蕎麦の花 2   195句

月光のおよぶかぎりの蕎麦の花   柴田白葉女   遠い橋

作 品
作者
掲載誌
掲載年月
大江山麓は蕎麦の花浄土 吉田裕志 200501
富士ヶ嶺は雲につつまれ蕎麦の花 長志げを 遠嶺 200501
浅間嶺の噴煙近し蕎麦の花 河内桜人 京鹿子 200502
山峡の雲翳りゆく蕎麦の花 清原彰子 河鹿 200503
遠目にもそれとわかりて蕎麦の花 鷹羽狩行 200510
切畑や日のあるかぎり蕎麦の花 渡邉友七 あを 200510
開け放つ空の青さよ蕎麦の花 齊藤實 200510
白々と蕎麦の花咲くほとりゆく 阿部ひろし 酸漿 200510
裂織の畳みし嵩や蕎麦の花 柿沼盟子 風土 200511
蕎麦の花真蒼のダム湖見下ろしに 小林碧郎 馬酔木 200511
蕎麦の花雲むらさきにたなびけり 藤井久仁子 ぐろっけ 200512
蕎麦の花日照りの雨の過ぎにけり 松山直美 火星 200512
蕎麦畑花の白さが実りけり 三浦カヨ子 酸漿 200512
風を読む人差指や蕎麦の花 吉田明子 200512
晴れてすぐ稜線烟る蕎麦の花 佐々木よし子 200512
蕎麦の花夕べ荒びし山の風 栗城静子 200512
蕎麦の花古墳の眠る島岬 尾辻のり子 河鹿 200512
過疎すすむ外なき蕎麦の花盛り 長沼三津夫 200601
蕎麦の花さぶしむも日のあたる場所 中山純子 万象 200601
茅葺きの隠れ里なり蕎麦の花 永井孔雀 200601
窓のなき板倉蕎麦の花明り 小宮山勇 遠嶺 200601
花蕎麦や天草灘のとどろく日 淵脇護 河鹿 200601
西の山暮れても蕎麦の花明かり 伊藤冬留 200602
蕎麦の花水のごと澄み幟立つ 鎌須賀礼子 万象 200602
蕎麥咲くやほろびしものの廓など 瀧春一 常念 200606
山畑の夕ベあかるき蕎麦の花 滝沢伊代次 万象 200609
一本の畦花蕎麦の遅速かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200609
開拓の記念碑囲む蕎麦の花 寺沢千都子 万象 200610
深窓の白さよ蕎麦の花月夜 近藤喜子 200611
暮れてなほ村の明るき蕎麦の花 佐藤哲 万象 200611
蕎麦の花揺らす日照雨や塩の道 永井雪狼 200611
鉄路なほ北へ続きて蕎麦の花 小泉万里子 200612
笑みうかべ田の神おはす蕎麦の花 松元末則 酸漿 200612
段取りのすこし遅れて蕎麦の花 外川玲子 風土 200612
蕎麦の花小野寺城址へいく曲り 鈴木とおる 風土 200612
山の名に親子孫あり蕎麦の花 大山文子 火星 200612
山襞をのぼる雲あり蕎麦の花 松下八重美 200612
駒繋ぎ石より白し蕎麦の花 高橋澄子 200612
大佐渡の山並暮るる蕎麦の花 上原光代 酸漿 200701
開拓史きざむ大地や蕎麦の花 田中きよ子 酸漿 200701
山を背の大内宿や蕎麦の花 佐々木新 春燈 200701
月光の仄かにあをし蕎麦の花 久留米脩二 馬醉木 200701
なぞへ田を鬩ぎて蕎麦の花咲けり 永井雪狼 200701
望郷や風に吹かるる蕎麦の花 上林孝子 200702
髪染めぬまま過ぎにけり蕎麦の花 池崎るり子 六花 200704
千本格子前に花咲く蕎麦の鉢 阿部ひろし 酸漿 200709
山の風村に治まり蕎麦の花 梶川智恵子 200710
磐梯の麓を囃す蕎麦の花 佐藤健伍 200711
小さき坂我にはきつし蕎麦の花 阿部文子 酸漿 200712
遠嶺に雲の切れゆく蕎麦の花 中村昭子 酸漿 200712
年毎に素直になりぬ蕎麦の花 大石たか 遠嶺 200712
蕎麦の花秩父は札所めぐりかな 遠藤逍遙子 風土 200712
一陣の風と遊べる蕎麦の花 田村すゝむ 風土 200712
絨毯のごとき月夜の蕎麦の花 穐好樹菟男 馬醉木 200712
城攻めの道の細りや蕎麦の花 近藤幸三郎 風土 200801
朱蕎麦の花一本を栞とす 近藤豊子 雨月 200801
山裾のゆたかな村や蕎麦の花 近藤豊子 雨月 200801
早朝の散策コース蕎麦の花 塩野きみ 遠嶺 200801
筑波嶺にかかる朝雲蕎麦の花 寺島とし重 万象 200802
蕎麦の花一人指揮棒振つてみる 府川房江 遠嶺 200806
花蕎麦やむかし名に負ふ米どころ 小林呼渓 200809
蕎麦の花洗濯日和と予報官 赤座典子 あを 200811
高原に風筋見ゆる蕎麦の花 笠井清佑 200811
捨て畑や日を惜しみ咲く蕎麦の花 柴崎甲武信 月日 200811
にぎやかに雀の潜る蕎麦の花 早崎泰江 あを 200812
夕暮の山路ほのかに蕎麦の花 半田卓郎 遠嶺 200812
片戀の賢治の歌や蕎麦の花 山口紹子 炎環 200812
「巡礼道」の小さき立て札蕎麦の花 鈴木友寄枝 炎環 200812
産土の山削りたり蕎麦の花 丑山霞外 炎環 200812
トンネルをぬければ但馬蕎麦の花 山口キミコ 200812
人里を離れて蕎麦の花明り 和田森早苗 200812
石狩の夕日の限り蕎麦の花 名取袿子 200812
削られし武甲の山や蕎麦の花 萩原渓人 やぶれ傘 200901
あかときの雲は谷間に蕎麦の花 大崎紀夫 やぶれ傘 200901
銀山へ続く道なり蕎麦の花 花岡豊香 酸漿 200901
花蕎麦のかなた比叡の暮残り 中原敏雄 雨月 200901
引出しをはずして運ぶ蕎麦の花 成田美代 200901
丘陵は白き起伏や蕎麦の花 渡邊由江 200901
安曇野を渡る鐘の音蕎麦の花 山下佳子 200901
開拓の碑文褪せきし蕎麦の花 石山雅之 遠嶺 200901
山国の空の清潔蕎麦の花 伊藤トキノ 200901
花蕎麦の続く往還陶の町 中山皓雪 200902
暮れ易き峡をあざむく蕎麦の花 佐藤哲 万象 200902
伯耆富士裾野ぼかしに蕎麦の花 神谷文子 馬醉木 200902
みちのくはわがふるさとよ蕎麦の花 新関一杜 京鹿子 200909
御嶽の風冷えびえと蕎麦の花 室伏みどり 雨月 200911
神楽舞神を遊ばす蕎麦の花 葉山彰 ろんど 200912
蕎麦の花父祖の拓きしなぞへ畑 高橋定峰 末黒野 200912
蕎麦の花山ふところの膨らめる 大橋弘子 末黒野 200912
峡の日の移るに早し蕎麦の花 小倉正穂 末黒野 200912
御嶽の色なき風に蕎麦の花 奥村眞人 雨月 200912
命名の一筆蕎麦の花盛り 松本きみ枝 遠嶺 200912
花蕎麦の波うつ中に紛れゐる 近藤きくえ 201001
山里の寸土余さず蕎麦の花 小倉正穂 末黒野 201001
引出しをはづして運ぶ蕎麦の花 成田美代 201002
山裾に白の淋しさ蕎麦の花 森理和 あをかき 201011
筑波山配し常陸の蕎麦の花 青木政江 酸漿 201012
門前に蕎麦の花咲く薬師講 青木陽子 酸漿 201012
小川より暮れてゆきたり蕎麦の花 金山千鳥 酸漿 201012
友を待つ壼に一束蕎麦の花 四方由紀子 風土 201012
花蕎麦に月出で旅愁にはかなり 薮脇晴美 馬醉木 201012
風吹きて一茶郷土の蕎麦の花 宮田香 201012
子の背ナにいつも赤子や蕎麦の花 中田禎子 201012
背景に赤き屋根あり蕎麦の花 中川すみ子 201012
谷戸の村眠りて蕎麦の花明り 大島みよし 201101
人老いて早寝の里や蕎麦の花 福田漣 201101
磐梯を隠す雲湧く蕎麦の花 上原光代 酸漿 201101
稜線に触れゆく雲や蕎麦の花 木山白洋 馬醉木 201101
靄かかる永源寺みち蕎麦の花 坂上香菜 201101
花嫁の村へ来る日よ蕎麦咲きて 平野伸子 馬醉木 201101
近江路の湖風に揺れ蕎麦の花 山本孝夫 201101
大江山颪の風をあつめて蕎麦の花 吉田裕志 201101
まちの名のひらがなとなる蕎麦の花 門馬貴美子 京鹿子 201101
安達太良山裳裾ぼかしに蕎麦の花 杉本光 201101
戸隠の更けゆく月や蕎麦の花 外山生子 末黒野 201102
休め田の一枚真白蕎麦の花 水野加代 万象 201102
欄干に花の残りし蕎麦を干す 小川明美 万象 201103
花言葉無きはかなしき蕎麦の花 浅井青@陽子 ホトトギス 201104
高原に波立つ白や蕎麦の花 山本丈夫 201110
湖風になびく花蕎麦北近江 坂上香菜 201111
蕎麦の花右に左に風の筋 笠井清佑 201111
村は市になり蕎麦の花盛りなり 三木千代 201112
蕎麦咲くや仰ぐ農場解放碑 今村千年 末黒野 201112
溝蕎麦の花隠沼を明るうす 内藤庫江 末黒野 201112
開墾の畑一面の蕎麦の花 舷坂輝美子 万象 201112
何処からが花蕎麦どつと倒れゐる 浜口高子 火星 201112
じやんけんのちよきできる子や蕎麦の花 池田光子 風土 201112
深層水らつぱ飲みする蕎麦の花 安田一郎 京鹿子 201112
咲き満ちて渾身の白蕎麦の花 貝森光洋 六花 201112
蒼穹に縫目の無けり蕎麦の花 池内結 ろんど 201201
蕎麦の花地震に崩れし登窯 飯田ひでを 201201
水際を歩くここちや蕎麦の花 荒井千佐代 201201
てのひらに新蕎麦を揉む温みかな 十川たかし 201201
遠き日のなほ遠ざかる蕎麦の花 中田のぶ子 ろんど 201201
座りたる目線の高さ蕎麦の花 山本無蓋 201201
庭隅に砂蹴る矮鶏や蕎麦の花 大島英昭 やぶれ傘 201201
故郷は落人村や蕎麦の花 紀川和子 うらら 201202
山間の合掌部落蕎麦の花 堺昌子 末黒野 201202
咲き満つる蕎麦猪垣に守られて 福島松子 ぐろっけ 201202
安曇野は蕎麦の花またそばの花 有賀昌子 やぶれ傘 201202
花蕎麦の道の駅好し会津塗 山村冨美子 万華鏡 201206
正坐して蕎麦屋「安兵衛」花の膳 中村洋子 風土 201207
蕎麦の花江戸小紋のごと清楚なり 山本達人 かさね 201209
一陣の風一面の蕎麦の花 竹貫示虹 京鹿子 201209
塩原を越えて福島蕎麦の花 須賀敏子 あを 201210
近松の生れし里や蕎麦の花 佐野和子 万象 201211
蕎麦の花安達太良山は闇に入る 田中藤穂 あを 201211
瀬の音に明くる安曇野蕎麦の花 城戸緑 末黒野 201211
蕎麦の花海なき国に波がしら 熊川暁子 201211
蕎麦の花抱擁解かぬ道祖神 塩路隆子 201211
蕎麦の花夫の足元見てあゆむ 山本耀子 火星 201212
噴煙の山を背にして蕎麦の花 椿和枝 201212
花蕎麦の野を浮き立たせ昏れふかむ 塩貝朱千 京鹿子 201212
風出でしことの標示機蕎麦の花 佐藤山人 201212
つくば嶺の雲につながる蕎麦の花 池田光子 201301
花蕎麦の光りの中に墓地拓く 平居澪子 六花 201301
黄金田の中の一枚蕎麦の花野 畑さゆり 201301
黄金田の中の一枚蕎麦の花 野畑さゆり 201301
日照雨して今津は蕎麦の花盛り 笹井康夫 201301
合言葉あるかに会釈蕎麦の花 成田美代 201301
蕎麦の花小流れ今も水車から 箕輪カオル 201302
高原へ登る砂利道蕎麦の花 渡邊孝彦 やぶれ傘 201302
よく晴れてどこか揺れゐる蕎麦の花 柴田佐知子 201302
御嶽の雲触れにけり蕎麦の花 原田しずえ 万象 201310
蕎麦の花見て逃げ出せるアレルギー 竹内悦子 201311
山影を色淡く染め蕎麦の花 笠井清佑 201311
山の端の光とどむる蕎麦の花 コ田千鶴子 馬醉木 201311
蕎麦の花やすやす風に揺るぎけり 笠井清佑 201311
蕎麦咲いて旅先で寄る骨董屋 能村研三 201311
池よりの流れに沿うて蕎麦の花 吉田きみえ 末黒野 201312
みすずかる信濃の里や蕎麦の花 池田節 春燈 201312
一望の花蕎麦染めて夕日濃し 小倉正穂 末黒野 201312
花蕎麦の畑思ひ出しそばすする 小野寺節子 風土 201401
山里の直ぐには暮れず蕎麦の花 大村かし子 万象 201401
御嶽の裾一面の蕎麦の花 隅田恵子 雨月 201401
ゴンドラの蔵王眼下や蕎麦の花 阿部綾子 ろんど 201401
阿蘇五岳背に千疊の蕎麦の花 田代貞枝 201402
飛鳥路の花蕎麦深き紅の色 坂根宏子 201402
雨もよひ人を遠くに蕎麦の花 石原健二 やぶれ傘 201402
山裾へ続く白さや蕎麦の花 石原健二 やぶれ傘 201407
ぽつかりと開墾地あり蕎麦の花 中島玉五郎 201409
人声のせぬ家ばかり蕎麦の花 山田美恵子 火星 201411
廃屋を取り巻く蕎麦の花ざかり 久染康子 201411
蕎麦の花所どころに日の射せり 高田令子 201411
幾たびも日照雨くる日や蕎麦の花 那須礼子 春燈 201412
花蕎麦やたちまち暮るる八ヶ岳 田中藤穂 あを 201412
蔵出しの味噌いただけり蕎麦の花 宮川みね子 風土 201412
新蕎麦や花咲く蕎麦や但馬を後に 浜福恵 風土 201412
父祖の地を離れず蕎麦の花ざかり 柴田志津子 201501
花蕎麦や出雲も奥の山の畑 大内由紀 末黒野 201501
峠越ゆ広ごる畑の蕎麦の花 横路尚子 末黒野 201501
還暦の旅の途中や蕎麦の花 名倉悦子 ろんど 201501
高原の大気旨しよ蕎麦の花 竹内喜代子 雨月 201502
ひつそりと落人の里蕎麦の花 増田甚平 ろんど 201503

 『蕎麦の花』序句

繙けばかがよふ蕎麦の花明り

稲畑汀子 ホトトギス 201503
蕎麦の花 →3      

 

2021年8月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。