201907
鉄砲百合向きを変へろと言はれても 楠原幹子 201908
鉄砲百合ひらき高速艇の水脈 佐久間敏高 201908
贈られし花束の百合の香に浸る 近藤紀子 201909
一張羅百合の花粉に好かれけり 重原爽美 201909
喜寿祝がる百合の花束重しとも 小田嶋野笛 末黒野 201909
杣道の山百合灯り雨意の風 加藤静江 末黒野 201909
父祖の地の裏の杣山姫早百合 高木邦雄 末黒野 201909
追分の祠がひとつ百合の白 森祐司 201909
百合の中白の最も百合らしく 大橋晄 雨月 201909
白百合にエロス凍えて死はきれい 阪野基道 船団 201910
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