焚 火 5       200句

とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな   松本たかし   松本たかし句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
枯菊を折りては焼べる焚火かな ことり 六花 201011
焚火するつもりばかりに終りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201012
焚火して波遠ざけてをりにけり 片山由美子 201012
ごみの日や落葉の焚火遠くなり 遠藤実 あを 201101
をみなとて焚火囲めば狩の歌 塩路隆子 201102
住みがたき世や焚火にもある規制 水原春郎 馬醉木 201102
一僧のうしろを通る焚火かな 浅田光代 風土 201102
焚火かなけものはとほく輪をつくり 西村純太 201102
秋の浜焚火の跡のありしのみ 内海保子 万象 201102
男の焚火赤錆の一斗缶 蓮尾みどり ぐろっけ 201102
末つ子はいつまでも居る朝焚火 林哲夫 ぐろっけ 201102
ポップコーン遠巻にする昼焚火 長崎桂子 あを 201102
折れ曲がりきたる焚火の煙かな 大島英昭 やぶれ傘 201102
ドラム缶から火の手が上がる焚火かな きくちきみえ やぶれ傘 201102
焚火の輪放棄田の芯音たてて 鴨下昭 201103
夕焚火髪をほどけば火の匂ひ 荻野加壽子 万象 201103
焚火守闇の深さを測る眼に 山本無蓋 201103
夜焚火や年守る尻の入れかはり 城孝子 火星 201103
注連作社に小さき焚火して 大塚民枝 酸漿 201103
参拝の客喜ばす大焚火 難波篤直 201104
焚火して人の輪山の木霊の輪 長山あや ホトトギス 201104
燃えさしの焚火を無断借用す 千田敬 201104
炊出しの人を集めてゐる焚火 山田佳乃 ホトトギス 201105
草木の月日燃えゆく庭焚火 長山あや ホトトギス 201105
上げ船に海女の総出や磯焚火 福田禎子 末黒野 201105
焚火跡人類ここに誕生す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
そむけたる面輪に写る焚火かな 浅井青陽子 ホトトギス 201106
焚火する生命線を温めて 秋千晴 201106
生死の境越えて手かざす春焚火 中村喜美子 春燈 201106
自転車を止めて加はる春焚火 織田高暢 201107
行終へし僧に馳走の大焚火 コ田千鶴子 花の翼 201111
未来ある君に焚火の秀の高く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
消防車二台侍らせ川焚火 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
焚火焚く人類ここに誕生す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
恒例の焚火の準備して旅に 稲畑汀子 ホトトギス 201112
海の闇むらさきに燃え浜焚火 鳥居おさむ ろんど 201112
雪の上に金の炎のとぶ焚火 大橋桜坡子 雨月 201112
焚火せし匂ひを纏ひをりし席 稲畑汀子 ホトトギス 201201
焚火して風の方向定まりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201201
残る子も焚火の影に耐へてをり 鴨下昭 201201
少年の焚火の爆ぜて輝きぬ 池田光子 201201
沖荒れて焚火を囲む漁夫の黙 川崎真樹子 春燈 201201
墓守りに焚火匂ひの孫が蹤き 中田みなみ 201201
夜焚火や赤松の幹てらてらと 瀬戸悠 風土 201201
句帳焼く焚火にあらね手をかざし 定梶じょう あを 201201
ゆくりなき焚火の馳走奥嵯峨野 藤見佳楠子 201202
浜焚火潮さび声の大漁節 松岡和子 201202
大焚火滝を逆さに流すかに 松本信子 かさね 201202
大焚火メラメラ昇り竜のごと 田中きみ子 かさね 201202
生木焼べ勢ひ鎮める浜焚火 久染康子 201202
いきいきと話すごとくに焚火の焔 黒澤登美枝 201202
焚火の輪うしろ身温め話しをり 吉村さよ子 春燈 201202
一堂が考える輪となる焚火 山本孝子 ろんど 201202
切株の泡立つ杣の焚火かな 宮井知英 201203
焚火して夜の真髄に触れゐしか 熊川暁子 201203
焚火の始末して大藪の風の音 生田作 風土 201203
三日はや小磯に残る焚火跡 松下八重美 夢見の鐘 201203
なつかしくなりて焚火に近づけり 高倉和子 夜のプール 201203
波音の戻りてきたる焚火あと 高倉和子 夜のプール 201203
朝市の焚火に熱きふるまひ鍋 粟倉昌子 201204
大焚火風土記の国の闇を焼く 熊川暁子 201204
舞ひ上がる落葉の焚火薄煙 柳田皓一 かさね 201204
男等の黙し手かざす焚火かな 柳田皓一 かさね 201204
焚火猛れば海峡の闇深む 荒井千佐代 201204
缶焚火薪投げ込んで出漁す 田中佐知子 風土 201204
焚火かこむ海女の昼餉の艶話 川井素山 かさね 201206
ぬめる田の土に蛇綱を待つ焚火 大竹淑子 風土 201206
焚火の焔村に蛇綱の衆老いぬ 大竹淑子 風土 201206
焚火の輪人間臭き人ばかり 松田都青 京鹿子 201206
大きくも小さくもなき庭焚火 布川直幸 201211
火の神に水献上し焚火終ふ 布川直幸 201212
焚火して紙漉く里の客迎ふ 笹村政子 六花 201212
書斎まで焚火の匂ひ持ち帰る 塩路五郎 201301
脛よりも白き流木磯焚火 久染康子 201301
集まれば焚火始まる父の家 河崎尚子 火星 201301
夕昏れて焚火匂はす野辺静か 羽賀恭子 201301
海すでに闇となりたる焚火かな 荒井千佐代 201302
傷口のやうなり昨夜の焚火跡 福島茂 201302
浦に流離の仏を祀り磯焚火 浜福惠 風土 201302
朝市のふるさと訛り大焚火 佐山五稜 風土 201302
縄文のかほ弥生のかほ焚火して 定梶じょう あを 201302
笹酒を振舞はれつつ大焚火 塩路隆子 201303
遠巻きの焚火のぬくみ己が影 鴨下昭 201303
焚火して風の煽りに眉焦がす 渡辺安酔 201303
焦げて良し堅くもうまき焚火芋 菊地崇之 かさね 201303
早暁や漁船迎ふる浜焚火 菅野日出子 末黒野 201303
脱ぎすてて一塊の焚火の香 甕秀麿 201303
野良焚火珍らし地名の続く旅 松木アイ ぐろっけ 201303
身支度の大工が囲む朝焚火 斉藤裕子 あを 201303
見て通りかへりも焚火見て通る 定梶じょう あを 201303
一員に迎へ入れけり浜焚火 和田紀夫 201304
おくつきへ焚火の香る深大寺 内藤静 風土 201304
山の辺の道の始めの焚火かな 大崎ナツミ 雨月 201304
手のひらを見せて焚火を囲みけり 矢野百合子 201304
焚火いま藷の匂ひに変りけり 安原葉 ホトトギス 201305
遅れ来し客に焚火の名残あり 安原葉 ホトトギス 201305
聖護院行者と隣り焚火の輪 佐用圭子 201305
恒例の庭の焚火に揃ふ顔 小田ひろ ホトトギス 201306
夫々の想ひ投ぜし焚火かな 稲岡長 ホトトギス 201306
焚火してだんご虫歴二年あり 火箱ひろ 船団 201306
煙より炎に代はる焚火かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201401
無辜われら囲ふ焚火の竹が爆ず 定梶じょう あを 201401
天に炎をあげ寒泳の浜焚火 遠藤真砂明 201403
一斉に拳開きぬ浜焚火 安斎久英 末黒野 201403
牡丹焚火火付の役を畏みて 手島伸子 雨月 201403
何の実か夕焚火より弾けしは 町上杳 201403
焚火してより人の輪の親しけれ 中嶋昌子 春燈 201403
旅先の入れて貰ふや焚火の輪 吉川隆 春燈 201403
旅先の焚火を囲む景に入る 甕秀麿 201403
鉋屑火付け鎮守の焚火とす 丸井巴水 京鹿子 201403
小さき児の小さき望みや焚火燃ゆ 松田都青 京鹿子 201403
朝月や焚火の煙のぼりゐて 白石正躬 やぶれ傘 201403
夜の焚火ここには美男美女ばかり 柳川晋 201403
日の出待つ漁港にドラム罐焚火 島谷征良 風土 201404
犬が舌曝す然らば大焚火 柳本渓光 末黒野 201404
芋焼けし匂ひ漂ひそむ焚火 安原葉 ホトトギス 201406
焚火して降り来る灰を浴びてをり 奥田温子 やぶれ傘 201406
焚火に木加へ時間を加へたる 蔦三郎 ホトトギス 201406
ホイールで包みし芋を焚火へと 有賀昌子 やぶれ傘 201406
戻り来し夫に焚火の匂ひかな 天谷翔子 201406
流れ来しものを加へて川焚火 天谷翔子 201406
焚火中繩の苦悶のよりもどす 堀内一郎 堀内一郎集 201412
庭師来て焚火奉行を司る 稲畑汀子 ホトトギス 201501
小山田に藁焼く焚火暮れ残る 齋藤晴夫 春燈 201501
言ひ足りぬこともあらうに焚火消ゆ 内山照久 201501
頬骨を摩り焚火の輪にをりぬ 生田恵美子 風土 201503
節くれし手の揃ひたる浜焚火 横田晶子 風土 201503
裏庭に法度の筈の焚火跡 野村鞆枝 京鹿子 201503
焚火して残り火といふ時の中 柳川晋 201503
向上心焚火の中に放り込む 宮崎高根 201503
童顔のかく美しき焚火かな 安西信隆 201503
わが胸裡揺すられしまま焚火果つ 安西信隆 201503
砂山のごときが三つ焚火跡 安西信隆 201503
焚火守独りの貌を照らし出す 生田恵美子 風土 201504
扮装の義士は焚火の輪に和む 久保東海司 201504
ドラム罐に風穴七つ大焚火 鈴木鳳来 故山 201505
ひき際が大事と焚火離れけり 下平しづ子 雨月 201505
蛸壺の転がってゐる焚火かな 住田千代子 六花 201505
おつとりと焚火上手でありし父 白神知恵子 女坂 201508
焚火消えて真如の闇となりにけり 木下夕爾 春燈 201508
二度潜く海女に焚火の種残す 室伏みどり 雨月 201508
皆の眼が水平線へ缶焚火 平野無石 201508
手拍子に始まる宴浜焚火 渡部恭子 馬醉木 201510
耿々と関東平野焚火見ず 秋葉雅治 201511
日の名残空に焚火の始めかな 中根美保 風土 201602
焚火越し交はす言葉に年歩む 広田貞治 風土 201602
焼べ足して一時(いつとき)衰ふ浜焚火 久染康子 201603
涙目となりて焚火を離れけり 高倉和子 201603
夜焚火に燗して供すかつぽ酒 田代民子 201603
おほかたは沖を見てゐる焚火かな 山本則男 201603
手を尻に当てて語らふ焚火かな 野口希代志 やぶれ傘 201604
浜焚火はるかな漁場へ目を凝らし 原友子 201604
女童の狐の化粧缶焚火 荒井和昭 201604
浜焚火してゐて遠流めきにけり 岩岡中正 ホトトギス 201606
いじめないで焚火の種が怒りだす 寺田良治 船団 201612
二十人焚火の匂ひ纏ふ句座 稲畑汀子 ホトトギス 201701
庭焚火囲めば思ひ出の中に 稲畑汀子 ホトトギス 201701
人声の田畑の中の焚火より 磯野しをり 雨月 201702
刈込みの後の焚火にしばし寄る 永井惠子 春燈 201702
寺焚火ときに五欲の炎あげ 熊川暁子 201703
焚火する固くさびしき土のため 有松洋子 201703
焚火から愛の生まれし二つ影 平野多聞 201703
焚火して燻製色の顔と貌 大沼遊魚 201703
屑昆布焼べる香もこそ浜焚火 玉田瑞穂 万象 201703
後退りしながら抜ける焚火の輪 根橋宏次 やぶれ傘 201703
そこここの畑に焚火の煙かな 渡邊孝彦 やぶれ傘 201703
背をまるめ猿が焚火に寄り来る 有賀昌子 やぶれ傘 201703
子育ても終へて焚火を育てをり 中山皓雪 201703
客二三はや庭に見え焚火待つ 安原葉 ホトトギス 201704
焼べる文胸に焚火を待つ女 安原葉 ホトトギス 201704
湿りたる焚火跡より暮れて来し 柴田佐知子 201703
密談のごとく焚火を囲みけり 高倉和子 201703
福相の古老がひとり焚火番 永淵惠子 201704
流木の燃る匂や浜焚火 土江比露 春燈 201704
時分どき焚火を育て棟梁たり 中川句寿夫 ここのもん 201705
手拭を首に頭に浜焚火 小林朱夏 201705
一年の集大成となる焚火 稲畑汀子 ホトトギス 201712
焚火してその子の凧を仰ぐ父 水原秋櫻子 馬醉木 201801
闇に浮く焚火の顔の般若面 大矢恒彦 201802
焚火して河内言葉の輪の親し 磯野しをり 雨月 201802
町会の地蔵詣での朝焚火 磯野しをり 雨月 201802
流木に燃え移りたる浜焚火 岩木茂 風土 201802
段取りの了へし棟梁庭焚火 高木春夫 201802
にんげんに表や裏や焚火の輪 原友子 201803
山眠る杣の焚火の煙立ち 谷村祐治 雨月 201803
頼りなき煙まづ上げ焚火かな 今橋眞理子 ホトトギス 201804
春焚火目に沁みにけり父のこと 広渡敬雄 201804
焚火より戻りて父の匂ひとも 高倉和子 201804
神々も焚火するらし山落暉 夏生一暁 馬醉木 201805
うぶすなの焚火に知らぬ人ばかり 山本則男 201806
祈り終へし手の集まれる大焚火 岸洋子 201806
掃き寄せて畑の隅の焚火かな 高倉和子 201806
命とは焚火のやうなものであり 高橋将夫 201902
フラメンコダンサー出番待つ焚火 有松洋子 201903
頬つぺたを赤く染めたり夕焚火 今村千年 末黒野 201903
うら成りの南瓜はふる畑焚火 南うみを 風土 201903
焚火の香好きよと婆のまた来たる 中貞子 201903
登校の子供送りし焚火あと 中貞子 201903
流木をあつめ浦曲の初焚火 浜福恵 風土 201904
焚火してふと口ずさむ愛唱歌 藤田美耶子 201904
焚火 →6

 

2021年2月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。