雪 23     200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
霰降り雪ふる輪廻葬送歌 木船史舟 200604
小米雪むかし高下駄履きしこと 木船史舟 200604
華やかにそしてうんざり雪マーク 達山丁字 200604
雪しきり真赤な鍋でシチュー煮る 和田照子 200604
雪晴や子にドライブを誘はれて 瀬尾幸代 200604
児の長き睫毛に触れて小米雪 隅田享子 200604
トンネルを抜けるたび増す雪の嵩 森下康子 200604
庭杉にツリーの如く雪残る 坂元フミ子 河鹿 200604
幾度の雪の衣やさくらじま 園田その子 河鹿 200604
齢追うて登るみ雪の深さかな 有島夛美 河鹿 200604
初冠雪磁石は揺れて北を指す 清原彰子 河鹿 200604
火の山の初冠雪や水脈光る 木原紀幸 河鹿 200604
降る雪や時進むとも戻るとも 若井新一 200604
雪霏々と越後の方位消えにけり 若井新一 200604
庖丁を研ぐ降る雪の映るまで 若井新一 200604
墓石のつむじまで雪降り積る 稲垣いつを 200604
屋根に雪積んで戻りしツアーバス 池田美佐代 200604
雪の日の飲食とろ火絶やさずに 清水節子 馬醉木 200604
再会や予報はくもりのち雪と 岡部名保子 馬醉木 200604
鈍色の海に雪降る出湯の町 川崎俊子 馬醉木 200604
太陽も薄紙づつみ雪に倦む 池元道雄 馬醉木 200604
城山の月光凝りし雪卸す 鈴木まゆ 馬醉木 200604
雪に餅のせて少年義士の墓 鈴木まゆ 馬醉木 200604
ならぬことはならぬ訓や雪百日 鈴木まゆ 馬醉木 200604
会津藩領暮雪に沈む墓の列 鈴木まゆ 馬醉木 200604
まづ先に牛小屋の雪卸しけり 鈴木漱玉 馬醉木 200604
粉雪舞ふ招きや坂田藤十郎 山下佳子 馬醉木 200604
合掌建灯の繭色に雪を待つ 児玉寛幸 馬醉木 200604
雪しまくオペラグラスの中もまた 窪田粧子 馬醉木 200604
雪しづり竹はすつくと五合庵 川畑はるか 遠嶺 200604
やはらかき日ざしに雪のしまりたる 高橋将夫 200604
半伽思惟像人の世に雪降り積む 雨村敏子 200604
触れば消ゆ雪巡礼にふりしきる 黒田咲子 200604
石峰やしきりに赤き雪の降る 小形さとる 200604
雪景色見えざるものの見えさうな 本多俊子 200604
降る雪やただいつときの綺麗ごと 谷岡尚美 200604
笹に積み松に雪積む火吹竹 杉浦典子 火星 200604
荒縄の結び目匂ふ夜の雪 田中英子 火星 200604
現し世はちぎり絵のごとぼたん雪 土屋酔月 火星 200604
雪の上に消防ホース伸びゆけり 西畑敦子 火星 200604
粉雪の三年坂を郵便車 助口弘子 火星 200604
灯のとどく雪に降る音ありにけり 相馬黄枝 200604
雪の山越え法衣に菰とスコップと 大畑善昭 200604
峡ふかく肩寄する家雪轍 大畑善昭 200604
雪降れり久女忌なればひたすらに 千田百里 200604
雪降れり身ぬちに燠のごときもの 堀口希望 200604
霏々と雪坂東太郎海に入る 堀口希望 200604
浮遊する言霊に積む夜の雪 服部早苗 200604
ITの乾闥婆城けんだつばじやう雪しまく 後藤眞由美 春燈 200604
音を吸ひ音をつつみて雪降れり 後藤眞由美 春燈 200604
雪に暮れ水平線の失せにけり 久本久美子 春燈 200604
無伴奏チェロ組曲や雪乱舞 荒井慈 春燈 200604
大雪を眺めて一日暮れにけり 三輪慶子 ぐろっけ 200604
雪晴れや梢の先の大烏 三輪慶子 ぐろっけ 200604
雪落しまだ揺れやまぬ松の枝 三輪慶子 ぐろっけ 200604
右折して雪の田圃に出合いけり 明石文子 ぐろっけ 200604
雪消しの雨降る窓に寄る二人 村越化石 200604
海苔舟の沖の雪つけ戻りけり 冨田みのる 200604
歎き合ふも励ましのうち雪下す 遠藤止観 200604
尻滑りの雪捨山で道草せり 笹原紀世子 200604
雪上車氷湖へ描く幾何模様 笹原紀世子 200604
雪煙上げてギャロップの孕馬 三戸千佐子 200604
雪景色で変りし庭へ雀来る 安野良子 200604
土鍋粥硝子戸に雪こつぽりと 中山純子 万象 200604
東京に降る雪久し墨をする 大西八洲雄 万象 200604
雪みちに隣り合はせの師弟句碑 大西八洲雄 万象 200604
雪襖日ごとに高くなりゆけり 岡本敬子 万象 200604
雪の降る空へ声張り纏振り 阿部月山子 万象 200604
豪雪の二階窓より出入りをす 関口青稲 万象 200604
雪あかり嫁ぎし子の間そのままに 小谷延子 万象 200604
黒土に雪うすうすと松納 小林愛子 万象 200604
荒海に出てゆく川や雪しまき 小林愛子 万象 200604
臥す妻に笹垣すべる雪の音 横井博行 万象 200604
山窪の底に残れる雪明かり 横井博行 万象 200604
大雪を乗せて夜汽車の人疎ら 榎美幸 万象 200604
雪の果さしかかる死の適齢期 伊藤白潮 200604
降る雪や大川下る船に座す 折橋綾子 200604
船宿も橋の柳も雪霏々と 折橋綾子 200604
雪見してついで詣りの観音さん 折橋綾子 200604
自らの重きに耐へし雪落つる 片山タケ子 200604
百歳の叔母の逝きけり雪明り 高橋道子 200604
市川も雪かと夫のメールかな 飛鳥由紀 200604
黒髪にアダモの雪の降つてをり 片山タケ子 200604
鷹匠のあやつる鷹に雪舞へり 関まさを 酸漿 200604
せつせつと雪を雫に藪椿 永田二三子 酸漿 200604
雪晴の木が木の雫うけてをり 永田二三子 酸漿 200604
隣人の雪掃きくれし厨口 古川さかえ 酸漿 200604
狛犬の雪の鬣負ひゐたり 田中きよ子 酸漿 200604
久女忌の雪の激しさ見てゐたり 八木岡博江 酸漿 200604
雪の窓開きてはただ籠りをり 中島伊智子 酸漿 200604
小豆煮や時をり音の雪しづれ 中川悦子 酸漿 200604
夜半の雪見る人無くも降りしきる 渡辺玄子 酸漿 200604
雪晴や早くも落つる木の雫 渡辺玄子 酸漿 200604
雪載せて宅配便の届きけり 秋千晴 200604
雪踏みし下駄のだんだん高くなる 秋千晴 200604
目を閉ぢし痩身のキリスト雪積む あさなが捷 200604
鶴川の雪を泣かせて釜の噴く 橋添やよひ 風土 200604
翔つ鳥の音のみ雪の武相荘 橋添やよひ 風土 200604
美濃尾張雪一枚となりにけり 間島あきら 風土 200604
吹き下ろす雪の目潰し燈半ば 石垣幸子 雨月 200604
帰国一家雪を掻きつつ墓参り 石垣幸子 雨月 200604
はすかひに人歩み来る雪の坂 綿谷美那 雨月 200604
丹後路や雪折れ杉の数知れず 片山喜久子 雨月 200604
雪に一歩深々印しまた一歩 手島伸子 雨月 200604
雪はじき竹琅玗を深めける 乗光雅子 雨月 200604
雪風巻く父母なき里に降り立ちて 久保田雪枝 雨月 200604
雪明りの父母の遺影のもとに寝ぬ 久保田雪枝 雨月 200604
前見えぬほどに浪速に雪しまく 加地芳女 雨月 200604
雪明かり母屋に隣る味噌の倉 石川鐵男 百鳥 200604
雪降れり傘に見立てし舞扇 久保田哲子 百鳥 200604
仏彫る雪の古墳を眺めては 中島瑞枝 百鳥 200604
湧水のほとりは雪のしじまかな 糸川草一郎 百鳥 200604
警笛のかすれし雪の水郡線 瀬崎憲子 百鳥 200604
雪山を降り来しリュック床に据う 斉藤明子 百鳥 200604
鰰を骨ごと食めば雪しまき 矢田邦子 栴檀 200604
湯に通す芥子菜の色雪霏々と 佐野和子 栴檀 200604
暁の雪道を掻く鋤の音 河野尚子 栴檀 200604
饅頭屋湯気吹き上げて雪の町 河野尚子 栴檀 200604
街灯に火の粉のごとき雪降れり ことり 六花 200604
豪雪の日本列島淑気かな 池崎るり子 六花 200604
雨粒が雪へと変わりたる一瞬 わかやぎすずめ 六花 200604
音たてて次々と落つ屋根の雪 わかやぎすずめ 六花 200604
岩となる日陰の雪や山の間 霜嵜恵美子 六花 200604
深深とただただふるよ夜半の雪 霜嵜恵美子 六花 200604
大雪の隣人遠くなりにけり 霜嵜恵美子 六花 200604
大雪の悪魔のごとくのしかかる 霜嵜恵美子 六花 200604
ざらめ雪夕日に向けて投げ散らす 山田六甲 六花 200604
雪晴や笹起きる音次つぎに 芝尚子 あを 200604
雪はげし朝のケトルが鳴りつづけ 鈴木多枝子 あを 200604
香雪蘭生けて午後の日の寧し 長崎桂子 あを 200604
うす黄色のすこしはにかむ香雪蘭 長崎桂子 あを 200604
雪焼し少年嬉々と帰り来る 早崎泰江 あを 200604
雪割れて隠し田の隅墓現るる 渡邉友七 あを 200604
里雪の白きしづけさ粥を吹く 牧長幸子 対岸 200604
雪しまく市場に活きて蟹売られ 牧長幸子 対岸 200604
雪積もり積もりて重きふくらはぎ 牧長幸子 対岸 200604
しづり雪はらりと松の緑かな 浅田光喜 対岸 200604
墓碑群の小さきは隠れ雪降れり 恒川絢子 対岸 200604
野菜埋め目印の棒雪に刺す 長野純顕 対岸 200604
雪白しヒマラヤ杉の高さより 城間芙美子 対岸 200604
師の句帳開かれてあり雪降れり 城間芙美子 対岸 200604
口結ぶ新婚写真雪の家 城間芙美子 対岸 200604
雪降れり五百の羅漢埋めつくし 城間芙美子 対岸 200604
風を来て白鳥雪と光り合ふ 城間芙美子 対岸 200604
本丸の跡の松の木雪降れり 飯島きみい 対岸 200604
両側に酒樽を積み雪の宮 岡田洋子 対岸 200604
何もかも埋めて雪の白さかな 岡田洋子 対岸 200604
挨拶は雪のことから始まれり 岡田洋子 対岸 200604
味噌汁のふはりと匂ひ雪の朝 田中千枝子 対岸 200604
八雲たつ雪の出雲となりにけり 田中千枝子 対岸 200604
雪の足跡崖仏まで続きけり 土永三輪子 対岸 200604
やはらかき雪やはらかく踏みにけり 松谷知子 対岸 200604
靴底に寒さしみ入る雪の道 中元英雄 河鹿 200605
積む雪のしづくとなれる日差しかな 中元英雄 河鹿 200605
冠雪の山に抱かるる湯治宿 早水秀久 河鹿 200605
樽買ひのトラック雪に揺れて発つ 泉田秋硯 200605
声掛けて雪の朝市行き戻り 泉田秋硯 200605
雪の夜やむかしむかしの指狐 永井雪狼 200605
空の色はサッポロブルー深雪晴 岸田爾子 200605
日に三度掻かされ雪はもう要らぬ 宮入河童 200605
粉砂糖ほどの積りや今朝の雪 佐久間はるみ 200605
これよりは雪径となる女人堂 井上富詩子 200605
雪残る三角点に背を正す 甲斐恵以子 200605
会へばすぐ雪はいかがと又問はれ 安原葉 ホトトギス 200605
星の里雪の褥となりにけり 佐土井智津子 ホトトギス 200605
風のかたち木木のかたちに雪降れり 佐土井智津子 ホトトギス 200605
雪無尽蔵なれば俳句も無尽蔵 岩岡中正 ホトトギス 200605
屋根の雪しづりて鞍馬鎮もりぬ 堀川福子 馬醉木 200605
うるしぬりをへし暮色の雪の木々 高島鶏子 馬醉木 200605
雪の夜の心あそばす蒔絵の灯 高島鶏子 馬醉木 200605
噴煙の雲より白き深雪晴 伊藤宇太子 200605
落ちさうで落ちぬわが家の屋根の雪 川口みどり 200605
雪下ろし父に教はる事ばかり 熊谷尚 200605
目覚めれば雪明りして枕上 小林美知子 200605
山の雨いつしか雪に地蔵堂 遠野萌 200605
雪煙あげて駿馬や地平線 遠野萌 200605
雪乗せて町に戻りし送迎車 遠野萌 200605
降る雪や和尚に飼はれ烏骨鶏 青山悠 200605
四捨五入してはなし聞く外は雪 青山悠 200605

鯖街道朽木を越えて雪ねぶり

 朽木=滋賀の地名

 雪ねぶり=雪解けの頃に立つ靄

能村研三 200605
雪を呑み大河音なく渦なせり 内山花葉 200605
引き込まれゆく北越雪譜炉辺あかり 物江康平 春燈 200605
雪重し日本列島傾きぬ 高野明子 風土 200605
雪降るや渓どこまでもあるやうに 伊藤たか子 遠嶺 200605
薄墨の色の流るる雪の街 柴村郁子 遠嶺 200605
庭の木の影脹らみて深雪晴 柴村郁子 遠嶺 200605
淡々と梢の雪へ窓明り 柴村郁子 遠嶺 200605
雪の嵩減りて酒蔵戸を開く 米屋道子 200605
寒けれど窓を開ければ雪の景 秋岡朝子 200605
こはいもの見たさに深雪トンネル抜け 丸山佳子 京鹿子 200605
明日は雪恋に訣れの指人形 伊藤希眸 京鹿子 200605
雪深し一と夜地熱の噴かむかな 伊藤希眸 京鹿子 200605
肩に跳ねしあかがね屋根のしづり雪 浜口高子 火星 200605
機音や千本格子に雪降つて 師岡洋子 ぐろっけ 200605
積雪に足跡残す早出番 秋田直己 ぐろっけ 200605
雪載せて庭師の車やつと来し 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200605
未だ人の来ぬ石庭に衾雪 岩崎可代子 ぐろっけ 200605
朝日負ひ男三代雪下し 安部暘子 四葩 200605
雪→24      

 

2021年1月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。