2    100句

波にのり波にのり鵜のさびしさは   山口誓子  青女

作品
作者
掲載誌
掲載年月
若鮎を一気に仕留む鵜の妙技 宮崎左智子 200908
奥琵琶に湧きつぐ如き川鵜かな 坂根宏子 200908
鵜遣に一縷の迷ひ断ちにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
見張鵜に水平線が眠くなる 遠藤真砂明 200908
西向きて杭の数だけ川鵜かな 来海雅子 200908
みささぎに鵜のとんでゐる日の盛 城孝子 火星 200909
鵜羽拾ふ競演後の虚しさに 塩路隆子 200910
川鵜とぶ長瀞の空一直線 疋田華子 万象 200910
得意然潜り重ねる海鵜二羽 猿橋二三雄 ぐろっけ 200910
火の海の中精桿の鵜の首が 田中春子 雨月 200911
鵜と舟の美しき距離なり錦帯橋 和田政子 201001
公園の一島川鵜席捲す 大橋晄 雨月 201007
上潮に乗りし一鵜の迅さかな 田中道江 万象 201008
羽くろき川鵜水面を切ってとぶ 竹内弘子 あを 201008
首あげし鵜の乾坤を確かむる 冨松寛子 201009
海の面を引きずつて鵜の翔び立てり 大地真理 201010
鵜の心量りて舟に連れゆくと 大橋晄 雨月 201010
一羽づつ鵜の労はれ船上に 大橋晄 雨月 201010
一樹ひとつぎに川鵜と鷺の巣ごもれる 永田万年青 六花 201105
潜り来て干す鵜の羽根が重たさう 定梶じょう あを 201107
鵜の止まる池のかなめの舫ひ舟 門伝史会 風土 201108
夕風に翼拡げる川鵜かな 難波篤直 201109
鵜のくぐるところ浮んでくるところ 定梶じょう あを 201109
舷を叩き楫子が鵜を囃す 尾崎みつ子 雨月 201111
鵜の影も歌碑も身に沁む島巡り 千田百里 201201
鴨鴨鴨鴨鴨鴨鵜杭の上 田丸千種 ホトトギス 201205
鵜は嘴で水を突き刺し潜りけり 山田六甲 六花 201206
母病めり霧を走りぬ鵜が一羽 田中貞雄 万華鏡 201206
離れ鵜に午後の港の広すぎる 南うみを 風土 201208
また潜りまた潜りして鵜は離る 松村光典 やぶれ傘 201209
川へ向く鵜の碑に供花の見当たらず 高瀬博子 六花 201209
鵜の嘴が波の尖りへ突き刺さる 丸井巴水 京鹿子 201210
嘴に魚を回せる川鵜かな 永田万年青 六花 201210
荒梅雨や海石いくりに海鵜動かざる 大島英昭 やぶれ傘 201212
わだなかや鵜の鳥群る島二つ 水原秋櫻子 馬醉木 201306
糸ほどの月上りたる鵜の礁 玉田瑞穂 万象 201310
鵜の嘴と出くはしてゐる鯔の群 篠田純子 あを 201312
巌にのる鵜を払ひのけ濤うてり 瀧春一 花石榴 201312
奥琵琶に湧きつぐさまの川鵜かな 坂根宏子 野山の道 201404
夕空のつばくら高く鵜は低く 原田しずえ 万象 201407
鵜のかへる原始林ありわたの中 丸山佳子 京鹿子 201409
日柱をよぎる朝鵜のいさぎよし 丸山佳子 京鹿子 201409
鵜の島へ波が波追ふことやめず 丸山佳子 京鹿子 201409
阿武隈川かは鵜置き忘れて早し 半田稜 ろんど 201410
梅雨明けの潮照り返す鵜捕崖 豊田高子 万象 201411
残像を鵜の瀬の渦に黒揚羽 田中佐知子 風土 201411
浮き上る荒鵜の嘴に魚跳ぬる 桜井知恵子 雨月 201501
疲れ鵜を労ふ鵜匠の手の優し 桜井知恵子 雨月 201501
鮎なれずしうましと食ぶ鵜匠宿 桜井知恵子 雨月 201501
荒鵜きて離宮の鯉を一撃す 福島せいぎ 万象 201502
杭を発つ川鵜冬日をしたたらせ 田中道江 万象 201503
杭の鵜へさざなみ通ふ余寒かな 深川淑枝 201505
潜るとき鵜の勢ひの姿美し 篠田純子 あを 201505
投網打つやうに鵜縄を捌きをり 布川直幸 201506
上げ潮の一撃巌の鵜を翔たす 松井志津子 201507
鵜籠より鵜が顔みせてゐる昼間 大崎紀夫 やぶれ傘 201507
ぬめぬめと上下する鵜や迎へ梅雨 篠田純子 あを 201507
鵜舟洗ふ夕日火照りの波掬ひ 柴田近江 201508
石の木に川鵜の群るる梅雨入かな 竹内弘子 あを 201508
疲れ鵜の眼つぶりしまま佇立せる 鈴木良戈 201509
杭の鵜や視線鋭く見返せる 鈴木良戈 201509
俊寛のごと鵜の在りて礁波 山口ひろよ 201509
水掛けて籠に逸り鵜宥めけり 兼久ちわき 馬醉木 201510
篝火を真面に若鵜昂れり 兼久ちわき 馬醉木 201510
逸り鵜の己がしぶきに励まされ 平田はつみ 馬醉木 201510
どの岩も海鵜の占めて伊予の航 和田照海 京鹿子 201510
鵜の礁仏の岬大南風 和田照海 京鹿子 201510
闇押して鵜舟の下る早瀬かな 松井志津子 201510
鵜の息の永きを案ず浮かぶまで 定梶じょう あを 201510
声低くずぶ濡れの鵜をなほ使ふ 伊藤通明 201603
動かざる河鵜ニーチェかサルトルか 遠藤清子 末黒野 201609
岩角に水掻き貼りて鵜の眠る 篠田純子 あを 201609
うららかや海鵜集まる鵜の岬 内海保子 万象 201610
深さうなところ紺色鵜はかづく 定梶じょう あを 201610
鵜汚れの岩寒風に曝さるる 矢野百合子 201704
鵜もゐるし鴎もゐるし麗らかぞ 赤松赤彦 六花 201706
早暁の海鵜を放つ防砂林 間宮あや子 馬醉木 201707
白波が寄する已むなく鵜はくぐる 定梶じょう あを 201707
つぎつぎと尾捌き決めて鵜の潜る 加藤峰子 201708
とく起きて長良川見に行く鵜匠かな 横山昭子 雨月 201708
鵜の羽音池の波目を変へにけり 竹中一花 201709
夕渚はぐれ鵜一羽低く低く 須賀允子 万象 201710
航く濤をうちかぶる鵜の浮寝かな 久保東海司 201712
玄界の波を掠めて荒鵜とぶ 長谷川閑乙 馬醉木 201807
天龍川の流れ厳か鵜一羽 伊藤希眸 京鹿子 201808
鵜かがりの残り火使ひ舟洗ふ 植田桂子 馬醉木 201809
今はもう開かぬ橋や鵜の一羽 工藤はる子 201902
晩涼や鵜のかへりゆく安房の空 水原秋櫻子 馬醉木 201907
沖かけて海鵜の群れや青葉潮 川村欽子 雨月 201907
鵜の憂い消えて綺麗なお姉さん 近藤綾 201910
網戸透く鵜の群るる松林 田中臥石 末黒野 201911
疲れ鵜にハヤブサ2は帰還中 火箱ひろ 201912
岐阜提灯消え鵜の町の眠りけり 藤井啓子 ホトトギス 201912
落椿川鵜と共に潜りけり 須賀敏子 あを 202005
疲鵜に水微笑んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
三瓶野に別れ鵜川に再会す 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
風光る鵜は浮島をひとり占め 加藤静江 末黒野 202007
あちこちに川鵜首出す水面かな 森美佐子 やぶれ傘 202009
篝火の燃ゆる水面に鵜を放つ 笹村政子 六花 202009
魚呑んで海鵜の首の淋しさよ 高橋まき子 風土 202009
鵜 →3

 

2023年7月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。