山女(他季を含む) 1      100句

山女魚棲む水を唇つけて飲む    杉本安紀子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雪代の山女に熱き酒を注ぐ 陣野今日子 風土 199808
毛針喰い裂かれて焼かれて塩山女 小倉喜郎 船団 199811
蛾に跳ぬる淵の山女魚や日暮どき 野原春醪 馬醉木 199902
三月の欝へ山女を抜きあげよ 松林尚志 199905
段々の山女魚の槽の良夜かな 山尾玉藻 火星 199910
山女釣一瞬ひるむ心臓弁 土肥屯蕪里 俳句通信 200006
靄の濃き神話の谿の山女釣 阿久津渓音子 春耕 200009
いくたびも手を洗ひたり山女魚釣 深澤鱶 火星 200010
山女焼くとは大方は塩を焼く 後藤立夫 ホトトギス 200011
山女魚跳ねて雨の尼寺まできて 白井重之 海程 200011
甘露煮の山女届けり大晦日 竹部千代 200103
釣り落す雪代山女まぶしめり 神蔵器 風土 200105
日永なる山女の槽と烏骨鶏 奥田節子 火星 200106
用瀬もちがせの春の山女とあそびけり 奥田節子 火星 200106
山女千、千の山女に春の影 野澤あき 火星 200106
水くぐり木の葉山女となりにけり 小川真理子 銀化 200111
釣られたる紅葉山女に日照雨かな 佐野まさる 百鳥 200112
落ちさうな岩の下ゆき山女釣 津村美和 200201
磐石を支ふるごとく山女釣 鷹羽狩行 200207
水透けて山女一閃朱を曳ける 丸尾和子 雨月 200208
武蔵酒南無三手掴み山女焼く 禰寝瓶史 京鹿子 200208
前山は桐のかぶさる山女酒 伊藤多恵子 火星 200209
堰落つる水に跳ねゐる山女かな 長山野菊 雲の峰 200209
谿風と瀬音と山女魚籠に入れ 湯浅夏以 遠嶺 200209
赴任地め山女クラブに入会す 高野良 帆船 200209
駅長に声掛けてゆく山女釣 山田美恵子 火星 200210
大山女金砂子噴く湧水に 中山砂光子 200302
山女の子一尾おどろきみな散りぬ 南うみを 風土 200305
清流に見えてゐる影山女かな 稲畑汀子 ホトトギス 200305
山女焼き山菜摘みて山の宿 稲畑汀子 ホトトギス 200305
山女焼きくれし峡宿訪ふことに 稲畑汀子 ホトトギス 200305
杣人の手捕る雪代山女かな 須佐薫子 帆船 200306
山彦の落ちゆく先や山女川 宇都宮滴水 京鹿子 200306
山女追ふどろばう釣の影伏せて 神蔵器 風土 200308
清流のしたたる山女魚届きけり 小野さとし 対岸 200308
木漏日の日の斑に跳ぬる山女魚かな 江頭文子 雨月 200308
山女釣りいつしか空の狭くなり 岡野俊治 遠嶺 200309
産見舞山女の魚籠をぶら下げて 影山わこ 百鳥 200309
岩に朱の斑ありけり山女釣 黒田咲子 200310
山女焼く門前町のそば処 松本文一郎 六花 200310
昨夜雨に足場とられつ山女釣り 梅原幸子 遠嶺 200408
横ざまに食らふ山女の焼きざまし 伊藤白潮 200408
山女焼く明日窯入れの土器並べ 村田美穂子 百鳥 200408
山女釣る男に瀧の屏風立ち 今瀬剛一 対岸 200409
大股に流水を踏み山女釣り 今瀬剛一 対岸 200409
顎紐に風の力や山女釣 奥田筆子 京鹿子 200409
山女釣る瀬音に声の掻き消され 白井剛夫 200410
飼はれをる山女背黒でそろひをり 山本とみを 200410
笹しきて魚籠の山女魚を並べ見す 安宅弘子 百鳥 200410
山女跳ね峡の日射しを散らしけり 横森みゆき 雲の峰 200411
秋の蜂ねぶる山女の串の先 大坪景章 万象 200412
奥大井山女の水の透きとほる 栗下廣子 万象 200501
五平餅伊那の荒瀬の山女そへ 江崎成則 栴檀 200502
花びらの散りこむ夜の山女槽 山尾玉藻 火星 200505
春立つや山女を放つ千曲川 中條今日子 万象 200505
二の膳に姿焼きなる山女乗る 岩崎靖子 200508
山里の山女焼きたて頬ばれる 米林外喜子 築港 200508
鵜の嘴に山女がひかりちるさくら 瀧春一 菜園 200509
瀬に立ちて山女を串に刺す漢 瀧春一 菜園 200509
夕燒の赤き山女を岩にならべ 瀧春一 菜園 200509
碁も打たず山女も釣らず日暮れたり 淵脇護 河鹿 200510
滝開山女放流てふ行事 松尾緑富 ホトトギス 200511
花の咲くごとき瀬しぶき山女釣る 磯崎兼久 200511
焼くほどに山女の尾鰭はね上がる 海野みち子 万象 200601
笹の葉に真水ふくます山女籠 樋口英子 200610
葛の花こぼれて散るや山女の子 南うみを 風土 200612

 悼飯田龍太先生

山攻めて雪代山女釣りに出づ

神蔵器 風土 200704
やまべ釣來て糞船の今日あらず 瀧春一 200706
夕映えや雪代山女提げて来し 橋本良子 遠嶺 200706
初物の山女と並ぶ蕗の薹 笹原紀世子 200706
生きいきと山女の泳ぐ呂律茶屋 林日圓 京鹿子 200708
三食に山女欠かさず山の宿 大坪景章 万象 200710
山女焼く山女の川に星映り 戸栗末廣 火星 200711
ぬめりごと手にあてがはれ秋山女 戸田和子 200712
釣りあげて山女三枚即おろす 吉村昭雄 八千草 200801
塩焼の天魚山女と辛地酒 小林正史 200807
あかあかと炭火を煽り山女焼く 中村悦子 200808
魚籠腰に竿で空打つ山女釣り 有元文子 風土 200809
平家谷瀬音に木葉山女錆ぶ 木下ふみ子 馬醉木 200902
山宿の早き夕餉の焼山女 稲畑汀子 ホトトギス 200905
山女かと問うて箸とる峡の宿 稲畑汀子 ホトトギス 200905
釣れしかと山女かと皆魚籠覗く 稲畑汀子 ホトトギス 200905
火を熾す役目大事や山女釣 山本耀子 火星 200908
夕餉にと釣果の山女届いてゐ 赤座典子 あを 200908
光琳の斑を連ねたる山女魚かな 栗田武三 ぐろっけ 200909
透きとほる流木の火に山女魚焼く 栗田武三 ぐろっけ 200909
九頭竜の奇岩踏ん張り山女釣る 田勝子 万象 200911
山女魚に斑神還り来し渓声に 高瀬史 馬醉木 201002
石で焼く山女に味噌の芳しき 山田六甲 六花 201006
焼きたての雪代山女魚湯気香る 上田玲子 201105
峡宿の山女の膳に揃ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201106
雪代の浅瀬に群るる山女の子 松田富夫 万象選集 201205
山女釣炭焼小屋をのぞき行く 山形悦子 万象 201207
峠茶屋山女焼く串突き立てる 廣瀬雅男 やぶれ傘 201210
朽木くべ山女飯炊く岩場かな 中島玉五郎 201307
秋の川木の葉山女のゐるやうな 有賀昌子 やぶれ傘 201312
湧水の靄生む寒さ山女魚飼ふ 西村梛子 馬醉木 201403
見せくれし魚籠の雪代山女かな 大崎紀夫 やぶれ傘 201405
大粒の雨が山女の斑を逃す 小林和子 風土 201409
山女 →2      

 

2023年6月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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