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作品
作者
掲載誌
掲載年月
雪の夜は梁哭けり地震の村 吉田かずや 春燈 200512
屋根の上に屋号呼び合ひ雪卸し 吉田かずや 春燈 200512
雪降りし日も幾度よ青木の実 中村汀女 ぐろっけ 200512
雪深き地を発ちて来し人もゐて 稲畑汀子 ホトトギス 200601
青空に置きかへられし雪大地 稲畑汀子 ホトトギス 200601
雪晴の大地に応へたる光 稲畑汀子 ホトトギス 200601
巴里よりの便り一片雪となる 杉山哲也 馬醉木 200601
猪寝かせありたる地に雪降り来 山尾玉藻 火星 200601
寿いのちなが雪の降る日の薄化粧 竹内悦子 200601
薄化粧の雪の常念岳入れて撮る 宮城島たか子 200601
しように次ぐ病あり雪の小児科医 林翔 200601
雪を掴みてマラソンの汗拭ふ 遠藤真砂明 200601
丹頂の頭のまぎれずに霏々と雪 吉田陽代 200601
眠る子に浄きつむじや根雪くる 吉田陽代 200601
歩くとは退らざること雪しまく 吉田陽代 200601
枯葦原これよりは雪まかせなる 吉田陽代 200601
言葉生まるるやうに雪野に日が差しぬ 吉田陽代 200601
矩形美しテニスコートの無垢の雪 吉田陽代 200601
錯綜の轍やあをき雪あかり 楠原幹子 200601
耳たぶのやうな鶏冠雪降り来 工藤進 200601
雪華舞ふ窓や夢想の吾のあり 大橋敦子 雨月 200601
雪霏々と筆耕硯田とふ身なり 大橋敦子 雨月 200601
鳥どちも降りつぐ雪にふためける 大橋敦子 雨月 200601
鳴き交す鳰の声あり雪しまく 安達風越 雨月 200601
年の終り締め括らんと雪霏々たり 荻巣純子 雨月 200601
バリアフリー雪百日のはじまりぬ 工藤ミネ子 風土 200601
日月の詰りし雪を捨て急ぐ 工藤ミネ子 風土 200601
山深し幹に顔ある雪の橅 森理和 あを 200601
装ふも雪いただくも山重ね 篠田純子 あを 200601
雪の道一つの墓に続きをり 渡邉友七 あを 200601
娘としばし別れの食事雪降る夜 佐久間はるみ 200602
雪晴れや離陸の窓に摩天楼 佐久間はるみ 200602
皆雪の深さをいうてゆく授業 稲畑汀子 ホトトギス 200602
ダイヤモンドダストとはこれ雪の朝 稲畑汀子 ホトトギス 200602
どこまでも雪どこまでも最上川 大森慶子 母衣 200602
雪晴や門にきれいなこゑと顔 小石珠子 春潮 200602
まなうらを音なく雪舟のよぎりけり 小澤克己 遠嶺 200602
ほそ道の件を聞くや嶺々に雪 橋本良子 遠嶺 200602
糶られたる鱈の大口雪降れり 小田司 馬醉木 200602
奔放な志功に太字雪の宿 大西八洲雄 万象 200602
一と降りに雪三尺の湯治宿 大西八洲雄 万象 200602
湯の神の鳥居は雪に埋もれづめ 大西八洲雄 万象 200602
雪降れば大気新らしやはらかし 岡本敬子 万象 200602
真つさらの今年の雪へ踏みいだす 岡本敬子 万象 200602
手を引いて一寸先の見えぬ雪 谷榮子 雨月 200602
よろけ出て雪のわが家を顧る 谷榮子 雨月 200602
雪霏々と一村の音烟らせて 谷榮子 雨月 200602
雪兆す伝言板に文字あふれ 山尾玉藻 火星 200602
雪を置く丹沢尾根の遠くあり 高橋ふじ 酸漿 200602
雪まじり駅伝ランナー五人ぬく 神蔵器 風土 200602
冠雪の遠嶺まばゆし肥後なまり 高木智 京鹿子 200602
雪の橋渡れば帰れなくなるか 山田六甲 六花 200602
この窓で句を作るのか雪の嶺 山田六甲 六花 200602
雪まろげ人間らしく生きなさい 山田六甲 六花 200602
御岳の雪に艶ます馬の尻 江崎成則 栴檀 200602
教会の高く灯りし雪景色 小林朱夏 200602
夜の雪部屋の真中に紐さがる 佐藤喜孝 あを 200602
里雪やこれほどまでに続くとは 赤座典子 あを 200602
新しき家建ち雪のふることよ 定梶じょう あを 200602
菜の青き積めばやさしく雪がふる 定梶じょう あを 200602
さしかかる峠や霏々と夜の雪 淵脇護 河鹿 200603

 長子結婚す

火の島の雪のひかりに娶るかな

淵脇護 河鹿 200603
風熄んで初冠雪の桜島 徳田正樹 河鹿 200603
湯煙りに吹かれ消えゆく細雪 橋口礼子 河鹿 200603
雪遠嶺母の遺せし座につけり 松田有伽 河鹿 200603
雪の宿朝はフランスパンと言ふ 泉田秋硯 200603
朝湯てふ贅沢視界雪景色 泉田秋硯 200603
穂高嶺の初冠雪や明神社 伊藤稔代 200603
間一髪合掌屋根のしづり雪 北尾章郎 200603
雪を呼ぶ一揆太鼓や加賀の里 山口順子 200603
立錐の雪や羽前は杉どころ 西村梛子 馬醉木 200603
積りゆく雪の底より子守唄 工藤義夫 馬醉木 200603
封人の家の戸軋む雪来るか 堤京子 馬醉木 200603
雪やんで祈る形のつぼみあり 能村研三 200603
六本木あたり五彩の雪降りをり 北川英子 200603
雪下ろし中と荒息受話器より 北川英子 200603
湖すでに暮れゐて比良のあかね雪 北川英子 200603
新市成る雪の早池峰山も容れ 大畑善昭 200603
下枝みな雪に埋まりなほも雪 大畑善昭 200603
麻痺の手に雪のつめたさ伝へみる 大川ゆかり 200603
縮尺の地図に赴任地雪の頃 齊藤實 200603
ジョンレノン枝雀もよろし外は雪 福山悦子 200603
星々の森へと帰る雪晴れて 渡辺鮎太 200603
東京に雪降る景の二・二六 鈴木榮子 春燈 200603

 長男耕一、明けて四つなり

さびしさは木をつむあそびつもる雪

久保田万太郎 春燈 200603
雪ぞらのほのかに赤きところかな 久保田万太郎 春燈 200603
昔話読んで眠らす雪しんしん 佐藤三男 万象 200603
軒下にトラック据ゑて雪下ろす 森山暁湖 万象 200603
地の匂ひいち夜に塞ぐ深雪かな 若島久清 万象 200603
雪暗や達磨びつしり並べ売り 山尾玉藻 火星 200603
雪の立山見ゆる座をすすめらる 杉浦典子 火星 200603
雪霏々とムンクが口を開けてをり 山田美恵子 火星 200603
鉄棒の着地ふはりと雪の花 大東由美子 火星 200603
鳥賊の脇をボールに入るる雪の朝 小林成子 火星 200603
雪礫造りつつ行く登校児 松崎鉄之介 200603
雪の嶺あらぬ方向き立つごとし 宮津昭彦 200603
降る雪の肩にとどまりゐしが消ゆ 宮津昭彦 200603
犬の絵馬吊すに大雪予報出づ 村越化石 200603
鷹翔けて雪の丹波となりゐたり 土田祈久男 200603
藩主の墓めつた打ちせりしづり雪 森川泰雄 200603
煌々たる電飾の町雪霏霏と 太田絵津子 200603
厠で見る昨日も雪で今日も雪 名和節子 200603
雪報に一日早い通知表 岡敏恵 ぐろっけ 200603
あけぼのや集乳缶を雪に置く 後藤秋邑 百鳥 200603
囮鵜の眼縫ひて湾を閉ざす雪 迫田白庭子 百鳥 200603
湾に雪来て檣燈のまぎれなき 迫田白庭子 百鳥 200603
雪に刺し並べて登山杖を売る 迫田白庭子 百鳥 200603
僧院のバッハの楽に雪速む 福岡もも 百鳥 200603
味噌の香の蔵いつぱいに朝の雪 堀木基之 百鳥 200603
雪晴や車も人も祓はれて 堀木基之 百鳥 200603
写経会のしづもり雪の夜のごとく 大串若竹 百鳥 200603
花豆を煮て母を訪ふ雪の中 阿部悦子 酸漿 200603
連峰の中の一峰雪冠る 池部久子 酸漿 200603
落葉松に雪の降りつぐ景のあり 飯田角子 酸漿 200603
まばたきの間も惜し雪の彦根城 丸山佳子 京鹿子 200603
本山の御投書箱も雪菩薩 丸山佳子 京鹿子 200603
雪しづれ峠越さねば世のこゑは 鈴鹿仁 京鹿子 200603
草の家きのふに代はる今日の雪 宇都宮滴水 京鹿子 200603
以下同文親しき仲の雪便り 宇都宮滴水 京鹿子 200603
深雪里初報で足りるやぐら台 宇都宮滴水 京鹿子 200603
風雪やそろそろ硬き頭蓋骨 宇都宮滴水 京鹿子 200603
背文字から弛みはじまる雪茜 宇都宮滴水 京鹿子 200603
雪しんしん壁にお日さま画く園児 伊藤希眸 京鹿子 200603
雪のせて幻想曲の杉の山 奥村邦子 200603
青九谷よひから雪となるらしく 黒田咲子 200603
あかときや冠雪の山ズームイン 宇田喜美栄 200603
雲割れて山顛の雪光り合ふ 奥村邦子 200603
雪の味したる酢茎を貰ひけり 竹中一花 200603
あしたこそ雪になるよと高野槙 天野きく江 200603
マグダラのマリアの化身雪の精 岩月優美子 200603
雪やんで樹林を跳べる光の子 松村多美 四葩 200603
雪の降る御託並べのご老人 伊藤あえ子 四葩 200603
横走る雪に屈みて菜を引けり 南うみを 風土 200603
雪掘つて菜はさみどりの雫かな 南うみを 風土 200603
鯉を煮る玻璃戸に雪の吹きあたり 南うみを 風土 200603
注連売りのまはりの雪の踏み荒れて 南うみを 風土 200603
雪の夜の瓶の中なる帆掛け船 南うみを 風土 200603
雪しづり夢より覚めし山のこゑ 南うみを 風土 200603
雪降るや憶ふは佐渡の流人墓 小野寺節子 風土 200603
木に花を咲かせて雪や賎ヶ岳 杉本薬王子 風土 200603
しんしんと朝の雪舞ふ目覚にて 綿谷美那 雨月 200603
すっぽりと雪の底ひの越の里 堀田清江 雨月 200603
踵より一歩一歩の雪の朝 笹倉さえみ 雨月 200603
杉山へ急坂雪の風が来る 山田六甲 六花 200603
金色の日は差しゐても雪は雪 山田六甲 六花 200603
この雪をホワイトデーに贈りたし 山田六甲 六花 200603
お互ひの雪みて過ごすひと日かな 山田六甲 六花 200603
雪をもて吾を迎へる故郷は 山田六甲 六花 200603
梢から咲きこぼれたる雪の花 わかやぎすずめ 六花 200603
三本のキャンドル吹き消し雪の夜 わかやぎすずめ 六花 200603
雪の夜の優しき言葉降り積もる わかやぎすずめ 六花 200603
差し色の赤き車や雪の街 田尻勝子 六花 200603
みどり児の衣すすげば聖き雪 田尻勝子 六花 200603
一歩出づ舞ひ込む雪に勵まされ 中田みなみ 200603
雪の香の髪となるまで歩きけり 中田みなみ 200603
腰窓の根雪あかりや見舞籠 中田みなみ 200603
雷鳴の一夜明ければ雪山河 長沼三津夫 200603
雪しづる夜や海の鳴ることさへも 長沼三津夫 200603
月覗きをれど大雪注意報 長沼三津夫 200603
小止みなき夜更の雪を掻きに出づ 長沼三津夫 200603
降る雪やいよいよ細き仏の眼 藤井昌治 200603
雪掘ればさらに真白な雪現れし 澤井悠紀子 200603
つぶれ家も出てどか雪の盆地町 炭谷要子 200603
降る雪に無い袖ふつて恙なし 丸山佳子 京鹿子 200603
雪が消え木や竹あはれ折られ損 丸山佳子 京鹿子 200603
雪折のこだま灯落とす里々に 豊田都峰 京鹿子 200603
比良暮雪おのがあかりにうかぶのみ 豊田都峰 京鹿子 200603
糸呑川雪にうもれて道とだえ 山田耕子 京鹿子 200603
水あふれ橋もとだえて雪降るる 山田耕子 京鹿子 200603
雪の橋通學生は後戻り 山田耕子 京鹿子 200603
大人たちの手にしかとゆだねて雪の橋 山田耕子 京鹿子 200603
老斑の掌に受く雪の解け難し 吉田多美 京鹿子 200603
散りぬれど雪かゞやかす落椿 吉田多美 京鹿子 200603
雪こんこ子守唄では眠らぬ児 吉田多美 京鹿子 200603
窓は雪標本室の人の骨 木戸渥子 京鹿子 200603
雪炎の中に身をおき身を焦がす 西條李稞 京鹿子 200603
雪憎し身すぎ世すぎの小商ひ 海老原嘉雄 四葩 200603
雪下し命預ける綱細き 安部暘子 四葩 200603
凍雪の背後に魔女の気配して 三戸和子 四葩 200603
ただ降りぬ邪気無き雪の凄みかな 田代風子 四葩 200603
今朝の雪幾千の句を生み出すや 大村和泉 四葩 200603
雪霏々と鮃は砂にもぐりけり 定梶じょう あを 200603
教会の隣時計屋根雪積む 田中藤穂 あを 200603
夜半まで大屋根の雪とどろけり 長崎桂子 あを 200603
電線に雪の積もりてモノトーン 早崎泰江 あを 200603
地下鉄の始発のひびき雪かがやく 森理和 あを 200603
一部落同じ姓なり雪深し 森山のりこ あを 200603
雪荒ぶ三条大橋草鞋あと 吉弘恭子 あを 200603
石割つて雪割つて立つ桜の木 今瀬剛一 対岸 200603
煎餅を割れば匂へり雪の町 今瀬剛一 対岸 200603
雪深し両手もて掘る句碑の文字 今瀬剛一 対岸 200603
一つ灯を掘り出す如く雪を掻く 今瀬剛一 対岸 200603
胸までの雪なり来るなとは言はず 今瀬剛一 対岸 200603
女ごと消えてしまへり雪煙 今瀬剛一 対岸 200603
雪合戦して始まれり一時限 松谷知子 対岸 200603
雪といふ星の宇宙の便りかな 長山あや ホトトギス 200604

 死の直前の改宗

極楽泥棒と言はれし寝墓雪が消す

泉田秋硯 200604
大雪に桂馬よろけの靴の跡 泉田秋硯 200604
雪礫抛つて大樹の荷を減らす 泉田秋硯 200604
しづけさの奈落ありけり雪の夜は 木船史舟 200604
雪 →23      

 

2021年1月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。