雪 解 10      200句

春あさみ霞の色もまた寒しはれぬ雪解の空の匂ひに  崇光院

作品
作者
掲載誌
掲載年月
棒振つて山の子帰る雪解かな 柴田佐知子 201503
笹撥ねてはねて雪解の風わたる 藤岡紫水 京鹿子 201504
音立てて橋桁洗ふ雪解川 塩野谷慎吾 201504
成満のつむり吐き出す雪解堂 秋葉雅治 201504
人形のふとまばたきぬ雪解風 高橋あさの 201504
雪解の始まる水音棚田晴 藤森すみれ 201504
若狭彦雪解の水の甘かりし 竹中一花 201504
雪解野や大きな羂のありやなし 加藤みき 201504
蛇行する姿顕はに雪解川 宮田香 201504
青空を巻き込んでゆく雪解川 大谷畠子 馬醉木 201504
雪解けて木々は素顔をかがやかす 西村博子 馬醉木 201504
多賀大社雪解雫に詣でけり 室伏みどり 雨月 201504
長ぐつの色のいろいろ雪解かな 定梶じょう あを 201504
書に倦めば雪解雫の清かなり 渡部良子 馬醉木 201505
湖畔道一禽哮る雪解風 西川みほ 末黒野 201505
道に出て手心もなき雪解水 曽根京子 春燈 201505
雑念の薄れゆくなり雪解光 曽根京子 春燈 201505
国道に隣る村道雪解遅々 秋葉雅治 201505
雪解川越えて富山の薬売 河口仁志 201505
陰日向きは立つ谿や雪解どき 佐川三枝子 201505
雪解急海峡隔て佳き便り 頼田幸子 201505
道尽きて雪解雫の坊の跡 深川淑枝 201505
葉牡丹の雪解雫の十重二十重 岩崎眉乃 万象 201505
なほ奥に籠り堂あり雪解風 谷村祐治 雨月 201505
霊山に鳶の高舞ひ雪解晴 谷村祐治 雨月 201505
鯉いまだ身じろぎにぶき雪解水 稲岡みち子 雨月 201505
自らを律しきれない雪解川 高橋将夫 201506
さざ波を鯉のにじませ雪解川 山田六甲 六花 201506
前奏にしては激しき雪解川 平居澪子 六花 201506
雪解川先を競ひて波がしら 大内幸子 六花 201506
雪解けやフラスコの湯の沸いてをり 高島正比古 京鹿子 201506
雪解けて背伸びしている坐禅草 田中佐知子 風土 201506
諸もろの神にも雪解村外れ 工藤ミネ子 風土 201506
合流の片辺濁らす雪解かな 間島あきら 風土 201506
雪解風底ひに母の機の音 山本久江 201506
木道を繕ふ音や雪解靄 渡会昌広 馬醉木 201506
雪解水手を貸してやる流れかな 頼田幸子 201506
子の声の空にひびける雪解みち 天谷翔子 201506
√5は「オウム」指す語や雪解富士 片桐てい女 春燈 201507
繭籠るやうに村あり雪解靄 工藤ミネ子 風土 201507
歳月や角をけづりて雪解川 神田美千留 京鹿子 201507
道路鏡雪解の山河写しをり 太田チヱ子 末黒野 201507
傘骨の白き折目や雪解富士 四條進 201507
五箇山の空の蒼さよ雪解水 赤松郁代 万象 201507
せせらぎの弾むリズムや雪解水 杉浦一子 万象 201507
熱湯といふバス停や雪解風 山内なつみ 万象 201508
青竹の雪解の水の甘きかな 宮崎洋 春燈 201512
雪解けや一枝揺らし山揺らし 佐藤みち子 京鹿子 201601
雪解の関ケ原とは祝ぎの色 稲畑廣太郎 ホトトギス 201602
はるか来て雪解の山に包まるる 稲畑汀子 ホトトギス 201603
笑ふ山見つつ雪解の山のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201603
はらからの誰から狂ふ雪解川 竹内弘子 あを 201603
海に出る川の一念雪解風 竹内弘子 あを 201603
たわいなく誓ひは反故に雪解風 コ田千鶴子 馬醉木 201604
まだ青き杉玉まはす雪解風 堤京子 馬醉木 201604
水門の水位上がりぬ山雪解 定梶じょう あを 201604
配達車雪解雫の絶え間無く 赤座典子 あを 201604
雪解晴更地の黒の深まりぬ 赤座典子 あを 201604
雪解水ならの都へ潜り口 山田六甲 六花 201604
一の宮雪解の音の中にあり 山田六甲 六花 201604
蟹売りのリヤカーふさぐ雪解道 升田ヤス子 玫瑰 201604
雪解しづく水琴として峡の村 和田和子 馬醉木 201605
いつせいに始まる雪解街眩し 清水美恵 馬醉木 201605
工学部裏のささめき雪解水 大矢恒彦 201605
一つぶの大き瞬き雪解星 上野節子 201605
雪解けやまづ灯籠の笠現るる 佐藤三男 万象 201605
どの路地も雨だればかり雪解風 太田チヱ子 末黒野 201605
雪解川ひたすら海へひたすらに 中島昌子 201605
文具屋に雪解しづくの音ばかり 根橋宏次 やぶれ傘 201605
母郷いま雪解雫の音の中 角野良生 201606
かむなびや貫く一途の雪解川 塩貝朱千 京鹿子 201606
湖近く雪解の芝を踏みにけり 笹村政子 六花 201606
雪解して轍に生まれたる命 笹村政子 六花 201606
古戦揚の声かくあらむ雪解川 笹村政子 六花 201606
鵜の瀬なるどころ逆巻き雪解川 笹村政子 六花 201606
追はれつつ追ひつつ余呉の雪解水 藤生不二男 六花 201606
高きより雪解雫や杉木立 藤生不二男 六花 201606
雪解川おのれ貫き向き変へず 松田泰子 末黒野 201606
雪解水散居の田面を満たしけり 大木茂 万象 201607
蛇行せるあたり激しく雪解川 成田美代 201607
月山の雪解瑕疵見ゆ五月来ぬ 沼澤石次 馬醉木 201607
雪解けて奥飛飛騨の空かろやかに コ井節子 馬醉木 201607
大木も氏子も神の雪解川 矢崎すみ子 201607
神となる御柱清む雪解川 佐藤貞子 雨月 201607
尾根越えて襲ひ来るや雪解靄 森屋慶基 風土 201607
もやもやと雪解の村に日の当たる 青谷小枝 やぶれ傘 201608
濁りつつ海へ切り込む雪解川 原田しずえ 万象 201610
白峰の暗渠たばしる雪解水 江見悦子 万象 201610
雪解川容れ白濁の日本海 江見悦子 万象 201610
古町の辻の賑はひ雪解どき 内海良太 青嶺 201612
一滴の雪解水より大河生れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
雪解空心自由に遊ばせて 宮田豊子 春燈 201704
雪解けの溢れてをりぬ加賀の国 浜田久美子 六花 201704
蕎麦を打つ雪解雫に音重ね 近藤暁代 馬醉木 201704
雪解水石鎚山麓香り立つ 岡山敦子 京鹿子 201705
滝壺に生木逆立つ雪解かな 南うみを 風土 201705
夫婦箸選る雪解けの若狭かな 田中佐知子 風土 201705
雪解けの肩寄せ合うて百仏 田中佐知子 風土 201705
雪解川金剛心を押し流す 高橋将夫 201705
海へ出て雪解の水の藍となる 雨村敏子 201705
雪解けて地霊山霊現はるる 岩月優美子 201705
ポケットに鍵束堰の雪解水 岡田桃子 201705
丸ポストに雪解の光投函す 橋本順子 201705
夜に入ると音にちからの雪解川 定梶じょう あを 201704
雪解川自足の母に音立てて 中川句寿夫 ここのもん 201705
梅の白の眩しき雪解風 コ田千鶴子 馬醉木 201705
葉山葵の小さきが揃ふ雪解川 松本美簾 馬醉木 201705
雪解の呂律ととのふ山家かな 能勢俊子 馬醉木 201705
雪解や土蔵へ長き渡り板 米山のり子 馬醉木 201705
白樺の木肌をめくる雪解風 松原智津子 万象 201705
声上げて雪解雫に打たるる子 大内マキ子 万象 201705
石狩の雪解飲み干す大海原 大内マキ子 万象 201705
雉子鳩の鳴く雪解山かすみたり 伊藤美音子 万象 201705
犇きて怒濤を知らぬ雪解川 森岡正作 201705
茅葺きの茅より生まる雪解光 須賀ゆかり 201705
雪解田に啄む鳥の此処彼処 赤座典子 あを 201705
山祇を乗せたる勢雪解川 石黒興平 末黒野 201706
言の葉のさらさら流る雪解川 雨村敏子 201706
雪解水の一水となり野を走る 雨村敏子 201706
釣果無く釣人雪解釣つてをり 橋本くに彦 ホトトギス 201706
雪解けの風の攻めたる電波塔 太田チエ子 末黒野 201707
幽谷の底より動く雪解かな 勝木享子 万象 201707
本流へ谿を走りぬ雪解水 森清堯 末黒野 201708
雪解川フォッサマグナの峡走り 大沢美智子 201710
短調の長調となり雪解風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
雪解けの大地はこつと軋みをり 鈴鹿呂仁 京鹿子 201803
あすの山路望めば雪解いよよ急 秋葉雅治 201804
雪解川濁りて力みなぎらす 楠原幹子 201804
落葉松を雪解かすみのつつみゆく 根岸善雄 馬醉木 201804
雪解川夕べ音のみ暮れのこり 定梶じょう あを 201804
棒杭に紅絹のかかれる雪解川 竹内弘子 あを 201804
雪解けて聞ゆる青き地の鼓動 岩月優美子 201805
退院と声色たかき雪解富士 高野昌代 201805
ゆく先の果に海あり雪解川 藤生不二男 六花 201805
絵硝子や軒より雪解雫して 市村明代 馬醉木 201805
雪解滝耳を澄ませば心清む 塩貝朱千 京鹿子 201805
雪解風さらさら赤く顔洗ふ 伊藤希眸 京鹿子 201805
喝采を挙げて野をゆく雪解川 宮崎紗伎 春燈 201805
堰越ゆる水の太さや雪解川 川高郷之助 201805
雪解もや原発ドーム覆ひえず 南うみを 風土 201805
月蝕の屋根より雪解しづくかな 岩木茂 風土 201805
激しさも静けさもまた雪解川 岩木茂 風土 201805
歌塚に雪解の松の匂ふなり 田中佐知子 風土 201805
目薬の耳まで垂るる雪解かな 奥田茶々 風土 201805
ワルツともジャズとも雪解雫かな 石黒興平 末黒野 201805
旧道は右に左に雪解川 高橋泰子 末黒野 201805
棕櫚の葉をワサワサ揺らす雪解風 木村瑞枝 やぶれ傘 201806
谷深く岩噛む音や雪解川 塩見治郎 雨月 201806
信濃原村雪解雫は椅子を打ち 井上石動 あを 201805

 雨宝院「まよひ子右」

その裏を夜の匂ひの雪解川

山田六甲 六花 201806
勇み立つ音を放ちて雪解滝 宮坂恒子 201806
新しき白も加へて雪解富士 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
雪解富士眼下に置きて質疑へと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
上京や富士の雪解見つつ着く 稲畑汀子 ホトトギス 201806
繰り返す昔の話雪解の夜 土井三乙 風土 201806
日を砕き大きく曲る雪解川 森清信子 末黒野 201806
雪解や芝の湿りの踏みごこち 吉田きみえ 末黒野 201806
地蔵堂下を奔れり雪解水 中根美保 風土 201807
雪解けし庭にころんでしまひけり 大久保白村 ホトトギス 201811
雪解川岸辺に立ちて誰も無口 大沢美智子 201901
雪解水大川の嵩持ち上げて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
笹跳ねて跳ねて雪解の風渉る 藤岡紫水 京鹿子 201904
雪解の道をいくたび滑りしよ 山田六甲 六花 201904
橋渡る雪解の響き踏みながら 山田六甲 六花 201904
雪解川稚鮭を放つ分校児 沼澤石次 馬醉木 201905
ぐらぐらとつり橋渡り雪解風 中嶋陽子 風土 201905
ふるさとの木の香風の香雪解川 中嶋陽子 風土 201905
雪解川滾り鳴き交ふ鳶の空 松本鷹根 京鹿子 201905
雪解寺あの世ばなしと延命水 塩貝朱千 京鹿子 201905
淵となり瀬音となりて雪解川 大内幸子 六花 201905
あけすけの空よ盆地よ雪解急 田部富仁子 201905
水音を追ひかけてゆく雪解風 佐野久乃 201905
あけすけの空よ盆地よ雪解急 田部富仁子 201905
禅寺の雪解雫の賑々し 田部富仁子 201905
雪解や押し合ひ圧(へ)し合ひ谷の水 近藤喜子 201905
大山の身振ひしたる雪解かな 宮原悦子 雨月 201905
野地蔵の頭の出でてより雪解急 園部蕗郷 春燈 201906
雪解光外で髪梳く杣母子 園部蕗郷 春燈 201906
雪解水目指す大樹の梢かな 高橋将夫 201906
まつさらな思考回路の雪解風 山中志津子 京鹿子 201906
クロスワードの空白を埋む雪解風 井尻妙子 京鹿子 201906
雪解けの光ささめく屋敷畑 森屋慶基 風土 201906
新しき今日の濁りに雪解川 森屋慶基 風土 201906
雪解田や揺蕩ふ隅のきらめきて 赤座典子 あを 201906
雪解や倒木多き保安林 ふなかわのりひと 201907
尺八の音色緩急雪解川 楠本和弘 201907
雪解の富士の裾まで夕映えて 石川倜子 馬醉木 201908
雪解けの田の土黒き奥会津 泉一九 やぶれ傘 201908
一つなくてまばゆき雪解かな 久保田万太郎 京鹿子 202002
あはうみに食ひ込んでゐる雪解川 南うみを 風土 202004
林道の裾削りゆく雪解川 森岡正作 202004
音立てて堰越ゆしぶき雪解川 西村白杼 京鹿子 202005
星くずを掬へばこぼる雪解風 鷺山珀眉 京鹿子 202005
雪解しづく追憶にまた涙して 井尻妙子 京鹿子 202005
雪解 →11

 

2022年3月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。