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雪濡れの葉書となって朝子来る    本橋愛子

作品
作者
掲載誌
掲載年月

 田まさ子さんを悼む

眼蓋に積もる雪あり死は忽と

中原道夫 銀化 199903
はかなしとせぬ雪ばかり海へ降る 中原道夫 銀化 199903
雪に棹さして邃けれ飢のごと 中原道夫 銀化 199903
舌先も三寸先の雪の味 中原道夫 銀化 199903
筏曲れば乘り合ひの雪曲る 中原道夫 銀化 199903
外濠は雪不豫*ふよのこと封じたる 中原道夫 銀化 199903
餅配もどるや盆に雪のせて 市堀玉宗 銀化 199903
厨房の夫来ませよ雪は花 池田澄子 船団 199903
目鼻なき竹人形に雪降れり 貞吉直子 馬醉木 199904
日溜の雪より出でし福寿草 貞吉直子 馬醉木 199904
灯といふ灯音といふ音封じ雪 若山千恵子 馬醉木 199904
挽きたてのこけしが匂ふ雪こんこん 若山千恵子 馬醉木 199904
雪来るか風雲あらき天主あと 藤谷紫映 馬醉木 199904
雪の扉を開くや未知のひろがれる 渡邊千枝子 馬醉木 199904
いきいきと一禽黝し雪の磴 渡邊千枝子 馬醉木 199904
雪のけて掘りたる独活の香なりけり 和田祥子 馬醉木 199904
透析日予報通りの大雪に 朝倉和江 馬醉木 199904
血圧を計り直すや雪の朝 朝倉和江 馬醉木 199904
反故焚けり雪温めずに焦さずに 神蔵器 風土 199904
賑やかにお側へゆけり雪の句碑 今西昭道 風土 199904
雪割つて土の匂のひとところ 小松志づ子 199904
琴糸を縒るや湖北の深雪晴 岩崎樹美子 199904
雪熄んで月濡れいろに町渡る 岩崎樹美子 199904
まぼろしに踏み込むここち雪しまく 佐竹美保子 円虹 199904
足跡の重なつて行く雪の道 佐竹美保子 円虹 199904
庭の景突と動きて雪しづれ 三浦恵子 円虹 199904
湖に積もるものあり雪積もる 熊懐享伸 199904
暁闇の雪に積む雪聞こえけり 児玉輝代 199904
かすかなる天鼓や雪の舞ひ始む 小澤克己 遠嶺 199904
港の灯薄くれなひに雪ふり来 橋本良子 遠嶺 199904
雪降れば雪日が射せば日の孤木 丸山海道 京鹿子 199904
本心を明さず消える庭の雪 丸山佳子 京鹿子 199904
風にふと兎のけはひ深雪晴 鷹岡紫水 京鹿子 199904
くりかへし女将の話す雪の寝 植野博 ぐろっけ 199904
雪しまく羽そっと産む夜なりけり 神田夏果 海程 199904
雪ン中埋もれゐたり竜の玉 水野節子 雨月 199904
踏みかため雪のカールを覗き込む 宮城菊子 199904
雪起し去りて手機の音こもる 石鍋みさ代 春耕 199904
焼きあがる麸より噴く湯気雪しまく 阿部月山子 春耕 199904
口開けて雪を喜ぶ園の熊 村瀬初実 春耕 199904
飲まぬ日や盃伏せ雪の富士を模す 中原道夫 銀化 199904
食籠じきろうに雪一升を詰め饗す 中原道夫 銀化 199904
口寄せに呼ばれざる魂雪となる 中原道夫 銀化 199904
雪竿を恃む眼の過ぎゆける 中原道夫 銀化 199904
枝垂枝のけふの雪嵩測るなし 中原道夫 銀化 199904
肩の雪払ひつつ来る飲み仲間 三澤福泉 俳句通信 199904
湯煙の白さひときは今朝の雪 三澤福泉 俳句通信 199904
雪煙上げ峠越す猿の群 北吉裕子 俳句通信 199904
鮒酢に顔をそむけて雪伊吹 土肥屯蕪里 俳句通信 199904
峡の田に土を撒きをり深雪晴 根岸善雄 馬醉木 199905
雪しづりあみだ被りにサイロ立つ 岩崎きゑ子 馬醉木 199905
藁人形わななきて雪降り出だす ほんだゆき 馬醉木 199905
また夢に逢はむ深雪のははそ山 ほんだゆき 馬醉木 199905
妹山はさみしき容雪降れり ほんだゆき 馬醉木 199905
深雪晴鴨かけて日のみづみづし ほんだゆき 馬醉木 199905
天領の雪あをあをと鬼やらふ ほんだゆき 馬醉木 199905
山寺の庫裡にまつ赤な雪の靴 村山秀雄 199905
堂塔を山にちりばめ深雪晴 村山秀雄 199905
足跡を拾ひて雪の磴登る 村山秀雄 199905
雲上に天使遊びて雪の華 いしだゆか 遠嶺 199905
雪の夜の蛇行の川の股裂く岩 丸山海道 京鹿子 199905
目つむればいつも雪ふるけもの径 豊田都峰 京鹿子 199905
鬼打ちし夜をたひらに雪のんのん 古津みどり 京鹿子 199905
画用紙の鬼を切り抜く雪の夜 杉浦典子 火星 199905
雪降つてうつくしき夜の建国日 奥田節子 火星 199905
ブリューゲルめく雪の日の遊びかな 深澤鱶 火星 199905
雪の夜の妖しき音を誰がたてし 柳生千校千 火星 199905
ひら仮名のように降る雪津軽には 山岸竜治 海程 199905
たっぷりと雪の沈黙めし上がれ 田中空音 海程 199905
今年まだ雪なし心乾きをり 能村登四郎 199905
雪載せて笹の小匙も流人墓地 神蔵器 199905
かまくらや星の宴の雪降らす 神蔵器 199905
ときめきの雪雫にもありにけり 村越化石 199905
降りかかる雪美しき飾かな 長沼紫紅 199905
雪しづる書院の四間障子かな 小宮山勇 青胡桃 199905
から松に雪来る音か去る音か 神蔵器 風土 199906
しんしんと深雪のごとく寝過せり 稲木款冬子 ヒッポ千番地 199906
一面の雪に広さを変へし沼 三浦恵子 円虹 199906
黙っていよう黙っていたら雪降りくる 鴻巣又四郎 海程 199906
いわつらら明かりともれば雪の傘 吉岡世志子 船団 199906
家々が男はき出す深雪晴 松永典子 船団 199906
雨が雪雪が雨へとなりて着く 塙告冬 ホトトギス 199906
韋駄天に日輪はなほ雪の宙 丸山海道 京鹿子 199906
生くる黒翔ちし深雪の家に暁け 丸山海道 京鹿子 199906
積雪に埋もれてゐたり織の音 木村真魚奈 京鹿子 199906
幟立ち雪まだ解かぬ八ヶ岳 勝田公子 199907
たましひをさらつてゆきし雪烟り 平橋昌子 199907
白・白・白・白おのづから雪の蝦夷 平橋昌子 199907
雪礫百個つくって冒険王 大西政司 海程 199907
天といふとてつもなきもの雪を喰む 福原實 海程 199907
雪の部屋男のむくろぬくめけり 森ひさ子 船団 199907
雪たのし雪にまみれて北人は 秋山深雪 船団 199907
薔薇抱きて故人通ひぬ雪の橋 稲見光 船団 199907
繭いろの雪ふり紐の遊びせむ 稲見光 船団 199907
雪ひらひら姉の衣裳の濃むらさき 稲見光 船団 199907
口中に雪の降る日のみなごろし 入江一月 船団 199907
煎じ薬煮つまり雪になりさうな 内田美紗 船団 199907
馬場さんが大股で行く雪の中 小倉喜郎 船団 199907
天職の針の一つ眼屋根に雪 丸山海道 京鹿子 199907
雪 3 →      

 

2021年1月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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