1   200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
贈られし大文字焼の炭かをる 能村登四郎 199809
炭の尉黄泉をわがもの顏とせず 中原道夫 銀化 199812
しづけさに加はる跳ねてゐし炭も 鷹羽狩行 199901
添へ乳妻炭の火種のたからもの 丸山海道 京鹿子 199901
年の炭札所の庭に積んであり 皆川盤水 春耕 199902
火掻棒炭より焦げてゐたりけり 野中亮介 馬醉木 199902
鴨下げて夜更けの父へ売炭屋 皆川盤水 春耕 199903
彼岸寒ボルガは夕の炭熾こす 朝妻力 俳句通信 199905
竹炭に竹の斑のある雨水かな 今木偉郎 199906
炭七輪の備へもありて万愚節 竹部千代 199907
炭山にげんのしょうこの花のみち 高浜年尾 ぐろっけ 199907
炭火はね初釜の座のほぐれたる 金國久子 青葉潮 199907
菊割れの出でし茶炭や雲の峰 山路紀子 風土 199910
馬といて炭馬のこと語るもよし 金子兜太 海程 199910
炭継ぎて胸の奥処にしまふこと 江頭信子 馬醉木 200001
持ち崩す身とは粉炭にも劣る 中原道夫 銀化 200001
備長炭買うて天王寺ワッソかな 城尾たか子 火星 200002
息荒き炭馬雪の市に着く 皆川盤水 春耕 200002
旅の夜の炭火は赤し朴葉味噌 田中藤穂 水瓶座 200002
奥那須の露店切炭並べ売る 金升富美子 200003
寒凪や室の津炭屋蔵修す 大野英美 風土 200003
通されてしばしひとりや炭跳ぬる 大見川久代 馬醉木 200003
侘助や庵に古りし炭の壺 中川冬紫子 春耕 200004
立つたまま底ついてをり炭俵 仲村菜花 200005
花莚昏き炭火を囲みゐて 田中佐知子 風土 200007
秋風や木炭を持つ手に香り 笠学 船団 200009
炭負ふ乙女きらりと汗の美しき 阿部寒林 200010
赫々と土用鰻を焼く炭火 安陪青人 雨月 200011
炭坑の長屋の跡や秋桜 登嶋弘信 春耕 200012
海鳴りや炭火を中に話し継ぐ 岡田万壽美 俳句通信 200012
月代の瓶に竹炭浮いてゐる 浜口高子 火星 200012
焼藷の諸の形の炭となる 岡田万壽美 俳句通信 200012
十能の炭火が華のごと走る 山尾玉藻 火星 200101
椎茸へ塩一振りの炭火焼 渡美知子 200101
切り口を揃へ水屋の櫟炭 芝宮須磨子 あを 200101
嬉しくて炭火に甘く豆煮ゆる 清水結化 いろり 200102
選炭婦ひと休みして手毬撞く 皆川盤水 春耕 200103
マニキュアの指もてつぎし桜炭 吉川智子 200103
手焙の炭のくづるる風の音 江頭信子 馬醉木 200105
泥炭の燃ゆる煖炉に待たれゐし 泉田秋硯 200105
しづけさに加はる跳ねてゐし炭も 鷹羽狩行 十三星 200105
虜囚なほみちのくに棲み炭を継ぐ 福原實 海程 200106
手あぶりの炭火の灰を崩し居る 保坂加津夫 いろり 200107
ふかく妻の腕をのめり炭俵 能村登四郎 200108
滝見茶屋暗みに炭火撥ねてをり 南うみを 風土 200110
炭火見るさも尊きを見るごとく 能村登四郎 羽化 200110
贈られし大文字焼の炭かをる 能村登四郎 羽化 200110
お旅所の納屋に積まるる炭俵 渡辺政子 春耕 200202
夕間ぐれ炭に火のなき匂ひかな 堀川夏子 銀化 200202
炭をつぐ火箸は環に繋がるる 栢森定男 あを 200202
芹生谷戸嫗は嫗とて炭俵編みに 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
風花や作務僧運ぶ炭俵 皆川盤水 春耕 200202
炭を継ぎつつ句の縁をたぐり寄す 品川鈴子 ぐろっけ 200202
初釜やゆかしきものに炭の尉 鷹羽狩行 200202
炉開や香よりも炭匂ひけり 芝尚子 あを 200202
手囲ひは愛のかたちや炭火吹く 岡本眸 200202
一葉忌炭屋にいまも竹の炭 戸田喜久子 200202
炭火掻き立てはるかなる旅にあり 田村玲子 200203
頬染めて笑顔が囲む炭火焼 若本彰子 酸漿 200203
炭ついで静かな時を同じくす 関戸国子 酸漿 200203
桜炭切りて揃へて亥の子前 後藤比奈夫 ホトトギス 200204
炭あかあか鰤惜しみなく脂垂れ 大島寛治 雨月 200204
虚子の句を二三諳じ炭を焼く 小西石蕗 円虹 200204
炭を負ふ木曽の藁馬春浅し 椙山正彦 200206
粉炭の烟つてをりぬ朴の花 松本桂子 200207
寡黙もて母抗しけりさくら炭 峰岸よし子 200207
笹百合の根方に炭のひろげあり 浜口高子 火星 200209
八朔の炭火の色の組まれあり 山尾玉藻 火星 200210
割り炭にむつかしき顔集ひけり 中原道夫 銀化 200212
竹炭の節秋光をつまづかせ 佐藤みほ 200301
物足らぬ炭を貰へる火桶とも 後藤比奈夫 円虹 200301
竹炭を湯槽にしづめ湖畔荘 伊藤白潮 200301
菊炭の炎の透きとほり蕪村の忌 福嶋千代子 200302
聞き上手炭継ぐ間も頷きて 野坂民子 馬醉木 200302
吉良の忌や薬缶の中に踊る炭 関位安代 帆船 200302
数へ日を煮豆に敢へて炭使ふ 金升富美子 200303
炭火には刻ゆつくりと過ぎゆくよ 長山あや 円虹 200303
さくら炭母の世塵も美しき 湯橋喜美 200303
レンヂかな炭火焼餅なつかしみ 林翔 200303
炭をつぐ花芯の如く火種置き 小林もりゑ 200303
炭爆ぜてもろ手に重き志野茶碗 谷口みちる 200303
炭をつぐ母の背中の泣いてゐし 山田弘子 円虹 200303
義太夫を好む父なり炭を焼く 雲所誠子 帆船 200303
堅炭へ火種ふきつけ火花散る 榎本みや 築港 200304
たとふれば刻の追ひくる炭の音 水野恒彦 200304
大粒の星出揃ひし飾り炭 柴田佐知子 200305
炭ついでたつた一人の弟子を待つ 中野秀子 帆船 200305
梅探る熾る炭火のかぐはしく 南うみを 風土 200305
山中の炭の香強き夏炉かな 鷹羽狩行 200308
梅雨寒し竹炭入りし足湯かな 小池津や子 帆船 200309
手焙の炭たす夜や海の鳴る 太中幸子 200312
炭ついで炉中宇宙となりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200312
炭竈の注連大山の暮しぶり 山浦美代子 草の花 200401
松風や炭美しく熾りたる 岡本明美 雲の峰 200402
義経の位牌を拝す炭火かな 神蔵器 風土 200402
炭割つてどこかかげある女かな 太田寛郎 200403
しまひ湯に竹炭入れてありしかな 平田紀美子 風土 200403
炭を焼く煙壺中の天に入り 中野京子 200404
炭の出来叩き確かむ峡日和 吉武千束 200404
松毬のままも混じれる炭をつぐ 苑実耶 200404
しづかなる炭火や風を感じたる 片山タケ子 200405
炭小屋のかたはらに散り雪もみぢ 外川玲子 風土 200407
美しき炭の年輪雪加鳴く 渡辺嘉幸 帆船 200408
天使魚と備長炭の飾り棚 西山美枝子 酸漿 200410
炭坑節は遠し昼月梅雨晴間 荻野千枝 京鹿子 200410
盆踊忘れちやいない炭坑節 森理和 あをかき 200410
学問のさびしさに堪へ炭をつぐ 山口誓子 万象 200412
炭はぜて葱に飛びたり夜新し 細見綾子 万象 200412
秋刀魚焼く油の勢ひ炭火立つ 長村雄作 200412
炭売の帰る車に塩一俵 滝沢伊代次 万象 200412
炭俵焚く香正月法善寺 沢木欣一 万象 200412
鵙猛る備長炭の俵立つ 南奉栄蓮 風土 200501
一ト言をやんはり一言ひて炭をつぐ 滝沢伊代次 万象 200501
炭で焼く餅打ち返し打ち返し 木村茂登子 あを 200502
間伐の小楢を材に炭を焼く 上石哲男 築港 200502
炭継ぎて名の無きころを贋作家 野中亮介 馬醉木 200502
羽子板市炭火の匂ひいづこより 今瀬剛一 対岸 200502
炭熾る匂ひにつひのふたりかな 淵脇護 河鹿 200503
しまひ湯に竹炭入れてありしかな 平田紀美子 風土 200503
跳ね炭や歴史にのこす一冊子 小澤克己 遠嶺 200503
初釜や心ひきしめ炭洗ふ 鎌倉喜久恵 あを 200503
備長炭打てば昭和の音澄める 宮入河童 200504
炭籠を忍者のやうにはこびけり 吉田明子 200504
ことひとつ育む明日へ炭をつぐ 戸村よねこ 遠嶺 200505
備長炭掻くと心頭滅却し 本城布沙女 雨月 200505
炭の精の化身と現るる火の柱 本城布沙女 雨月 200505
眼を遣らる怖れ半ばに炭を掻く 本城布沙女 雨月 200505
燻り灰したたか被り炭掻ける 本城布沙女 雨月 200505
おのがじし掻きたる炭や春火桶 本城布沙女 雨月 200505
竈出しの備長炭に近づけず 大石よし子 雨月 200506
炭竈に残るぬくもり辛夷咲く 小橋末吉 対岸 200506
屠蘇注ぐや快の隙に炭火赤し 中村汀女 200507
君が子なる少女に炭火もてなさる 瀧春一 菜園 200509
炭火背に泳ぐすがたをみせし鮎 寺門丈明 あを 200509
炭火を見つめ亡兒のかげに言觸りつ 瀧春一 菜園 200509
炭の香も音もかそけく炉を開く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200510
三伏や炭蕎麦といふ黒き食べ 伊藤トキノ 200511
松茸や燃えて出でくる備長炭 東亜未 あを 200512
炭火にて秋刀魚焼き中すぐ帰る 小田元 六花 200512
炭尉となりしが話まだ尽きず 吉田かずや 春燈 200601
炭熾り茶釜しゅんしゅん独り言 三橋早苗 ぐろっけ 200602
猪鍋や炭の弾ける音の中 広渡敬雄 200602
木炭で男の子はバカと書き遺す 泉田秋硯 200603
炭跳ねて湯が沸くまでの割稽古 三橋早苗 ぐろっけ 200603
跳ね炭をよけし衿元匂ひけり 中田みなみ 200603
肉を焼く炭火赫赫と鰯起し 辻恵美子 栴檀 200604
赤々と炭火おこりて爆ぜにけり 河野政恵 酸漿 200604
炭竈の罅あらはなる雲雀東風 橋添やよひ 風土 200605
金属音たちて炭火の爆ぜにけり 松田有伽 河鹿 200605
炭をつぐ手を匂やかに返しけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200606
一八や炭負ふ人のやすみ岩 瀧春一 常念 200606
尾上にも炭燒くけぶり露寒し 瀧春一 常念 200606
夜の雪に炭炎々と掻き出せる 瀧春一 常念 200606
大根運び炭運びなど子の便り 瀧春一 常念 200606
山晴るる日は風花や炭を燒く 瀧春一 常念 200606
炭木樵る谺も絶えず炭を燒く 瀧春一 常念 200606
炭木割る金矢打つ音冴え返る 山形悦子 万象 200606
谷底に炭竈ふえて雪深し 瀧春一 常念 200606
炭燒に祭一と日や四手櫻 瀧春一 常念 200606
炭取りに出し妻の音吾が身の失 八田木枯 晩紅 200606
炭竈や月を燻して燃えつづく 瀧春一 常念 200606
早蕨やうからもてなす炭子宿 山形悦子 万象 200608
炭をつぐ手を匂やかに返しけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200612
もどりくるは母のことなり炭あかり 豊田都峰 京鹿子 200702
備長炭にあり若き骨の音 近藤喜子 200702
炭足して神事の能を待つ間かな 田中由喜子 馬醉木 200702
そぞろ火を恋ふ菊炭の菊文様 窪田佳津子 雨月 200702
池田炭グラム単位で売る老舗 北川光子 ぐろっけ 200703
菊炭と言ひねむごろに包み呉れ 西千代恵 雨月 200703
炭をもて日付書き込む炭袋 飛鳥由紀 200703
正月の満月のぼる炭子村 山形悦子 万象 200704
炭ついで七人句会始まりぬ 長沼紫紅 200704
むづかしき誰かれのゐて飾り炭 柴田佐知子 200704
修行僧炭火を運ぶ足真つ赤 佐藤山人 200704
峰越しの初日とどけり炭子宿 山形悦子 万象 200704
棒のままを叩きて茶事の炭買へり 小池八重子 200704
炭の香に心しづもる春夕 川合八重子 酸漿 200705
輝かずして白炭の鋼の音 守屋井蛙 酸漿 200705
山暮れぬ炭は燒くかれて炭竈に 瀧春一 200706
桐炭の熾る匂ひや母の里 尼嵩太一郎 ぐろっけ 200706
炭爆ぜて柱時計が鳴つて朝 木村享史 ホトトギス 200706
炭に似て笊に乾びし猪の肝 薮脇晴美 馬醉木 200706
錆鮎に炭の怒つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
一歩入るより炭匂ふ草の庵 稲畑汀子 ホトトギス 200712
炭つぎし父のこだはりなつかしく 稲畑汀子 ホトトギス 200712
炭をつぐ北の大地や岬寮 加藤克 200801
竹炭に罅入る音や余寒なほ 森田節子 風土 200801
雨あがり炭たつぷりとつぎにけり 数長藤代 200802
炭のよく熾されてあるしづけさよ 太田寛郎 200803
鰯売炭火に焼く香流しをり 大房帝子 酸漿 200804
残り火に炭つぎ足して友迎ふ 久永つう 六花 200804
物置の母の手編みの炭俵 山形悦子 万象 200804
我が怠惰詰るがごとく炭の爆ぜ 中原敏雄 雨月 200804
炭をつぎ鬼待つ左京消防団 浅田光代 風土 200804
炭をつぐ背にありし冥利かな 松本きみ枝 遠嶺 200805
初春の切口しかと飾炭 後藤比奈夫 ホトトギス 200806
あかあかと炭火を煽り山女焼く 中村悦子 200808
妻子等と睦めば炭の減ることよ 伊藤白潮 200810
炭をつぐこと炎昼の鍛冶やかな 定梶じょう あを 200810
今在りて門火の炭を拾ひけり 黒杭良雄 ホトトギス 200812
炭 →2

 

2022年12月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。