21     200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
葬果てて眼開けば雪降る山 天野みゆき 風土 200504
野鍛冶絶え戸口へ雪の階刻む 工藤ミネ子 風土 200504
鐘撞いて比良の暮雪をさそひけり 橋添やよひ 風土 200504
越前の竹紙に雪の匂ひかな 林裕子 風土 200504
燻り漬と雪冷えの酒もてなされ 能村研三 200504
神杉かむすぎの雪しづり浴び梵天祭 藤原照子 200504
梵天待つ足場の雪を踏み固め 藤原照子 200504
摩耶夫人の吐息か今日のささめ雪 林玲子 200504
たつぷりと雪麦の芽を眠らせて 中島あきら 200504
足跡をつけたくて出づ朝の雪 栗原公子 200504
耳たぶのやうな鶏冠雪降り来 工藤進 200504
大雪や命まるめて鳥けもの 梶川智恵子 200504
山古志の川いくつ消す雪しまき 代田幸子 200504
カチューシャの唄ハモらむか雪路来て 泉田秋硯 200504
雪積みて一夜に消えし寢墓群 泉田秋硯 200504
雪景色置き去りにして昇降機 泉田秋硯 200504
デルタ野の大雪晴に尿りける 駒井でる太 200504
大雪やこの谷尼子いくさみち 浜田南風 200504
一夜にて雪の虜となりゐたり 隅田享子 200504
現し世を消す雪の中別れけり 新免京子 200504
野仏の仲よく被る雪帽子 星川淑子 200504
落雪に肩叩かれて振り返る 星川淑子 200504
めづらしき雪となりたる晦日かな 高倉恵美子 200504
降る雪や光背失せし観世音 青山悠 200504
大雪やまづスコップを救ひ出し 澤藤蓑助 200504
一切は空無なりけり舟に雪 小澤克己 遠嶺 200504
朝粥の舌にやさしや深雪晴 三沢蘭 遠嶺 200504
理学部の大理石柱窓の雪 安原ときこ 遠嶺 200504
白檀の香の染みてをり雪の寺 砂川せい輝 遠嶺 200504
しづり雪浴び霊験と思ひをり 藤井寿江子 馬醉木 200504
雪被く樅より明けて啄木鳥こだま 根岸善雄 馬醉木 200504
落葉松の影かさねあふ深雪晴 根岸善雄 馬醉木 200504
天井画の龍の目煌と雪来るか 長谷川子 馬醉木 200504
綿雪と振子の音とひとりかな 定梶じょう あを 200504
早朝の地震にめざめぬ外は雪 早崎泰江 あを 200504
降りたくてふる雪ぺージ繰りゐたり 山崎靖子 200504
雪畑吾子遊ばせし娘の細身 田村時与 200504
竹撓む雪やこんこん降りやまず 根本随縁 200504
白樺の肌を透かして峰に雪 小塚嘉人 200504
平家村とや軒までの雪を積み 長沼三津夫 200504
対岸の雪と見しもの羽搏けり 植松安子 200504
日は宙に雪の静寂ありにけり 佐々木幸 200504
地震後の消雪パイプ点検す 秋田庫 200504
石斧出づ犬の足掻きし雪掘れば 泉田秋硯 200505
記録豪雪記憶も何も消し去れり 泉田秋硯 200505
雪浅きこと言ふ海を渡り来て 木船史舟 200505
雪に覚めず永久の眠りにつきし夫 松村富子 200505
少年のルーぺ釘付け雪の華 峰尾秀之 200505
葉隠を積みし古書肆や深雪晴 阪本哲弘 200505
雪しづる音のときをり神の杜 伊藤トキノ 200505
癌告知山河は雪となりにけり 長田等 200505
病歴に癌加へればまたも雪 長田等 200505
雪の降る町といふ唄ありし忘れたり 安住敦 春燈 200505
眼の幅に開け真夜中の雪明り 辻直美 200505
雲のごとし桂大樹の冠り雪 吉田陽代 200505
夜をつつみて降る雪の匂ひけり 梶川智恵子 200505
百日を陸封のごと雪底に 梶川智恵子 200505
霊峰に雪ありありと母ゆけり 浜田はるみ 遠嶺 200505
さまざまな影を引き連れ雪野原 小山百合子 遠嶺 200505
雪景に万の輝き山遥か 赤池英津子 遠嶺 200505
たよられて老医とどまる深雪村 中村翠湖 馬醉木 200505
故郷も老いたり今日も雪降りて 西川五郎 馬醉木 200505
大灘のとどろき雪となりにけり 前田青紀 馬醉木 200505
馬の影になほいろありて雪の原 水野恒彦 200505

 母百二歳逝く

寿雪の降る日の薄化粧

竹内悦子 200505
雪しまくこつぜんとペガサス駈くる 大島翠木 200505
バッハのフーガ雪みちと星空と 雨村敏子 200505
雪中にライト明滅チエン巻く 北嶋美都里 200505
雪の朝丹の欄干埋もれけり 北嶋美都里 200505
大鷲の頭に雪の降り積もる 辻恵美子 栴檀 200505
雪の夜のグラス満たして赤ワイン 児玉豊子 対岸 200505
みたらしやきのふの雪を手に掬ふ 布施まさ子 風土 200505
赤松の姿ととのふしづり雪 布施まさ子 風土 200505
アルバムの母の写真や雪の夜 徳田正樹 河鹿 200505
屋根の雪怒々と落ち込む露天風呂 高木智 京鹿子 200505
庄内米育むべしや雪一重 高木智 京鹿子 200505
鶴を折る指に野の雪よみがへり 伊藤希眸 京鹿子 200505
雪しまき八甲田山一番地 齋藤宣子 帆船 200505
雨天決行明日の天気図雪マーク 岡ハツ子 帆船 200505
灯を消して聴くノクターンしづり雪 的池遙 百鳥 200505
罹災者を見舞ひ仮設の雪下す 菅沼義忠 200505
軒掘つて屋根より高く雪積めり 沼沢破風 200505
ユダ一人居る筈雪を来て睨む 泉田秋硯 黄色い風 200505
夜遊びの罰よと雪を急ぎけり 泉田秋硯 黄色い風 200505
雪に香のあり咳をして咳をして 柳生千枝子 火星 200505
雪を被て庭石その他獣めく 柳生千枝子 火星 200505
雪道を行く何時の間の沈黙か 柳生千枝子 火星 200505
越の雪祖父母の恋を想ひをり 柳生千枝子 火星 200505
昼月の消えかねてゐる雪しまき 浜口高子 火星 200505
いくたびも踏みそこなひぬ雪の畦 安部和子 雨月 200505
風神の招きに雪の降る日なり 鵜飼紫生 雨月 200505
風しまき大玻璃戸みな雪の渦 隅田恵子 雨月 200505
鳴き交す鳰の声あり雪しまく 安達風越 雨月 200505
一寸の土も見えざり陸奥の雪 大石喜美子 雨月 200505
雪道を歩きし夜の長温泉かな 大石喜美子 雨月 200505
雪しまき来て山頂に直立す 植竹美代子 雨月 200505
何一つ音のなき夜や雪の宿 植竹美代子 雨月 200505
北端の自衛隊機に雪積る 植竹美代子 雨月 200505
捨雪の六尺ばかり壁となる 植竹美代子 雨月 200505
ひと日にて魔物となりし雪積る 長石肇 築港 200505
雪玉をなかなか丸く握れぬ子 長石肇 築港 200505
雪の日の出番なかりし母の杖 石啓子 築港 200505
小座布団ほどに残れり裏の雪 関戸国子 酸漿 200505
朝の日に夜来の雪のかがやける 関口房江 酸漿 200505
峡の灯の雪の彼方ににじみをり 林敬子 酸漿 200505
消えし人雪に足跡点々と 星加克己 ぐろっけ 200505
霊峰が雪を冠りて威を増せり 三浦如水 ぐろっけ 200505
雪しまきぬっくと立ちし疫病神 水野範子 ぐろっけ 200505
縁石を車乗り越え今朝の雪 水野範子 ぐろっけ 200505
墓万基世界遺産の雪高野 宮原利代 ぐろっけ 200505
忍術の如き校庭雪しまき 岡敏恵 ぐろっけ 200505
ゴルフ茶屋談議で暖を外は雪 池上河童 200505
喜寿となる屋根に融雪装置かな 二瓶洋子 六花 200505
妖艶な猫に遇ひけり雪の寺 二瓶洋子 六花 200505
逢いびきの雪を踏む音鳴りにけり ことり 六花 200505
抱きとめよ胸に飛び込む雪深し ことり 六花 200505
黒百合の芽といふ雪をかむりたる 吉中愛子 万象 200505
晩年の旅やつくづく雪明り 岡本眸 200505
雪しまくしまく集団下校児よ 長沼三津夫 200505
雪捨車傾きつつもなほ積まる 長沼三津夫 200505
過ぎし日々雪の速さと重なれり 上林孝子 200505
冠雪の葦洲あまたの命抱き 広渡詩乃 200505
熊笹のあをき弾力しづり雪 広渡詩乃 200505
吾子癒えよ車窓に雪の関ヶ原 鹿野佳子 200505
落葉松や一茶通ひし道も雪 渡邉友七 あを 200505
雪雫歩道いち日乾かずに 鈴木多枝子 あを 200505
萱葺の苔に雪あり几 森理和 あを 200505
飛雪また飛雪となりしお元日 桑田青虎 ホトトギス 200506
雪落し立直りゆく竹の列 稲岡長 ホトトギス 200506
延着を雪の車窓に聞いて旅 岩垣子鹿 ホトトギス 200506
日射し来て鬱払ひけりなほ深雪 瀬尾幸代 200506
幻聴にシュプレヒコール雪の門 井上富詩子 200506
しづり雪竹林の雉子発たせけり 森藤千鶴 馬醉木 200506
ただならぬ世やただならぬ雪しまき 佐々木恭子 遠嶺 200506
靴跡に歩幅を合はす雪の朝 小松誠一 200506
解け残る聖人塚の雪真白 浜和佳子 百鳥 200506
夕日迫る雪の風紋どこまでも 的池遙 百鳥 200506
雪の六甲むこ借景にして席入りす 水野範子 ぐろっけ 200506
金閣も我家も京の雪の中 池田倶子 雨月 200506
日月の詰りし雪を捨て急ぐ 工藤ミネ子 風土 200506
林檎の樹雪掘つて出す雪の日々 森屋慶基 風土 200506
捨て雪を一度は棒げシヨベルカー 工藤ミネ子 風土 200506
檳榔に鶴に名残りの雪飛べり 鈴木厚子 栴檀 200506
淡海の沖島雪の最中かな 長村雄作 栴檀 200506
ふる雪や褪せたる第二芸術論 山元志津香 八千草 200506
雪を来て雪に別るる峠かな 丸田安子 酸漿 200506
納骨の列が踏み締め雪の原 小林幸子 酸漿 200506
広々とみちのくの田の雪明り 小林幸子 酸漿 200506
粉雪が積もるよコーヒー飲むうちに ことり 六花 200506
雪深しここに埋もれてしまおうか ことり 六花 200506
雪疎林嶺の齢の百年杉 丸山冬鳳 京鹿子 200506
嬰攫ふ翁の喜色雪しまき 原田達夫 虫合せ 200506
灯ともれば二階が軽し雪こんこん 長井順子 200506
灯ともして雪の深さを諾へり 長井順子 200506
ドーンと積り屋根も重かろ雪布団 阿部惠美子 200506
雪の朝音みなのんで街静か 長谷川幸子 200506
雪下し空から声の落ちてきて 長谷川幸子 200506
徒長枝を剪りに凍み雪渡り行く 巻良夫 200506
「災」と窓に書きみて暮の雪 福山至遊 200506
雪空のポプラ一本づつ孤独 白幡千草 ホトトギス 200507

 田中美幸句集『深雪晴』序句

星々を大きく夜も深雪晴

鷹羽狩行 200507
雪濁るかつて渡舟のありし河 古川洋三 遠嶺 200507
立山連峰立夏の雪の輝けり 五十嵐美穂 帆船 200507
野地蔵に深き雪庇や湯殿径 林和子 万象 200507
つむりても雪まだ青い骨拾ふ 直江裕子 京鹿子 200507
新札二枚はなれたがらぬ垂り雪 山元志津子 八千草 200507
当番医へ夫に添いゆく雪の坂 平野きぬ子 八千草 200507
たてがみの雪に耀ふ厩出し 目羅忠雄 百鳥 200507
裏山の雪も消えなむ夜の雨 二瓶洋子 六花 200507
雪の野の土乾きたるところかな 高橋将夫 星の渦 200507
椎の葉に雪の積れる王子かな 高橋将夫 星の渦 200507
雪道に雪が積つてゆきにかり 高橋将夫 星の渦 200507
灯火のもとに灯火色の雪 高橋将夫 星の渦 200507
積もる雪朝を待たずに逝きし母 村井節子 200507
のろのろと轍に頼る雪の夜 伊藤浩子 200507
亡き友の妻の訃報や雪の空 馬場龍雨 200508
降り頻る雪を駅婦が掻き発車 御古ゆたか 200508
うちそともともに静かや雪の朝 石山佳仙 200508
深雪晴廻り舞台の如き景 小島左京 ホトトギス 200509
省線に乘るあらそひを雪の日も 瀧春一 菜園 200509
しかすがに雪にときめく心あり 瀧春一 菜園 200509
踏切のかね雪晴の空に鳴る 瀧春一 菜園 200509
雪晴の櫟は青く霧らひたる 瀧春一 菜園 200509
かぜ晴れて氷雪の香をはこびくる 瀧春一 菜園 200509
雪明りさせりとおもふ蘆雁の圖 瀧春一 菜園 200509
若狭井や雪後の星を天蓋に 横井博行 万象 200510
橅大樹根元の雪の解けにけり 大谷美保子 栴檀 200510
弥陀ケ原握りし雪の鳴りにけり 高橋将夫 炎心 200510
雪しまき炎心しづかなりしかな 高橋将夫 炎心 200510
雪を掴みてマラソンの汗拭ふ 遠藤真砂明 波太渡し 200510
吾が忌にはしんしんと雪降れよ降れ 宮澤さくら 今生 200510
靴の雪融けて画廊の床濡らす 野沢しの武 風土 200511
竹伐つて裏山に雪湧きたたす 藤岡紫水 京鹿子 200511
襞尖る雪の谷川岳であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
杉の雪しづり神座の闇動く 鈴木漱玉 馬醉木 200512
雪かむり氏子の担ふ地酒樽 鈴木漱玉 馬醉木 200512
船大工影も笯を編む雪の底 鈴木漱玉 馬醉木 200512
聴禽書屋一夜の雪に沈みけり 鈴木漱玉 馬醉木 200512
能舞や深雪に軋む煤け梁 鈴木漱玉 馬醉木 200512
雪箆や間口二間の長屋門 鈴木漱玉 馬醉木 200512
雪 →22      

 

2021年1月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。