山眠る 5       200句

万歩計三万五千山眠る   橘澄男   転生

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山眠る寝息のごとく風の音 中山静枝 201301
隠り沼も中原も知り山眠る 鈴鹿けい子 京鹿子 201301
忘れぬやう小枝を折りし山眠る 大日向幸江 あを 201301
有馬皇子の悲運伝ふる山眠り 山口キミコ 201302
やはらかく添ふ雲信じ山眠る 高橋あさの 201302
円空仏数多を裾に山眠る 藤原照子 201302
東山眠る裾廻の陶器市 南奉栄蓮 風土 201302
崩落のままに早くも山眠る 丸井巴水 京鹿子 201302
錦絵のまま山眠る奥ニセコ 園部早智子 ろんど 201302
湯けむりに落つる夕陽や山眠る 丸山酔宵子 かさね 201302
山眠る山を離るるほどにかな 森田尚宏 201302
飯盒は夫の青春山眠る 柴田志津子 201302
色のなき木地師街道山眠る 池田加寿子 201303
山眠る裾野の広き父母の里 遠田澄子 馬醉木 201303
風の音遠ざけてより山眠る 豊田都峰 京鹿子 201303
山眠り猫に丸みの加はりぬ 林昭太郎 201303
父祖よりの檜太らせ山眠る 楠原幹子 201303
マラソンのしんがり送り山眠る 羽根嘉津 201303
山眠る潮満つる音懐に 松本三千夫 末黒野 201303
天蓋の形に白雲山眠る 新堀満寿美 末黒野 201303
些かの葉音も立てず山眠る 新堀満寿美 末黒野 201303
山眠る忽と消えたる八百戸 山路紀子 風土 201303
山眠る尻にポケット壜の酒 根橋宏次 やぶれ傘 201303
ふところに木魚の響山眠る 秋葉貞子 やぶれ傘 201303
沢水の流れ細かり山眠る 井上石動 あを 201303
罠かけて来たり返り見山眠る 定梶じょう あを 201303
山眠り星座いきいき巡りだす 林昭太郎 201303
唐詩選うろ覚えなり山眠る 大越義雄 201304
樹にこだま句碑にことだま山眠る 中村嚢介 ホトトギス 201304
大いなる気を吐きだして山眠る 本多俊子 201304
鯨供養の塚を抱きて山眠る 浜福惠 風土 201304
携帯に撮る彩雲や山眠り 橋場美篶 末黒野 201304
鎮もれる木霊抱きて山眠る 佐藤淑子 201304
山眠る老人ひとり道に出て 長節子 201305
笹子餅頬ばる媼山眠る 瀧春一 花石榴 201312
山眠る前に吐息のごときもの 菊川俊朗 201401
即身仏守りて越の山眠る 碇天牛 雨月 201402
僧堂の広き縁側山眠る 多田文子 201402
千体地蔵赤帽かむり山眠る 山田春生 万象 201402
陶窯の火を懐に山眠る 齋部千里 ぐろっけ 201402
山眠るみ佛長き耳をもち 山本耀子 火星 201402
膝痛し登ることなき山眠る 竹内悦子 201402
忘却の彼方をたぐり山眠る 沼田桂子 春燈 201402
無言舘包みて四方の山眠る 頓所友枝 201402
み仏にともす一灯山眠る 小倉陶女 春燈 201402
税務署を出づる真っ向山眠り 定梶じょう あを 201402
大津絵のへうたんなまづ山眠る 久保久子 湖心 201402
ハーケンを負ひしままなる山眠る 甕秀麿 201403
日本一短い名の街山眠る 波戸辺のばら 201403
山眠るこけしの里の囲炉裏端 布施まさ子 風土 201403
山眠る駅の大きな掛時計 町上杳 201403
山眠る日々が知足の暮らしなり 佐藤喜仙 かさね 201403
山眠る病舎の窓のおだやかに 滝澤圭子 雨月 201403
子等のゐぬ公園抱き山眠る 松嶋一洋 201403
鉋屑にうもれたき日や山眠る 齋藤厚子 201403
牛の横顔山羊の横顔山眠る 火箱ひろ 201403
霜交むさまの露はに山眠る 柳本渓光 ろんど 201403
騒騒と馬の尻尾や山眠る 笹村恵美子 201403
淡彩に暮れゆく空や山眠る 安立公彦 春燈 201403
登山道白く明らか山眠る 河村啓花 ろんど 201403
こんもりと黒くわりんたう山眠る 大川ゆかり 201403
盗難の仏杳とし山眠る 阪本哲弘 201404
白樺の白を墓標に山眠る 橋本知笑 201404
山眠る小川は音をあらはにす 堺昌子 末黒野 201404
山眠る如く媼は黄泉に逝く 渡辺安酔 201404
山眠る夜のともしびは谷戸の里 有賀昌子 やぶれ傘 201404
山眠る麓アクセル踏んでをり 加古みちよ 火星 201404
満天の星降るごとし山眠る 加藤静江 末黒野 201404
胎動を深く鎮めて山眠る 川上久美 末黒野 201404
長き長き貨車を通して山眠る 織田高暢 201406
山眠る谷の水のむ喉仏 渡辺安酔 201405
山眠る裾身寄りなき陶工墓 吉武千束 太古のこゑ 201411
山眠る句碑分骨のごときあり 吉武千束 太古のこゑ 201411
携帯に撮る彩雲や山眠り 橋場美篶 末黒野 201304
山眠る六甲颪放ちつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201412
山眠る高倉健の姿かな 王岩 あを 201412
麓より道巻きつけて山眠る 柴田佐知子 201501
麓より道巻きつけて山眠る 柴田佐知子 201501
財布より出でし熊胆山眠る 山尾玉藻 火星 201501
山眠り標本室に蝶眠る 杉浦典子 火星 201501
古里は海から暮れて山眠る 藤井杏愛 京鹿子 201501
山眠るパステルの彩使ひきり 上田由姫子 京鹿子 201501
古民家の二十三棟山眠る 石田康明 春燈 201502
何処までのけふや朝や山眠る 矢崎すみ子 201502
動脈のやうな伏流山眠る 小松誠一 201502
山眠る山なりに行く夜行バス 中山静枝 201502
湯煙を豊かに吐きて山眠る 平田はつみ 馬醉木 201502
懐に人ごゑを容れ山眠る 安立公彦 春燈 201502
山眠り全室灯る湯宿かな 竹内悦子 201502
永遠がひよいと顔出し山眠る 菊谷潔 六花 201503
落葉踏む音しんとして山眠る 菊谷潔 六花 201503
生くるものに真水を流し山眠る 福田周草 風土 201503
只白く唯黒く山眠りけり 小林輝子 風土 201503
山眠る指笛に犬帰り来る 岸上道也 京鹿子 201503
猟銃を静かに諌め山眠る 甕秀磨 201503
山眠る糠床眠る猫眠る 火箱ひろ 201503
山眠るそつと静かにしてようね 村田岳洋 ろんど 201503
堪ふる事美徳なりしか山眠る 竹田ひろ子 ろんど 201503
仏弟子のいのちを奪ひ山眠る 福島せいぎ 万象 201503
懐にけむり一筋山眠る 中野久雄 末黒野 201503
モーツアルト聞かす果熟庫山眠る 鈴木庸子 風土 201503
銭洗ふ鎌倉の山眠りゐて 井口ふみ緒 風土 201503
山眠る磴百段の奥の院 沼崎千枝 末黒野 201503
山眠る民話の狐よくしやべり 柴田佐知子 201503
狛大を麓に掛据ゑて山眠る 峰幸子 末黒野 201503
眠る山眠らぬ山も信濃晴 矢崎すみ子 201503
むらさきに変りて遠き山眠る 武政礼子 雨月 201503
横顔の太宰治や山眠る 今瀬一博 201503
山眠る鳥の声など飲み込んで 大谷茂樹 京鹿子 201504
衿合はすかたち連山眠りをり 江澤弘子 201504
不夜城の神戸を抱きて山眠る 橋本知笑 201504
雲くれば影を流して山眠る 田中とし江 201504
ひと寄れば改憲論も山眠る 土屋草子 ろんど 201504
林道を鎖で閉ざし山眠る 生田作 風土 201504
山眠る渓の水音の小守唄 中島讃良 ろんど 201504
山眠るふもとの村の灯を抱きて 西村敏子 201504
山眠る民話の里の児童館 菊池洋子 やぶれ傘 201504
ふるさとはいよよ空き家に山眠る 山本とく江 万象 201504
石舞台ぽつねんとあり山眠る 入山繁幸 万象 201504
アウトドア仕様のかかと山眠る 藤井なお子 船団 201505
山眠る峡の寒村かき抱き 内藤呈念 ホトトギス 201505
子落し崖海に突き立て山眠る 荒井千佐代 201505
月光の影絵となりて山眠る 寺田すず江 明日葉 201505
山眠る虚飾の殻を脱ぎ捨てて 岩月優美子 グピドの瞳 201506
ポスターの大正美人山眠る 吉田葎 201506

 悼 櫻桃子前主宰

松籟のなべて挽歌や山眠る

白神知恵子 女坂 201508
山眠る標高少し低くして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
眠る山眠らぬ星に見下され 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
山眠る嬥歌の跡の碑がひとつ 内藤静 風土 201512
山眠る雲のララバイ聞きながら 大木清美子 201601
天狗岩どつかり据ゑて山眠る 森藤千鶴 馬醉木 201602
懐に祠かい抱き山眠る 根岸善行 風土 201602
ふるさとの入江抱きて山眠る 高橋まき子 風土 201602
樹の中に空を収めて山眠る 藤岡紫水 京鹿子 201602
狼を探し疲れて山眠る 大木清美子 201602
川風の芯に湯の香や山眠る 深澤厚子 馬醉木 201603
山眠る人魂いだき核抱き 中山皓雪 201603
山眠る虹の褥を引き寄せて 高村令子 風土 201603
秩父路はごろ寝のやうに山眠る 廣瀬雅男 やぶれ傘 201603
なだらかに低く上総の山眠る 鈴木礼子 末黒野 201603
温泉の湯気をゆたかに山眠る 矢口笑子 春燈 201604
山頂の雪遊ばせて山眠る 重田修 末黒野 201604
縄文の遺跡抱きて山眠る 阿部重夫 末黒野 201604
銅鏡の裏の神獣山眠る 深川淑枝 201604
湧水の真面目な水輪山眠る 原友子 201604
試し撞く鐘懐に山眠る 竹内喜代子 雨月 201604
山眠る兵士の墓に愛馬の碑 村上和義 万象 201605
山眠るいちぶしじゆうを懐に 亀井福恵 京鹿子 201605
密教寺懐に抱き山眠る 吉永すみれ 風土 201610
一年の過ぎゆく早さ山眠る 稲畑汀子 ホトトギス 201612
ふるさとに帰る御霊や山眠る 荒井ハルエ 春燈 201612
鮮血を浴びて故郷の山眠る 宇都宮哲 船団 201612
山眠る配電盤の大理石 中林明美 船団 201612
連なりて重なり合うて山眠る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
修験者に残る鎖場山眠る 森藤千鶴 馬醉木 201701
山ねむる宿の時計が低く鳴る 長憲一 201206
おほぶりの芋汁の椀山ねむる 山本耀子 火星 201302
チーズフォンデュは食べなかつたの山ねむる おーたえつこ 201403
太陽をあたたかく被て山ねむる 中村房子 馬醉木 201603
湧水の真面目な水輪山眠る 原友子 201604
銅鏡の裏の神獣山眠る 深川淑枝 201604
山頂の雪遊ばせて山眠る 重田修 末黒野 201604
縄文の遺跡抱きて山眠る 阿部重夫 末黒野 201604
眠る山射し込む日矢に目覚めけり 松本秀子 201604
眠りたき綿虫山に消えにけり 安野眞澄 201604
温泉の湯気をゆたかに山眠る 矢口笑子 春燈 201604
試し撞く鐘懐に山眠る 竹内喜代子 雨月 201604
山眠るいちぶしじゆうを懐に 亀井福恵 京鹿子 201605
山眠る兵士の墓に愛馬の碑 村上和義 万象 201605
うぐひすの遊ぶ里山父母眠る 岡山敦子 京鹿子 201608
乳足りし赤児の眠り山したたる 北川孝子 京鹿子 201609
密教寺懐に抱き山眠る 吉永すみれ 風土 201610
山の寺守宮を見つつ眠る夜 大日向幸江 あを 201611
山眠る配電盤の大理石 中林明美 船団 201612
山小屋の氷柱は太り良く眠る 後藤雅文 船団 201612
ふるさとに帰る御霊や山眠る 荒井ハルエ 春燈 201612
一年の過ぎゆく早さ山眠る 稲畑汀子 ホトトギス 201612
鮮血を浴びて故郷の山眠る 宇都宮哲 船団 201612
満山の仏眠れる虫しぐれ 森藤千鶴 馬醉木 201612
一灯を継ぎし鵜家や山眠る 阿部眞佐朗 201701
鵜様待つ眉丈の水や山眠る 千田百里 201701
修験者に残る鎖場山眠る 森藤千鶴 馬醉木 201701
連なりて重なり合うて山眠る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
コントラバスの重低音や山眠る 内山花葉 201702
山眠り返ってこない谺かな 高橋将夫 201702
山眠る前に伸びする朝かな 柳川晋 201702
考の骨真つ白なりし山眠る 岩田洋子 201702
最終のケーブル発ちて山眠る 西村将昭 201702
山眠るホームの長き無人駅 中江月鈴子 201702
山眠るその懐の陽に坐せり 松本鷹根 京鹿子 201702
洋傘自由にお使ひください山眠る 中江月鈴子 201702
眠る山映せし沼も深ねむり 小川田鶴子 馬醉木 201702
山眠る美しき姿や吾もまた 中貞子 201702
縄文の窯跡いだき山眠る 榎本秀治 201702
引売りの明るき声や山眠る 太田慶子 春燈 201702
地に落つる物皆抱き山眠る 深川敏子 春燈 201702
さみしさのかたまりとなり山眠る 祐宗千代子 雨月 201702
洞いくつ獣抱きて山眠る 岩下芳子 201703
開くたびきしむ裏木戸山眠る 柴田佐知子 201703
画家の妻逝く小虎魁夷の山眠る 能村研三 201703
粧ひを麓にまかせ山眠る 塚越弥栄子 末黒野 201703
山眠る→ 6

 

2021年1月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。