年 越    84句

髪染める母の燈にゐて年を越す    高島茂

年越  年越蕎麦

作品
作者
掲載誌
掲載年月
事故車輌そのまゝ田にて年を越す 永野秀峰 ぐろっけ 200003
年越すや若き日恋ふる涙もて 林翔 200102
果せざる約束ひとつ年を越す 品川鈴子 船出 200104
事故車輌放置のままに年を越す 永野秀峰 ぐろっけ 200104
年越やトラック車庫に整列し 福田みさを いろり 200202
生きのぶることの余儀なき年を越す 綿谷美那 雨月 200203
石片を宝に持ちて年越せり 村越化石 200204
コンビニで年越の声聞きにけり 篠田大佳 あを 200301
病む姉の一憂持ちて年越えぬ 岡田和子 馬醉木 200303
シヨベルカー川の底にて年を越す 上原一郎 築港 200303
いそがしき我が家年を越しにけり 谷合青洋 酸漿 200303
六日年越みぎれいに欅立つ 大野英美 風土 200304
子を連れて年越にゆく父の家 土田栄 200304
年越の祓ポマード匂ひけり 大山文子 火星 200403
年越えてなほよき黄なり木守柚子 阿部ひろし 酸漿 200403
年越の寝息きこえる映画館 林裕美子 六花 200403
旅の子の電話受けつつ年を越す 塩田博久 風土 200403
年を越す失念多々もよしとして 豊田都峰 京鹿子 200403
図書館を出る年越しの本抱え 達山丁字 200404
鉄鍋に油なじませ年を越す 梅村よし子 200404
紙吹雪舞ひ年越の歌果つる 沼口蓬風 河鹿 200503
暗礁の隠れたるまま年を越す 高崎武義 200512
年越の豆も食べずに逝きにけり 竹内悦子 200601
年越しの蒟蒻掘つて母が国 淵脇護 河鹿 200603
年越の庭の蜜柑を捥ぎにけり 中里信司 酸漿 200603
年越しの門灯一つ消しにけり 重本文子 百鳥 200604
戸袋の中なる闇も年を越す 若井新一 200604
賽の目の一を表に年越せり 松本文一郎 六花 200605
水溜り跨ぐが如く年越せり 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200606
裸木となりて年越す二本かな 滝沢伊代次 万象 200612
白鷺に年越す枝のありにけり 深澤鱶 火星 200703
今まさに年越す月と思ひ見る 青木陽子 酸漿 200703
年越せり片道切符乗り継ぎて 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200703
特攻の友年越せり二十のまま 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200703
旧暦のやさしき年を越しにけり 深澤鱶 火星 200703
文音の付け句留めて年を越す 品川鈴子 ぐろっけ 200801
また年を越すまぼろしの瓢箪池 池田澄子 200801
ぐらぐらの歯の一本と年を越す 伊藤白潮 200802
年越ゆる鐘楼へ手を取られけり 鈴木榮子 春燈 200803
赤き実を残して拘杞の年越せり 松崎鉄之介 200803
中国医の埋め鍼をして年越せり 松田邦子 200803
アンコール聞かずに年越の電車 倉持梨恵 200804
病抜けせし身と言はれ年を越す 泉田秋硯 200804
喪籠りや蓬髪のまま年を越す 伊藤康子 ぐろっけ 200804
年越は深大寺蕎麦かぐろきを 水原春郎 馬醉木 200902
盗難車あはれ空き地に年を越す 林翔 200902
塾の灯のなほ皓々と年を越す 窪田粧子 馬醉木 200903
大忘れしたるごとくに年を越す 野澤あき 火星 200903
年越の弥撒や司祭の声低し 江草礼 春燈 200904
年越しのローカル線に人なくて 小澤正信 200904
飲み薬減ることもなく年を越す 伊藤康子 ぐろっけ 200904
もう死ぬと言ひふらしては年を越し 瀧青佳 ホトトギス 200907
年越しの舌よろこばす安酔米 布川直幸 201001
年越はきざみ柚子乗すにしんそば 赤座典子 あを 201002
年越や大地の音色掃き寄せて 松原仲子 201003
駅前の牛の電飾年を越し 仁平則子 201003
子ともめる年越蕎麦のゆで加減 前田玲子 ぐろっけ 201004
年越や眉太き僧紅潮す 秋千晴 201101
年越しの茅の輪にほつれ二た三すじ 中島霞 ぐろっけ 201102
年越しそば食べにおいでと妻の声 高橋大三 ぐろっけ 201103
反物のままに年越伊予絣 宮﨑高根 201104

ダウン氏症とは

「永遠の子供」と呼ばれ年越すか

成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
年越しの美酒の香残る朝の水 丸山酔宵子 かさね 201203
何もかも遣り掛けの儘年を越ゆ 品川鈴子 ぐろっけ 201301
柿の実も取らで年越す古屋かな 池内とほる かさね 201401
ボールペンみな色かすれ年を越す 藤岡紫水 京鹿子 201403
年越のサーカス小屋の深眠り 甕秀磨 201404
重ね持つ病は三つ年を越す 吉村摂護 201406
年越してしまひし二三ありぬべし 稲畑汀子 ホトトギス 201501
金柑の回青してや年越ゆる 瀬川公馨 201503
八ヶ岳年越す夕日とどめけり 鈴木静恵 花こぶし 201508
竜角散のんで年越すこととせむ 上原重一 201603
古希越えて迎ふる年の下着買ふ 池田友之 夏雲 201603
座右の銘の「運鈍根」と年を越す 望月晴美 201604
一掬の個人情報越年す 木戸渥子 京鹿子 201604
歯の治療つづきのありて年を越す 稲畑汀子 ホトトギス 201612
子に先を越され年逝く老二人 穐好樹菟男 馬醉木 201702
夕雀合唱曲で年を越す 高木晶子 京鹿子 201703
箸一膳洗ひながらに年越せり きくちきみえ やぶれ傘 201703
年越しは温泉宿に夢のごと 石森理和 あを 201703
年越ゆる五体くるしむこともなく 須賀敏子 あを 201703
何ひとつ変はることなく年を越す 今井千鶴子 ホトトギス 201705
越年す鬱と言ふ字にルビを打ち 井尻妙子 京鹿子 201804
稿債も簡単に年越しにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201901
年越しの眼球といふ水溜り 安田優歌 京鹿子 201903
少しだけ爪切つて年越しにけり 増成栗人 201903
一病と共に永らへ年越しぬ 両角富貴 末黒野 201904
迷ひ事抱へながらも年を越す 押田裕見子 201907
年越の鬼追ふ錫杖延暦寺 奥田茶々 風土 202004
年越や良きも悪しきも湯気の中 柴田靖子 202102
北にむかふ車のライト年越して 稲田延子 やぶれ傘 202103
熱盛の年越蕎麦を囲みけり 松橋利雄 春燈 202203

 

2022年12月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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