浮 巣     140句

人下りて浮巣見の舟かへりゆく    高野素十

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
浮巣見の舟に便乗したりけり
能村登四郎
羽化
199900
光るものつけて浮巣を見にゆかん
夏秋秋子
ヒッポ千番地
199905
鳰浮巣眺めしあとの座禪かな
小澤克己
遠嶺
199907
生き死にを波にまかせて鳰浮巣
川端実
寒昴
199907
きらきらと雨上りたる浮巣かな
神蔵器
風土
199908
水郷の田舟を遠く鳰浮巣
田中美幸
199909
大いなる捨舟陰の浮巣かな
皆川盤水
春耕
199909
浮巣めく雨の一灯父の家
土田栄
199909
一つだけ浮き巣を囲う美人山
中林明美
船団
199909
あとわずか浮巣にとどく竿の先
高橋将夫
199910
うたたねの夫の体あり浮巣あり
城孝子
火星
200005
浮巣見てきしこと隠し了せざる
吉田明
200007
心臓の震えは泳ぐ浮巣かな
吉田透思朗
海程
200008
それと知る浮巣や雨に煙りけり
宮津昭彦
200009
扇形に水輪ひろがる浮巣かな
延広禎一
200010
にほどりの浮巣離れて鳴きにけり
鳴海清美
遊び蔓
200105
葭原のそよぎに遅れ浮巣揺る
山崎赤秋
春耕
200107
小舟過ぎても揺れてゐる浮巣かな
阿波谷和子
俳句通信
200108
ゆっくりと芥の過ぐる浮巣かな
岡本明美
俳句通信
200108
雨兆す御陵に浮巣探しけり
谷野由紀子
俳句通信
200108
長雨に鳥耐えてゐる浮巣かな
前阪洋子
俳句通信
200108
芦原のさやぎてゆるる浮巣かな
池尻足穂
俳句通信
200108
嘴を触れ合うて浮巣を替はりけり
酒井多加子
俳句通信
200109
浮巣とは出合ひがしらの讃岐かな
岡井省二
200109
天上に風吹きわたる浮巣かな
山県總子
銀化
200109
危ふさの浮巣瀬に乗る野分晴
岩崎きゑ子
馬醉木
200111
梵鐘に身をゆだねたる浮巣かな
梶浦玲良子
六花
200111
何処へぞ浮き巣渦噛む出水川
岩崎きゑ子
馬醉木
200112
舟溜り空の浮巣の流れ着き
須賀悦子
ぐろっけ
200207
四十路来る長子に鳰の浮巣あり
戸田悠
銀化
200208
頼りなき浮巣へ雨の降りやまず
藤井昌治
200208
人去ると浮巣にもどる鳰はやし
熊岡俊子
雨月
200209
不忍の対岸烟る浮巣かな
小泉惇子
200209
尾の見ゆる浮巣まるまる見度きかな
木原清彦
200210
浮巣より落ちたる雛の泳ぎけり
立石萠木
雨月
200212
密やかに命育む鳰浮巣
森脇恵香
雲の峯
200307
鳰浮巣見むと小舟を漕ぎだしぬ
森脇恵香
雲の峯
200307
龍神の祠越しなる浮巣かな
中御門あや
雲の峯
200307
浮巣見る幸せな愚痴きいてゐし
後藤志づ
あを
200308
病み易くなりぬ浮巣にゐるごとし
藤井昌治
200308
浮巣見の眦灼けて来たりけり
市場基巳
200309
雨のあと浮巣に花の流れきし
遠野萌
200311
葭いでし葭の浮巣を引き寄せて
石脇みはる
200407
卵のる皿のごときが浮巣かな
三谷道子
万象
200407
一羽残る浮巣に雨の容赦なし
植竹美代子
雨月
200407
舷を叩く湖波鳰浮巣
田村梛子
築港
200408
本降りの雨や浮巣の揺れどほし
佐々木よし子
200408
葭切の骨組荒き浮巣かな
久染康子
200410
水の張り強きところに鳰浮巣
鷹羽狩行
200503
雨あがる鳰の浮巣のほとりより
鷹羽狩行
200503
浮巣見る舷に横たへ水馴れ棹
鷹羽狩行
200503
雨あとの浮巣の所在なきことを
稲畑汀子
ホトトギス
200506
浮巣には戻らぬ鳰の子なりけり
稲畑汀子
ホトトギス
200506
湖の水面に浮れある浮巣
稲畑汀子
ホトトギス
200506
鳰浮巣昨夜の出水に跡もなし
味村志津子
雨月
200511
ともかくも浮巣豪雨に遺りをり
味村志津子
雨月
200511
残骸の浮巣漂ふ梅雨出水
手島伸子
雨月
200601
浮御堂鳰の浮巣を秘中の秘
安住敦
春潮
200602
浮巣見て凪を極むる棹さばき
能村研三
200606
雨上がり鳰の浮巣に偽装なし
石堂絹子
河鹿
200608
船頭の顎がをしへて鳰浮巣
梅本豹太
200608
浮巣から浮巣へ風の通りたる
加藤みき
200608
ハンカチを畳みて鳰の浮巣まで
山尾玉藻
火星
200608
睡蓮の浮巣に覗く鷭の雛
竹内志げ子
酸漿
200608
鳰浮巣見て着をさめの黒紬
小澤克己
塩竃
200608
手漕ぎ舟休めて見いる鳰浮巣
河村武信
ぐろっけ
200609
日暮より浮巣を叩く夏の雨
藤井昌治
200609
くすり喰浮き巣の揺れの光かな
大島翠木
200704
行きすぎし舟を戻しぬ鳰浮巣
百瀬七生子
海光
200705
たてよこ厚さ浮巣をこころ積りせむ
百瀬七生子
海光
200705
波騒ぎ浮巣黙してをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200706
浮巣見に行くも大事の一つかな
青山丈
200707
鳰浮巣に烏の旋回憂かりける
味村志津子
雨月
200708
親の居ぬ浮巣に湖の波高し
味村志津子
雨月
200708
餌を啣へ浮巣へ親のまっしぐら
味村志津子
雨月
200708
櫓の波のしづかに届く浮巣かな
浅田光代
風土
200710
吹き白む湖面浮巣のゆれ止まず
園多佳女
雨月
200711
どうしても浮巣と見えぬ距離のあり
稲畑汀子
ホトトギス
200806
櫓を捌く鳰の浮巣をついと避け
小澤菜美
200808
忍び足に浮巣離れてゆきにけり
加藤みき
200808
あはうみの島影もまた浮巣めく
服部早苗
200808
帽脱いで空ラの浮巣を掬ひけり
緒方佳子
火星
200809
浮巣見の暁の舟音殺しをり
北川英子
200907
声残し浮巣離るる鳰一羽
林八重子
馬醉木
200908
旅立ちの日や浮巣守るかいつぶり
大坪景章
万象
200908
清掃課鳰の浮巣を持ち行きし
緒方佳子
火星
200908
水郷の水位高きに浮巣かな
竹内すま子
200909
細波が鳰の浮巣に触れてをり
遠藤和彦
遠嶺
200909
隠れみのの葉流れつき浮巣かな
中島陽華
200910
あめつちのゆりかご鳰の浮巣かな
中村恭子
201007
鳰浮巣鯉の背鰭の近づけり
内藤恵子
万象
201008
鳰浮巣鷭の浮巣と訪ひにけり
横山昭子
雨月
201010
矢のやうな雨が降るなり鳰浮巣
岩岡中正
ホトトギス
201012
ティティカカ湖トトラの家は浮巣めく
杉本光
201101
漣のたどり着きたる浮巣かな 荒井千佐代 201107  
秘中の秘と見しが浮巣の刈られけり 秋葉雅治 201109  
浮巣にて眠りたき夢いまもなほ 近藤喜子 201109  
子守唄ほどの揺れやう鳰浮巣 風間史子 201110  
ひもろぎの没日に現れし浮巣かな 浜口高子 火星 201110  
しつらへし浮巣に掟ありとせば 和田照海 京鹿子 201110  
窺へばうかがひをりし浮巣鳰 和田照海 京鹿子 201110  
鐘の音や鳰の浮巣の浮き沈み 梶浦玲良子 六花 201111  
流れては浮巣に戻る力あり 工藤節朗 201201  
浮巣まで十尋といへる死角かな 和田照海 京鹿子 201210  
田見回りひとつに浮巣加へけり 和田照海 京鹿子 201210  
阿吽の息に抱卵代はる浮巣鳰 横山昭子 雨月 201210  
卵五つ宝と抱き鳰浮巣 横山昭子 雨月 201210  
梅雨出水鳰の浮巣を攫ひけり 横山昭子 雨月 201210  
葦の洲の奥処に一つ鳰浮巣 横山昭子 雨月 201210  
夕闇の翼大きく鳰浮巣 原友子 201302  
その上で眠つてみたき浮巣かな 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303  
雨傘をさせば浮巣の見えてきし 城孝子 火星 201309  
あるはずの浮巣を見んと雨の中 内海保子 万象 201310  
近江なる湖の大きな浮巣かな 福島せいぎ 万象 201311  
和毛ふはふは空浮巣漂へり 北川英子 201408  
湖国雨浮巣の高さ思ひゐる 豊田都峰 京鹿子 201409  
棹をもて浮巣さしたるをとこかな 笹村政子 六花 201409  
浮御堂近し浮巣をかくす叢 豊田都峰 京鹿子 201409  
浮巣鳰居てもゐなくても小波 和田照海 京鹿子 201508  
浮巣より一番子出で潜きをり 手島伸子 雨月 201509  
水尾広げ浮巣めぐりの鳰親子 手島伸子 雨月 201509  
かくれなき浮巣に鳩の動かざる 佐藤貞子 雨月 201509  
船頭の竿の先なる浮巣かな 大石よし子 雨月 201608  
船頭の棹挿し替へて鳰浮巣 川原博美 馬醉木 201609  
浮巣守る鳰に夕べの雨上る 宮平静子 雨月 201609  
蘆の間の水の動きや鳰浮巣 吉田万喜子 雨月 201609  
どこからも見えぬ浮巣でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201706  
子育てのすみしか浮巣流れゆく 近藤紀子 201707  
水郷の船に付きくる浮巣かな 前田美恵子 201709  
沛然と鳰の浮巣をたたく雨 内山花葉 201709  
ただ浮いてゐるにはあらぬ浮巣かな 後藤比奈夫 ホトトギス 201802  
見たことはなかり浮巣にある土台 後藤比奈夫 ホトトギス 201802  
浮巣見の舟音鎮め煙雨中 能村研三 201807  
湖族守る堅田の浮巣見え隠れ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201808  
調略の鳰の浮巣のままならず 鈴鹿呂仁 京鹿子 201808  
風浪に古沼の浮巣たぢろがず 西村渾 201809  
編み上ぐる家族のかたち鳰浮巣 稗田寿明 201809  
細波に揺藍めける鳰浮巣 大橋淳一 雨月 201809  
鳰浮巣水一枚のよるべなさ 田部明子 馬醉木 201809  
旅程閉づ鳰の浮巣を数へつつ 井尻妙子 京鹿子 201809  
人生は浮巣なりけり苦も楽も 山西村滋子 京鹿子 201809  
完敗の帰り浮巣が見たくなる 田所節子 田所節子集 201810  
編み上ぐる家族のかたち鳰浮巣 稗田寿明 201901  
鳰浮巣入日の湖の句読点 石原孝人 京鹿子 201901  
浮城や鳰の浮巣の揺るぎなし 鈴鹿呂仁 京鹿子 201906  
岸に寄る浮巣を風の吹き戻す 森岡正作 201908  
ひとりでは踏み込めぬ道鳰浮巣 伊藤隆 201908  
住み古りし他郷や確と浮巣見て 千田百里 201909  
雨兆す今宵浮巣の安かれと 佐藤貞子 雨月 201909  
おとせの碑浮巣庇ひの葦戦ぎ 松本鷹根 京鹿子 201909  
鳰の浮巣守る男の歯の皓し 伴秋草 末黒野 201910  

 

2020年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。