2021年10月30日

冬 瓜 1     200句

黄昏の冬瓜おいと呼びたくて   森田緑郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬瓜をひと跳したる媼なり 山尾玉藻 火星 199809
冬瓜は河童の枕高枕 小川真理子 銀化 199811
乾坤に歪みてをりし金冬瓜 伊藤格 199902
冬瓜を食べ甘言に思われて 藤田守啓 船団 199902
茶髪ギャル冬瓜しらずアメリカン 三宅やよい 船団 199906
雲のいま真昼冬瓜畑かな 今木偉郎 199910
貰ひ来し冬瓜眺め暮しけり 城戸愛子 酸漿 199912
冬瓜のころがつてゐる留守の縁 椎名書子 199912
われものと書かれ冬瓜届きけり 山尾玉藻 火星 199912
あんかけの冬瓜に混ざる小えびかな 戸田春月 火星 200001
冬瓜も怖らく別の顔を持つ 星野早苗 空のさえずる 200002
十分の一に冬瓜配らるる 田中英子 火星 200002
冬瓜を食べ前生を思ひ出す 田中藤穂 水瓶座 200002
冬瓜の倒れてをりし湯ざめかな 奥田節子 火星 200004
止め椀の冬瓜のすまし風炉名残 佐野美智 200011
水掛けておく冬瓜の四半分 加古みちよ 火星 200011
冬瓜汁決めかねてゐて決めてゐる 杉浦典子 火星 200012
微熱あるやうに冬瓜ひん曲がる 飯塚ゑ子 火星 200012
冬瓜を割りし厨に日の残る 倭文ヒサ子 酸漿 200012
冬瓜の刀疵ありむかう脛 佐藤恭子 あを 200102
冬瓜の透きとおる日の鳩の声 成定紋子 船団 200102
親愛なる老猫冬瓜スリツパなど 池田澄子 船団 200105
中伏といふおんじきの冬瓜汁 岡井省二 200108
冬瓜割る空のすみずみまでしづか 滝沢環 京鹿子 200109
しんと冷たし冬瓜の水晶煮 岡淑子 雨月 200112
冬瓜の畑にをるも潮暦 岡井省二 200112
牛窓の冬瓜畑の日照雨かな 大山文子 火星 200112
亀石やごろり冬瓜横たはる 中島陽華 200201
濡縁に居据る冬瓜菩薩かな 小林共代 風土 200201
冬瓜は貰はずに来て悔少し 城戸愛子 酸漿 200201
かたくなに冬瓜の黙我の黙 宮倉浅子 遠嶺 200201
冬瓜を飾る靴屋のウインドウ 小西瑞穂 ぐろっけ 200205
冬瓜のくるり文福茶釜かな 梶浦玲良子 波小舟 200205
雨走る畑冬瓜の頭を洗ひ 岡本まち子 馬醉木 200208
一家言ありて冬瓜ころげをる 伊藤とら 雲の峰 200210
冬瓜のやさしき棘にさされけり 須佐薫子 帆船 200210
枕抱くごと冬瓜を手渡され 宮武美代子 ぐろっけ 200211
冬瓜ごろごろん真昼の山畑 伊藤トキノ 200211
透くるまで炊く冬瓜や母恋ひつ 前田陽子 200211
冬瓜のごろごろとあり直売所 須賀敏子 あを 200211
やめなはれ冬瓜の尻たたくくせ 川名将義 銀化 200212
冬瓜のふて寝を山雨叩きゆく 西村梛子 馬醉木 200212
冬瓜を五人で分けし調理法 安部美和子 ぐろっけ 200212
冬瓜や海鵜一羽のとまる岩 阿部文子 酸漿 200301
冬瓜を持参されたる志 桑田青虎 ホトトギス 200302
冬瓜の白き果肉を賽子に 須賀敏子 あを 200310
体内の呼び水とせむ冬瓜汁 伊藤白潮 200311
今日あたり冬瓜届きをらむかな 山尾玉藻 火星 200401
でくのばうとは冬瓜の採り残し 石平周蛙 対岸 200401
冬瓜の座して日日是好日なり 平山ちはる 百鳥 200401
冬瓜の墓石のごとく畑にあり 堀博子 火星 200402
冬瓜の出来を賞めては年酒酌む 山内須磨子 草の花 200403
よく冷えしを黄交趾に盛る冬瓜汁 林香燿子 200410
冬瓜におもての顔のありにける 雨村敏子 200410
トライするやうに冬瓜胸がかへ 伊藤白潮
夏果の胃の腑に冬瓜汁旨し 味村志津子 雨月 200411
冬瓜の頃のゑ子さんにこにこす 高尾豊子 火星 200411
淡泊を好みたる母冬瓜煮る 味村志津子 雨月 200411
冬瓜のごろりと太る昼の月 永嶋みね子 火星 200411
ともし火や手にしかとある冬瓜種 中島陽華 200412
冬瓜汁修羅場なかりしかに老境 北川英子 200412
冬瓜を抱へにこにこ知り顏が 佐藤喜孝 あを 200412
荒れ畑の冬瓜いつくしむ夕日 大沢美智子 200412
冬瓜をげば大地のかろくなる 宇都宮滴水 京鹿子 200412
苦笑ひの冬瓜値札を貼られたる 恩田甲 200501
冬瓜をあくまで立ててみる気なり 戸田和子 200501
冬瓜のとろみにからむえにしかな 柴田朱美 京鹿子 200501
冬瓜や海ゆく旅を恋ひゐたる 辻美奈子 200501
風吹けり見向きもされぬ冬瓜畠 田原陽子 200501
鎮座してをり冬瓜も消化器も 吉田明子 200502
立身の友みな疎し冬瓜汁 渡辺隆 遠嶺 200502
置捨てに冬瓜一つ霜だたみ 田野力 万象 200504
人生の後期に入る冬瓜汁 能村研三 200510
冬瓜の黙つて土間に置かれゐし 能村研三 200510
冬瓜汁腸の薬と出されけり 波田美智子 火星 200511
飽食の子に冬瓜のすまし汁 杉本綾 200511
冬瓜のおもて拭へば讃岐かな 雨村敏子 200511
そこだけが白き夜長の冬瓜畠 藤井昌治 200512
にこにこと冬瓜のこの肥りやう 雨村敏子 200512
冬瓜を抱き街道渡りゆく 大島翠木 200512
冬瓜のために座席をゆづりけり 吉田明子 200512
冬瓜の人を気にせず肥りけり 成井侃 対岸 200601
俎に余る冬瓜南無三法 舩山文 四葩 200601
冬瓜汁熱し大日如来かな 大島翠木 200601
冬瓜汁いとしみ日々を老いゆくか 大橋敦子 雨月 200601
冬瓜の笑ひ皺とも笑窪とも 高橋将夫 200601
冬瓜のつるつるとして売られけり 人見靖子 対岸 200601
除け者のやうにごろりと冬瓜置き 西村しげ子 雨月 200602
冬瓜の大きが土間に種物屋 原田しずえ 万象 200602
冬瓜のころげて荒るる蝦夷の庭 野村信子 四葩 200602
冬瓜の飴掛ぬくし気も温くむ 先崎きくよ 酸漿 200604
夢の世に冬瓜生えてきたりけり 本多俊子 さくらの音 200605
冬瓜を炊いて足るてふ京女 稲畑汀子 ホトトギス 200610
冬瓜の蔓天王山に向ひをる 植木戴子 200610
小枕ほどの冬瓜を買ふ道の駅 赤座典子 あを 200611
冬瓜に老いのてのひらたのみけり 戸田和子 200611
庭の木の大き冬瓜抱へをり 島崎勇作 酸漿 200611
戸隠山とがくし飯綱山いひづなも暮れ冬瓜汁 村本真由美 遠嶺 200612
冬瓜を抱いて愛しきもの遠し 辻直美 200612
正座解き分別の世の冬瓜汁 松本きみ枝 遠嶺 200612
冬瓜汁とろりと食べ寿 稲次登美子 雨月 200612
冬瓜の箸にほろりと母の郷 松本きみ枝 遠嶺 200612
冬瓜の括れに包丁入れてをる 植木戴子 200612
冬瓜に人近くきて笑ひけり 雨村敏子 200612
電話鳴るいま冬瓜の仕上げ中 田原陽子 200701
冬瓜を貰ふ袋を都合せり 吉田明子 200701
冬瓜を持て余したるひとりかな 田村愛子 万象 200702
冬瓜の中よりこども抱きあげし 百瀬七生子 海光 200705
無事といふこと冬瓜汁熱きこと 伊藤白潮 200709
秋立つや冷やして美味き冬瓜汁 上原重一 200710
あつあつと冬瓜吹いて夏痩せて 浜口高子 火星 200710
冬瓜の表も裏も撫でらるる 近藤きくえ 200710
冬瓜のとろりと母の恋ほしけれ 大橋敦子 雨月 200710
熱々でなければ冬瓜汁でなし 佐々木秀子 200711
風通し良きをほめらる冬瓜汁 佐々木秀子 200711
冬瓜や足洗ひ水置かれあり 中島陽華 200712
独り居に冬瓜ひとつをもて余し 上原恒子 雨月 200712
雨ごもるすきとほるまで冬瓜煮て 蘭定かず子 火星 200712
冬瓜のわがもの顔にありにけり 長沼紫紅 200801
冬瓜をいつ切らうかとまた見やる 秋千晴 200801
真二ツに冬瓜を割る大局観 延広禎一 200801
冬瓜の置きどころなく置かれけり 長沼紫紅 200801
冬瓜の太り過ぎたる憂ひかな 川口襄 遠嶺 200801
冬瓜の思はぬ重さありにけり 長沼紫紅 200801
冬瓜のおしろひ指でさはりけり 大島翠木 200801
世話役のゐて冬瓜の貰はるる 藤井佐和子 200802
だんまりを通す冬瓜土間の隅 伊東恵美子 馬醉木 200802
明日夫はCTスキャン冬瓜汁 成宮紀代子 200810
冬瓜汁うましと夫の老いにけり 伊東恵美子 馬醉木 200810
冬瓜の生身にずばと刃を入れる 塩路隆子 200810
老医師の言にやすらぎ冬瓜汁 山喜久子 馬醉木 200811
勾玉のごとき冬瓜抱きけり 石寒太 炎環 200812
冬瓜を煮ては遺影を見てしまふ 中田みなみ 200812
冬瓜をラガーのやうに抱えたる 横井明子 200812
とろとろと頃合よろし冬瓜煮る 北川とも子 ぐろっけ 200901
冬瓜の影冬瓜をゆりゐたる 笹村政子 六花 200901
ゆるゆると冬瓜を煮る水を煮る 千田百里 200901
冬瓜ごろりふくよかな膝の上 高橋将夫 200902
冬瓜汁毎夜仕立てて自愛かな 滝川あい子 雨月 200902
冬瓜の豚のはだへに似るよすが 佐藤恭子 あを 200903
冬瓜を食ひ鼻面をこする馬 中島玉五郎 200908
月代の冬瓜畑の傍ゆけり 山尾玉藻 火星 200909
山の端に白き月あり冬瓜汁 杉浦典子 火星 200911
切売のもう冬瓜と呼べぬなり 相良牧人 200912
今日も又冬瓜眺め終るなり 早崎泰江 あを 200912
冬瓜の包丁しかと啣へたり 北岸邸子 春燈 200912
冬瓜や埴輪手を上げ口開けて 大島翠木 200912
冬瓜の煮物乾きし唇へ 篠原まどか 炎環 200912
冬瓜のどつしり縁に南洲忌 鈴木鳳来 春燈 200912
世辞云ひしばかりに冬瓜攻めに遭ふ 佐藤山人 201001
解熱にと病臥の妻に冬瓜来る 笹倉潤 ホトトギス 201001
冬瓜を貰ひて開く料理本 坂本知子 酸漿 201001
冬瓜ごろんとレム睡眠に入りたる 高橋将夫 201002
自己主張なき冬瓜のごろりかな 能美昌二郎 201003
冬瓜の黙秘を語りさうな晴れ 田中貞雄 ろんど 201003
安心あんじんをもつて冬瓜を跨ぐなり 水野恒彦 201009
生き方を変へることなし冬瓜汁 小野口正江 末黒野 201010
縄十字冬瓜重りしたりけり 石脇みはる 201011
冬瓜のほとけに出会ふ当尾かな 雨宮桂子 風土 201011
あつあつを吹く大椀の冬瓜汁 田中藤穂 あを 201012
売れずをりいびつ冬瓜ふて寝かな 前川明子 201012
冬瓜汁うやむやといふ逃げどころ 栗原公子 201012
冬瓜の転がるたびに傷増やす 小林朱夏 201012
人面の冬瓜買つてしまひけり 伊藤希眸 京鹿子 201101
冬瓜のごろりごろりと屋敷神 水野加代 万象 201102
うかうかと冬瓜太る畑の隅 村上絢子 馬醉木 201102
冬瓜の中は明るい星座かも 服部郁史 京鹿子 201102
しみじみと冬瓜の滋養白き味 角谷美恵子 ぐろっけ 201110
夜の浅き畑にころがる冬瓜かな 山尾玉藻 火星 201111
金輪際本音は吐かぬ冬瓜汁 篠田純子 あを 201112
冬瓜のやうなごろ寝をしてみたし 七田文子 201112
冬瓜汁とろりと傘寿ののどをゆく 鎌倉喜久恵 あを 201112
冬瓜を生みおとしたるおばばかな 佐藤喜孝 あを 201112
地震が来て冬瓜汁の具が踊る 丸山酔宵子 かさね 201201
冬瓜や濡れ手でめくる料理本 上林富子 やぶれ傘 201201
勘定の合はぬを合はせ冬瓜汁 成田美代 201201
悩み事聞く冬瓜の後頭部 服部早苗 201201
冬瓜や大人も少しづつ育つ 辻美奈子 201201
冬瓜もらふ胸の辺からむねのへん 齋藤厚子 201201
冬瓜の声を発せばバリトンか 安居正浩 201201
冬瓜に大き夕日のあたりけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201201
胃にやさし冬瓜の味妣の味 杉本綾 201202
カレー煮てをれば冬瓜の届きけり 松澤美惠子 201203
寂しきはひとりの夕餉冬瓜汁 大松一枝 201211
冬瓜の喉に程よき風呂上り 宮崎左智子 201211
冬瓜を両手に受けて笑ひけり 三輪慶子 ぐろっけ 201212
冬瓜を旨しと思ふわが齢 水原春郎 馬醉木 201212
冬瓜に置くかなしみの滑り落つ 辻美奈子 201212
冬瓜に厨の床を乗っ取られ 大日向幸江 あを 201212
ころがりて冬瓜畑に威を張れり 山本麓潮 万象 201212
呵呵大笑す苦瓜も冬瓜も 雨村敏子 201301
だらだらと大事な話冬瓜垂る 伊藤紀子 ろんど 201301
露寒の冬瓜の蔓引きちぎる 南うみを 風土 201302
退院の娘へ熱き冬瓜汁 亀田やす子 ははのこゑ 201306
次の世もその次の世も冬瓜たり 山尾玉藻 火星 201310
冬瓜を傍らに置き落ち着きぬ 安居正浩 201311
所望せし冬瓜抱いて妻戻る 水原春郎 馬醉木 201311
冬瓜や何はともあれ半分に 竹内悦子 201311
冬瓜の丸みを撫ぜて月を待つ 原田しずえ 万象 201312
冬瓜の小鍋に透ける水品煮 松田和子 201312
冬瓜 →2      

 

2021年10月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。