1       200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
海原へ出て一蝶の黄の高し 山田弘子 春節 199503
蝶生れて空の重さに低くとぶ 保坂加津夫 自在抄 199600
亡き友の妻の菜園蝶舞へり 松崎鉄之介 199805
柴垣の結ひ目きつちり蝶生まる 小澤克己 遠嶺 199805
蝶の昼ぶ厚き辞書を割つてをり 小澤克己 遠嶺 199805
出払ひし真昼の厩舎春の蝶 島田教夫 春耕 199806
汐入川の風にあふられ春の蝶 島田教夫 春耕 199806
寝返れば童は蝶となりゐたり 奥田節子 火星 199806
蝶二つすぐにもつれて焦臭し 神蔵器 風土 199806
紋付や嬰がはじめて会ひし蝶 遠藤タミ子 京鹿子 199808
孵化をして胎蔵界の蝶となり 丸山海道 京鹿子 199808
指立てて嬰の遊ぺる蝶の昼 三浦美穂 199808
春深くあちこち蝶に触れられる 田中空音 海程 199808
誘はれ離宮の蝶と同乗す 竹市悠紗 京鹿子 199809
満ち満ちよ黙し乱れる蝶のごと 田中空音 海程 199810
山の蝶化粧もなくて盃盗りに 丸山海道 京鹿子 199810
怨み濃き家紋の蝶として飛ばむ 中原道夫 銀化 199810
長持の喪服冷めたし蝶々来 藤田守啓 船団 199811
人体を出てゆく蝶と兵隊と あざ蓉子 船団 199811
蝶々のてふ・てふ・てふと窓の幸 池田澄子 船団 199812
闇夜より蝶降りてくる朝礼台 あざ蓉子 船団 199812
つかぬこと蝶よ花よの近江かな 小堀寛 京鹿子 199901
紐靴や絵地図に迷ふ蝶の昼 村田冨美子 京鹿子 199901
黒蝶に緋の一点や核保有 村田冨美子 京鹿子 199901
雑踏といへば神田や蝶の昼 土田栄 199901
手に錠剤蝶々百匹近づきぬ 廣嶋美惠子 船団 199902
沙流れ潮あり蝶わたるなり 岡井省二 199903
放蝶園からくり時計春告ぐる 大橋敦子 雨月 199903
視野の先視野の先蝶消えにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199904
計画を大地に描く蝶の昼 稲畑汀子 ホトトギス 199904
ささがきにいのちも削れ蝶の晝 中原道夫 銀化 199905
記さねばきのふ不確か蝶の昼 亀丸公俊 銀化 199905
落剥の白塀白い蝶放つ 中林明美 ヒッポ千番地 199905
絵硝子の蝶のまぶしき受難節 水原春郎 馬醉木 199905
絵硝子の蝶舞ひ出づる花菜風 貞吉直子 馬醉木 199906
夢醒めて蝶に朝日は燦燦たり 田中空音 海程 199906
顋門(ひよめき)は夢湧くところ蝶の昼 中條紬 銀化 199906
行き往きて遍路の蝶となる日かな 吉本昴 馬醉木 199906
蝶の曲線にぎりこぶしに絡みけり 田村みどり 京鹿子 199907
虚空にて揚羽百蝶のさ中なり 岡井省二 199907
雨晴れて庭に影おく蝶々かな 水田清子 199907
フルートのひびく空間蝶現るる 金澤明子 火星 199907
山の蝶ひとつ見しのみ黄の濃ゆき 晏梛みや子 199907
雲流る菜の花化して蝶となる 森景ともね 船団 199907
飛ぶ蝶の平たき刹那逝かるると 柳生正名 海程 199908
蝶二つもつれ明智の墓の前 橋添やよひ 風土 199908
蝶々の足跡かすかアリバイは 小枝恵美子 船団 199909
満ち満ちよ黙し乱れる蝶のごと 田中空音 海程 199909
春深くあちこち蝶に触れられる 田中空音 海程 199909
もの食めば心おちつく蝶の昼 小島みつ代 199909
蝶の昼浮世絵に影無かりけり 森景ともね 船団 199909
蝶墜ちし草間ににはかなる水音 丸山海道 全句集 199910
黒い蝶黒い鳥来て鬱さます 鈴鹿百合子 京鹿子 199910
降るのは蝶海の近くの百日紅 加藤かな文 199910
瀧音に沈みて蝶の翅合はす 上田希実 遠嶺 199911
老蝶の逃げきる時は無心なり 山田緑光 海程 199911
熔岩に吹く風の荒しよ深山蝶 長沼紫紅 199911
露草の花の蝶々が指の先 小枝恵美子 ポケット 199911
弟の胸の亀裂に蝶を産む 森ひさ子 船団 199912
蝶ひらひら河馬の親子は授乳中 森ひさ子 船団 199912
憎みては暗き小さき窓に蝶 鈴木幸江 海程 200001
若き叔父座敷に通る蝶の道 星野早苗 空のさえずる 200002
真昼間のフレーム異国の花と蝶 小山徳夫 遠嶺 200003
蝶摘みて唐草の血がよみがえる 山田緑光 海程 200004
ころげある竹瓮の口に蝶とまる 山尾玉藻 火星 200004
掠れたる疊の音や蝶の晝 中原道夫 銀化 200005
耐へもする蝶の舌禍の口移し 中原道夫 銀化 200005
電車洗ふはげしき水に蝶寄らず 藤田宏 200005
蝶や野の紳士協定調印式 塩見恵介 虹の種 200005
蝶の影あり双身の歓喜天 小形さとる 200005
神官の交替のとき蝶生まる 城孝子 火星 200005
蝶孵る世界は青にとどまれり 塩見恵介 虹の種 200005
片翅の水叩きゐる蝶の腹 岡本高明 200005
蝶出でし修道院は鉄の門 藤田宏 200005
春の蝶君の探しているものは 保坂加津夫 いろり 200005
ソナチネの躓くところ蝶生るる 大島康弘 銀化 200005
田水張り空を二枚に蝶渡る 府中谷幸枝 馬醉木 200006
もつれつつ光を零し蝶の飛ぶ 中村芳子 円虹 200006
いたずらに齢重ねて蝶の昼 中村祭生 ぐろっけ 200006
たまさかの出に逢ふことも蝶の昼 中村祭生 ぐろっけ 200006
蝶が来て蝶の出てゆく仁王門 直井たつろ 風土 200006
交番に湯呑二つや蝶の昼 関根洋子 風土 200006
公園や犬を連れ行く蝶一つ 市川伊團次 六花 200006
野あそびや和菓子が蝶と飛びさうな 西山美枝子 酸漿 200006
独りにてときどき蝶の貌したり 岡崎るり子 銀化 200006
蝶生れてガラスのやうな空へ翔つ 環順子 遠嶺 200006
変則に飛ぶ蝶々のはやさかな 桑垣信子 いろり 200007
蝶睦み空の奈落に堕ちてゆく 利根川博 銀化 200007
一蝶の瞬くやうに汀過ぐ 岩田育左右 遠嶺 200007
吉野より絵手紙届く蝶の昼 小山徳夫 遠嶺 200007
暁の風のハミング蝶生るる 川口襄 遠嶺 200007
恋塚を飛びたる蝶の高舞へり 奥田節子 火星 200007
不束な蝶なりうしろ指差され 中原道夫 銀化 200007
草むらに消へては不意に蝶出づる 桑垣信子 いろり 200007
吹きわたる風に不変な蝶の舞 桑垣信子 いろり 200007
あほられて体をひらりと蝶の飛ぶ 桑垣信子 いろり 200007
川風に逆らふ蝶のふわふわと 桑垣信子 いろり 200007
一声の鴉に蝶の姿なく 桑垣信子 いろり 200007
まなうらに昨日の蝶は綴ぢであり 彌榮浩樹 銀化 200007
戦の絵物語蝶よぎる 笹村政子 六花 200007
手のひらと指の舞ふ手話蝶の昼 田渕葉陽 200007
いくたびも横切る蝶を見失ふ 桑垣信子 いろり 200007
湧くが如生る吉野の蝶偲ぶ 長谷川登美 ぐろっけ 200008
光りから零れしものに黒き蝶 中川二毫子 夏木立 200008
蝶生るるための青空かと思ふ 遠藤若狭男 200008
氷河ゆく馬車にまつはる山の蝶 武政礼子 雨月 200008
青筋をたてて蝶なら消ぬるまで 中原道夫 銀化 200008
ビルの街蝶と出会ひて吾も生く 長谷川登美 ぐろっけ 200008
ビル屋上庭園ありと蝶知るや 長谷川登美 ぐろっけ 200008
迷ひ来し蝶に逃げ場をつくりやる 能村登四郎 200008
蟻の上を蝶とぶつよき日差かな 山西雅子 200009
天竜川の激つ瀬蝶のもつれ合ふ 大木あきら 春耕 200009
蝶蝶のちさくなりつつ島の昼 市場基巳 200009
白鳥抱卵水のゆくてに蝶のとび 渡邊牢晴 雨月 200009
鎖場の顔をかすめし深山蝶 斉木永久 馬醉木 200009
われに舞ふ蝶の心と相触れし 粟津松彩子 ホトトギス 200009
蝶々を神隠しするさくらかな 鬼頭桐葉 春蘭 200010
わが庭の蝶の好みやわれに似て 正木光子 いろり 200010
蝶集まる集まる闇に穴をあけ 廣嶋美惠子 船団 200010
天秤に乗りたる蝶の軽からず 藤田守啓 船団 200011
蝶集まる集まる闇に穴をあけ 廣嶋美恵子 船団 200011
裲襠のなかを眞紅に蝶生まる 中原道夫 銀化 200103
咲くものに散り敷くものに蝶の昼 稲畑汀子 ホトトギス 200104
矢印の通りに行きぬ蝶の昼 稲畑汀子 ホトトギス 200104
テレビ見て泣いてゐるなり蝶の昼 山野みどり 銀化 200104
あざやかに蝶に先立たれてゐたる 篠原俊博 銀化 200105
梵字とは虚空にありし蝶のこと 村上瑪論 銀化 200105
蝶の晝ベンチウォーマーとも呼ばれ 中原道夫 銀化 200105
蝶も来て日のあるごとし若楓 阿部ひろし 酸漿 200105
荒東風や紙片が蝶に化けるとき 泉田秋硯 200105
蝶生まれ風の苛めをまだ知らず 八幡酔鵬 200106
蝶生れて尊徳像をひとめぐり 成重佐伊子 俳句通信 200106
頬杖の眉こそばゆく蝶々過ぐ 蔵持柚 銀化 200106
野の光つかめば自き蝶生まる 環順子 遠嶺 200106
篁の風まぶしめば蝶生る 藤木竹志 馬酔木 200106
くさむらの日を逃れゆく雀蝶 渡辺友七 あを 200106
山國の筬の音より蝶生るる 川名将義 銀化 200106
蝶生れて唐招提寺よりの使者 小澤克己 遠嶺 200106
蝶速し母に呼ばれし子のごとく 大串章 百鳥 200106
蝶一つ吹かれて青田越えてゆく 渡辺友七 あを 200106
船笛の方へと蝶の吹かるるよ 松岡隆子 200106
ねばならぬ蝶も惑はすものとして 中原道夫 銀化 200106
弥陀の肩すべりたる陽の蝶と化す 渡辺友七 あを 200106
ジヤスミン茶蝶の羽ばたくぬるい音 奥田筆子 京鹿子 200107
風紋を消す靴跡や蝶の昼 村田近子 遠嶺 200107
人影の無き校庭に春の蝶 伯井茂 春耕 200107
蝶追ひて逃げられし猫とぼけ顔 藤田千代江 200107
西洋凧操るをのこ蝶の昼 坂上香菜 200107
蝶々も中座も去って宵えびす 朝日彩湖 船団 200107
いつのまに双蝶となり堰の上 吉原一暁 200107
耄碌のはじめ蝶なとしげしげと 中原道夫 銀化 200107
羅に揚羽の蝶の紋どころ 中野哲子 六花 200107
一蝶に風の通へる細格子 有山光子 遠嶺 200107
菜の花やおぼれるやうに蝶渡る 栢森敏子 あを 200107
一蝶に枯山水の海深し 行方克巳 知音 200107
ラジオよりウインナワルツ蝶の昼 牛田修嗣 200107
パンドラの箱より蝶蝶まづ出でぬ 久保夢女 200107
大庭(ウーミャー)を風に抗ひ蝶わたる 宮津昭彦 200107
みどり児の意志なき笑みや蝶の昼 久保晴子 雨月 200107
蔀戸を一枚ひらき蝶の昼 川井政子 風土 200107
虫偏を脱皮しなさい畑の蝶 丸山佳子 京鹿子 200108
蝶々の空も刈られて更地なる 森谷彰 銀化 200108
手鏡をひらけば照れ臭ささうに蝶 丸山佳子 京鹿子 200108
段々に蝶登りゆく棚田かな 坊城俊樹 円虹 200108
蝶もつれ蜂一線の六地蔵 二本松輝久 風土 200108
蝶然と樹海を渡り行きにけり 矢野千佳子 京鹿子 200108
人間になりたき蝶がつきまとふ 松田都青 京鹿子 200108
水流に乱流ありて蝶つるむ 矢野千佳子 京鹿子 200108
花柄のサブリナパンツ蝶が来る 吉田久子 200108
初黄蝶新舗オープン五分前 信国善保子 火星 200108
一行詩行在跡の迷ひ蝶 宇都宮滴水 京鹿子 200108
蝶が来て蛍袋の夢覗く 中島真沙 円虹 200109
風のポピー真白き蝶をはじき出す 加美明美 200109
美しき蜘蛛美しき蝶捕らふ 杉沢とみを 百鳥 200109
深山蝶森のいっぽん道とぎれ 岬雪夫 200109
水曜日わが手のひらに蝶生まる 伊藤翠 船団 200109
飛ぶ蝶に現世の憂い無き如し 長谷川登美 ぐろっけ 200109
蝶を曳く蟻のまつりを見て通る 中原道夫 銀化 200109
蝶になる念念きうりの匂ひかな 田村みどり 京鹿子 200109
琉球の時代へ誘ふ蝶の園 大村真佐子 遠嶺 200110
青くさく土くさく蝶死んでをり 柴田いさを 船団 200110
庭の蝶もつれあいつつ何処へか 柳浩子 船団 200110
巨刹門蝶の生まれし石畳 大村真佐子 遠嶺 200110
迷ひ来し蝶に逃げ場をつくりやる 能村登四郎 羽化 200110
庭の蝶ひらひらふらふら上中下 柳浩子 船団 200110
蝶追ひて児等深入りす叢に 大森ムツ子 ぐろっけ 200111
くらくらと石老いてゆく蝶の昼 小枝恵美子 船団 200111
重き扉を押す爪紅蝶の国 木村孝子 海程 200111
悪霊に洗脳されし蝶の昼 柴田いさを 船団 200111
捧げたしごまだら蝶に蜜の盃 木村孝子 海程 200111
昼寝の子蝶来て卵産みつける 利根川博 銀化 200111
揺れやみしおいらん草に蝶白し 倭文ヒサ子 酸漿 200112
海に抱かれ山に抱かれて蝶となる 塩貝朱千 京鹿子 200201
蝶ひとつまつすぐ嵯峨へやつてくる 荒川美邦 京鹿子 200201
結界を越えて地蔵の蝶となる 林和子 200202
断崖を真逆さまに春の蝶 広渡紀子 200202
花道を蝶の過れる村芝居 佐藤淑子 雨月 200203
蝶の空とうに紙幅の尽きにけり 朱間繭生 銀化 200204
蝶紛れ人の紛れて雑踏に 稲畑汀子 ホトトギス 200204
蝶 →2      

 

2021年3月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。