夜の秋 1     100句

中年や独語おどろく夜の秋    西東三鬼

作品
作者
掲載誌
掲載年月
窓にくる翅音ひそかな夜の秋 山田弘子 春節 199503
雨降れば雨に深まる夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 199808
漁火の増えゆく早さ夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 199808
歩くことより身ほとりの夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 199808
眼もつとも夜の秋の砂紋かな 岡井省二 199808
筆ならず麻姑の手なりし夜の秋 岡井省二 199808
夜の秋やいまはの夫に諭さるる 密門令子 雨月 199810
死は生の完成と思ふ夜の秋 密門令子 雨月 199810
夜の秋の絵を照らすため傾く灯 宮津昭彦 199810
少年の瞳をして遺影夜の秋 川端和子 遠嶺 199811
新聞の記事を切り取る夜の秋 中嶋陽子 風土 199811
夜の秋仲見世通り茶を炒る香 岸恒雄 春耕 199811
混浴の岩風呂に入る夜の秋 松崎鉄之介 199811
引く波に調べありけり夜の秋 宮原正五郎 199811
湯加減を問はれ応へて夜の秋 岡本眸 199812
線一本引き違へたる夜の秋 川井政子 風土 199901
いちびりの後の静けさ夜の秋 朝日彩湖 船団 199902
夜の秋天使が喇叭の手入れして 津田このみ 船団 199903
ポケットに影武者のゐて夜の秋 秋山深雪 船団 199903
夜の秋や真珠にひそむ音のあり 神蔵器 199905
千五百メートルの空夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 199908
五分搗の明日の米とぐ夜の秋 木下節子 俳句通信 199909
塗下駄のちりぬるをわか夜の秋 小澤克己 遠嶺 199910
鳥海山ちょうかいの五合目に灯や夜の秋 宮津昭彦 199910
話し声見えゐて夜の秋となる 村越化石 199910
夜の秋手酌の傾ぎ深くせり 頓所友枝 199910
香合に伽羅を加へて夜の秋 頓所友枝 199910
伊予人の誰も祖母似や夜の秋 小泉洋一 円虹 199910
別館へ短かき山路夜の秋 柴原保佳 円虹 199911
地に還る塚の宝よ夜の秋 金澤明子 火星 199911
某日を二行に記す夜の秋 亀丸公俊 銀化 199911
膝に置く五指つくづくと夜の秋 萩原記代 199911
夜の秋とろ火に掛けて小海老など 能村登四郎 芒種 199911
灯ともせばわが部屋となる夜の秋 武井清子 199912
夜の秋ざつくばらんに人は灯り 坂本敏子 京鹿子 199912
目薬はいはば気休め夜の秋 池田優 船団 199912
コクトーの一筆書きや夜の秋 津田このみ 月ひとしずく 199912
雨戸くる隣の家や夜の秋 中村七三郎 七三郎句集 200001
老境や愛にひとすじ夜の秋は 北岡草雨 海程 200001
老いはじむピアノぽつりと夜の秋 中尾廣美 ぐろっけ 200001
夜の秋すこし混みゐる寄席の前 田中藤穂 水瓶座 200002
チェリストの白髪うねる夜の秋 辻享子 ヒッポ千番地 200003
夜の秋グラスのなかに銀河系 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
留金をはずしてはかけて夜の秋 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
彼方では羽音ざわめく夜の秋 三宅やよい 玩具帳 200004
お人柄偲ぶ心に夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200007
計画は疎にまた密に夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200008
読む本の増えてをりけり夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200008
ワープロはわが分身や夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200008
月蝕を見に城山の夜の秋 朝妻力 俳句通信 200008
ヒトでないものも生まれて夜の秋 星野早苗 船団 200008
夜の秋の能くれなゐに乱舞せり 吉野のぶ子 八重櫻 200008
炎に泛ぶ狂言師なり夜の秋 中島陽華 200010
真四角にメモたたまれて夜の秋 中原幸子 遠くの山 200010
不肖なり夜の秋より習ひごと 中原道夫 銀化 200010
濃紺のスーツ着て出む夜の秋 林翔 200010
電話口で礼してをりぬ夜の秋 能村研三 200010
別れとは音消ゆること夜の秋 甲州千草 200010
あがり湯の熱きを浴びて夜の秋 上林孝子 200010
夜の秋永田耕衣に鯰の句 大東二三枝 200011
竹箸を揃へてありし夜の秋 雨村敏子 200011
一笛にシテの出を待つ夜の秋 中村洋子 風土 200011
もの書けば墨のかすれる夜の秋 佐藤康子 遠嶺 200011
生れし日の新聞を読む夜の秋 武井清子 200011
たくましきラテン弾く指夜の秋 辻前冨美枝 200011
絵蝋燭のかすかに揺るる夜の秋 信崎和葉 六花 200011
夜の秋口ックンローラー白髪に 信崎和葉 六花 200011
夜の秋の何するとなき畳かな 伊関美智子 200011
素踊の残心鎮め夜の秋 福盛悦子 雨月 200012
ある句意の解けずじまひの夜の秋 杉本艸舟 200101
夜の秋へひかる耳輪をはずしけり 斎藤白砂 海程 200101
夜の秋ガラスの靴の似合ふはず 柿原からす 船団 200101
夜の秋のモロヘイヤに髭ありにけり 岡和絵 火星 200102
雨あとの素顔並びし夜の秋 岡和絵 火星 200102
散骨の耳あそばせて夜の秋 小室澄江 京鹿子 200103
死ぬのかと病夫のつぶやく夜の秋 間島道子 京鹿子 200103
子規描く千枚通し夜の秋 星野早苗 船団 200106
新しき句帳に一句夜の秋 稲畑汀子 ホトトギス 200107
月食を待ちかねる子や夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 200107
虚子館の俳磚工事夜の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 200108
何も言はず妻倚り坐る夜の秋 能村登四郎 200108
妻死後を覚えし寝覚夜の秋 能村登四郎 200108
夜の秋いづれの星の風とどく 神蔵器 風土 200109
はんざきのまんまる沈む夜の秋 城孝子 火星 200109
年甲斐もなくて水占夜の秋 石原勢津子 雨月 200109
まほろばの墨擦つてみる夜の秋 朝妻力 俳句通信 200109
夜の秋のせがまれて読む千一夜 春田淳子 俳句通信 200109
会はざりし月日を想ふ夜の秋 山本涼 銀化 200109
指添へてブルーのカクテル夜の秋 篠田純子 あを 200109
元気かと犬に声かけ夜の秋 橋本榮治 馬醉木 200110
笹の葉の縮れて吹かる夜の秋 岡和絵 火星 200110
夜の秋庭の明りを消さずおく 北吉裕子 俳句通信 200110
突堤に釣人ならぶ夜の秋 志水千代子 俳句通信 200110
漁火の数増してきし夜の秋 市幸子 春耕 200110
水槽のビー玉光る夜の秋 谷村幸子 200110
三鬼の句しみじみ読まむ夜の秋 熊岡俊子 雨月 200110
障子開けそこは端近夜の秋 芝尚子 あを 200110
夜の秋のいのち抱きて寝まるなり 能村登四郎 羽化 200110
一言に一言応へ夜の秋 泉田秋硯 200111
老い猫の音もなく寄る夜の秋 福永みち子 馬醉木 200111
夜の秋2→      

 

2021年8月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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