夜の秋 6     211句

西鶴の女みな死ぬ夜の秋   長谷川かな女   胡笛

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夜の秋の灯りを惜しむ歌舞伎町 高橋泰子 201010
持ち古りしペンの辷りや夜の秋 安立公彦 春燈 201010
空缶はサクマドロップ夜の秋 岡野イネ子 春燈 201010
夜の秋叱声洩るる塾の窓 長谷川歌子 春燈 201010
沖を航く灯のさだかなり夜の秋 川崎良平 雨月 201010
開け放つ門訪ふ風や夜の秋 菊地惠子 酸漿 201010
夜の秋馴れたる道の白さかな 宮崎左智子 201011
湯上りの肌撫づる風夜の秋 安本恵子 201011
夜の秋や三角定規の丸き穴 藤村達江 春燈 201011
湖に灯のゆらぎをり夜の秋 黒滝志麻子 末黒野 201011
夜の秋いつしか明日となりてゐし 戸田澄子 末黒野 201011
久々に使ふ鉛筆夜の秋 高橋秋子 201011
とつとつと津軽の民話夜の秋 鈴木浩子 201011
夜の秋や父の作りし壺磨く 山田春生 万象 201011
鉄瓶に湯の沸く音や夜の秋 大竹淑子 風土 201011
覚え書二つに畳む夜の秋 風間史子 201011
しのびよる風のけはいや夜の秋 設楽唱子 酸漿 201011
下山はや夜の秋となる風の音 密門令子 雨月 201011
夜の秋脇に根付の縁起物 瀬川公馨 201012
骰子のつめたき重さ夜の秋 田中春生 201012
久闊の友と越し方夜の秋 吉田きみえ 末黒野 201012
ヴィオロンの佳境に酔ひし夜の秋 岡谷栄子 201012
追ひこさぬやうに後ゆく夜の秋 垣岡暎子 火星 201012
夜の秋のハーブの香る通し十間 松山直美 火星 201012
己が身にひとり説法夜の秋 吉沢秀ひろ ろんど 201012
溝川の橋に風くる夜の秋 丑久保勲 やぶれ傘 201012
灯のならぶ遠くの橋や夜の秋 白石正躬 やぶれ傘 201012
夜の秋湯宿の赤き鏡掛 藤田満枝 万象 201012
幼子の寝息やさしく夜の秋 本多慶子 万象 201012
夜の秋星に濡れつつ行く渚 大橋伊佐子 末黒野 201104
夜の秋疾く疾く帰れと病母言ふ 鈴木榮子 繭玉 201105
山手線高架の低き夜の秋 鈴木榮子 繭玉 201105
瞬きの星ヘゥインク夜の秋 高谷栄一 嵯峨野 201107
背をむずと山気がつかむ夜の秋 布川直幸 201108
洋菓子のキャラメルの焦げ夜の秋 小澤菜美 201109
鉛筆の軽さになれし夜の秋 水原春郎 馬醉木 201109
老いてゆく速さ雲とぶ夜の秋 中田みなみ 201109
角打ちの枡酒旨し夜の秋 能村研三 201109
髪洗ひ貰ひて清し夜の秋よ 大橋敦子 雨月 201109
爪先に痺れを少し夜の秋 山田六甲 六花 201109
ならまちに陰陽町や夜の秋 笠井清佑 201110
風鈴の音の響きも夜の秋 林いづみ 風土 201110
夜の秋一朶の雲の遅れがち 林いづみ 風土 201110
書棚より画集引き出す夜の秋 細川洋子 201110
書肆出づる靴音ひとつ夜の秋 安立公彦 春燈 201110
心置きなき話のつづく夜の秋 吉村さよ子 春燈 201110
円朝の芝居の余韻夜の秋 金子つとむ ろんど 201110
終便の出で桟橋の夜の秋 碇天牛 雨月 201110
よろづ屋に昔と出会ふ夜の秋 中本吉信 201111
夜の秋やかすかに音す砂時計 小泉三枝 春燈 201111
驟雨去り暮るる早さや夜の秋 菅澤陽子 春燈 201111
夜の秋やクロスワードに励む母 藤原若菜 春燈 201111
夜の秋ちひさく破り捨つるもの だいじみどり 201111
北口のタクシープール夜の秋 倉持梨恵 201111
銅鐸の音の足元を這ふ夜の秋 浜口高子 火星 201111
黒楽に杓の一滴夜の秋 浜口高子 火星 201111
水音に御練始まる夜の秋 小林成子 火星 201111
ヨーヨーの三つ吊しある夜の秋 小林成子 火星 201111
群鶏図の蹴爪に力夜の秋 高松由利子 火星 201111
みちのくの弟の声夜の秋 野澤あき 火星 201111
夜の秋母の寝息に耳寄せて 山口美貴子 火星 201111
鉛筆を削る匂ひも夜の秋 野口喜久子 ぐろっけ 201111
音のして戸に虫あたる夜の秋 根橋宏次 やぶれ傘 201111
はぐれ雲横たふ山脈夜の秋 小野寺節子 風土 201111
己がため挽く珈琲や夜の秋 山本浪子 風土 201111
一つ灯に二人の読書夜の秋 長山あや ホトトギス 201112
夜の秋座敷わらしのよぎりけり 篠原幸子 春燈 201112
導尿の名人来たる夜の秋 吉村摂護 201112
ジャム入れて紅茶の濁る夜の秋 栗原京子 201112
人波に呑まれ別るる夜の秋 黒滝志麻子 末黒野 201112
色褪せし植物図鑑夜の秋 林哲夫 ぐろっけ 201112
ペディキュアの色を落して夜の秋 中島讃良 ろんど 201112
妖怪のすつたもんだや夜の秋 瀬川公馨 201112
独り居に馴れし任地の夜の秋 安原葉 ホトトギス 201201
汝と吾のかはらぬくらし夜の秋 井上浩一郎 ホトトギス 201201
一行を読みまた読み返し夜の秋 鎌倉喜久恵 あを 201112
ロッキングチェアー揺らして夜の秋 福島茂 201205
旅に倦むことなく夜の秋となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
三井寺の鐘の音色も夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
夜の秋グラスはみ出すワインの香 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
通夜の座に侍るやりくり夜の秋 稻畑汀子 ホトトギス 201207
唇の近づいてくる夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
快晴の空近づけて夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201208
大会の余韻を引きぬ夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201208
なつかしみつつ書く弔辞夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201208
水音をいつか忘るる夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201208
光年てふ熟し光や夜の秋 能村研三 201209
黙考の筆先乾く夜の秋 頓所友枝 冬の金魚 201209
いろどりの豊かなサラダ夜の秋 坂上香菜 201210
夜の秋詩の道遠き本の嵩 佐藤喜仙 かさね 201210
遠来の子ら寝ねにつき夜の秋 松本周一 かさね 201210
会話ふと幼な日に触れ夜の秋 村上光子 馬醉木 201210
夜の秋いのちに淵といふがあり 辻美奈子 201210
頬杖は考へる杖夜の秋 千田敬 201210
夜の秋煮炊きの他は音持たず 久保東海司 201210
読みかへす筈の一書や夜の秋 西山浅彦 春燈 201210
自動ピアノの黒鍵ぴこと夜の秋 江草礼 春燈 201210
生くるとは我慢の続き夜の秋 原田小芝 春燈 201210
パイの皮ほろと零るる夜の秋 石田康明 春燈 201210
生き甲斐の一つに俳句夜の秋 小倉正穂 末黒野 201210
季寄せよりこゑ立ち上る夜の秋 林いづみ 風土 201210
舞台より見慣れたる京夜の秋 粟倉昌子 201211
夜の秋や鐘と読経の東山 粟倉昌子 201211
若狭湾沿岸けふの夜の秋 稲岡長 ホトトギス 201211
果実酒の並びて宝夜の秋 白澤よし子 馬醉木 201211
夜干しせる梅干匂ふ夜の秋 大橋伊佐子 末黒野 201211
雨音の止みし静寂や夜の秋 大橋伊佐子 末黒野 201211
寄り添へる浦曲の灯夜の秋 中野久雄 末黒野 201211
暫くの大き片袖夜の秋 中島陽華 201211
うたた寝のぺージ繰る風夜の秋 北川英子 201211
反古捨つる紙の音にも夜の秋 宮内とし子 201211
ぬひぐるみ抱いて寝る子や夜の秋 中山純子 万象 201211
待つといふひととき嬉し夜の秋 割田容子 春燈 201211
琴の音のとぼそもれ来る夜の秋 成田なな女 春燈 201211
かさかさと手紙書く音夜の秋 水谷直子 京鹿子 201211
遺墨手に夫を偲ばむ夜の秋 横山昭子 雨月 201211
額縁の歪み正して夜の秋 史あかり ぐろっけ 201211
送り来し干瓢ほぐす夜の秋 酒井秀郎 返り花 201211
老の艶見せて謡を夜の秋 酒井秀郎 返り花 201211
夜の秋いくたび過ぐる救急車 谷貝美世 末黒野 201211
暫の大き片袖夜の秋 中島陽華 201211
満天の星眼に馴れて夜の秋 久保東海司 201211
水際にみずが来ている夜の秋 木村和也 船団 201212
夜の秋ホテルのキーを受けとれば 今橋眞理子 ホトトギス 201212
柿の葉を鳴らす風かな夜の秋 丑久保勲 やぶれ傘 201212
礁打つ波音ひとつ夜の秋 玉田瑞穂 万象 201212
横貌の鯛が生簀に夜の秋 浜口高子 火星 201212
夜の秋の母のはなさぬ頭陀袋 山城孝子 火星 201212
夜の秋の樟脳匂ふ奥座敷 西畑敦子 火星 201212
境内の木々に風来る夜の秋 渡邊孝彦 やぶれ傘 201301
夜の秋抜け穴ひとつ部屋の隅 陽山 道子 船団 201301
湯上りに足の爪切る夜の秋 秋田直己 ぐろっけ 201302
これよりの札幌淋し夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
塩壺に塩を足しをり夜の秋 塩路隆子 201310
窓洩るる信濃追分夜の秋 藤見佳楠子 201310
ホテルの灯湖に鏤め夜の秋 伊東和子 201310
ハイタッチして入れ替る夜の秋 石脇みはる 201310
したたかや銘酒「三成」夜の秋 小局昭夫 春燈 201310
湯上りにオンザロックや夜の秋 丸山酔宵子 かさね 201310
寝ころんで『会津士魂』を夜の秋 塩田博久 風土 201310
夜の秋バックナンバー繙きて 内藤静 風土 201310
ふと夫に声かけてをり夜の秋 栗原公子 201310
眠る時男は孤独夜の秋 貝森光洋 六花 201310
隣室は越して行きたり夜の秋 小山陽子 やぶれ傘 201310
けふを閉め香聞く時間夜の秋 井上石動 あを 201310
声がして影が近づく夜の秋 西田史郎 201311
夜の秋酒に煩き友と居て 北尾章郎 201311
薬飲む白湯なみなみと夜の秋 阪本哲弘 201311
薄き風窓より入れて夜の秋 上野紫泉 京鹿子 201311
夜の秋の蝋涙溜まる観世音 近藤幸三郎 風土 201311
御積りの余韻味はふ夜の秋 生田高子 春燈 201311
買物のレシート綴る夜の秋 仁平則子 201311
手枕に浪音をきく夜の秋 中山純子 万象 201311
夜の秋の蘭鋳反り糞反り 城孝子 火星 201311
箱膳をはさみて座せる夜の秋 坂口夫佐子 火星 201311
夜の秋の松を流るる湯もみ唄 田中文治 火星 201311
嵐電の踏切渡る夜の秋 西村節子 火星 201311
ルーヴルの三頭六臂夜の秋 瀬川公馨 201311
まつすぐに歩いてゆけば夜の秋 岩下芳子 201311
夜の秋はらりと落ちし栞かな 藤生不二男 六花 201311
新刊の帯解きゐる夜の秋 平居澪子 六花 201311
点さるる銀の燭台夜の秋 間島あきら 風土 201311
ナプキンの禽の形に夜の秋 池内結 ろんど 201311
襟あしに風の来てゐる夜の秋 祐宗千代子 雨月 201311
風鐸の時折揺るる夜の秋 西村しげ子 雨月 201311
書を閉ぢてしばし瞑想夜の秋 宮平静子 雨月 201311
軍服の父の一葉夜の秋 齊藤眉山 末黒野 201312
ポケットの中の手泳ぐ夜の秋 古川忠利 ろんど 201312
生きざまは無造作でよし夜の秋 石脇みはる 201312
細筆のすべる墨色夜の秋 市橋香 ぐろっけ 201312
やがて風添ひ来るよりの夜の秋 井上浩一郎 ホトトギス 201401
彼が来てパントマイムの夜の秋 陽山道子 船団 201401
墨の香の散らばっている夜の秋 長沼佐智 船団 201401
碧眼と俳談弾む夜の秋 安田とし子 ぐろっけ 201402
肘高く真珠を外す夜の秋 栗原京子 201405
大仏の憂ひ顔なる夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
体調の戻りしと聞く夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201408
癒ゆる日の待たるることも夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201408
解きし帯にほのかな温み夜の秋 白井友梨 馬醉木 201409
氷片のグラスに当たる夜の秋 中田みなみ 201409
空白の日記埋めむ夜の秋 小澤莱美 201410
瞑目に始む笛の音夜の秋 能村研三 201410
投函はとなり村まで夜の秋 平由はつみ 馬醉木 201410
椅子一つ庭に置きある夜の秋 西岡啓子 春燈 201410
亡夫に酌む土産のワイン夜の秋 大橋伊佐子 末黒野 201411
夜の秋家路を急ぐ喪の帰り 吉田きみえ 末黒野 201411
夜の秋の岩牡蠣の汁白濁す 山本耀子 火星 201411
払子持つ僧の立ちたる夜の秋 中島陽華 201411
指で持つ鉛筆削り夜の秋 丑久保勲 やぶれ傘 201411
シュトラウスの野外演奏夜の秋 遠藤逍遙子 風土 201411
饒舌のやがて沈黙夜の秋 竪山道助 風土 201411
読みかけの書ばかり積みて夜の秋 久保晴子 雨月 201411
ことりとも音せぬ吾が家夜の秋 高橋照子 雨月 201411
夜の秋の寝ずの灯漏らす機長室 密門令子 雨月 201411
夜の秋の管制塔の影消えず 密門令子 雨月 201411
山裾の灯のひとつ夜の秋 上村富美子 雨月 201411
子と別るる上り下りに夜の秋芦屋 塩見英子 雨月 201411
マンドリン弾き手失ひ夜の秋 上林純子 ホトトギス 201412
夫先に帰つてをりし夜の秋 今橋眞理子 ホトトギス 201412
物書きの捗らぬまま夜の秋 赤川誓城 ホトトギス 201412
家の中もの音もなき夜の秋 今井千鶴子 ホトトギス 201412
フォレスタと「ふるさと」唄ふ夜の秋 菅澤陽子 春燈 201501
さよならを整へてゐる夜の秋 藤井杏愛 京鹿子 201501
原子炉のまはりの芥夜の秋 鴨下昭 201502
恵まれし家族の絆夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201507
夜の秋星と対話をしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
夜の秋ワイングラスは大き目に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
夜の秋億光年を近づけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
甕覗色の薩摩切子や夜の秋 鈴木静恵 花こぶし 201508
ひとの手のつめたき記憶夜の秋 木下夕爾 春燈 201508
あめつちほしそら山川夜の秋別いろは 山田六甲 六花 201508
夜の秋→ 7      

 

2016年8月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
16/09/05 2016年9月5日 2016年9月5日