月 16     163句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
犬の亡き裏庭広し上り月 秋千晴 201402  
天心の半月白し明け初むる 植村よし子 雨月 201402  
ワインに酔ひ月に酔ひつつチチロ聞く 岡山敦子 京鹿子 201402  
ジャズバーへ下る石段月明かり 藤井美晴 やぶれ傘 201402  
朝月や焚火の煙のぼりゐて 白石正躬 やぶれ傘 201403  
月青く凍てて荒磯ばかりかな 遠藤真砂明 201403  
雲脱ぎて月輝けり湯葉の宿 吉田美智子 末黒野 201403  
篁に白き秋月渡りゆく 植村よし子 雨月 201403  
裏通り馬蹄の響き月の影 神田惣介 京鹿子 201403  
そこにある月は地球の友である 木村享史 ホトトギス 201403  
半月の白に昏れきし事始 大山文子 火星 201403  
細る月励まして満天の星 安原葉 ホトトギス 201403  
月の影濃くなる頃や北狐 玉田瑞穗 万象 201404  
笛吹き童子の揺らす三ヶ月恋御籤 清水美子 春燈 201404  
月明やたつぷりと振る育毛剤 戸栗末廣 201405  
身丈より月影長き浜辺かな 秋千晴 201409  
はんなりと砂山に置く月の暈 伊藤白潮 201410  
埋められぬ穴一つあり月の風 山田六甲 六花 201410  
くっきりと月中天に止まれり 赤座典子 あを 201410  
ゐさらひをゆたかに座せる月の縁 山尾玉藻 火星 201410  
雨あとを月の飾れる大樹かな 山田六甲 六花 201410  
口笛ひゆうい帰る無月の狸坂 井上石動 あを 201410  
月の出を待てる母子の小声かな 吉武千束 太古のこゑ 201411  
月代や申し分なく空晴れて 伊庭玲子 201411  
すこしなら妬心も媚薬月赤し 有松洋子 緑光 201411  
せかさるる事の多さよ夜半の月 江草礼 春燈 201411  
木の間よりもれくる月を見てをりぬ 長坂正昭 春燈 201411  
閉ざすには惜しき夜毎の窓の月 藤岡紫水 京鹿子 201411  
赤銅の月上がりゐる茸山 山尾玉藻 火星 201411  
枝はらひ月に触れたる杉木立 高松由利子 火星 201411  
ジンジャーの花や月明烟らする 林範昭 火星 201411  
土手に出て月みる人にまじりけり 白石正躬 やぶれ傘 201411  
まだ青き初穂は月の雫かな 小田里己 201411  
一人づつ攫はれさうな月の道 高倉和子 201411  
蒼天に溺れてゐたる昼の月 近藤喜子 201411  
月白の盆地の町となりゐたる 大崎紀夫 やぶれ傘 201411  
一川を湖へいざなふ月明り 石田きよし 201411  
月恋うて三光鳥のほいと啼き 山本喜朗 雨月 201411  
廉太郎の月中天に岡城址 碇天牛 雨月 201411  
上半月なれど満足雨雲に 伊庭玲子 201411  
灸花月に揺れゐしベンチかな 廣畑育子 六花 201411  
廬山寺の閂重し月明り 坂根宏子 201412  
頬染むる天体ショーの月赤き 飯田美千子 201412  
夜想曲ショパン聴きゐる月の宵 桂敦子 201412  
金色の鳳凰照らし月昇る 難波篤直 201412  
月清し流れ煌めく宇治の川 難波篤直 201412  
月に立ち母の面影重ねけり 水原春郎 馬醉木 201412  
寝つかれぬ窓にさし込み月の秋 吉田きみえ 末黒野 201412  
須磨寺に大きな月の出でにけり 藤生不二男 六花 201412  
新月や外湯に向かふ下駄の音 太田良一 末黒野 201412  
層をなす雲流れゐて月速し 野村重子 末黒野 201412  
身の丈をほどに生きゆく月ひとり 中野さき江 春燈 201412  
フルートの音の澄みわたり観月会 堀田清江 雨月 201412  
潮満ちし浮桟橋や野分月 古川夏子 201412  
茶柱や今日を占ひ月を待つ 久保東海司 201412  
ふるさとや名残りの月と潮の香 杉原ツタ子 201412  
西行の月待つ鷺と私と 高野昌代 201412  
月明にたつた一人の兄逝かす 高野昌代 201412  
恋知りてよりまなうらに月消えず 有松洋子 201412  
半月の少しふくらむ上枝陰 佐藤恭子 あを 201412  
ほかほかの湯上りの嬰昼の月 赤座典子 あを 201412  
照らされて我が身小さし月天心 佐藤弘香 ろんど 201412  
乗越して見知らぬ町の月に逢ふ 小林愛子 万象 201412  
月代や運河を上る黒き潮 寺沢千都子 万象 201412  
初めての月を畏るる赤子かな 紅谷芙美江 万象 201412  
無理もなきことなのかとも月うるむ 数長藤代 201412  
ほどほどを過ぎしも生きて夜半の月 折橋綾子 201412  
物干しに久米の仙人月眺む 中島芳郎 201412  
邪魔されずいざよふ月にとどきさう 天野正子 201412  
蝕の枷解き放たれて月皓々 大橋晄 雨月 201412  
何事もなきかに蝕の果てし月 大橋晄 雨月 201412  
月を待つ野点筵の湿りかな 森脇貞子 雨月 201412  
池の月散らして鯉の跳ねにけり 金森教子 雨月 201412  
父母の夢覚めたる窓に月のあり 中原吟子 雨月 201412  
琴の音に月の野点や鄙の寺 武生喜玖乃 雨月 201412  
月白や掛け声そろふランニング 浜口高子 火星 201412  
天心に定まりし月そらぞらし 山本耀子 火星 201412  
漉餡のかかる団子と月祀る 深澤鱶 火星 201412  
土管の中で鳴く虫月がきらいな虫 堀内一郎 堀内一郎集 201412  
猫飛び出せり月明の雑居ビル 藤田素子 火星 201412  
月明をひとつまみして盛り付けぬ 江濱百合子 火星 201412  
ネパールの森のはちみつ月登る たかはしすなお 201412  
母さんと思えば月の金魚かな 佐藤千重子 201412  
そのむかし朱雀大路のお月さま 火箱ひろ 201412  
月明り三角耳の影よぎる 火箱ひろ 201412  
ある日ふとどこかへ消えて月兎 火箱ひろ 201412  
一片の雲となりたる昼の月 藤生不二男 六花 201412  
出港や月のタラップ上りけり 島玲子 風土 201412  
逝くときは月待つ声の揃ひけり 鴨下昭 201412  
月上る鴨の塒の潦 浜福恵 風土 201412  
京の月浮かべ「誰が袖手水鉢」 田村すゝむ 風土 201412  
茜雲見返る月をおく木立 四條進 201412  
吉凶を想はせ月食赤い月 鈴木セツ 201412  
みちのくの旅の近づく夜々の月 安原葉 ホトトギス 201501  
仁王立ちせり暈月の外湯岩 平子公一 馬醉木 201501  
欠けてゆく月の歩みは佛みち 木村ふく 馬醉木 201501  
月の出と夜雲のはやし帰らねば 井上信子 201501  
有明の月明らけしけふも晴 谷口俊郎 201501  
折れさうな月のかかりし喪の帰り 宮崎裕子 春燈 201501  
雲居たち暫し見逸れる月の舟 山田佳子 201501  
月天心舞は佳境に入りにけり 松田明子 201501  
月赤し会へなき人と逢へさうな 森和子 万象 201501  
ゆつくりと出でて花野の月となる 安居正浩 201501  
月揚げて無限大なる駿河湾 樋口英子 201501  
稲架襖月に眠りを深くせり 樋口英子 201501  
冷まじや月を蝕む星に棲み 秋葉雅治 201501  
月代に黒松しかと立ちてをり 福永幸子 末黒野 201501  
杉山をはなれて月の高きかな 多方清子 雨月 201501  
鳰かづくたび薄れゆく昼の月 山尾玉藻 火星 201501  
地芝居の幕間長し昼の月 大石よし子 雨月 201501  
有明の月をよぎりて鷹渡る 大橋淳一 雨月 201501  
父もゐる母もゐる山月渡る 城孝子 火星 201501  
抱一の秋草のごと月を待つ 槇野あさ子 風土 201501  
月白や馬かたまつて戻り来る 浜口高子 火星 201501  
生きてゐる胸月明にぬれにけり 城孝子 火星 201501  
蝕抜けし月晴れ晴れと中天に 飛高隆夫 万象 201501  
海の月岬廻れば山の月 仙頭宗峰 万象 201501  
月捉ふとび色の瞳のひたぶるに 相沢有理子 風土 201501  
縁側に座布団二つ月を待つ 田村すゝむ 風土 201501  
篝火と月とが舞台照らしあふ 松田明子 201501  
お囃子に子ら踊りだす月あかり 山田春生 万象 201501  
熱の目に月の兎は留守らしき 前田貴美子 万象 201501  
白波へ真つ直ぐ月の珊瑚路地 當間シズ 万象 201501  
夜ごと解く月の纜舫ひ舟 すずき巴里 ろんど 201501  
一輪の花となりたり月滲む 志方章子 六花 201501  
滲みたる月老いたるかと思ふ 志方章子 六花 201501  
月明や生命をたたむ古都の屋根 桑名さつき ろんど 201501  
山間の湖面の月を砕く風 金田けいし ろんど 201501  
祭壇に遺影残して月を浴ぶ 古川忠利 ろんど 201501  
小面の細き声なる月明り 山田和 京鹿子 201501  
踏切の向かうの遠し月の道 佐藤弘香 ろんど 201501  
天災を知るや知らずや月すさまじ 佐藤弘香 ろんど 201501  
月欠くる速さに地球回りをり 竹田ひろ子 ろんど 201501  
隠堂畳を拭いて月を待つ 和田照海 京鹿子 201501  
深井面は門外不出のちの月 鈴鹿けい子 京鹿子 201501  
石山や月に帰心の夕鴉 澤近栄子 京鹿子 201501  
修羅を知る月の眼を誘ひぬ 藤井杏愛 京鹿子 201501  
気にすれば気になる月の北枕 藤井杏愛 京鹿子 201501  
櫨の実や仰げば淡き昼の月 中村ふく子 201502  
月も星も松虫草を濡らす野ぞ 河野美奇 ホトトギス 201502  
秋深きその夜月なく星もなく 今井千鶴子 ホトトギス 201502  
捨て印のごとき残月年暮るる 千田百里 201502  
月代や遠く雨戸を閉むる音 河合とき 末黒野 201502  
剥製の熊の牙むく月の宿 押田裕見子 201502  
繊月や会ふたび母の小さくなり 峰幸子 末黒野 201502  
昼の月われにふるさと柘榴の実 鴨下昭 201502  
忘れじの一景遙か月細る 北川孝子 京鹿子 201502  
古草を焚くや昼月烟るまで 森和子 万象 201502  
まんまるの月のかまくら今晩は ほんだゆき 馬醉木 201502  
中空に白き月上げ残り柚子 千手和子 馬醉木 201502  
月明かり海より窓に須磨の風 市川伊團次 六花 201502  
雨雲をぬぎすて新月三日かな 佐藤恭子 あを 201503  
何やかや柱に掛けしころの月 柴田佐知子 201503  
眉月を残して湖の暮迅し 金子野生 京鹿子 201503  
乾坤に無限の詩や月の秋 竹下陶子 ホトトギス 201503  
月親しひたと地球の影重ね 中村嚢介 ホトトギス 201503  
何事もなきかに蝕の果てし月 大橋晄 ホトトギス 201503  
一日の仕舞ひは月が見とどける 高橋将夫 201504  
月に叢雲日本に火山帯 高橋将夫 201504  
竜宮も月の都も古りにけり 高橋将夫 201504  
のちの月永田町に京大原に 梨地ことこ 船団 201505  
沈みゆく月ひそやかに明け初めし 水谷直子 京鹿子 201505  
この世には宿題多し夜半の月 石川賢吾 201504 月→1

2020年11月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。