鳥雲に 5       136句

疎開の荷けふも行くなり鳥雲に   高島茂   草の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
追ふこころ追はるるに似て鳥雲に
鷹羽狩行
201004
鳥雲に入る喪草履のまた出番
山仲英子
201004
寺田屋を見上ぐ舷鳥雲に
大山文子
火星
201005
マジョリカの壺の歳月鳥雲に
大嶋洋子
春燈
201005
長明の方丈を訪ふ鳥雲に
山田夏子
雨月
201005
アビイ・ロード・スタジオ残る鳥雲に
服部早苗
201005
鳥雲に師より着物を譲らるる
加藤はな野
201006
鳥雲に葬りに向かふ旅鞄
笠井敦子
201006
ていねいに降りるきざはし鳥雲に
田部なほ子
201006
レコードの針飛んで鳥雲に入る
村戸弥生
万象
201006
同業のつひに破産や鳥雲に
木杉千保子
万象
201006
鳥雲にそしてその後のストーリー
北川英子
201006
くつきりとチーズに歯形鳥雲に
荒井千佐代
201006
出会ひとは別離のはじめ鳥雲に
船越美喜
京鹿子
201006
鳥雲に峡は出てゆく道ばかり
亀井福恵
京鹿子
201006
鳥雲にわれは海の子磯魚取る
安立公彦
春燈
201006
鳥雲にひたすら回る木馬かな
宮崎紗伎
春燈
201006
鳥雲に安房へ航路となりにけり
落合絹代
風土
201006
吾が里は遥か浜名湖鳥雲に
村上美智子
雨月
201006
島原に残る大門鳥雲に
加古みちよ
火星
201006
鳥雲に女出で来る輪違屋
加古みちよ
火星
201006
鳥雲にははのかたちにははの骨
水野恒彦
201007
鳥雲によき往生と思ふなり
小形さとる
201007
波音は風のささやき鳥雲に
近藤きくえ
201007
市内一番の標高鳥雲に
安食守
201007
背の赤子寝入りし重み鳥雲に
中村文夫
201007
花街の昼しづまりぬ鳥雲に
佐藤凉宇子
ろんど
201007
ディズニーランドの城の尖塔鳥雲に
矢口笑子
春燈
201007
赤き実と青き実を食べ鳥雲に
鳳蛮華
201007
土ならす腰を伸ばすや鳥雲に
白石正躬
やぶれ傘
201008
鳥雲にひとり遊びの自在鍵
小形さとる
201104
硼酸に綿を浸すや鳥雲に
雨村敏子
201104
絶筆の一句に献杯鳥雲に
大木清美子
201104
保ちゆく自分の歩幅鳥雲に
田中藤穂
あを
201104
鳥雲にスペイン硬貨児にやらむ
阪本哲弘
201105
絶壁の風のうなりや鳥雲に
葺石鈴代
馬醉木
201105
かがなべて七国山や鳥雲に
神蔵器
風土
201105
龍之介木登りの空鳥雲に
能村研三
201105

 長崎二十六聖人 

殉教の幼き足や鳥雲に

高倉和子
201105
鳥雲にロザリオ繰りつ母逝きし
荒井千佐代
201105
何も彼も夢であればと鳥雲に
中村喜美子
春燈
201106
サヨナラと子らの人文字鳥雲に
柴崎甲武信
春燈
201106
祈る手の苔のかたち鳥雲に
藤原若菜
春燈
201106
鳥雲に小高き丘のプチカフェ
金森涼
春燈
201106
らふそくは昼を灯せり鳥雲に
戸栗末廣
火星
201106
ことごとく墓碑に頭のあり鳥雲に
深澤鱶
火星
201106
還暦のロックンローラー鳥雲に
藤田素子
火星
201106
母にこゑ似てきたるらし鳥雲に
天谷翔子
火星
201106
鳥雲に無事に帰るを祈る空
谷村幸子
201106
鳥雲に銅山へ向く山の墓地
大木茂
万象
201106
明日のこと見ゆる怖さや鳥雲に
福永尚子
ろんど
201106
亡きひとにかかる電話や鳥雲に
浜福惠
風土
201106
線で消す電話番号鳥雲に
田中藤穂
あを
201106
聳え立つ多摩の教会鳥雲に
菅野日出子
末黒野
201107
みちのくの空の重たし鳥雲に
吉澤恵美子
春燈
201107
しじまとふ安心ありて鳥雲に
千田敬
201107
鳥雲に地震の安否を問ふ電話
野口喜久子
ぐろっけ
201107
鳥雲に御陵の濠の色深し
大橋晄
雨月
201107
曲がつても折れずに生きて鳥雲に
高橋将夫
201107
墨継ぎの筆に息とめ鳥雲に
久保東海司
201107
一物も無き水面なり鳥雲に
中田禎子
201108
外国に子は住まひけり鳥雲に
坂上じゅん
かさね
201201
鳥雲に取りに行けない忘れもの
樽井明子
京鹿子
201201
鳥雲に父の最期の髪を剃る
苑実耶
大河
201203
街中に風の一陣鳥雲に
松岡利秋
かさね
201204
鳥雲に皆うつむける木偶頭
山尾玉藻
火星
201204
鳥雲に入るやさびしき土踏まず
中野あぐり
春燈
201205
鳥雲に廃炉といふも生きつづけ
北川英子
201205
瓦礫とふ山の彼方に鳥雲に
千田敬
201205
余震とも予震とも鳥雲に入る
藤原照子
201205
入汐はさびしきものと鳥雲に
佐藤喜孝
あを
201205
鳥雲に唇乾くひとり旅
野坂民子
馬醉木
201206
京近江水のしがらみ鳥雲に
中村嵐楓子
春燈
201206
奪はれぬものが故郷鳥雲に
柳川晋
201206
ちちははの天寿宜ひ鳥雲に
岡部玄治
201206
鳥雲にバス折り返す「耶蘇落し」
荒井千佐代
201206
鳥雲に遺跡といふも穴五つ
林昭太郎
201206
すれちがふ貨車のリズムや鳥雲に
工藤ミネ子
風土
201206
買ひ置きの切手減りゆく鳥雲に
生田恵美子
風土
201206
鳥雲に濡れて鉄路の続きをり
生田恵美子
風土
201206
首の肉あらぬ起重機鳥雲に
小川玉泉
末黒野
201206
蓮華坐の露仏の伏目鳥雲に
岡野里子
末黒野
201206
あてどなく拾ふ貝殻鳥雲に
田中佐知子
風土
201207
城址より見ゆる生家や鳥雲に
落合絹代
風土
201207
とまり木てふ居所のありて鳥雲に
小林美登里
かさね
201207
鳥雲に骨を正して柩へと
柴田佐知子
201207
途絶えゆく船場の言葉鳥雲に
野口喜久子
ぐろっけ
201207
鳥雲に絶筆となる未完の句
史あかり
ぐろっけ
201207
右書きの艦名みかさ鳥雲に
小川玉泉
末黒野
201207
灯台の海知り尽くし鳥雲に
森清信子
末黒野
201207
製材の木の香の著く鳥雲に
高橋明
末黒野
201207
川筋を大きく逸れて鳥雲に
鳳蛮華
201208
鳥雲に父母住みし家壊さるる
北崎展江
くりから
201209
踊り場で変る軸足鳥雲に
林昭太郎
あまねく
201210
鳥雲に捨つるを老いの目途として
酒井秀郎
返り花
201211
カレンダー発つ日記さず鳥雲に
大内幸子
六花
201212
一族の終の板碑や鳥雲に
亀井紀子
201301
鳥雲にジャングルジムに子がひとり 城台洋子 馬醉木 201305
鳥雲に忘れられたる忠魂碑 伊藤百江 春燈 201305
はやすぎる異議なしの声鳥雲に 吉田政江 201305
ややありて孫の返事や鳥雲に 黒澤登美枝 201305
鳥雲にハモニカの音遠くより 田中藤穂 あを 201305
鳥雲に老いたるわれを夫知らず 山村幸苑 馬醉木 201306
さまざまな別れありしよ鳥雲に 大嶋洋子 春燈 201306
鳥雲に突堤行けるところまで 田中佐知子 風土 201306
無造作な仕草となりし鳥雲に 石脇みはる 201306
揚げたてのポテトチップス鳥雲に 竹内悦子 201306
パイ皮の淡く崩るる鳥雲に 高田令子 201306
木つ端仏のまなじり長し鳥雲に 原田達夫 201306
鳥雲に畑に光れる貝の殻 涼野海音 火星 201306
サーカスのテント張る波止鳥雲に 藤本千鶴子 火星 201306
鳥雲に潮騒からむ松林 松本三千夫 末黒野 201306
不安なき日本海なれ鳥雲に 片岡良子 雨月 201306
外つ国に逝きし悲しみ鳥雲に 水谷靖 雨月 201306
鳥雲に六方ふみつつ降りる幕 松本アイ ぐろっけ 201307
鳥雲に円周率を口ずさむ 木村ふく 馬醉木 201307
しろがねの考のタイピン鳥雲に 杉山哲也 馬醉木 201307
捨て難きものを処分や鳥雲に 加藤良子 春燈 201307
鳥雲に行く末といふ責負ひて 藤丸誠旨 春燈 201312
切り出せる竹の群青鳥雲に 山本耀子 絵襖 201404
鳥雲に入る山襞の深さかな 岡部名保子 馬醉木 201404
高台に島の灯台鳥雲に 神田美穂子 万象 201405
鳥雲に下駄の鼻緒の切れしまま 渡部恭子 馬醉木 201405

 伊代治先生ここに眠る

ふるさとを彼方に墓標鳥雲に

小林愛子 万象 201406
ポケットに封書一通鳥雲に 池田光子 風土 201406
指折りて帰り来ぬ人鳥雲に 大石よし子 雨月 201406
乱れずに来た道が道鳥雲に 鎌田悟朗 ろんど 201406
人気絶えし古格の御堂鳥雲に 齋藤晴夫 春燈 201406
石清いしきよさん中清なかきよさん亡し鳥雲に 菅野蒔子 末黒野 201406
切り離す返信はがき鳥雲に 林昭太郎 201406
鳥雲に入るや世界を手放して おーたえつこ 201406
まだ刻む夫の時計鳥雲に 服部早苗 201407
泊船の亭午の汽笛鳥雲に 森清堯 末黒野 201407
温室に下がる錠前鳥雲に 松井倫子 火星 201407
捨つる気の帯の手ざはり鳥雲に 井浦美佐子 201407
玄界灘の波おだやかや鳥雲に 岡本ヨシエ 末黒野 201407
鳥雲に→ 6      

 

2021年4月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。