颱風 1     100句

人生の台風圏に今入りし    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
台風を払ひ意気充つ千々石湾
能村登四郎
199811
雲仙のみごと台風そらせ立つ
能村登四郎
199811
朝の虹完全無欠台風来る
松崎鉄之介
199811
颱風の駆けりし庭を何としよ
世良静枝
雨月
199811
この町に泊つ台風に追ひつかれ
宮津昭彦
199811
仏蘭西の櫛奪はるる台風に
品川鈴子
ぐろっけ
199811
台風に相搏つ背高泡立草
有働亨
馬醉木
199812
台風神に抗ふ車窓雨の弾丸
林翔
199812
開かざる傘の蒿堆群(にほむら)台風下
林翔
199812
きりきりとレモンをしぼる台風眼
古屋元
199812
台風の余波に変りし海の色
熊野雅子
円虹
199901
台風や虎が獲物を追ふやうに
村田冨美子
京鹿子
199901
台風のことなく過ぎて点る町
増田富子
馬醉木
199902
台風の吹き飛ばしたる陶器市
吉村玲子
船団
199903
指組んで聞く台風の死者の数
中林明美
ヒッポ千番地
199905
台風の近づいてくる静寂かな
稲畑汀子
ホトトギス
199909
台風の空のつづきでありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
199909
台風の割込んで来し予定かな
稲畑汀子
ホトトギス
199909
台風に明日と明後日託さねば
稲畑汀子
ホトトギス
199909
台風の旅路どこかですれ違ふ
稲畑汀子
ホトトギス
199909
台風のあとの信号まつすぐに
吉野裕之
199909
台風の来るてふ雲の疾さかな
保坂加津夫
いろり
199909
台風の爪痕見つゝ伊賀越えし
稲畑汀子
ホトトギス
199910
颱風と出遇ふは帰路でありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
199910
あきらかに台風通り抜けし跡
稲畑汀子
ホトトギス
199910
建前も本音もなくて台風来
保坂加津夫
いろり
199910
巨杉を将棋倒しに台風禍
品川鈴子
ぐろっけ
199910
台風が墓と古杉を根こそぎに
品川鈴子
ぐろっけ
199910
広島忌うごかぬ台風海にあり
川勝春
馬醉木
199911
台風の目の中パンの耳を切る
小枝恵美子
ポケット
199911
台風の来てをり鹿の糞ころころ
杉浦典子
火星
199912
台風の来ぬ間に去なん島の朝
高濱朋子
円虹
199912
台風の目に入り荒尾梨落つる
西山胡鬼
京鹿子
199912
台風の過ぎ行く空の夕明かり
高野清風
俳句通信
199912
台風のあとの青空磨きたて
津田このみ
月ひとしずく
199912
構へゐし時台風の素通りす
三瀬教世
円虹
200001
台風の目の中女釘を打つ
松下幸恵
六花
200002
遠い灯を吹き寄せている台風圏
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
颱風裡山脈という蝶番
塩見恵介
虹の種
200005
台風に向ひし雲の早さ見し
稲畑汀子
ホトトギス
200008
台風の進路刻々問ふ旅路
稲畑汀子
ホトトギス
200008
船に乗る台風の余波追ふ如く
稲畑汀子
ホトトギス
200008
台風のかけらも失せて旅の朝
稲畑汀子
ホトトギス
200008
台風や予定今から変へずとも
稲畑汀子
ホトトギス
200009
台風に向かふ旅程となりしこと
稲畑汀子
ホトトギス
200009
台風の名残り朝顔市に吹く
小林螢二
春耕
200009
台風の最中の松のふるる音
稲畑汀子
円虹
200010
台風一過すしもうどんも蝋細工
中原幸子
遠くの山
200010
台風の倒せしまゝの鉢おこす
久保田一豊
いろり
200010
台風の進路に気をもむ葱畠
小川花久
いろり
200010
牛の背に台風一過の雲一つ
阿部寒林
200010
台風と闘ひし傘携へて
木暮陶句郎
ホトトギス
200011
台風の余波につまづく地下出口
加古みちよ
火星
200011
名月や大台風の沖を過ぐ
神蔵器
風土
200011
台風のはるかとなれり高尾晴
阿部ひろし
酸漿
200011
颱風のそれたる街の大欅
唐沢静男
春耕
200011
増上寺千体地蔵の台風禍
保坂加津夫
いろり
200011
台風がわたしの背なを押してくる
熊谷みどり
いろり
200011
台風にさらはれ逝くも浮世かな
柴田美佐子
いろり
200011
台風に閉じこめられてシューベルト
藤原紅
いろり
200011
蜂が地を這ふ台風のつぎつぎに
飯塚雅子
200012
七月の台風にそふ旅路あり
稲畑汀子
ホトトギス
200107
地震怖れゐしが台風まで来ると
稲畑汀子
ホトトギス
200107
七月の台風とあなどりてゐし
稲畑汀子
ホトトギス
200107
天気図の端の台風よりの雨
稲畑汀子
ホトトギス
200109
こののちの天気台風一過かな
稲畑汀子
ホトトギス
200109
台風と出合ふ海路もわが旅路
稲畑汀子
ホトトギス
200109
台風をともかく逃れ来たる航
稲畑汀子
ホトトギス
200109
この航の先に台風来つゝあり
稲畑汀子
ホトトギス
200109
ひよめきのひこひこひこと台風裡
瀬戸悠
風土
200109
台風に追はるる旅となりゐたり
水原春郎
馬醉木
200110
台風の前の静けさ鶸鳴けり
海上俊臣
酸漿
200110
颱風の目の盲たる歩きやう
中原道夫
銀化
200110
身ほとりのものみな匂ふ台風裡
青山茂根
銀化
200110
林火忌の颱風西にとどまれり
松崎鉄之介
200110
台風下ゆらぐ樹なびく樹尖る屋根
林翔
200110
台風圏に入ると機長の声おだやか
北川英子
200110
散歩する台風一過心地よく
木戸波留子
いろり
200110
台風一過夫婦ゲンカのようであり
桑原敏枝
いろり
200110
颱風の過ぎ雉鳩の雛孵る
森理和
あを
200110
台風の去りて紅蓮の入日雲
伊藤一枝
酸漿
200111
台風の気配するなか姉見舞ふ
柴田美佐子
いろり
200111
台風過文字のにじみし封書かな
竹川美佐子
いろり
200111
台風のそれし安堵もつかの間に
侭田伊都希
いろり
200111
行き会ひの西空眩し颱風過
松本米子
あを
200111
颱風来埋もれし骨の徘徊す
篠田純子
あを
200111
なすすべもなしや台風過ぐる待つ
高橋照子
雨月
200111
帰国機の着地に拍手台風下
菅谷弘子
雨月
200111
台風の進路またもや故郷に
谷口ふみ子
雨月
200111
風台風遮ぎる森は俺の親爺
相原左義長
海程
200111
月下美人台風余波の雨の中
松崎鉄之介
200111
蝋燭や颱風過ぎるまで家族
波多洋子
銀化
200111
台風圏藁屋根に縄襷掛け
棚山波朗
春耕
200111
颱風下肉一キロは重過ぎる
泉田秋硯
200112
台風の過ぎて黒子の一つ増え
田辺レイ
200112
台風の過ぎたる風の街歩く
橋本佐智
円虹
200112
台風の眼は泥の鯰かな
男波弘志
200112
颱風の外れたる犬の目でありぬ
伊藤多恵子
火星
200112
煙めき台風の雨奔流す
林翔
200112
台風の前触れの風昼下がり
二瓶洋子
六花
200112
颱風 2→      

 

2021年9月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。