百 合 4     129句

百合の蘂皆りんりんとふるひけり   川端茅舍   定本川端茅舍句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
白百合の百本揺るる聖者ロード
長崎桂子
あを
200410
師の忌来る夜をかすかに百合匂ふ
蒔元一草
河鹿
200411
山百合の木蔭孤高を守り咲く
宮崎正
ホトトギス
200411
黒百合や仙丈ヶ岳に雲あそぶ
清水和子
酸漿
200411
筆塚の見えるところや百合の寺
植木戴子
200411
戸を閉ぢて部屋の暗がり百合匂ふ
渡邉友七
あを
200411
百合化して蝶ポケットに防虫剤
中村葉子
帆船
200501
背のびして手を振る如し山の百合
浅井よしみ
八千草
200501
猫の手のごとき洗顔百合匂ふ
安嶋都峯
対岸
200502
ふたりには冬百合の香の強すぎる
数長藤代
200503
二〇〇五年一月五日の百合真白
金澤明子
火星
200504
鬼百合や山道くねり道路鏡
遠塚青嵐
200505
黒百合の芽といふ雪をかむりたる
吉中愛子
万象
200505
沖睨む提督の像供花の百合
沼口蓬風
河鹿
200508
山百合や翁の髭のぴんと跳ね
渡辺民親
遠嶺
200508
レリーフの甘き面差し百合の雨
松本きみ枝
遠嶺
200508
モナリザの名の百合抱きて子等来る
長束房子
遠嶺
200508
描きあげてほのかに百合の匂ひけり
長束房子
遠嶺
200508
白百合を剪りて鋏に重さあり
柳生千枝子
火星
200508
道に出て見るわが庭の透百合
伊藤一枝
酸漿
200508
百合咲くや咲きたる向の皆同じ
南原正子
酸漿
200508
ロートレックの絵の女とも黒百合は
大橋麻沙子
雨月
200508
笹百合の二本馬穴に朝の市
平野照子
築港
200508
白百合や事故のないやう交差点
寺門丈明
あを
200508
如己堂に平和の祈り百合咲けり
徳田正樹
河鹿
200509
聞き直す事のしばしば百合ひらく
浜上貴久子
河鹿
200509
落人のごと姥百合の岨に立つ
渡邊千枝子
馬醉木
200509
百合咲いて星の運行確かなり
林昭太郎
200509
仏前に円座賜り百合献花
竹内喜代子
雨月
200509
百合の香の立ち居に老を遠ざくる
園多佳女
雨月
200509
先先に蕾のありて百合咲けり
大塚隼人
対岸
200509
稚児百合に囲まれてをり石仏
清水和子
酸漿
200509
朽ちかけて厩のこれり鹿の子百合
松元末則
酸漿
200509
百合を手にわが家の犬をしたがへし
瀧春一
菜園
200509
奉公日佛の華の百合を買ふ
瀧春一
菜園
200509
百合の香や松籟向つ山に移る
瀧春一
菜園
200509
笹百合の一輪を得て宮を去る
塩川雄三
築港
200509
駅前の舗道町花の百合咲ける
吉村りつ子
築港
200509
満員電車百合一輪を持ちてをり
山荘慶子
あを
200509
山墓へ鬼百合の朱を刈り残す
淵脇護
河鹿
200510
白百合や遺作の中に未完の絵
伊藤節子
200510
ゆくりなく百合の香に抱く真昼かな
大島翠木
200510
笹百合を手に舞ふ乙女神の森
中野京子
200510
老い猫の顔洗ひゐる百合の前
谷本まさ子
万象
200510
右脚と杖が支への百合の花
野口敏夫
対岸
200510
山百合や幾曲りして通夜の家
石田邦子
遠嶺
200510
刺網の対の舟影崖の百合
井内佳代子
遠嶺
200510
柩閉づ魚拓の胸に百合の香よ
高橋照子
雨月
200510
喪ごころや百合の香りの日もすがら
佐久間由子
200510
白百合の一斉に咲く週はじめ
高橋さえ子
200510
コサージュのごとく遺影に百合の花
早崎泰江
あを
200510
脚長の少女の影や百合の花
筏愛子
200511
山百合を抱へあの日のままの父
山崎靖子
200511
深山百合湖面を夜が離れゆく
湯浅夏以
遠嶺
200511
鹿の子百合旧家の黒き紋瓦
山下美絵子
遠嶺
200511
ことごとく斜めの百合の香の深し
森佳子
遠嶺
200511
百合を抱く力加へぬやうに抱く
湯橋喜美
200511
百合抱いて来て墓の父よろこばす
小山國雄
百鳥
200511
百合の香の小部屋に猫の目の妖し
大島寛治
雨月
200511
じふはちの男の子が供なふ百合の花
斉藤裕子
あを
200511
山百合のいつせいに咲く坂の町
庄中健吉
200512
鬼百合の折れたるままに秋の簗
深澤鱶
火星
200512
うす闇や野面に百合の浮かびたる
菊谷潔
六花
200512
ゆきずりの人振りかへる百合の花
榎本孤星
築港
200512
白百合や島に看護師一人なる
佐藤三男
万象
200601
姥百合の実を大様につけて立つ
田中喜久子
酸漿
200601
子を待ちて玄関の百合よく匂ふ
飯高あい
対岸
200602
黒百合や後立山雲乗せて
清水和子
酸漿
200603
鬼百合の溶岩に咲きたり海女の島
土川照恵
栴檀
200603
枕邊の百合や身よりも氣の弱り
瀧春一
常念
200606
山百合を剪るや五輪の花おもく
瀧春一
常念
200606
熱き湯にひとり身を拭く百合の前
瀧春一
常念
200606
山々の眞青なるとき百合白し
瀧春一
常念
200606
谷百合やあかつきのPをさしはさ
瀧春一
常念
200606
灯れば百合ひらきたる香に滿ちぬ
瀧春一
常念
200606
対談の済みて百合の香残りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200606
姥百合に城の盛衰聞かまほし
稲畑廣太郎
ホトトギス
200607
通されし広間に百合の所在問ふ
稲畑汀子
ホトトギス
200607
百合咲きて花の重さの生れけり
稲畑汀子
ホトトギス
200607
贈られて大地に降ろす百合の鉢
稲畑汀子
ホトトギス
200607
悲しみの始まりの百合受胎告知
あさなが捷
200607
鬼百合のこれみよがしの蕊の反り
鷹羽狩行
200607
同根にして背き合ふ百合の花
中島あきら
200608
マリアカラスを聴く瓶の鬼百合と
片山タケ子
200608
山百合の快楽の反りを撫でて過ぐ
片山タケ子
200608
誰が手向く白百合翁の墓にかな
松村多美
四葩
200608
百合咲くや雨脚とみに強くなり
南原正子
酸漿
200608
父に供ふ母の育てし百合の花
斉藤裕子
あを
200608
岩百合咲く荒磯の夏は短しと
有働亨
馬醉木
200609
帰り来てほつと一息百合開く
広瀬栄子
四葩
200609
天水を真つ向に受け透し百合
中野京子
200609
応接間塵ひとつなし百合ひらく
柳生千枝子
火星
200609
接点となるまひる野の百合ましろ
柳生千枝子
火星
200609
日盛の出窓に見えて百合の白
柳生千枝子
火星
200609
岩百合や船頭指さす女陰岩
佐藤三男
万象
200609
鹿の子百合咲いておっとの忌日なる
林美智
ぐろっけ
200609
新緑の山路やさしき鳴子百合
高橋ふじ
酸漿
200609
百合咲くや棚田にひびく水の音
小山香月
酸漿
200609
鬼百合や海を遠見の関所跡
宮尾直美
200609
ランチ刻をみなと百合が咲いてゐる
泉田秋硯
200610
大百合の香や六畳を満たしけり
天野きく江
200610
白百合を打つ雨ヘラの妬心かな
近藤喜子
200610
ガス管の地べたを這へり山の百合
城孝子
火星
200610
ふらずみや無人の駅の鉄砲百合
折橋綾子
200610
マイセンの白磁をよごす百合花粉
片山タケ子
200610
身を包む百合の風かなリフト行
林翔
200610
百合の香の背きて放つ全方位
代田幸子
200610
安らかにバルバナ霊地百合香り
村越化石
200610
百合の咲く山陽自動車道西へ
柿沼盟子
風土
200610
山百合の伏して土砂降遣り過す
三村 }子
酸漿
200610
鬼百合のどこから来しか庭に咲く
井関祥子
酸漿
200610
百合の香に部屋はんなりと老一人
四葉允子
ぐろっけ
200610
十輪の山百合ひらく佃煮屋
森理和
あを
200610
笹百合を手にかざしては巫女の舞ふ
渡邉友七
あを
200610
百合活けて寧き眠りを賜ひけり
泉田秋硯
200611
添へられし棒を支へに鉄砲百合
足立幸信
200611
逡巡の首の角度に百合咲けり
大川ゆかり
200611
雨ながら空の明るし鹿の子百合
真保喜代子
200611
百合の花挿せばくるりと向きかへぬ
古館勝子
万象
200612
藁屋根の楝を飾れる百合の花
石井邦子
酸漿
200612
山百合の白暮残る高速路
岡本直子
雨月
200702
そこここに編笠百合の咲きし庭
阿部ひろし
酸漿
200704
六十名傘寿の同期百合の花
池崎るり子
六花
200704
幾許の明日を大事に春の百合
林友次郎
遠嶺
200705
鉄砲百合咲きてあたりの静かなり
関戸国子
酸漿
200705
百合の香の満つる聖堂畳敷
名取袿子
200706
大島の土産つとに為朝百合の球
北村香朗
京鹿子
200706
笹百合にけふは冷たき峡の雨
中田みなみ
200706
頬杖の遺影を埋め百合・桔梗
鷹羽狩行
200707
百合5      

 

2021年7月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。