蚕豆(そらまめ 空豆 蚕豆 そら豆 ソラマメ)1     200句

そら豆はまことに青き味したり    細見綾子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
そら豆な男で子離れ下手であり 佐々木峻 ヒッポ千番地 199905
そらまめの彼の世に忘れ来し目鼻 小川真理子 銀化 199909
蚕豆の背骨は大和島根なり 吉田透思朗 海程 199909
そらまめの封印解いて開きけり おださやか 船団 199912
そらまめや世界を見ずに鍋の中 おださやか 船団 199912
そらまめや過ぎたる愛に眼をもたず おださやか 船団 199912
そらまめや身に覚えある過保護かな おださやか 船団 199912
手をつなぐソラマメみたいな双子です 三宅やよい 船団 199912
そらまめやジュエリー箱にちんとして おださやか 船団 199912
よき風によき蚕豆の塩加減 朝妻力 俳句通信 200006
そら豆の花目初めてのEメール 東珠生 京鹿子 200006
空豆の森に隠れしピーターパン 柿原金米 船団 200006
蚕豆の旬をひとつの訃が奔る 下村志津子 銀化 200008
そら豆の粒の数だけ笑ひあり 山田弘子 円虹 200008
蚕豆をつまませてゐる介護人 玉川悠 遠嶺 200009
そら豆の香の香料の納品書 中原幸子 「遠くの山」 200010
そら豆の花に見られて人を待つ 北畠明子 ぐろっけ 200011
そら豆の花に会うまで坂の道 須山つとむ 船団 200011
ふんわりとそら豆匂う家並かな 田中純子 船団 200101
こんもりとして蚕豆の花咲ける 阿部ひろし 酸漿 200103
食卓に蚕豆の出て誕生日 柳未央 いろり 200106
蚕豆を剥く地の塩になれもせで 朝妻力 俳句通信 200106
蚕豆のはしり盛られて白い皿 田中藤穂 あを 200107
蚕豆の莢がら留まる割烹着 松本恭昂 火星 200107
蚕豆や盲ひし身にも幸ありて 村越化石 200108
蚕豆のスープも匙も冷たかり 竹内美知子 200109
蚕豆のさやの寝床の綿毛かな 南浦輝子 火星 200109
茹で立ての蚕豆青き仏間の灯 阿久津都子 春耕 200110
蚕豆のうすみどりなる朝の卓 倭文ヒサ子 酸漿 200111
新妻となりてそら豆剥いてをり 川端和子 「星月夜」 200112
蚕豆や歯応へのある話聞き 大橋克巳 雲の峯 200207
蚕豆の息づいてゐる莢の内 公山礼子 200207
蚕豆と嬰のおしやべり昼の海 戸村よねこ 遠嶺 200208
そら豆やはなし上手に聞き上手 長谷川守可 百鳥 200208
蚕豆の小ぶとりの頬つまみけり 山口速 200208
荷を解けばやはり蚕豆ばかりかな 百田早苗 六花 200209
寝床の数がそら豆の莢の中 城孝子 火星 200209
蚕豆の出廻るころの川の照 岡本眸 200210
蚕豆をむきをる息のうすみどり 煙山郷子 200210
瀬戸内を見晴す蚕豆畑かな 鶴岡美恵子 帆船 200307
蚕豆の雨の明るき日なりけり 後藤志づ あを 200307
蚕豆のスープと白き桟橋と 須佐薫子 帆船 200307
空豆の青きを御身大切に 中野哲子 六花 200307
蚕豆や莢山ほども捨てにけり 鎌倉喜久恵 あを 200307
誰れかれに上げん空豆嵩だかし 中野哲子 六花 200308
学校の裏の蚕豆夏大根 山崎桂 帆船 200308
蚕豆を剥けり病むまじ惚けまじと 勝亦年男 200308
我が指を離れて遊ぶそら豆や 小林恵子 遠嶺 200308
蚕豆の塩茹でかげん控へ目に 岡田章子 ぐろっけ 200309
蚕豆を真青に茹でて夫を待つ 近藤てるよ 酸漿 200309
ひと掴み足す蚕豆を市に買ふ 林裕子 風土 200309
空豆のリゾット母となりし友 岩崎真理子 遠嶺 200309
空豆を提げて讃岐のひととゐる 雨村敏子 200309
蚕豆やスープの冷めぬ距離保ち 泉京子 帆船 200310
蚕豆を届け隣も余生組 伊藤月江 雲の峰 200310
蚕豆ではちきれさうな袋かな 高橋将夫 200311
蚕豆や君の顔にはあらざりし 稲畑廣太郎 ホトトギス 200405
そら豆はおたふくの顔猫と夫 安部里子 あを 200407
一皿の蚕豆個個のいびつなる 小野さとし 対岸 200408
蚕豆を剥きあひホームドラマめく 吉田明子 200408
そら豆のおはぐろのまま泰きかな 横井秀子 草の花 200408
蚕豆を含む斯程(かほど)の子を想ひ 鈴木えり子 百鳥 200408
すねしごと蚕豆の黄空を向く 若山実 雲の峰 200408
振り売りや蚕豆ぜんぶくださいな 飛鳥由紀 200408
そら豆の塩ゆでを待ち指たたく 保田英太郎 風土 200409
母の背があり蚕豆をむきにけり 松たかし 火星 200410
蚕豆の厚き真綿にくるまれて 中島英子 八千草 200411
蚕豆の莢(さや)夜も太とる鶴居村 淵脇護 河鹿 200504
閉店のシャッターの前空豆咲く 松崎鉄之介 200505
食卓にどかと蚕豆置かれあり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200505
空を恋ふ色に蚕豆立ち上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200505
蚕豆の花咲く丘に海の風 中里カヨ 酸漿 200506
蚕豆の花高々と蜑の畑 角南英二 栴檀 200506
そら豆や島の畑は急傾斜 神田一瓢 雨月 200507
蚕豆がぎつしり閉所恐怖症 遠野萌 200507
蚕豆になるぞなるぞと咲きにけり 近藤喜子 200508
故郷に兄蚕豆の莢太り 荻沼嘉枝 対岸 200508
蚕豆の荷にガムテープ十重二十重 戸田和子 200508
蚕豆の皺押し潰す同窓会 西塚成代 六花 200508
蚕豆や漢五人の鶏談義 鈴木石花 風土 200508
そら豆の餡(あん)の饅頭望郷歌 醍醐季世女 200508
母の忌へ帰郷の姉妹そら豆剥く 雑賀淑江 200508
蚕豆や強気弱気の父がをり 南原正子 酸漿 200509
蚕豆の大きさ鬼に食はすほど 岩岡中正 ホトトギス 200510
そら豆のふくみ笑ひの女神たち 河内桜人 京鹿子 200510
どさと着く空豆レシピあれやこれ 中島英子 八千草 200512
初もののそら豆まづは仏の間 鈴木多枝子 あをかき 200606
そら豆のとき来て思ふ路地の店 鈴木榮子 春燈 200607
福相のそらまめ生りぬ大き粒 岸本林立 雨月 200608
蚕豆のはしりの色のうすみどり 高橋ふじ 酸漿 200609
茹蚕豆思ふ存分有田鉢 植村よし子 雨月 200609
空豆むき老それなりに健やかに 滝川あい子 雨月 200610
蚕豆といふ幸せのかたちかな 坂本緑 200611
蚕豆の過保護に育つ葵の中 須藤美智子 風土 200701
そらまめをふつくらと煮て供へけり 池崎るり子 六花 200704
蚕豆を甘辛に煮る母もせし 安部里子 あを 200707
蚕豆の空向く莢の丸みかな 牧原佳代子 酸漿 200707
蚕豆の莢の逆立ち逆上がり 八塩グレース 八千草 200708
蚕豆の数ほど笑ひ皮を剥く 石岡祐子 200708
そら豆をことば少なき子と剥きぬ 杉浦典子 火星 200708
蚕豆の莢に黒枠うかび出し 佐藤山人 200708
空豆とささ身のパスタ雨一日 泉田秋硯 200708
縁側の留守やそら豆莢のまま 谷村祐治 雨月 200708
ポンポンと莢より蚕豆はじき出す 岡田章子 ぐろっけ 200709
天敵のやうに蚕豆食べてをり 田原陽子 200709
蚕豆の秘密を少しづつ聞きぬ 野口光江 遠嶺 200709
蚕豆の莢に戻らぬ遊学子 岡敏恵 ぐろっけ 200709
父の忌に酒と蚕豆供へけり 関口昌代 200709
そら豆の青い莢まで行きましょう 坪内稔典 稔典句集 200804
汗をかくそら豆の莢(さや)日本も 坪内稔典 稔典句集 200804
蚕豆やこのごろ夜は誰も来ず 青山丈 200806
ちちははの一対やそらまめの莢 辻美奈子 200806
蚕豆を皮ごと食すやうに生き 菅原健一 200807
採れたてのそらまめ甘きビールかな 竹内慶子 春燈 200808
蚕豆や翠(ひすい)の色を莢の中 吉沢陽子 200808
蚕豆をこよなく好む母なりき 田原陽子 200808
蚕豆をつまみに美酒を舌つづみ 渡辺安酔 200808
そら豆の青き匂ひを茹でこぼす 垣内薫 200808
ボタ山が見えてビールとそら豆と 坪内稔典 船団 200809
友といてそら豆的な夕暮れだ 坪内稔典 船団 200809
蚕豆の多福の相や頬笑まし 佐藤史づ代 雨月 200809
そら豆も森鴎外も的然と 坪内稔典 船団 200809
そら豆の花の天さす捨て田かな 鴨下昭 200809
空豆の芽のまだ見えず霜の畑 阿部文子 酸漿 200902
指宿の蚕豆の畑春を待つ 菊池由惠 酸漿 200904
寒最中蚕豆の芽の出でにけり 阿部文子 酸漿 200904
蚕豆や皮も残さぬ食の癖 中島玉五郎 200905
青々と蚕豆の列畑にあり 永見博子 酸漿 200906
そら豆を色よく茹でし夫あらず 吉田空音 炎環 200907
空豆の空き部屋ひとつ綿枕 島田麻衣 炎環 200907
莢剥きし炙りそら豆青味立つ 米田正弘 200908
蚕豆をむくもうひとり子の欲しき 井原美鳥 200908
空豆のひとつは椅子の下にある 芝尚子 あを 200908
蚕豆の踊りつづける釜の中 瀬川公馨 200909
そら豆や登四郎先生思ひむく 坂本俊子 200909
空豆や昔兄弟多かりき 歳谷美智子 200910
富士山のうかぶ蚕豆畑かな 川口利夫 ホトトギス 200910
そらまめのやうな足裏や昼寝の児 大場ましら 200912
蚕豆の塩味よろし下戸好み 塩路五郎 201007
そら豆や三点倒立ヨガ修行 森理和 あを 201007
空豆のぽあんと皮の凹みかな 佐藤涼宇子 ろんど 201008
そらまめの真綿湿りの莢の中 細川洋子 201008
そら豆のソフトグリーンや莢の中 和田郁子 201008
初物の蚕豆剥くも余生かな 近藤ともひろ ろんど 201008
蚕豆や町筋かざる御神燈 田中みのる 火星 201008
莢剥けば蚕豆あをく匂ひけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201009
蚕豆や夫の笑顔の翡翠色 小野口正江 末黒野 201009
空豆の飛んで空海三鈷かな 中村洋子 風土 201009
蚕豆の花咲く小径七曲り 中川すみ子 201106
たらちめの忌や蚕豆の花ざかり 和田照海 京鹿子 201107
蚕豆の花は畑の真ん中に 天野美登里 やぶれ傘 201107
皮ごとの蚕豆口に嬰の機嫌 松田和子 201108
蚕豆の花翔びさうな怖さうな 有本惠美子 ろんど 201108
空豆の食後産めりと母の伝 年森恭子 ぐろっけ 201108
次世代の子等蚕豆の莢の中 辻直美 201109
蚕豆の花満開にそよぎをり 筒井八重子 六花 201109
蚕豆にくつきりと眉ありにけり 藤井久仁子 ぐろっけ 201110
蚕豆に呼ばれて孫のお相伴 中村則夫 やぶれ傘 201110
蚕豆の荷の緒のほのと湿りたる 山田佳乃 ホトトギス 201110
鹿児島の蚕豆けふは値引棚 森理和 あを 201203
蚕豆を剥いて痴言をさめけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
味にこだはれば蚕豆塩でせう 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
蚕豆を育て教区の老司祭 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
蚕豆や畑青々と海の村 塚原洋子 201208
空豆の日本にある突破力 柳川晋 201208
空豆ぽかりと大雑把またよけれ 窪田佳津子 雨月 201208
能なしと叱りて夫がそらまめ剥く 山本耀子 火星 201209
夫婦らし莢の蚕豆睦じく 古林田鶴子 ぐろっけ 201209
そら豆や母の囲に父六十年 あかさか鷹乃 ろんど 201209
そら豆に一番星の早すぎる 梶浦玲良子 六花 201210
蚕豆をひたすらむきぬ地震の日は 野畑さゆり 201210
蚕豆の花天を恋ふ角度かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
誰がために植うる蚕豆ぞ二人して 鈴木阿久 201307
そらまめの旬やどの子も反抗期 小林和子 風土 201310
ふくよかな蚕豆の青亡夫へ盛る 池田かよ ぐろっけ 201310
蚕豆の曲線女人の背に似て 井上あき子 ぐろっけ 201311
蚕豆や昔ながらの縄のれん 増田甚平 ろんど 201311
蚕豆の花のぞけゐてご愛矯 箕輪カオル 201407
登四郎忌茹で蚕豆のひすい色 吉田政江 201408
蚕豆ですこうし呑みて人恋し 折橋綾子 201408
そら豆に切込み入るる咎すこし 山本耀子 火星 201408
蚕豆を焼いて塩して灘の酒 岡山敦子 京鹿子 201408
蚕豆を莢ごと焼いて白ワイン 楠原幹子 201408
蚕豆剥くバイオリンケース開くかに 吉田政江 201408
蚕豆を剥きつつ母に今日のこと 秋千晴 201409
茹でられて皺のそら豆のこりけり 荒木甫 201411
蚕豆や子規の横顔一粒づつ 織田高暢 201412
蚕豆の皮無き如く供さるる 稲畑汀子 ホトトギス 201505
蚕豆の花や一村がらんどう 萩庭一幹 馬醉木 201507
蚕豆や島の子みんな顔見知り 城台洋子 馬醉木 201508
桂郎の走り蚕豆甘からむ 田村すゝむ 風土 201508
音たてて剥くそら豆の青さかな 伊藤由良 末黒野 201508
莢の外より蚕豆の数かぞふ 志方章子 六花 201508
そらまめのやはらかく煮え夫とゐる 川上恵子 雨月 201508
蚕豆や幼と剥きし日の遥か 三橋玲子 末黒野 201510
そら豆を剥けば命のほとばしる 中道愛子 201510
そら豆の莢を剥くとも壊すとも きくちえみこ 港の鴉 201510
ひよろひよろの園児の蚕豆花二輪 森理和 あを 201604
蚕豆のはしりと言ひて十粒ほど 水原春郎 馬醉木 201606
倒れたるまま蚕豆の熟れにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201607
蚕豆や手押しポンプの水跳ねて 徳井節子 馬醉木 201608
蚕豆 →2      

 

2022年5月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。