梅雨の月 1      200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
暈といふ美しきもの梅雨の月 鷹羽狩行 199906
すれ違ふ人に湯の香や梅雨の月 山村桂子 遠嶺 199908
降り止みて安達ヶ原の梅雨の月 瀬戸悠 風土 199909
素十詠みし小諸の梅雨の月仰ぐ 土永竜仙子 朝月夜 199912
棚雲へしづかに入りし梅雨の月 池部久子 酸漿 200009
硫気噴く出湯の谿や梅雨の月 斉木永久 馬醉木 200009
更けてよりひかり増したり梅雨の月 織田敦子 200009
堰落ちし無創の水に梅雨の月 森田旅舟 200009
赫夜姫ならねど梅雨の月を待つ 下村志津子 銀化 200108
梅雨の月いつものけんかとは違ふ 半澤佐緒里 百鳥 200108
庭の木にふと朝のこる梅雨の月 阿部ひろし 酸漿 200108
昼を寝て覚めゐる母に梅雨の月 瀬戸悠 風土 200109
寄り添へる合掌部落梅雨の月 小宮山勇 遠嶺 200109
湯ほてりの背よりほぐるる梅雨の月 小池槇女 火星 200110
飛石の白さに立てり梅雨の月 山口トシ 酸漿 200111
梅雨の月赤く里人早寝せる 滝川あい子 雨月 200209
煤けたる空の戸が開く梅雨の月 田中英子 火星 200209
梅雨の月白樺林のぼりゆく 志村秀子 風土 200209
雉鳩に水音ふゆる梅雨の月 松本恭昂 火星 200210
夢に覚め深閑として梅雨の月 増田八重 酸漿 200211
野良猫のさっと横切る梅雨の月 山内栄美子 ぐろっけ 200309
梅雨の月大きく出でて欠けゐたり 宮津昭彦 200309
湯上りに犬の遠吠梅雨の月 本山卓日子 京鹿子 200309
ほんのりと更け行く窓の梅雨の月 和田喜智子 酸漿 200309
四間取りの襖はづさる梅雨の月 城孝子 火星 200309
筆濯ぐ音ひびきけり梅雨の月 宮川みね子 風土 200309
ひんやりと畳はありて梅雨の月 土屋酔月 火星 200310
銀行の角に易断梅雨の月 平野きらら 百鳥 200310
旧友の帰国の便り梅雨の月 石川英利 百鳥 200310
申し分なきまんまるの梅雨の月 嶋田摩耶子 ホトトギス 200311
雨戸締むとき雲間より梅雨の月 北村香朗 京鹿子 200311
真夜中の天あをあをと梅雨の月 阿部ひろし 酸漿 200408
大姉名の子の袈裟梅雨の月に濡れ 羽田岳水 馬醉木 200408
梅雨の月軒のしずくにゆがみけり 鎌倉喜久恵 あを 200408
隣より壜割れし音梅雨の月 田中藤穂 あを 200408
貯木場にうすくかかれる梅雨の月 中和田洋美 万象 200409
真向ひて呆とをりけり梅雨の月 細井紫幸 草の花 200409
梅雨の月乳頭の湯に湯浴みしぬ 須賀敏子 あを 200409
梅雨の月照らす草むら鴨孵る 須永トシ 栴檀 200410
木も草もしづかに梅雨の月出でぬ 江崎成則 栴檀 200410
梅雨の月富土の稜線正しけり 稲畑汀子 ホトトギス 200507
盛場の小路に腐臭梅雨の月 田中藤穂 あを 200508
かいま見る雲間隠れの梅雨の月 阿部一彦 築港 200509
心もち欠けて雲間の梅雨の月 菊地惠子 酸漿 200509
臍の緒の小箱見つけし梅雨の月 小嶋洋子 200509
雨戸閉める時に気の付き梅雨の月 蒲生静江 春燈 200509
星よりも暗くかかりて梅雨の月 鷹羽狩行 200606
飢え泣くは萬葉よりぞ梅雨の月 瀧春一 瓦礫 200606
鳴き声がして犬がゐて梅雨の月 宮津昭彦 200608
梅雨の月青きポストに投函す 篠田純子 あを 200608
妻の祈り夜毎に深し梅雨の月 大橋晄 雨月 200608
竹を編む一灯ありぬ梅雨の月 野口香葉 遠嶺 200609
女下駄置かぬ玄関梅雨の月 戸田春月 火星 200609
梅雨の月御ン生涯の美はしく 高橋照子 雨月 200609
筒抜けの隣のけんくわ梅雨の月 篠田純子 あを 200609
退院のやはらかくある梅雨の月 竹下昌子 200610
空咳のしきりや梅雨の月細し 北川孝子 京鹿子 200610
返信に時をつひやし梅雨の月 佐藤博美 200610
梅雨の月埴輪の口がぽと言ひぬ 辻直美 200611
茫茫と夜の奥なる梅雨の月 長山あや ホトトギス 200612
鉛筆をけずれば匂ふ梅雨の月 竹貫示虹 京鹿子 200706
真上ふとおのが虚空に梅雨の月 水野恒彦 200707
濡れ紙に描いた様な梅雨の月 横田萌 京鹿子 200709
清め砂撒きし新居の梅雨の月 西畑敦子 火星 200709
梅雨の月猫を探しに外へ出る 佐藤喜孝 あを 200709
二の腕のまた細うなり梅雨の月 根本ひろ子 火星 200710
クラリネット吹く少年に梅雨の月 竹下昌子 200710
雨だれの軒の向うに梅雨の月 鷹羽狩行 200806
闇ぬるくぬるく更けゆき梅雨の月 ことり 六花 200807
梅雨の月地蔵菩薩を彫り始む 安部里子 あを 200807
大空のぼんぼりかとも梅雨の月 林翔 馬醉木 200808
梅雨の月鷺の留まりし枝たわむ 杉浦典子 火星 200808
帰途の歩を少しゆるめて梅雨の月 北川とも子 ぐろっけ 200809
歯車の狂ひはじめし梅雨の月 山崎ゆき子 炎環 200809
梅雨の月人生少し動く日よ 小林奈穂 200809
梅雨の月健やかに夜々育ちをり 岸野美知子 酸漿 200809
梅雨の月リハビリバスの殿りに 鈴木とおる 風土 200809
デジヤビユーの街角上る梅雨の月 中沢三省 風土 200809
没骨の墨の香にあり梅雨の月 落合絹代 風土 200810
実朝の海を濡らして梅雨の月 中沢三省 風土 200810
見あぐれば四方にマンション梅雨の月 有賀昌子 やぶれ傘 200811
陰極む梅雨の月なり大戸閉づ 滝川あい子 雨月 200811
魂は濡るることなし梅雨の月 高橋将夫 200907
眞黒き瓦光らせ梅雨の月 鎌倉喜久恵 あを 200908
梅雨の月「黄金虫」てふスナックヘ 佐藤良重 炎環 200908
立哨のふと仰ぎ見し梅雨の月 伊東湘三 春燈 200909
梅雨の月煌煌と照る窓辺かな 渡辺安酔 200909
梅雨の月社交ダンスの出番待ち 岡谷栄子 200909
薬のむための一膳梅雨の月 武智しのぶ 200910
名文に酔ひ束の間の梅雨の月 木村美智穂 遠嶺 200910
梅雨の月躓きし足さすりけり 鈴木一恵 末黒野 200910
梅雨の月七施の一つ二つ三つ 林いづみ 風土 200910
水漬きたるごとくふくらみ梅雨の月 西宮舞 200911
吾の窓に居るかぎり吾の梅雨の月 嶋田摩耶子 ホトトギス 201001
梅雨の月赤し大地を離れたる 稲畑汀子 ホトトギス 201006
龍の髭めく雲かかり梅雨の月 鷹羽狩行 201007
遺伝子の話長々梅雨の月 森山のりこ あを 201007
神楽坂琴のごとくに梅雨の月 神蔵器 風土 201008
カプセルは地球へかへり梅雨の月 田中藤穂 あを 201008
梅雨の月幾度も庭に出でて見る 大野ツネ子 酸漿 201009
曖昧な輪郭見せて梅雨の月 宮崎左智子 201009
堀文子母と同齢梅雨の月 椿和枝 201009
濡れ羽色の廃車の山や梅雨の月 千田百里 201009
ゆつくりと島の老いゆく梅雨の月 蘭定かず子 火星 201009
東京タワーに引っ掛りたる梅雨の月 栗山恵子 雨月 201010
子規虚子も偲ばるる須磨梅雨の月 安原葉 ホトトギス 201011
梅雨の月ちらつと切れし雲間より 安原葉 ホトトギス 201011
湯やを出てかくも全円梅雨の月 定梶じょう あを 201107
大切な忌日増えをり梅雨の月 高橋道子 201109
若者の路上ライブや梅雨の月 松本三千夫 末黒野 201109
白猫のまつすぐに行く梅雨の月 中村紀美子 春燈 201109
とんがらしの葉を炒めゐる梅雨の月 浜口高子 火星 201110
そばにゐるだけの看取や梅雨の月 阪上多恵子 雨月 201110
湯の宿の鏡のゆがみ梅雨の月 鶴見董子 末黒野 201110
演奏の果てし家路や梅雨の月 鈴木芙蓉 末黒野 201110
笑へない猫のさびしさ梅雨の月 松田都青 京鹿子 201111
梅雨の月己が所在の雲明り 稲岡長 ホトトギス 201112
きざはしを登りきつたる梅雨の月 稻畑汀子 ホトトギス 201206
そよりともせざる大樹に梅雨の月 稻畑汀子 ホトトギス 201206
木の間越しそして雲越し梅雨の月 布川直幸 201206
梅雨の月テレビに映る逃亡者 田中藤穂 あを 201208
黒猫とわたしに梅雨の月夜かな 河隅惠子 201208
濡れ場では姿を隠す梅雨の月 高橋将夫 201209
白秋の海へ滴る梅雨の月 中沢三省 風土 201209
ほんのりと杏色して梅雨の月 伊藤憲子 201209
寝そびるる目に窓よりの梅雨の月 占部美弥子 末黒野 201210
観音の馬頭顕に梅雨の月 占部美弥子 末黒野 201210
梅雨の月闇が匂つてをりにけり 高橋将夫 如意宝珠 201306
発火点低き父なり梅雨の月 あかさか鷹乃 ろんど 201309
黒雲の疾さ流れや梅雨の月 松本文一郎 六花 201309
煌煌と看取り帰りを梅雨の月 小田嶋正敏 末黒野 201310
朦朧体寄せ来る雲に梅雨の月 田尻勝子 六花 201310
老僧の浮くごと歩み梅雨の月 田岡千章 201312
母の忌やほどよく梅雨の月欠けて 半田稜 ろんど 201402
見よとかや今宵大きな梅雨の月 稲畑汀子 ホトトギス 201406
梅雨の月満ちゆく序曲奏でつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
また度数強める眼鏡梅雨の月 甲州千草 201408
自己嫌悪さらつてくるる梅雨の月 茂木なつ 春燈 201408
浅間嶺の雲の切れ間や梅雨の月 鈴木静恵 春燈 201409
空よりも湖にけざやか梅雨の月 間宮あや子 馬醉木 201409
照り降りの落着きたりしか梅雨の月 長崎桂子 あを 201409
梅雨の月ここぞとばかり奥に入る 鈴木初音 201409
ふと魂(たま)のぬける心地す梅雨の月 有松洋子 201409
雨上がり浮かべる梅雨の月まどか 中野久雄 末黒野 201409
ねむれずにくぐもる魚と梅雨の月 鈴鹿けい子 京鹿子 201410
梅雨の月選旬疲れの眼の痒し 松本三千夫 末黒野 201410
梅雨の月女世帯に男傘 中谷富子 201410
梅雨の月うすずみ色に野も山も 秋川泉 あを 201508
はいはいと重ねてさびし梅雨の月 熊川暁子 201509
草も木も雨に疲れて梅雨の月 藤岡紫水 京鹿子 201510
梅雨の月静かに触れてモノレール 上野紫泉 京鹿子 201510
矢返しの声かけ合ふや梅雨の月 石崎和夫 201510
居酒屋の込み合ってゐる梅雨の月 田中藤穂 あを 201608
燃え尽きて蝋の一涙梅雨の月 鈴鹿呂仁 京鹿子 201608
梅雨の月魔鏡と神鏡相照らす 高橋将夫 201608
梅雨の月潜水艦の浮上せり 森田節子 風土 201609
裏通り表通りに梅雨の月 森直子 あを 201609
詠み尽し黄泉へ発ちたり梅雨の月 久留米脩二 馬醉木 201610
軍艦を眠らせ梅雨の月円か 松本三千夫 末黒野 201610
雲間縫ひ漂ふ如き梅雨の月 中谷未知 末黒野 201610
打つ文字の心に遅れ梅雨の月 高橋道子 201610
梅雨満月金の薄雲かかりをり 田所節子 201708
梅雨月夜挿芽の菊の立ち揃ひ 千手和子 馬醉木 201708
梅雨明の月青々と石にあり 山田六甲 六花 201708
梅雨の月ちちの育てし松に添う 松井季湖 201709
梅雨の月そろそろ君と眠ろうか 松井季湖 201709
梅雨満月赤し不思議の起こりさう 近藤喜子 201709
梅雨満月掠めし雲の一つ三つ 高野昌代 201709
街路樹の影帯なして梅雨月夜 猿賀郁子 馬醉木 201709
嵩うすき紙人形や梅雨の月 高橋道子 201709
雲に入り雲を抜け出て梅雨の月 大石よし子 雨月 201709
にび色の雲をはらひて梅雨の月 秋川泉 あを 201709
うつそりと梅雨の満月浮かびけり 尾野奈津子 春燈 201709
亡き夫の思ひ出手繰る梅雨満月 長谷仁子 春燈 201709
白き蛾のしづかに昇り梅雨満月 小林愛子 万象 201710
梅雨満月梅雨を忘るるひかりかな 久保村淑子 万象 201710
いつも来る猫今日は来ず梅雨の月 石川裕子 万象 201710
湧く雲と流るる雲や梅雨の月 森清信子 末黒野 201710
摩天楼の玻璃上りゆく梅雨の月 正谷民夫 末黒野 201710
梅雨満月八百屋お七に追ひ抜かる 田岡千章 201712
梅雨の月満ちて犬山城下かな 稲畑汀子 ホトトギス 201807
梅雨の月音立てずゐて激る河 コ田千鶴子 馬醉木 201807
けものらの眠りを統べて梅雨の月 近藤暁代 馬醉木 201808
後から口笛のくる梅雨の月 頓所友枝 201809
仰のけば梅雨満月の雫かな 岩下芳子 201809
漆絵の精の抜け出す梅雨の月 中田禎子 201809
みどり児あやす翁の笑みや梅雨の月 茂木なつ 春燈 201809
病苦より逃れし一年梅雨の月 茂木なつ 春燈 201809
梅雨晴間ひと月戻る良き季候 大橋晄 雨月 201810
梅雨の月キャリーケースの音たてて 倉澤節子 六花 201810
雲潜るたびの明るさ梅雨の月 原友子 201811
漆喰の翳にじみだす梅雨の月 鈴鹿呂仁 京鹿子 201906
梅雨の月河口に近き街灯り 鈴木愛子 201908
梅雨の月病舎隔たるわが二人 岡田貞峰 馬醉木 201909
老犬と頬寄せ合ふや梅雨の月 山浦紀子 春燈 201909
空梅雨の月しらじらと上がりけり 小林文良 春燈 201909
ねんごろな町医も隠居梅雨の月 川村欽子 雨月 201909
枝も葉もつめし枇杷の木梅雨の月 秋川泉 あを 201909
梅雨の月手術終へたる眼に探す 田中藤穂 あを 201909
梅雨の月キミうわの空症候群 松井季湖 201910
梅雨の月 →2      

 

2023年7月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。