雪 催 3     200句

雪催ひ菓子食ふならば灯に染めて   中村草田男   ザ・俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ビル街の遠近ひずむ雪催 柿沼盟子 風土 201101
旅帰りちらちら春の雪もよひ 稲畑汀子 ホトトギス 201102
乳堅く挟む健診雪催 細川洋子 201102
家ごとに犬飼はれゐる雪催ひ 大島英昭 やぶれ傘 201102
雪もよひもつこりとあるもぐら塚 白石正躬 やぶれ傘 201102
雪もよひほそぼそ木末をかはしゐる 豊田都峰 京鹿子 201103
映像にピント合はせる雪催 柳生千枝子 火星 201103
雪催何着て出るか決めかねる 鎌倉喜久恵 あを 201103
ふと亡妻の名を呼びにけり雪催 高谷栄一 201104
音絶ゆる母亡き庭や雪催 西岡裕子 201104
平積みの古書を漁るや雪催 阪本哲弘 201104
折り鶴の直線並ぶ雪催 千手和子 馬醉木 201104
雪催音なくつもる砂時計 宮川みね子 風土 201104
映像にピント合はする雪催 柳生千枝子 火星 201104
さやうならは言はぬ墓前よ雪催 小野口正江 末黒野 201105
雪催ひ聞えぬ母に呼び掛くる 中田のぶ子 ろんど 201105
尉鶲庭についばむ雪催 多田容子 酸漿 201105
暮れ方の長き船笛雪催ひ 荒井千佐代 祝婚歌 201110
尖りたつパゴダの影や雪催 那須淳男 馬醉木 201201
携帯のアンテナ二本雪催 柳川晋 201202
雪もよひ体温計のちちと鳴る 宮内とし子 201203
雪もよひ見えず終ひや蝕の月 加藤千津 ろんど 201203
雪もよふ雑木林に榾積めば 山本耀子 火星 201203
それきりの鶏の長鳴き雪催 田中文治 火星 201203
恋飛脚黄泉平坂雪催 延広禎一 201203
連なりし名山隠す雪催 米田文彦 かさね 201203
早々にごまめの手配雪催 小野口正江 末黒野 201203
雪もよひ居職昼の燈点しけり 松橋利雄 光陰 201203
花魁の下駄重たかり雪催ひ 田中藤穂 あを 201203
天を刺す北山杉や雪催ひ 小川玉泉 末黒野句集 201203
白鳩の鳥居に並ぶ雪催ひ 高柳正幸 やぶれ傘 201203
久しぶりのゴルフは明日雪催 石田きよし 201204
糶に出す牛追ふ朝の雪催 山口誠 馬醉木 201204
雪催針を数えて仕舞ひけり 吉田きみえ 末黒野 201204
座りゐる鹿の流し眼雪もよひ 城孝子 火星 201204
花屋だけあざやかに咲き雪催ひ 三橋早苗 ぐろっけ 201205
雪催ひ海へと消ゆる鳶のこゑ 國保八江 やぶれ傘 201206
万世橋に広瀬像ありき雪催 酒井秀郎 返り花 201211
一炷の残り香長し雪もよひ 千手和子 馬醉木 201302
夫の故郷我には異郷雪催 千田百里 201302
雪催飛べぬ白鳥友を待つ 鈴木石花 風土 201302
聞き流す事のまた増え雪催ひ 北川孝子 京鹿子 201302
青鷺の頭うづむる雪催 田中清秀 かさね 201302
雪催早々ともる外灯かな 森岡陽子 かさね 201302
雪催伸びたる穭の黄ばみけり 和田勝信 かさね 201302
母子寮の灯ともし頃や雪催 井上信子 201302
燈を列ね上りの夜汽車雪催ひ 定梶じょう あを 201302
落花生の殻剥いてをり雪催 赤座典子 あを 201302
雪もよひ日進月歩といふ不安 北川孝子 京鹿子 201302
電柱を鉤登りゆく雪もよひ 米澤光子 火星 201303
飛び立てる鶴の鋭声や雪催 大上充子 馬醉木 201303
雪催ひ猫懐に翁往く 三村紀子 万象 201303
板チョコの直線優し雪催 森岡正作 201303
瘤白く小さく浮く画像(え)よ雪催 細川洋子 201303
雪催ひ芝生の色を変へてゆき 水野範子 ぐろっけ 201303
石屋より石刻む音雪催 大崎紀夫 やぶれ傘 201303
黒猫の擦り寄りて来る雪催ひ 田代貞枝 201303
鉛筆を削れば木の香雪催 林昭太郎 201303
きき酒の酔ひふはふはと雪催 森下康子 201304
薄明の立体曼荼羅雪もよひ 山崎里美 201304
野風呂松の影も直情雪もよひ 北川孝子 京鹿子 201304
薄味のさぬきうどん屋雪催 丑久保勲 やぶれ傘 201305
花舗の中薔薇渦なせる雪催 水岡芳子 馬醉木 201401
根菜のポトフのとろみ雪催 成宮紀代子 201401
振り向けば父母の声とも雪催 西川春子 春燈 201402
寄合の決着近し雪もよひ 堀田順子 馬醉木 201402
栞なき書の耳を折る雪もよひ 能村研三 201402
夜半叩く鈴鹿山風雪催 長崎桂子 あを 201402
大盛りのきつねうどんや雪催 渡辺若菜 春燈 201403
粗樫の末雪催ひ楠葉宮 近藤紀子 201403
雪催出掛けることにためらうて 竹内悦子 201403
雪催ひ海くろぐろと音潜め 林昭太郎 201403
雪もよひ父を見にゆく大工の子 小林朱夏 201403
門口に空のどんぶり雪催 丑久保勲 やぶれ傘 201403
ももちゃんと行った関宿雪催 たかはしすなお 201403
コップ二つレンジに廻る雪催 垣岡瑛子 火星 201403
テーブルを汚しては拭く雪もよひ 高木晶子 京鹿子 201403
ウイスキーボンボン儚くこはれ雪催 辻美奈子 201403
みちのくの灯り淋しき雪催 福山和枝 201403
雪催ひ白鷺城の天守閣 和田慈子 末黒野 201404
雪催ひ打たれて匂ふ五寸釘 原友子 201404
雪催ひ厚焼き卵うら返す 吉田政江 201404
雪もよひ父にココアを練りゐたり 西村節子 火星 201404
胸中に一語のぬくみ雪催 栗原公子 201404
眠気すぐ誘ふ点滴雪もよひ 河口仁志 201404
亡夫つまの里は風の町なり雪催 秋葉貞子 やぶれ傘 201404
菜を洗ふ水の重さや雪催 岡部名保子 馬醉木 201404
遠的に当る音せり雪もよひ 山本耀子 絵襖 201404
茶屋の灯にしばし憩ひぬ雪催 黒滝志麻子 末黒野 201405
洗面器に熱き湯を入れ雪催 山田暢子 風土 201405
雪催ひ檻のペンギンよく動く 廣瀬雅男 やぶれ傘 201405
人声の絶えたる夕ベ雪催 加藤静江 末黒野 201405
反対のしづかな挙手や雪催 井上菜摘子 京鹿子 201405
電柱の歩み出せり雪もよひ 竹内弘子 あを 201405
柴又に飴切る音や雪催ひ 今井春生 201406
オランウータン手を出してくる雪催 東英幸 船団 201406
タクシーの運転手の黙雪催 成宮紀代子 201501
坂下の家で犬鳴く雪催 大崎紀夫 やぶれ傘 201501
熊笹の尖り尖りて雪催 宮坂恒子 201502
赤き灯は港あたりか雪催 豊田都峰 京鹿子 201502
雪催漁港は今日をしまひゐる 豊田都峰 京鹿子 201502
黒塚の杉に嵐哭く雪もよひ 渡部良子 馬醉木 201502
板チョコのぱりんと割るる雪もよひ 根橋宏次 やぶれ傘 201503
どんよりと空は灰色雪催ひ 水谷直子 京鹿子 201503
雪催ひ砂場に残る山と川 加藤峰子 201503
太梁の交はり確と雪もよひ 徳井節子 馬醉木 201503
山小屋の施錠の音や雪催 北郷和顔 末黒野 201503
長病める友おもふ夜や雪催 水田壽子 雨月 201503
半音の鳴らぬ鍵盤雪催 豊谷ゆき江 春燈 201503
クレーンが雲をなぞりて雪催 高木嘉久 201504
天狗の面真つ赤鞍馬は雪催 天谷翔子 201504
雪もよひ犬の鼻づらなでてをり 苑実耶 201504
雪催止まりしままの腕時計 鈴木直枝 ろんど 201504
怖づおづと用なき電話雪もよひ 山口ひろよ 201504
女子寮の灯が消えてゆく雪催 松田都青 京鹿子 201504
雪催ひ川辺の午後の渡船小屋 白石正躬 やぶれ傘 201504
街路樹の瘤のそれぞれ雪催 齋藤博 やぶれ傘 201504
肉まんのてつぺんの皺雪催ひ 渕田則子 末黒野 201505
汝が耳にやはらかき骨雪もよひ 林昭太郎 201510
木覆に京の反り橋雪もよひ 鈴鹿仁 京鹿子 201601
中腹にキャタピラ重機雪催ひ 七郎衛門吉保 あを 201601
雪もよふ箪笥に妣の文の束 泉本浩子 馬醉木 201602
神域の幣ひるがへり雪催 鈴鹿呂仁 京鹿子 201602
結託の雲は安土へ雪催 鈴鹿呂仁 京鹿子 201602
押し黙る背山妹山雪もよひ 窪田粧子 馬醉木 201603
街灯の自ら灯り雪催 鈴木セツ 201603
一羽でも来ればパン撒く雪催 樋口みのぶ 201603
影もまた己れの支へ雪催 北川孝子 京鹿子 201603
役所への分厚き封書雪催ひ 坂場章子 201603
西に日のうつすらとある雪もよひ 大島英昭 やぶれ傘 201603
パレットにのこるサインや雪もよひ はしもと風里 201603
雪催ひ遠き故郷に居るやうな 山荘慶子 あを 201603
雪催ひ出窓に針のない時計 井原美鳥 201604
雪催機嫌のわるい膝がしら 木戸渥子 京鹿子 201604
名に拝と付けて終ふ文雪催 井上菜摘子 京鹿子 201604
雪催ひ軒あんどんの灯りけり 林いづみ 風土 201604
居心地の良くて長居す雪催ひ 田原陽子 201604
川の辺の医院に急ぐ雪催 野中圭子 京鹿子 201605
雪催なれど雪来ぬ若狭口 笹村政子 六花 201606
雪催ひ痰切り飴が届きけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201606
雪催落し蓋して魚煮る 有賀昌子 やぶれ傘 201606
角砂糖のひとつがとける雪もよい 井上曜子 船団 201612
文塚の千の戀の字雪催ふ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201701
雪もよひレジ待つ列の長きこと 芦田しずく 京鹿子 201701
北空がめうに明るい雪もよひ 大島英昭 やぶれ傘 201701
雪催ひゴリラは子供のみ元気 廣瀬雅男 やぶれ傘 201701
来るはずもなき便り待ち雪催 コ田千鶴子 馬醉木 201702
風呂吹の塗椀くもる雪催 栗山よし子 馬醉木 201702
路地神の燭の枇杷いろ雪催 佐藤保子 馬醉木 201703
風尖る愛宕比叡と雪催 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703
先見えぬ米国の道雪催ひ 神田惣介 京鹿子 201703
人声の絶えたる路地や雪催 加藤静江 末黒野 201703
這松の強く岩抱く雪催 甕秀麿 201703
反り橋の敷藁匂ふ雪催 井上和子 201704
海中の不如帰の碑雪催 松本三千夫 末黒野 201704
ヒヤシンス香り濃くして雪催ひ 飛高隆夫 万象 201704
雪もよひはかなき国を夢に追ひ 富永小谷 馬醉木 201704
印泥にかぶせる晒し雪もよひ 升田ヤス子 六花 201706
路地神の燭の枇杷いろ雪催 佐藤保子 馬醉木 201801
もう落ちぬ点滴真夜の雪催 大塚文枝 京鹿子 201801
雪催木を香らせてこけし挽く 林昭太郎 201802
魚の血の凝固の早し雪催ひ 湯橋喜美 201802
神おはす方へてのひら雪催 辻美奈子 201802
黒竹の細きしなりや雪催 加藤静江 末黒野 201803
硝子戸に息の曇れる雪催 藤生不二男 六花 201803
焼き林檎シナモンふって雪催 火箱ひろ 201803
雪催アイロン重しと思ふ昼 はしもと風里 201803
シャッターの開かぬ土産屋雪催 佐藤稲子 やぶれ傘 201804
夕暮れを早む乾坤雪催ひ 植村蘇星 京鹿子 201804
雪催余呉湖の宿の武者話 齊藤陽子 201804
果実煮る匂ひは甘し雪催ひ 岡田香緒里 やぶれ傘 201804
鏡花道暗がり坂の雪催ひ 小池一司 やぶれ傘 201804
地に伏して家びっしりと雪催 森なほ子 あを 201804
雪催妣の手縫の半纏を 渡辺美智子 末黒野 201805
雪催珈琲たてて引きこもり 赤松赤彦 六花 201805
陸あげのボートに櫂や雪催 岡本秀子 201806
古文書の墨の香れり雪催 野中亮介 馬醉木 201812
雪催ひのつぺり見ゆる海鼠壁 柿沼盟子 風土 201902
雪催ひ幻の器の行く先は 田村すゝむ 風土 201902
雪催ひ遺影がわんと応へさう 小林輝子 風土 201902
エンジンのやうやく掛かる雪催 相川健 201903
雪催ひ漁夫は魚断つ刃研ぐ 間島あきら 風土 201903
磨き上ぐるケトルの音色雪催 山浦紀子 春燈 201903
爪白く長く伸ぶるや雪催 府川昭子 春燈 201903
眼剥く仁王半裸や雪催 井原美鳥 201903
白バイのUターンする雪催 きくちきみえ やぶれ傘 201903
モノレール大きく傾ぎ雪催 賀鈴木崇 201904
古書市の混雑にをり雪催 七田文子 201904
幼子の手のぬくもりや雪催 小林紫乃 春燈 201904
出てゆきし猫すぐ戻る雪催 佐津のぼる 六花 201904
綿菓子のかすかな温み雪催 服部早苗 201904
雪催賢治の父の書を読めり 山岸明子 201905
玻璃越しの東京の空雪催ひ 高濱朋子 ホトトギス 201905
命毛の一毛違へず雪催 池野つむぎ 馬醉木 201912
ぬひぐるみ呼び名付けてる雪催 赤座典子 あを 202001
理由(わけ)ありの鴉啼く日の雪催 鈴鹿仁 京鹿子 202001
「新世界」聴く窓の外雪催 七郎衛門吉保 あを 202001
空くを待つ立ち食ひ蕎麦屋雪催 丑久保勲 やぶれ傘 202003
宮司・巫女煤梵天や雪催 小林和世 202004
ポタージュに変へる献立雪催 吉田政江 202004
雪催→ 4

 

2021年2月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

掲載年月順です。

ご希望の季語又は語彙がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。