ゆく秋 2   100句

行く秋のざらざらとして猫の舌    坪内稔典

作品
作者
掲載誌
掲載年月
行く秋の夫の遺影に語りかけ 植村よし子 雨月 201403
ゆく秋の尾を振る金魚の鈴が鳴る つじあきこ 201412
行く秋や「ありがたう」てふ言に尽く 四條進 201412
行く秋や喜怒哀楽の失せし夫 塩千恵子 201412
行く秋の瀬波を裾に磨崖仏 渡会昌広 馬醉木 201501
行く秋やとことん迄は酔へぬ齢 佐藤山人 201501
行く秋のひと日を遊ぶ文士村 岡真紗子 201501
行く秋の日差しを求め秋の蝶 小川玉泉 末黒野 201501
行く秋や翁の杖の細きこと 大橋晄 雨月 201501
行く秋や鯉影引きて枳殻邸 大橋晄 雨月 201501
逝く秋の偏差値に沁む窓ひとつ 鴨下昭 201501
行く秋や格天井の花づくし 中島昌子 201501
行く秋の富士を雲間にあづま旅 伊東和子 201501
行く秋や庭師の葉刈ひたむきに 久保晴子 雨月 201502
行く秋をアサギマダラは声もたず 火箱ひろ 201612
行く秋の石もて石を打ちにけり 三上程子 春燈 201701
行く秋を赤城・榛名に惜しみけり 鈴木静恵 春燈 201701
行く秋や川向かうより鶏の声 宮井知英 201701
行く秋の川風を聞く芭蕉像 鈴木良戈 201702
行く秋の窓みがきをり角力部屋 岡本敬子 万象 201702
行く秋の体重計にそつと乗る 秋山信行 やぶれ傘 201702
逝く秋や連結はなす一輌車 村田あを衣 京鹿子 201703
ゆく秋のぐいと飲み干す試し酒 能村研三 201712
雨粒のつながってゆく秋の闇 火箱ひろ 201712
ゆく秋を鍋を鳴かせて炊くご飯 つじあきこ 201712
行く秋の塩壺に塩満たす朝 笹村恵美子 201712
弟の遠ざかりゆく秋の風 田代民子 201801
ゆく秋やこころ癒せと夕茜 安立公彦 春燈 201801
遊龍の雲流れゆく秋夕べ 塩貝朱千 京鹿子 201801
行く秋のこゑ水に聞く石に聴く 間島あきら 風土 201801
行く秋の山路芭蕉の句碑に会ふ 密門令子 雨月 201801
行く秋やぼんぼん時計の音侘し 西村渾 201801
行く秋の靴音を吸ふ石畳 甲州千草 201801
行く秋の空にまどかな遠円体 阿久津勝利 万象 201802
行く秋や間を計りつつ玉露つぐ 長谷川はまゆう 末黒野 201802
行く秋や火の見櫓に灯の潤み 安斎久英 末黒野 201802
行く秋の三角波の龍飛崎 原田しずえ 万象 201803
行く秋の一語零れて転がって 津田このみ 船団 201806
言霊の吹つ飛んでゆく秋の航 山田六甲 六花 201810
行く秋や仁王の一人遠目して 沼田巴字 京鹿子 201810
行く秋や生家無住となり久し 石川りゆうし 201811
行く秋の満ちくる川のひかりかな 山田邦彦 201811
逝く秋や絵地図を辿る指の先 近藤牧男 春燈 201812
行く秋の山にけぢめの靴洗ふ 西村渾 201812
行く秋を三角に折るレジ袋 笹村恵美子 201812
行く秋や雲が雲追ふ波の果て 安斎久英 末黒野 201812
七癖の一つなくなり行く秋ぞ 高橋将夫 201812
行く秋や図書館からの電話あり 須賀敏子 あを 201901
野仏に供華となりゆく秋の蝶 涌羅由美 ホトトギス 201901
ちと飛んでちと飛んでゆく秋の蝶 瀬島洒望 やぶれ傘 201901
行く秋や音なく刻む万歩計 菊地光子 201901
行く秋の牛群れ立ちて山下る 塩見英子 雨月 201901
読み止しの嵩の増へゆく秋思かな 五十嵐貴子 末黒野 201902
ゆく秋や星を誘へる山家の灯 斉藤マキ子 末黒野 201902
行く秋や暮色引きつつ発てる鳥 森清信子 末黒野 201902
逝く秋へ追ひ立ちてゆく千羽鶴 阪倉孝子 201902
行く秋やあまた埴輪の眠る丘 平居澪子 六花 201902
ゆく秋や猿沢池の松の影 善野行 六花 201902
小走りに坂下りゆく秋遍路 笹村政子 六花 201902
行く秋の無糖コーヒー飲みにけり 高橋均 やぶれ傘 201902
ゆく秋や廃校に在る似顔絵も 林徹也 201905
行く秋とポテトサラダは薄味に 梅村光明 船団 201906
北国へ道分れゆく秋の雲 延川五十昭 六花 201911
けぶらせて野ずゑ過ぎゆく秋時雨 木村嘉男 201911
行く秋や松並木尽き法隆寺 今泉忠芳 ある日の滴 201912
箒目に影落としゆく秋の蝶 土江比露 春燈 201912
正門に停まるバス行く秋日うけ 鈴木としお 春燈 201912
懐かしき小学校や行く秋ぞ 大橋晄 雨月 201912
てらてらと波に融けゆく秋入日 岡本尚子 風土 201912
行く秋やゆつくり渡る霧笛橋 山口登 末黒野 202001
雲が雲盛り上げてゆく秋の暮 安斎久英 末黒野 202001
行く秋や風に押さるる雲一朶 安斎久英 末黒野 202001
行く秋や立ちどまらねば行けぬ場所 直江裕子 京鹿子 202001
行く秋の風はらわたに張子虎 鈴木まゆ 馬醉木 202001
行く秋や伊予の霊峰泰然と 石本秋翠 馬醉木 202001
行く秋や来る鳥もあるたのもしさ 菊谷潔 六花 202002
行く秋の原爆ドーム壁白し 箕田健生 やぶれ傘 202002
行く秋に我がアリバイを残し置く 平野多聞 202002
一日のどつと暮れゆく秋なすび 秋山信行 やぶれ傘 202002
行く秋や太平洋の大落暉 松浦哲夫 末黒野 202002
ゆく秋のマーラーを聴く前夜祭 采野久美子 202003
行く秋のトーテムポール放し飼い 陽山道子 船団 202003
行く秋のひとり歩きのいつもの木 藪ノ内君代 船団 202003
ゆく秋や又も見直す覚書 黒川悦子 ホトトギス 202003
走り根にひろがつてゆく秋思かな 岩岡中正 ホトトギス 202004
行く秋や更けて明るき大都会 森田明成 202005
ゆく秋や貰ひてのなき桐箪笥 岸洋子 202005
行く秋や枕に遠野物語 太田良一 末黒野 202012
行く秋の二見浦の入り日かな 長崎桂子 あを 202101
行く秋の光をはじく風樹かな 森清堯 末黒野 202102
行く秋や上ル下ルと京の旅 松浦哲夫 末黒野 202102
行く秋の蝶や低きへ日溜りへ 岡井マスミ 末黒野 202102
行く秋や風紋続く九十九里 佐藤喬風 末黒野 202104
行く秋の雲追ひかけて若狭かな 竹中一花 202107
ゆく秋や雨の降る日はよい天氣 佐藤竹僊 あを 202110
ゆく秋の歓声を待つ競技場 鈴木崇 202110
ゆく秋を眼前にして動かざる 佐藤竹僊 あを 202111
行く秋の瀬音高まる滑川 青柳雅子 春燈 202112
行く秋や吾の行方のさだまらず 沼田桂子 春燈 202112
行く秋やひとりで燥ぐチンパンジー 松山三千江 春燈 202201
行く秋をショパンで送るピアニスト 大森春子 202201
行く秋の「やるまいぞ」てふ太郎冠者 中村洋子 風土 202201
ゆく秋の本屋に童話原画展 中嶋陽子 風土 202201
ゆく秋 →3

2023年10月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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