雪 催 2     137句

雪催松の生傷匂ふなり    上田五千石

作品
作者
掲載誌
掲載年月
母すでに繭に籠もりし雪催ひ 栗栖恵通子 200502
先生を待たす空港雪催ひ 須佐薫子 帆船 200503
太棹を撥の責めゐる雪催 うまきいつこ 200503
追伸の二行が重し雪もよひ 川勝春 馬醉木 200503
笄の丸や三角雪もよひ 高松由利子 火星 200503
仏壇の金箔しんと雪催 上林孝子 200503
蔵の灯を点してよりの雪もよひ 豊田都峰 京鹿子 200503
江戸絵図に団子坂あり雪催 関根義行 対岸 200504
杉の秀に灯る極星雪催ひ 藤岡紫水 京鹿子 200504
書く文の少しかすれし雪もよひ 吉田多美 京鹿子 200504
雪もよひ心療内科のルノワール 林玲子 200504
スタートの馬のたかぶり雪催 石川笙児 200504
山間に海すこし見ゆ雪催ひ 荒井千佐代 200504
漁火はかならず遠し雪催 戸田和子 200504
乗り手なき回転木馬雪もよひ 岩谷丁字 春燈 200505
買足せる袋重たし雪催 関戸国子 酸漿 200505
失せし物探しあぐねて雪催ひ 山口庸子 ぐろっけ 200505
雪催ひ胸に溶けこむ言葉あり 島元文 遠嶺 200506
東大寺展声明高し雪催 原田達夫 虫合せ 200506
沐浴の赤子めつむる雪催 服部早苗 200507
背負われて楢山やっと雪もよい 岡田芳べえ 200508
磨減りし鉈の屋号や雪催 鈴木漱玉 馬醉木 200512
雪もよひ原稿紙に文字埋めゆき 大橋敦子 雨月 200602
浮船渠がらんどうなり雪もよひ 工藤義夫 馬醉木 200603
雪催膝にのる子のゐて温し 佐野益子 百鳥 200603
雪催世間知らずの犬とゐて 安永圭子 風土 200603
ガトー・ショコラ焼くる気配や雪催 村本真由美 遠嶺 200604
餅箱で餅箱蓋す雪もよひ 城孝子 火星 200604
レグホンに穢の微かなり雪催 大沢美智子 200604
蟹殻に鴉の群るる雪催ひ 小野千枝子 万象 200604
沸きましたと風呂が物言ふ雪催 渡邊紅華 酸漿 200604
夕づくや湯の香湯けむり雪催 村越化石 200701
矮鶏小屋に菰を掛けゐる雪催 根岸善雄 馬醉木 200702
街路燈更けてひと日の雪催 岡本眸 200702
人まれな鯖街道は雪もよひ 長谷川史郊 馬醉木 200703
鰰の箸にげやすし雪もよひ 平野伸子 馬醉木 200703
雪催ひ山をそびらの野鍛冶かな 飛鳥由紀 200703
まはし読みする育児書や雪催 稲葉ちよこ 風土 200703
密教の火のうつくしき雪催 中田みなみ 200703
家々の灯の美しき雪催 佐々木智子 200704
シャンパンに過去は問ふまじ雪催ひ 三沢蘭 遠嶺 200704
雪もよひ掌にあたたかき朱塗椀 稲次登美千 雨月 200704
三川を一気に渡る雪催 堀志皋 火星 200704
雪催とは不機嫌な雲の色 池田崇 200704
診察を待つ間の一句雪催 仁平則子 200704
それぞれの船の位につく雪催ひ 百瀬七生子 海光 200705
塵芥ごみを焚き野良汚したり雪催 布川直幸 200705
水引の屑手で寄する雪もよひ 山尾玉藻 火星 200802
流木に瘤があるので雪催 定梶じょう あを 200802
ぬるま湯に刻過しをり雪催 水原春郎 馬醉木 200803
雪催からすひと声悔こぼす 鈴鹿仁 京鹿子 200803
白粥の熱きは母情雪催 青野れい子 200803
雪もよひ筆のためらふ吉野紙 宮内とし子 200803
石鹸に花の浮彫雪もよひ 大川ゆかり 200803
雪催うなじのほくろ見えてしまふ 定梶じょう あを 200803
浜干しの一連の雑魚雪催 岩木茂 風土 200804
人送る光悦寺坂雪催 高木曽精 春燈 200804
襞の吐くもやのゆききの雪もよひ 豊田都峰 京鹿子 200804
雪もよひ裸灯を納屋にふやしもし 豊田都峰 京鹿子 200804
笹竹に風の吹きやむ雪催ひ 大崎紀夫 やぶれ傘 200804
ひと擦りでマッチに炎雪催 丑久保勲 やぶれ傘 200804
出番なき木偶の伏目や雪もよひ 田下宮子 200805
雪もよひ賢治童話を子らと読む 岡垣佳子 遠嶺 200805
一禽の高舞ふ堂宇雪催 金原登志子 馬醉木 200805
雪催ひ影なき道を医者へ行く 松村光典 やぶれ傘 200805
ぜんざいに少し塩足す雪催ひ 忽那みさ子 やぶれ傘 200805
雪催かつて遊里の細き路地 岩崎可代子 ぐろっけ 200805
窯出しをてらてら見つむ雪催ひ 加藤克 200901
雑踏に紛れてひとり雪催 嶋村恵美子 春燈 200901
雪もよひ家のかたちに薬包紙 齋藤朝比古 炎環 200902
雪催触れねば開かぬ自動ドア 三輪初子 炎環 200902
捨てきれぬ母の靴在り雪催 大畠響 炎環 200902
柚の皮を一片削ぎし雪もよひ 山尾玉藻 火星 200902
冷めし茶が咽喉に微音や雪催ひ 林翔 200902
古時計の午後四時早し雪催 高木嘉久 200902
雪もよひ個人情報保護シール 小嶋洋子 200902
雪催ひ惚けし母に褒め言葉 和田満水 200902
木槌もてほぐす干物や雪催 根橋宏次 やぶれ傘 200902
杉戸絵のきぎす羽ばたく雪もよひ 森ひろ 馬醉木 200903
鴨川が加茂と変はりし雪催 栗栖恵通子 200903
菰巻きの自然薯ひらく雪もよひ 大島翠木 200903
忌宮に鶏のあつまる雪催ひ 小形さとる 200903
さきがけて灯ともる花舗や雪もよひ 小山徳夫 遠嶺 200903
夕暮れは煙の匂ひ雪催 竹島勝代 200903
雪催箒の竹の柄が太し 深澤鱶 火星 200903
とろ箱の蟹が宙掻く雪催 高松由利子 火星 200903
深夜放送昭和づくしや雪もよひ 藤原照子 200903
出土せる大き土瓶や雪催 赤座典子 あを 200903
餡ぱんの空洞昏き雪催 吉村摂護 200903
雪催見えないものをみつめてる 森山のりこ あを 200903
下りて下りて下りる駅なり雪催 高橋道子 200904
幾度か空仰ぎをり雪催 田原陽子 200904
大杉の一枝落とせり雪催 成田美代 200904
眼界の首都のビル群雪もよひ 村上すみ子 200904
雪催下山を急ぐ獣道 沖則文 ぐろっけ 200904
一舟行く墨絵のごとし雪催 中村洋子 風土 200904
オブラートに散薬つつむ雪催 及川澄子 風土 200904
お汁粉の塩のひと振り雪催 佐藤午後 炎環 200904
雪催音だけ聴いてゐるテレビ 山高真木子 炎環 200904
糸底の荒き手ざはり雪催 梶川智恵子 200905
只今と母のこゑする雪もよひ 大島英昭 やぶれ傘 200905
雪催い先生に酒注がせおり 中原幸子 船団 200906
ゆく水がかもしだしたる雪もよひ 八田木枯 晩紅 201002
磨り終へし墨の香に立つ雪もよひ 緑川啓子 馬醉木 201002
雪もよひ神事のための荒筵 能村研三 201002
雪催くづれるほどに角煮煮て 荒井千佐代 201002
切株のほのめく紅や雪もよひ 高瀬史 馬醉木 201003
雪催托鉢列を乱さざる 久保東海司 201003
中庭に巨石が二つ雪催ひ 橋本良子 遠嶺 201003
どの部屋に居りても同じ雪催 久米なるを 201003
ビル街の遠近ひずむ雪催ひ 柿沼盟子 風土 201003
待ち合はす十分前や雪催 高橋まき子 風土 201003
雪催ひ「謝辞」てふ遺書の届きけり 鈴木阿久 201003
小流れの向かうに稲荷雪もよひ 大島英昭 やぶれ傘 201003
屋台から味噌焼く匂ひ雪催 小林玲子 ぐろっけ 201003
消防車撤収その後雪催 定梶じょう あを 201003
おさなごの手形は窓に雪催ひ 高柳正幸 やぶれ傘 201004
献血の短き列や雪催 吉村摂護 201004
恐竜のたまごに罅や雪もよひ 杉浦典子 火星 201004
雪催ひ若狭塗箸にほひけり 小林成子 火星 201004
黄八丈のコートの舞妓雪もよひ 丸山照子 火星 201004
雪もよひ並ぶ屋台に酒の粕 山本耀子 火星 201004
雪もよひ金柑煮る香仏間まで 久保村淑子 万象 201004
雪催擦り傷に血の滲み出し 菅谷たけし 201004
大念珠繰る音のみの雪催ひ 犬塚李里子 201004
雪催早や灯を点すビルの窓 久本久美子 春燈 201004
雪もよひ今宵無口の人とゐて 小田明美 春燈 201004
珈琲を飲む古書街や雪催 木場田秀俊 201005
安着の孫の電話や雪催ひ 神田惣介 京鹿子 201005
馬車道の瓦斯灯ともる雪催 城戸緑 末黒野 201005
低く飛ぶかもめの声や雪催ひ 根本公子 末黒野 201005
雪催い初産卵に仄明り 古川忠利 ろんど 201005
急ぎゆく四谷見附や雪催 青木政江 酸漿 201005
雪催ひ置きたるごとく竹生島 田口紅子 201006
サーチライト忙し彌生の雪催 田中貞雄 ろんど 201006
外灯の傘の三角雪もよひ 間島あきら 風土 201011
丼をかぶつて食す雪催 鳥居おさむ ろんど 201011
雪催→ 3      

 

2021年1月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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