百 合 7       220句

百合活けて水平線のよぎる部屋   大串章   俳句年鑑

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山百合の一花に咽ぶ真の闇 松原仲子 201007
たかし忌や鉄砲百合のこちら向く 神蔵器 風土 201007
百合の束見て抱へたる人を見る 中田みなみ 201007
百合満開ルイ王朝の姿かな 岩月優美子 201008
瓶に百合駅長一人だけの駅 野沢しの武 風土 201008
黒百合の花に集ふや風と雲 根岸善行 風土 201008
喇叭吹く衛士のやうに百合の花 布川直幸 201008
小花なれど竹島百合の蕊しかと 小黒加支 酸奬 201008
山百合のがうと開きし向う脛 佐藤喜孝 あを 201008
黒百合の孤り滾りの刻なりし 小形さとる 201009
供華は百合今日のこと今日すませけり 近藤きくえ 201009
白百合や言葉少なに空を見て 松原仲子 201009
山百合の清しき高さ揺らしけり 加藤克 201009
断崖の百合の絶叫日本海 柴田朱美 京鹿子 201009
無垢といふ激しさにあり百合の花 柴田朱美 京鹿子 201009
百合の香にむせび妥協はせぬつもり 柴田朱美 京鹿子 201009
白百合の闇にうかうか告白す 柴田朱美 京鹿子 201009
人肌より少し冷い百合の花 柴田朱美 京鹿子 201009
通夜の客途切れて百合の匂ひけり 岩永はるみ 春燈 201009
さはさはと鉄砲百合の囁けり 戸辺信重 春燈 201009
笹百合やかな書き美しき土佐日記 清水美子 春燈 201009
姫百合のイナバウアーを大風に 仲田眞輔 ぐろっけ 201009
白百合の丈延びて花の咲くを待つ 伊藤セキ 酸奬 201009
相聞の昔ありけり百合ひらく 刈米育子 201010
山百合や紫がかる荼毘煙 佐藤茜 201010
父母に逢ふ墓の両脇百合匂ふ 久保東海司 201010
百合活けて微笑む夫の遣影かな 中道愛子 201010
接点となるまひる野の百合ましろ 柳生千枝子 火星 201010
山百合の火種と紛ふ花粉かな 望月晴美 201010
ふくよかに朝の日射せる百合いくつ 小松鈴子 酸奬 201010
参道の山百合の香に足止む 大里快子 酸奬 201010
弁天へたどる岩場に百合咲けり 梶井和呼 酸奬 201010
歩み止め山百合の香を深く吸ふ 冨田君代 酸奬 201010
百合さはに被爆マリアの像かこみ 中島久子 馬醉木 201011
鬼百合に手を届くほど傾く日 鴨下昭 201011
山百合の揺るるや沢の高鳴りに 小川明美 万象 201011
山百合の重なるところ濡れてをり 中山皓雪 201011
百合開く最も美なる容して 北村香朗 京鹿子 201011
仏間より百合の風抜け居間閑に 岡山敦子 京鹿子 201011
山百合のかをりて添へる仏道 関まさを 酸奬 201011
山百合やあずさ通過の無人駅 阿部悦子 酸奬 201011
絶壁の上向きに咲く透かし百合 中田のぶ子 ろんど 201011
百合白し葬のあとさき忘れたる 竹内弘子 あを 201011
御機嫌は斜めを向いて百合の花 山田佳乃 ホトトギス 201012
風の百合こころ揺るがすひと日かな 都丸美陽子 春燈 201012
黒百合や死んでもいいとは思はぬが 白水良子 201012
風わたる山の街道百合の花 湯本実 やぶれ傘 201012
白百合の宙央の座は弥勒仏 豊田都峰 京鹿子 201101
遠流の隠岐岩百合咲きて仏国土 池田倶子 雨月 201101
百合として向日葵として枯れてをり 荻野加壽子 万象 201103
ゆかりなき貴人の墓へ百合の花 中島静子 酸奬 201106
禁断の笹百合シャッター音を浴び 小澤菜美 201108
笹百合の後生楽とよ大神明神 瀬川公馨 201108
渓谷に群るる山百合風甘き 川崎利子 201109
白百合の匂ひ乱れの余震かな 荒木甫 201109
百合活けて県警本部手話倶楽部 海老根武夫 201109
百合の香やエレベーターの隅に椅子 成田美代 201109
反論の場にそつぽ向く百合同士 細川洋子 201109
鬼百合に北条の血のありにけり 森岡正作 201109
百合供ふ十万億土香るかな 鈴木 セツ 201109
労りの言葉しみじみ百合匂ふ 塩千恵子 201109
ほつほつと笹百合明り御廟みち 岩木茂 風土 201110
縄文の丘縄文の百合匂ふ 小林共代 風土 201110
たそがれの風を匂はせ透かし百合 内田三郎 末黒野 201110
黒百合や鳥海山は指呼の中 荒井和昭 201110
白百合や島の五世帯水桶据き 児玉有希 京鹿子 201110
百合ひらく吐息のごとく闇白み コ田千鶴子 花の翼 201111
百合ひらくとき群青の海のいろ コ田千鶴子 花の翼 201111
山百合が飾る車窓や吉野道 坂根宏子 201111
百合の香に風戸惑うてをりにけり 立村霜衣 ホトトギス 201111
軋むほど色濃く百合の群れをりぬ 立村霜衣 ホトトギス 201111
山百合に夕暮といふ匂ひあり 立村霜衣 ホトトギス 201111
貴船去るとき山百合の濃く淡く 江澤弘子 201111
弾む息近めて雨の姫小百合 成田美代 201111
石庭に鉄砲百合の花ひとつ 廣瀬雅男 やぶれ傘 201111
はりつめし心ゆるびぬ鹿の子百合 篠原幸子 春燈 201112
山百合の雄蕊が火傷してをりぬ 原友子 201112
笹百合の暮れ残りたる白さかな 早川八重子 末黒野 201112
山百合が姥捨山の姥になる 古川忠利 ろんど 201112
今日の向き自在に十の鉄砲百合 嶋田一歩 ホトトギス 201201
鬼百合や水際さびしき湖の波 松橋利雄 光陰 201203
百合花粉行衣につけて大山祭 小林愛子 辻楽師 201206
かがまりて網笠百合に声掛くる 安永圭子 風土 201206
百合蕊に花粉纏うて虫の来る 池内とほる かさね 201207
黒百合の隣の花を買ひにけり 竹中一花 201208
百合の香に悲しみ深き会となる 稲畑汀子 ホトトギス 201208
入院の留守にはびこるのつぽ百合 品川鈴子 ぐろっけ 201208
白百合は天の羽衣麻沙子の忌 上坂渥子 雨月 201208
白百合が好きで戦争寡婦の母 植木緑愁 201209
姫百合の一輪重し繊悔室 西村純太 201209
あかときの靄山百合の蕊ひびく 安藤しおん 201209
為人たとふれば百合麻沙子の忌 玉置かよ子 雨月 201209
一本の笹百合の辺の梅雨に入る 松井倫子 火星 201209
喪の百合や奏者席にて眼鏡拭き 荒井千佐代 201210
猛々しき香を真夜中の百合の花 近藤喜子 201210
高ければ百合の誰より人恋へり 直江裕子 京鹿子 201210
下校児に挨拶さるる百合の里 三枝邦光 ぐろっけ 201210
百合咲いて星の運行確かなり 林昭太郎 あまねく 201210
山百合の人近づけぬ崖の上 鈴木セツ 201210
思ひ出に匂ひありけり百合の花 柴田久子 風土 201210
白百合の香り充ちたる庭ありぬ 筒井八重子 六花 201210
下向きて咲く鬼百合の火星人 出口誠 六花 201210
笹百合や音の一切なきところ 山本耀子 火星 201210
白百合の香ごめに柩鎖されたる 川端俊雄 火星 201210
吹奏の風に乱るる百合花壇 浅井青二 雨月 201210
喪の百合や奏者席にて眼鏡拭き 荒井千佐代 201210
忽然と山百合孤高なる山路 宮崎正 ホトトギス 201211
山百合の蕾を撫ぜて通り過ぐ 久世孝雄 やぶれ傘 201211
水平に柩入堂かのこ百合 荒井千佐代 201211
山百合や晴雨を分かつ峠越ゆ 塩貝朱千 京鹿子 201211
白秋の住みし寺あり百合の花 酒井秀郎 返り花 201211
江の電の過ぎて風立つ百合の花 酒井秀郎 返り花 201211
鉄砲百合ずらり並びし長屋門 佐藤山人 201212
後夜の洞白百合香りマリア像 塩見治郎 雨月 201212
サスペンス読む百合の香が邪魔をせり 高瀬博子 六花 201212
俺俺詐偽「わたし」は聞かぬ姫早百合 森理和 あを 201307
無縁塚に群れる鬼百合そり返り 宮崎左智子 201310
白百合の蕊の小揺れや坂の町 藤本秀機 201310
ことほぎの百合の馥郁抱きしむる 近藤紀子 201310
磐座に鉄砲百合の薫かな 鈴木藤子 ろんど 201310
さまざまの百合咲く土も譲りけり 土屋草子 ろんど 201310
片袖に百合の香りと蘂の色 田村園子 201310
梅雨明けて一きは白き百合の花 脇澤久子 末黒野 201310
百合化してチャペルの鐘に蝶となる 柴田近江 201310
読経なか百合のしづかに開ききし 井上淳子 火星 201310
傷心に届く百合の香友の愛 東秋茄子 京鹿子 201310
黒百合や行者合掌しつつゆく 山田春生 万象 201310
香を試す鉄砲百合の筒先に 浅井青二 雨月 201310
百合香り新を目差せと卒寿の師 大橋淳一 雨月 201310
百合の花燈台までの土の道 安藤久美子 やぶれ傘 201310
仏壇に匂ふ一輪百合の花 國保八江 やぶれ傘 201310
山霧に百合の匂ひの濡れてをり 山下美典 ホトトギス 201311
笹百合を育ててゐたり山男 内藤恵子 万象 201311
物差しに百合子の名あり秋暑し 中島陽華 201311
姥百合のそつぽを向けるはにかみ屋 佐藤淑子 201311
百合園を巡るカートや風切りて 安斎久英 末黒野 201311
高原の雨の俄かや百合明り 吉田きみえ 末黒野 201311
百合咲くや愛猫眠る庭の墓 小田嶋正敏 末黒野 201311
百合一片はらりつぎ継ぎ散り易し 石坂比呂子 ろんど 201311
蛇衣と見紛ひ百合の花の錆 上月智子 末黒野 201312
活けられて百合の重心高くなり 原友子 201312
夢十夜するすると延び百合開く 明石文子 ぐろっけ 201312
白百合の翳の上下に揺れてをり 中杉隆世 ホトトギス 201401
祈りは擦傷鬼百合は暮れて居る 一門彰子 船団 201401
姥百合の枯れ初め雨に直立す 米尾芳子 馬醉木 201401
山百合の通り過ぎたるより香り 嶋田一歩 ホトトギス 201405
向ひたる三条大橋百合かもめ 山本町子 風土 201405
好き嫌ひ問ふも百合の香なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201407
百合の香の届かぬ広さあるロビー 稲畑汀子 ホトトギス 201407
記念祭遺影よそほふ白き百合 山荘慶子 あを 201407
空に傷なき鬼百合の背丈かな 浜口高子 火星 201409
隻眼の針穴に百合遠きかな 西田孝 ろんど 201409
嬉しさにわき出す言葉百合開く 塩千恵子 201409
海を恋ふ晶子真白き百合が好き 橋本靖子 201409
百合咲いてねむり姫のものがたり おーたえつこ 201409
百合の花ダイナミックな前奏曲 久米なるを 201409
山百合や閉ざされてをり漱石門 井口ふみ緒 風土 201409
山百合の影も匂ひのあるごとし 塩千恵子 201409
三枝祭笹百合の香の先導す 上辻蒼人 風土 201409
まとひつく白百合の香を引き剥がす 安居正浩 201409
言ひ訳に一理ある児や百合匂ふ 大島寛治 雨月 201410
草を刈る山百合二本のみ残し 千葉惠美子 末黒野 201410
人恋し笹百合の香の盛りなり 吉田順子 201410
鬼百合のしたたか惜しむ別れなり 中川すみ子 201410
躓かぬやう裏庭の紅い百合 石坂比呂子 ろんど 201410
花束の百合の一輪薫りけり 大木清美子 201410
百合多に兄の柩を埋め尽し 山本漾子 雨月 201410
百合ひらく朝のうしろの別れかな 佐藤弘香 ろんど 201410
白百合の開く日向の径をゆく 池田光子 201410
黒百合や噴煙なにに逆らへる 土屋草子 ろんど 201410
黒百合や山より木霊かへり来る 山田春生 万象 201410
土の香と白百合の香は死の匂ひ 有松洋子 201410
百合の香を辿る夕暮友白髪 田中繁夫 末黒野 201411
鬼百合の群れて古墳の鬼門かな 北村淳子 ろんど 201411
救急車来て白百合に送らるる 西田孝 ろんど 201411
蟻の目に百合のてつぺん五千尺 瀬川公馨 201411
鬼百合を咲かせて里の垣ひくし 鈴鹿けい子 京鹿子 201411
山百合のおもてなしする山の道 藤波松山 京鹿子 201411
鉄砲百合我を打つかに砲を向け 森田尚宏 201412
末の子の夢見て育つ鹿の子百合 岩岡中正 ホトトギス 201501
磐座に鉄砲百合の薫かな 鈴木藤子 ろんど 201502
自転車のたふれてゐたるところ百合 高橋龍 201505
鬼百合や鼻の大きな迦葉天狗 鈴木鳳来 故山 201505
笹百合の香の深ければ眠られず 高橋たか子 馬醉木 201508
百合匂ふ言葉交さぬひとときに 大川ゆかり 201508
白百合の将門塚に供へらる 竹生田勝次 風土 201508
百合一輪どこに置いても匂ひ立ち 鴨下昭 201508
百合の香に試歩延び切りて暮れにけり 岸本久栄 雨月 201508
百合の香の礼拝堂を満たしけり 謝花寛営 万象 201508
マリアとも摩耶とも白き百合の花 岩月優美子 201508
山百合の風にゆれてる峠道 大日向幸江 あを 201508
白百合や回る少女のトウシューズ 黒滝志麻子 末黒野 201509
鉄砲百合沖向く沖縄慰霊の日 小張昭一 春燈 201509
百合の香の仏間写経の筆を執る 大橋晄 雨月 201509
白百合の一本差しの輪島塗 大坪景章 万象 201510
デルフト焼きの壺へ蕊なき百合の花 有賀昌子 やぶれ傘 201510
山百合の一枝に十の花付けり 佐野つたえ 風土 201510
駅の名に昔ここらは百合の丘 鈴木庸子 風土 201510
白百合や天使は持たぬ土踏まず 水井千鶴子 風土 201510
清純な百合の中にも鬼小鬼 江島照美 201510
白百合や空の青さの深まりぬ 小川玉泉 末黒野 201510
撓むまで潮風を浴び百合の花 森清信子 末黒野 201510
鉄砲百合やや青ざめて吾に向く 阪上多恵子 雨月 201510
膨よかに葯裏返る百合の花 斉藤裕子 あを 201510
ゆらゆらと蕊粉零すや百合の花 斉藤裕子 あを 201510
百合姉妹背中合はせの香しや 卯木堯子 春燈 201510
大輪の鬼百合活けて美容院 池田光子 201510
山鳩のまどろむ真昼百合香る 穂苅照子 万象 201511
白百合のみづから花粉もて汚る えとう樹里 201511
鬼百合の反れるだけ反り誇らしげ 東野鈴子 雨月 201511
姫君のごと林中の笹百合は 今井春生 201512
百合の香と音楽密封してB1 池田澄子 船団 201512
白百合と膝など抱いている夕べ 火箱ひろ 船団 201602
百合園の群生ゆらす海の風 杏中清園 船団 201602
鬼百合は発火寸前半島も 坪内稔典 船団 201602
葯おちて白けがれたり百合の花 池田友之 夏雲 201603
百合の香にいつもの通る道ならず 稲畑汀子 ホトトギス 201607
咲き零れたるは百合の香なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201607
百合の香に書きつまづきし稿債も 稲畑汀子 ホトトギス 201607
百合の香に浮き上がりたるマリア像 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
百合 →8      

 

2021年7月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。