水中花 2            164句

水中花咲かせしまひし淋しさよ   久保田万太郎   草の丈

作品
作者
掲載誌
掲載年月
帰り来て先づ水を足す水中花 内藤三男 ぐろっけ 200311
水中花水の命を咲かせけり 長山あや ホトトギス 200312
水に色もらひ鮮やか水中花 今井千鶴子 ホトトギス 200312
水中花ビー玉おはじき那智の石 中田禎子 200312
水中花家に朽ちゆくものあまた 山元志津香 八千草 200402
文庫本ばかりの書架に水中花 鷹羽狩行 200406
水中花水に沈まぬ一ところ 稲畑汀子 ホトトギス 200407
水中花咲かせて向かふ夜の稿 櫻井幹郎 百鳥 200407
みどり子の足に母の名水中花 加藤峰子 200408
眼の奥に疲れ残りぬ水中花 清水節子 馬醉木 200408
百日の黙契水と水中花 岡本眸 200408
シェーカーの音小気味よし水中花 朝妻力 雲の峰 200408
水中花われは逆子で生まれ来し 山田六甲 六花 200408
抽斗の底より目覚め水中花 品川鈴子 ぐろっけ 200408
水を得て銀の泡吐く水中花 品川鈴子 ぐろっけ 200408
死ぬほどの恋もなかりし水中花 千坂美津恵 200409
病室は禁酒禁煙水中花 水原春郎 馬醉木 200409
水中花水おそろしくなりにけり 大串章 百鳥 200409
日曜やトイレにも置く水中花 藤田さち子 対岸 200409
水に触れ満開となる水中花 野海衣子 築港 200409
水中花水をさまつて静止せり 野海衣子 築港 200409
二階には二階の暮し水中花 佐藤博美 200409
くれなゐは淋しき色よ水中花 長沼紫紅 200409
身より出し泡にたぢろぐ水中花 品川鈴子 ぐろっけ 200409
生き死にかかはりなくて水中花 宮地れい子 春燈 200410
ビールジョッキの中の幸せ水中花 秋岡朝子 200410
余生なほ楽しく生きむ水中花 大房帝子 酸漿 200410
水中花閉ぢこめられてゐる自由 塩川雄三 築港 200410
水中花想ひ遠くへ凝らしをり 田中藤穂 あを 200410
水中花ときにかなしさ見せにけり 長沼紫紅 200410
灯ともせば色あふれさせ水中花 長沼紫紅 200410
昼は昼のかなしさを見せ水中花 長沼紫紅 200410
灯ともせば色七色の水中花 長沼紫紅 200410
よき句座にありて赤しよ水中花 長沼紫紅 200410
ひとり居に刻の濃くなる水中花 加瀬美代子 200410
紅い花好きな子と見る水中花 高浜礼子 ホトトギス 200411
水中花つと薄紅のあぶく揺れ 高浜礼子 ホトトギス 200411
海風のとどく窓辺や水中花 高浜礼子 ホトトギス 200411
引き沈む夜市の灯色水中花 岡田順子 ホトトギス 200411
灯の角度水の角度や水中花 有働清一郎 ホトトギス 200411
一人呑み一人寝る夜の水中花 富阪宏己 ホトトギス 200411
水中花しだいに水の意のままに 富阪宏己 ホトトギス 200411
水中花ワインの彩に染まりけり 富阪宏己 ホトトギス 200411
水替へて影新しき水中花 本郷桂子 ホトトギス 200411
星のなき窓は退屈水中花 本郷桂子 ホトトギス 200411
水中花窓辺の星に吐く噂 本郷桂子 ホトトギス 200411
開くこと踊ると見し子水中花 脇牧子 ホトトギス 200411
子はすぐに興味の外へ水中花 脇牧子 ホトトギス 200411
子離れのつもり机上の水中花 脇牧子 ホトトギス 200411
逆らはず例へば水中花のやうに 内藤悦子 ホトトギス 200411
日本の水うるはしき水中花 竹下陶子 ホトトギス 200411
此の頃の気儘な暮し水中花 藤木和子 ホトトギス 200411
珍しく夜の客あり水中花 藤木和子 ホトトギス 200411
水中花パリーは朝といふ電話 藤木和子 ホトトギス 200411
飽きらるる月日に咲きて水中花 山下美典 ホトトギス 200411
祝杯をあげる居酒屋水中花 山口正秋 ホトトギス 200411
水中花三連勝のタイガース 山口正秋 ホトトギス 200411
雨三日つづきぬ我も水中花 秋千晴 200411
陣痛のクライマックス水中花 片山タケ子 200411
水中花留守番の子に開きけり 大串章 百鳥 200411
水中花いつか含羞捨ててをり 滝本香世 百鳥 200411
水中花数多咲かせて竜宮よ 鈴木愛子 ぐろっけ 200411
シンクロの妙技見てゐる水中花 堀百合子 200412
花よりも水の疲れし水中花 平野静 京鹿子 200412
水中花埃浮かんでをりにけり 足立幸信 200504
水中花赤より主張始めけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200506
膨れつつふくれつつ水中花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200506
夜の地震ことに長くて水中花 櫨木優子 200508
少年の首すぢ白き水中花 米澤光子 火星 200508
水中花余白の多き日記かな 芝尚子 あを 200508
水中花に懐きし泡の光りをり 高橋ちよ 200509
玄関を出入るに見つむ水中花 広田和子 200509
悲しみの極みて笑ふ水中花 高倉和子 200509
水中花カーテンの影淡くあり 浅田光喜 対岸 200510
溜息か泡ぷくぷくと水中花 木内美保子 六花 200510
文だけの淡き交はり水中花 平居澪子 六花 200510
水中花いまは男も細面 安居正浩 200510
ひとりとは自由不自由水中花 宮尾直美 200510
延命の是非を問ひたる水中花 坂井文繪 200511
花びらに泡とどまりぬ水中花 柿澤喜三郎 百鳥 200511
水中花息するごとく水濁す 柿澤喜三郎 百鳥 200511
水中花水に命を貰ひけり 川崎光一郎 京鹿子 200511
水中花咲かせしまひし淋しさよ 久保田万太郎 春燈 200603
水中花更けて夜雨となりにけり 岡本眸 200606
電話なきひと日の黙や水中花 白澤よし子 馬醉木 200609
水中花水の重みにひらきけり 城孝子 火星 200609
待ち暮らすことあるごとし水中花 青山丈 200609
煌たるに音なき夜の水中花 宮尾直美 200609
水中花花の図鑑になかりけり 友田直文 200610
赤坂に暮らせし月日水中花 佐藤博美 200610
偽りの盛装として水中花 川崎光一郎 京鹿子 200610
手際良く家事をこなして水中花 福島松子 ぐろっけ 200610
本積めば隠れてしまふ水中花 野路斉子 200610
生くるとは遺さるること水中花 野崎真一 200610
あざやかに己咲かしめ水中花 濱地恵理子 200610
水中花水濁らぬは淋しけれ 濱地恵理子 200610
水中花水に抱かるる事に倦み 和田照子 200611
水中花大きい声をおさへをり 舩越美喜 京鹿子 200611
水中花眺めつ注射受けにけり 磯野しをり 雨月 200611
夜は夜の色もて開き水中花 木内憲子 200611
色淡きこと惜しみなき水中花 桑田青虎 ホトトギス 200612
溜息をつけぬ哀しみ水中花 ことり 六甲 200612
水中花ルルドの水をすこし足す 荒井千佐代 200612
椅子二脚置きて事務所や水中花 松崎豊 200705
男またぎて女出てゆく水中花 松崎豊 200705
水中花われは日暮の浴槽に 高野万里 200706
水中花涙たまれば揺れにけり 小林朱夏 200708
深窓の令嬢も死語水中花 森一枝 八千草 200708
ひとり居に溺れさせたる水中花 奥田順子 火星 200709
なり切つてしまふ怖さの水中花 松田都青 京鹿子 200709
自らは揺るることなき水中花 高田令子 200709
水中花うなづく事もままならず 水成玲子 春燈 200709
検査着の裄丈合はぬ水中花 中尾杏子 200709
ぼんやりと見をり机上の水中花 中村輝子 酸漿 200709
隙間なき雨音夜の水中花 高倉和子 200709
死の前に橋を渡りし水中花 東亜未 あを 200709
水中花女の唇の明るさに 水野恒彦 200710
水中花ねぢつて使う万年筆 吉岡一三 200710
身のほどを知るは幸せ水中花 藤岡紫水 京鹿子 200710
溜息も悦びも聞き水中花 山口順子 馬醉木 200710
散り際を知らぬあはれや水中花 土屋啓 馬醉木 200710
足し水にすこし向き替ふ水中花 西口万佐子 200711
水中花揺らし小遣ひねだりをり 今井忍 ぐろっけ 200712
水中花踊り続ける赤い靴 横内かよこ ぐろっけ 200712
溺れない振りはしんどい水中花 山元志津香 八千草 200712
水中花いつまでも咲く子なき家 品川鈴子 自選100句集 200805
旅に出るので水を足す水中花 青山丈 200806
水中といふ程でなき水中花 青山丈 200807
無為の刻またよしとせむ水中花 山岸治子 馬醉木 200808
もも色の欠伸出て来る水中花 栗栖恵通子 200808
花の名をつけて貰へぬ水中花 松田千枝 春燈 200808
水中花明日あるために美しく 岸風三樓 200808
地震の夜のたちまち褪せる水中花 伊藤希眸 京鹿子 200809
屈葬のかたちで泣けば水中花 河西志帆 京鹿子 200809
生きてると児が目を見張る水中花 品川鈴子 ぐろっけ 200809
水中花ほどの自由を許さるる 安武晨子 200809
封印といふも明るき水中花 田村祐巳子 200810
好きなことできる幸せ水中花 高橋将夫 200810
ぽつつりと真昼の底の水中花 近藤喜子 200810
わだかまり一つ溶けゆく水中花 岩月優美子 200810
水中花夕べのことば蒼み増す 田村園子 200810
水かへてみる仏壇の水中花 藤井昌治 200810
退院の日の水中花花ざかり 館容子 200811
水中花ぱつと変身したくなり 赤羽正行 遠嶺 200811
原子爐の中で芽を出す水中花 佐藤喜孝 あを 200811
水中花枯れぬ魔法をかけられし 廣見知子 200812
シンクロの手足の捌き水中花 宮村フトミ ぐろっけ 200812
墨東奇譚も古典となりぬ水中花 瀧春一 深林 200901
叩きつけ庭石に割る水中花 ことり 六花 200907
過ぎし日のごとく色褪せ水中花 松本圭司 200908
恙なきいまが晩年水中花 佐山文子 200908
守旧派とよばれて久し水中花 秋葉雅治 200908
歳月の止まりたるまま水中花 近藤喜子 200909
水中花咲き草臥れてしまひけり 岩井泉樹 春燈 200909
水中花開き切るまで水を差す 高橋みつ 200909
水中花深層水を足しにけり 浜口高子 火星 200909
水中花ガラス器に咲く禁酒以後 定梶じょう あを 200909
山ばかりなる日本の水中花 荒井千佐代 200909
束の間の女医の沈黙水中花 野中啓子 200910
水中花の向う帆船過りけり 杉浦典子 火星 200910
水中花極道されの色なりし 深澤鱶 火星 200910
連れ添うてゆくほかになし水中花 垣岡暎子 火星 200910
水中花ボトルシップのごと組ます 鈴木榮子 春燈 200910
たかまりてはたと止む曲水中花 小山徳夫 遠嶺 200911
水中花 → 3      

 

2021年7月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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