侘助(わびすけ) 2         176句

侘助や障子の内の話し声    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
沢庵和尚の植ゑし佗助葭簀張り 太田絵津子 200611
この有楽侘助といふ思ひ出も 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
白佗助葬儀戒名無用とや 北川英子 200702
侘助を一輪挿して厠かな 須賀敏子 あを 200702
佗助の蕾はあをし惜命忌 上柿照代 馬醉木 200703
佗助の白に足音とられけり 大山里 200703
佗助の一花こぼれてテレビ絶つ 千田敬 200703
佗助の横向き忍び返しかな 森田節子 風土 200703
佗助や遺すものさて墨を磨る 井山佐多 京鹿子 200703
佗助や灯火に小さき金の護符 横松しげる 遠嶺 200703
庭手入れのボランティアに佗助咲く 松崎鉄之介 200703
群れ咲ける紅佗助に鵯も来る 松崎鉄之介 200703
佗助咲き添水しつらふ玄関先 松崎鉄之介 200703
佗助や点前に正す膝頭 奥井敏彦 200704
わびすけや人生後半よろしくて 鳥羽夕摩 京鹿子 200704
佗助の白や夕闇にじみつつ 坪井洋子 200704
力石置かるる宮に佗助咲く 廣畑育子 200705
白佗助その名控え目太郎冠者 桑原泰子 八千草 200707
佗助を手にとりほめてやりにけり ことり 六花 200712
侘助に思ひ出の席あらたまる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
佗助の真赤に染める玻璃戸かな 中山静枝 200802
佗助や父の重たき黒鞄 田中藤穂 あを 200802
侘助や元旅籠屋の門構 山本漾子 雨月 200803
鳥影のすぎゆく路地に佗助咲く 松崎鉄之介 200803
佗助の口籠るごと咲きにけり 松崎鉄之介 200803
佗助や井伊家女人の墓並ぶ 菊池由惠 酸漿 200803
詠み捨てにして佗助の五万石 神蔵器 風土 200804
佗助や母亡き家の鍵ふたつ 天谷翔子 火星 200804
赤と白の侘助咲かす路地の家 松崎鉄之介 200804
侘助の咲き通しつつ去年今年 岸野美知子 酸漿 200804
侘助や落花のままの休診日 瀬島洒望   200804
佗助や部門好みの貴人床 大竹淑子 風土 200805
佗助や衣桁にかけて能衣裳 落合絹代 風土 200805
侘助の伏目がちなる明日かな 直江裕子 京鹿子 200805
侘助の白の眩しき目覚めかな 福盛悦子 雨月 200811
彼偲ぶ有楽佗助五合瓶 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
侘助といふしたたかな紅であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
侘助の一輪挿にある憂ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
侘助に黄金の茶室鎮もれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
侘助や我に入るべき墓のあり 遠藤和彦 彩雲 200901
わびすけに歩を返したるひとりかな 佐藤喜孝 あを 200901
侘助や看取り看取られ凡夫婦 石本秋翠 馬醉木 200902
佗助のひとつ咲かせてふたつ落つ 小林朱夏 200902
佗助のいつよりか吾が好む白 水原春郎 馬醉木 200903
侘助や仕立直しし母の衣 花島陽子 遠嶺 200903
佗助やわれと吾が祝ぐ誕生日 折橋綾子 200904
利休忌や白佗助のおちよぼ咲き 神蔵器 風土 200904
佗助や大釜脇に湯巫女立つ 山路紀子 風土 200904
直弼の墓地に佗助花敷けり 石井邦子 酸漿 200904
佗助や俄かに夕空濡れてくる 本多俊子 200905
佗助や言はですむこと止めおく 舩越美喜 春燈 200905
白侘助茶店で食ぶる餡もなか 佐方敏明 ぐろっけ 200905
佗助や夕ベしづもる石の庭 佐藤喜仙 壁炉 200911
坪庭に侘助椿神楽坂 須賀敏子 あを 201001
佗助の無垢の日数や炉を開く 諸岡孝子 春燈 201002
佗助の一が咲いて片ゑくぼ 神蔵器 風土 201002
侘助の開ききらざる白さかな 岡淑子 雨月 201002
侘助や庭の手入の済みしあと 島崎勇作 酸奬 201002
侘助や研ぎすまされし朝の海 林友次郎 遠嶺 201003
侘助の咲けば桂郎ここに居る 小野寺節子 風土 201003
侘助の白き小花の咲きそろふ 阿部ひろし 酸漿 201003
侘助の路地を抜けたる日和下駄 橋本良子 遠嶺 201004
佗助の白暮れ残る屋敷門 國保八江 やぶれ傘 201004
佗助や祖父の眼差し背に負ひ 藤沢秀永 201004
侘助や更さらとある火伏紙 佐藤凉宇子 ろんど 201004
佗助のつつましく咲き寅の年 堀口香代子 ぐろっけ 201004
侘助の葉陰に開き初めしかな 筒井八重子 六花 201004
佗助に母の面影重ねけり 劔持和子 酸漿 201004
佗助の思ひ深くて亡き友を 池田倶子 雨月 201005
侘助やぐい呑一つ形見とて 神蔵器 風土 201101
侘助や来世現世の見へぬまま 森理和 あを 201101
佗助を挿して耕二忌修しけり 根岸善雄 馬醉木 201102
佗助の耳そばだてる私語 赤座典子 あを 201102
亡きひとの白侘助や筒咲きに 神蔵器 風土 201103
侘助の白もて茶祖の墓にかな 古田考鵬 雨月 201103
侘助の寄り添ふ作り水車かな 西垣順子 201104
一汁一菜佗助一輪咲きました 佐藤凉字子 ろんど 201104
侘助や程良き絆ありてなほ 土居通子 ろんど 201104
虚子愛でし侘助咲きて我等かな 江木紀子 雨月 201104
大地震の後まで侘助咲き残る 阿部ひろし 酸漿 201105
侘助の一木のみに寂深め 大橋晄 雨月 201105
侘助や鳥横むきに逆さまに 杉本綾 201106
松本の松田一向白侘助 森理和 あを 201112
侘助や夫の靴見え床屋さん 森理和 あを 201201
侘助の仲間入りして花の壺 大橋敦子 雨月 201203
雨騒ぐ侘助の花落ちるとき 笠井清佑 201204
侘助の花に屈めば海の音 田村すゝむ 風土 201204
侘助を齢の順の上座にて 北尾章郎 201205
侘助やしぼりと紅の競ひ咲き 服部珠子 雨月 201205
侘助や歯を削る音洩れ来たる 丑久保勲 やぶれ傘 201205
侘助や蜻蛉の形の釘隠 瀬島洒望 やぶれ傘 201303
侘助に隠れて幼もういいよ 中澤弘 春燈 201304
佗助のひと枝花器に句会かな 辻知代子 201401
侘助へ朝の日差しの束の間に 渡邊孝彦 やぶれ傘 201402
侘助のことしよく咲き夫あらず 中嶋昌子 春燈 201403
さなきだに括られて侘助の侘び 大橋晄 雨月 201404
佗助の坪庭早も日暮れけり 岡 久美子 201404
侘助の一輪の紅春を待つ 安立公彦 春燈 201404
佗助を活けて素食の夕餉かな 妹尾貞雪 春燈 201405
侘助に呼ばれたやうな夕まぐれ 直江裕子 京鹿子 201405
侘助やオリンピアンの何処なる 瀬川公馨 201405
佗助や言はずに思ふことの増ゆ 直江裕子 京鹿子 201407
侘助や速急カーブはきのふまで 森理和 あを 201501
おのが蕊の黄によごれゐて侘助は 窪田佳津子 雨月 201503
佗助や家を囲みて土竜道 亀卦川萄枝 末黒野 201503
佇みて佗助よりも人しづか 中島悠美子 京鹿子 201504
佗助や語尾やはらかき和紙の里 あさなが捷 201504
佗助や眸のみ父似の子が四人 竪山道助 風土 201504
佗助や山門不幸の椿寺 稲田和子 201504
佗助の人のふり向く方に向く 内海良太 万象 201504
侘助の落ち行く先や潦 内田梢 末黒野 201505
侘助や老いたる母に言ひ返し 天谷翔子 201506
侘助や老いたる母に言ひ返し 天谷翔子 201506
侘助や葉先に光る日の雫 鈴木静恵 花こぶし 201508
侘助の咲いて狭庭に色生るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
一輪の侘助に座の畏まる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
侘助に茶室の空気改る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
侘助の一輪湯気に揺れ初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
紺侘助一輪挿して気を充たす 齋藤晴夫 春燈 201602
侘助やここより人の往来なく 稲畑汀子 ホトトギス 201602
侘助の一つが咲いて片ゑくぼ 神蔵器 風土 201602
侘助や箱階段の小暗がり 渡辺やや 風土 201602
侘助や空は哀しきまでに澄み 犬塚李里子 201602
喪の家に佗助椿咲きをりぬ 黒澤登美枝 201602
シャボン買ふ侘助の花終る頃 風間史子 201603
侘助の盛りを白州次郎邸 加藤峰子 201603
侘助の路地をぬけきて光悦寺 秋山信行 やぶれ傘 201604
侘助の一輪釜のたぎりそむ 樺山翠 雨月 201604
母遺愛の有楽斎てふ白侘助 塩見治郎 雨月 201604
侘助のつぼみに托す快癒かな 笠井敦子 201604
侘助や武士の情を人問はば 中島芳郎 201605
侘助のうすももいろや妹うまる 宮崎洋 春燈 201612
侘助や箱階の小暗がり 渡辺やや 風土 201701
侘助や腰掛けとなる力石 江見巌 六花 201702
侘助の浮かぶブリキの馬穴かな 天野美登里 やぶれ傘 201702
侘助の翳を培養してゐたる 七種年男 201703
侘助や句座の賑はひ鎮めたる 大橋晄 雨月 201703
侘助や余命を知りて生くる人 江島照美 201704
鐘の音にわびすけ朱唇ひらきけり 升田ヤス子 六花 201704
侘助ははづかしがりやかも知れぬ 雨宮桂子 風土 201704
侘助や小さき階ある山の墓 松本胡桃 風土 201704
侘助や遠廻りする遊歩道 野畑さゆり 201706
淡紅の佗助の花ミルク沸く 田中藤穂 あを 201801
つつましく咲く佗助の花二輪 安立公彦 春燈 201803
佗助や衿足にほふにじり口 三宅文子 春燈 201805
小鳥来て落す佗助花むくろ 石川りゅうし 201902
侘助や築地にひそと小料理屋 田中たつを 雨月 201903
人知れず侘助散つてしまひけり 吉川隆 春燈 201903
侘助や秘密といふは漏れやすく 栗原公子 201903
侘助の一念通す白さかな 本多俊子 201903
侘助や木の間隠れにひそと咲き 服部珠子 雨月 201905
侘助の掛けてありたる床柱 志方章子 六花 201905
ここへきて侘助のだんまりに遭ふ 井上菜摘子 京鹿子 201906
侘助や変はらぬものに愛読書 卯木堯子 京鹿子 202002
侘助の一花や深き空の紺 安立公彦 京鹿子 202002
侘助や三斎ガラシャ眠る寺 尾崎みつ子 雨月 202003
侘助やとほき家族となりし母 三上程子 風聴くや 202003
侘助を活けつつ深む喪のこころ 渡部良子 馬醉木 202003
白侘助風伴うて散る夕べ 種田利子 春燈 202004
侘助の庭明るうす風なき日 宮田豊子 春燈 202004
侘助や竹青々と四つ目垣 岡野里子 末黒野 202004
侘助や時にはしたき大笑ひ 岩月優美子 202004
控へ目といふ侘助の効かす紅 熊川暁子 202005
侘助の葉隠れ噂の真偽はも 山中志津子 京鹿子 202006
侘助や空堀跡の笠地蔵 楠本和弘 202006
侘助や空堀跡の笠地蔵 楠本和弘 202006
侘助一輪日差し一条わび住ひ 小張志げ 春燈 202103
葉隠れの白侘助や仄青く 伊藤由良 末黒野 202103
侘助やこの武蔵野に住み古りし 須賀敏子 あを 202103
侘助や閑かな午後と思ひつつ 平田紀美子 風土 202104
侘助の一花の似合ふ仏かな 滋野暁 末黒野 202104
侘助や手になじみたる熊野筆 秋山蔦 春燈 202105
侘助や膝を崩さぬ葬の客 浅嶋肇 やぶれ傘 202105
侘助に季節外れの花一輪 坂本和穂 やぶれ傘 202105
侘助や主は近所を見廻り中 赤座典子 あを 202201
侘助や降り出しさうな空となる 高橋詩 202203
侘助の一輪挿しや骨董屋 高橋榮子 京鹿子 202304
侘助の落ちて日暮れの色となる 直江裕子 京鹿子 202306
侘助 →1

2023年11月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。