新 涼 8  206句

新涼の身にそふ灯影ありにけり    久保田万太郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
新涼の都市に表情生れけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
新涼と沢庵坂にすれ違ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
新涼や遊具の船は空も飛ぶ 柴田志津子 201210
新涼や野猿峠の美術館 神田恵琳 春燈 201210
新涼や薄れてきたる蒙古斑 吉村摂護 201210
新涼や猫は尾を立て横切れり 須賀敏子 あを 201210
新涼や草花描く箸袋 塩路五郎 201210
新涼や早口ことば練習中 酒本八重 201210
新涼や静かに閉づるにじり口 吉田啓悟 かさね 201210
新涼や丘に畑ある北の大地 松本信子 かさね 201210
僧拭き上げし新涼の長廊下 北川英子 201211
新涼を賜ばるメタセコイアの樹下 大橋晄 雨月 201211
新涼や筧が弾く水の音 藤岡紫水 京鹿子 201211
新涼や流して白き米の水 戸栗末廣 201211
新涼や木の橋渡り菓子買ひに 大西八洲雄 万象 201211
新涼や仏にこころあづけをり 林いづみ 風土 201211
新涼や眉毛凛々しき一歳児 村上倫子 201211
新涼や白磁の壺をさりげなく 山本漾子 雨月 201211
新涼や播磨屋しのぶ大芝居 酒井秀郎 返り花 201211
新涼や読みさしの本始めから 戸辺信重 春燈 201211
新涼や川に落とせる蔵の影 林紀夫 春燈 201211
新涼や身のすみずみのほどけゆく 木村茂登子 あを 201211
新涼や熟寝の稚の重きこと 工藤ミネ子 風土 201211
新涼や手摺あらたに位牌堂 西岡啓子 春燈 201211
新涼や傘寿と言へど夢を持ち 城戸緑 末黒野 201211
新涼や三階滝の山こだま 石坂比呂子 ろんど 201211
新涼や昨日と同じ窓明けて 小野恵美子 馬醉木 201211
新涼や黒木鳥居の注連あらた 伊東和子 201211
新涼や湖面は雲の通り道 河村啓花 ろんど 201211
新涼や湖面は雲の通り道 河村啓花 ろんど 201211
新涼や罫あをあをと稿重ね 藤原若菜 春燈 201211
新涼や画中をんなの水遊び 塩路隆子 201211
新涼や屋根修繕の茅匂ふ 三好かほる 万象 201211
新涼やをんな盛りの胡弓の音 篠田純子 あを 201211
新涼やボケ除け地蔵にある笑顔 四條進 201211
新涼やひとすぢ残る蜘蛛の糸 安立公彦 春燈 201211
新涼やさらりと無事を告ぐる文 篠原幸子 春燈 201211
新涼やおクスリ手帳新しく 大内幸子 六花 201211
新涼の文鎮を置く夜の静寂 黒滝志麻子 末黒野 201211
新涼の大根河岸や小鰭鮓 篠田純子 あを 201211
新涼の笹寿司の葉のみづみづし 古川千鶴 かさね 201211
新涼の奇巌に涛の騒ぎけり 片岡久美子 201211
硝子戸に寄れば新涼伝はりぬ 松本周二 かさね 201211
新涼や母の強気の国訛 河村啓花 ろんど 201212
新涼や樹下の箒目こまやかに 中根美保 風土 201212
新涼やこと切れている蝶の羽 木村和也 船団 201212
新涼の空仰ぎては玻璃戸拭く 宮木加津代 万象 201212
新涼や船より望む港の灯 和田慈子 末黒野 201301
新涼や赤子乗せゐる太鼓腹 苑実耶 201301
新涼やコーヒー色の子の笑顔 相澤和子 ろんど 201301
新涼や染めなほしたるごとき鯉 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
新涼の空気ふるはせ夕聖鐘 柿本麗子 千の祈り 201307
新涼や栞ふやさん嵯峨の径 豊田都峰 京鹿子 201310
新涼や水惑星といふ恵み 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
新涼の風句梵鐘撫でゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
山門を潜り新涼との出会ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
ウッドチップ蹴る新涼の走者かな 加藤峰子 201311
新涼を交はす挨拶いとも好し 北尾章郎 201311
新涼や日記の脇のヨーグルト 山本無蓋 201311
新涼や素ガラスに透く風の音 菊地光子 201311
新涼や針のくぐれる衣の波 林昭太郎 201311
新涼や食ひ初めの嬰の晴着きて 竹内悦子 201311
新涼や酒注ぐひとの細き指 横山さくら 春燈 201311
新涼や手よりころがる瓶の蓋 栗原完爾 春燈 201311
新涼や手にする帽子の染み眺む 四條進 201311
新涼や漁師訛の魚市場 小山繁子 春燈 201311
新涼や看護士の声透き通る 川崎雅子 春燈 201311
新涼やクラーク像の髭はぬる 粟倉昌子 201311
新涼の木地めくり上ぐ轆轤鉋(がな) 相良牧人 201311
新涼の明星ひとつ馬籠宿 根岸善雄 馬醉木 201311
新涼の風の囁き窓辺より 宮越久子 201311
新涼の先端に干す客布団 湯橋喜美 201311
新涼の渓に灯の入る貴船かな 川崎良平 雨月 201311
新涼のロビーバカラのシャンデリア 岩崎可代子 ぐろっけ 201311
新涼のおけさ手捌き足さばき 川崎利子 201311

 祝 句集上梓黙滝志麻子さんへ

夕牡丹てふ新涼の句集かな

岡田史女 末黒野 201311
首伸ばす亀に新涼及びけり 原田しずえ 万象 201311
帯広の一歩新涼への一歩 藤井啓子 ホトトギス 201312
足許に寄す新涼の波がしら 和田照海 京鹿子 201312
新涼をたつぷりもらふ児の寝息 前田美恵子 201312
新涼や禊の川面風立ちて 水野節子 雨月 201312
新涼や野外音楽堂に空 安藤久美子 やぶれ傘 201312
新涼や抱かせて貰ふ知らぬ嬰 松村晋 ぐろっけ 201312
新涼や八尾の和紙の麻模様 浅木ノヱ 春燈 201312
新涼や禅座の見えてもてなさる 伊丹さち子 馬醉木 201312
新涼や神の数式空にあり 田尻勝子 六花 201312
新涼や小さき鰺の南蛮漬 波田美智子 火星 201312
新涼や書棚を満たす推理本 苑実耶 201312
新涼や寄せては遊ぶ波の綺羅 後藤桂子 万象 201312
新涼や家中の靴磨きあげ 宮村フトミ ぐろっけ 201312
新涼やミサの鐘聞く北野坂 石谷淳子 雨月 201312
新涼の風の気配や朝戸繰る 柚木澄 末黒野 201312
新涼の山の緑や安らぎぬ 山本草風 かさね 201312
新涼の鼓膜に触れて忍び寄る 鴨下昭 201312
浮御堂新涼の波ひたひたと 乗光雅子 雨月 201312
新涼や珈琲熱き朝の卓 斉藤マキ子 末黒野 201401
新涼や多羅葉に書く我が一句 加藤静江 末黒野 201401
新涼や絹の風呂敷広げをる 近藤紀子 201401
新涼や軽くなりたる杖の音 奥田智久 ホトトギス 201401
新涼の不揃い石段濡れている 陽山道子 船団 201401
新涼の上方舞に紙燭して 千原叡子 ホトトギス 201401
新涼のさらさらと竹青きのみ 鷺山珀眉 京鹿子 201401
湖心より新涼の波来りけり 久保久子 湖心 201402
新涼や膝をそろふる送迎車 吉村摂護 201402
新涼の供花の切り口そろへけり 久保久子 湖心 201402
新涼のハミングに家事片付きぬ 石川叔子 201402
新涼や墨の香りの写経堂 石川かおり 福袋 201404
どこまでも新涼の道つづきをり 稲畑汀子 ホトトギス 201408
帯広の旅に新涼置いて来し 稲畑汀子 ホトトギス 201408
新涼の旅路はるけくふり返る 稲畑汀子 ホトトギス 201408
新涼の風絶えてゐし朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 201408
新涼の風は鉄砲狭間より 稲畑廣太郎 ホトトギス 201408
新涼の風は水音輝かす 稲畑汀子 ホトトギス 201408
新涼の中原へ出てあひる食ふ 鳥居おさむ ろんど 201408
新涼の蝦夷の旅はや遠きかな 稲畑汀子 ホトトギス 201408
新涼に旅の期待のありそめし 稲畑汀子 ホトトギス 201408
開け放つより新涼の旅の朝 稲畑汀子 ホトトギス 201408
影あらば新涼の風ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201408
影といふ新涼の風あるところ 稲畑汀子 ホトトギス 201408
やはり道迷つてをりし新涼に 稲畑汀子 ホトトギス 201408
新涼や形状記憶のシャツの襟 白井友梨 馬醉木 201410
新涼や客の去りゆく靴の音 横山さくら 春燈 201410
新涼の堂裏にある作務箒 能村研三 201410
新涼の鏡天井睨み龍 渡部法子 201410
充電中てふ新涼の小さき灯 田所節子 201410
新涼や柳行李に赤ん坊 辻美奈子 201410
波音で知る新涼の新世界 遠藤真砂明 201410
新涼や鏡の吾にごきげんやう 粟倉昌子 201411
新涼や祝袋の墨を濃く 塩路五郎 201411
新涼やワインのコルク抜ける音 小張志げ 春燈 201411
新涼や乗換駅の山の風 岩永はるみ 春燈 201411
新涼や熱帯の名のジャズを聴く 加藤静江 末黒野 201411
朝の戸に新涼の気のありにけり 青野安佐子 201411
梵鐘の新涼の里撫でゆけり 青野安佐子 201411
新涼やをどり出でたる軒雀 坂口夫佐子 火星 201411
新涼や一筆箋の藍清らか 鈴木藤子 ろんど 201411
新涼の星へ「六甲颪」かな 川村文英 ろんど 201411
新涼や解体音の止む間合ひ 渡部節郎 201411
吾とりもどす新涼の川かぜに 武藤嘉子 201411
新涼や酢味噌に辛子効かせたる 高橋道子 201411
鍵盤を駆く新涼の真白き手 密門令子 雨月 201411
新涼や木の匙で食ぶ朝の粥 生田作 風土 201411
新涼のメニューに変はるレストラン 竹内悦子 201411
新涼やテニス快挙の報に湧き 桂敦子 201412
新涼やホールに響くハープの音 菅野日出子 末黒野 201412
新涼や沖の白帆の揺れてをり 北郷和顔 末黒野 201412
新涼やショパンエチユードよどみなく 谷岡尚美 201412
新涼を肌で確かむ琵琶湖畔 西本育子 ろんど 201412
新涼や剥落仏の眼の微笑 古川忠利 ろんど 201412
新涼や衣桁にひらく能衣装 寺沢千都子 万象 201412
新涼や目覚めを誘ふ足の裏 森田尚宏 201412
新涼やするりと開きし小抽斗 武生喜玖乃 雨月 201412
新涼の暦の裏のしらじらと 藤原冬人 火星 201412
新涼や跳び越えてみる潦 山田暢子 風土 201412
灯したる燭に新涼宿りけり 藤浦昭代 ホトトギス 201501
新涼の炎を入れ仕上ぐバター焼 田所節子 201501
新涼や能舞台なる足一拍 山田和 京鹿子 201501
新涼やビルの硝子にビル映る 吉田葎 201502
みちのくといふ新涼の在りどころ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
新涼の空路八百キロの賀へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508

 友人の開店祝

新涼に包まれてゆく船出かな

稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
オルゴール新涼の楽奏でつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
雨止んで風新涼に入れ替る 稲畑汀子 ホトトギス 201508
復活の句友新涼纏ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201509
新涼や俄の遊子ごころなる 佐藤淑子 雨月 201510
新涼や海風髪に船の旅 田中珠生 馬醉木 201511
新涼や水面に風の走り書き 近藤牧男 春燈 201511
新涼や島の水路の舫ひ舟 尾野奈津子 春燈 201511
新涼や新看護師の清々し 池田節 春燈 201511
新涼や空気の青きエコー室 柴田久子 風土 201511
新涼や川風の研ぐ星増えて 柿沼盟子 風土 201511
新涼や施設の妻も和みをり 舘泰生 風土 201511
新涼の厩舎に馬のいびきかな 大内和憲 万象 201511
新涼の御堂尺余の丸柱 小川玉泉 末黒野 201511
新涼や雷門の下駄の音 太田良一 末黒野 201511
新涼やピアノの八十八鍵も 荒井千佐代 201511
新涼や遺品のペンの手になじみ 藤原照子 201511
新涼のバス停なんとなく会釈 楠原幹子 201511
新涼や朝刊に風折り込まれ 小松誠一 201511
新涼や白帆一つの凪畳 佐久間由子 201511
新涼の夜景銀座はあのあたり 岡真紗子 201511
新涼や泡たつぷりのカプチーノ 中島和子 やぶれ傘 201512
新涼やあらため気づく明日の事 藤波松山 京鹿子 201512
新涼や痛みに負けずハガキ書く 野中圭子 京鹿子 201512
新涼のかそけき笹を踏みゆけり 成田美代 201512
新涼や'鏡の中の吾を磨く 平野みち代 201512
新涼や鏡の中の吾を磨く 平野みち代 201512
新涼や旅の枕にハーブの香 天谷翔子 201512
新涼や上野の森の時の鐘 森清堯 末黒野 201512
新涼の猫鳴きながら伸び欠伸 小田嶋野笛 末黒野 201512
新涼の眠気を誘ふ木椅子かな 谷貝美世 末黒野 201512
新涼や少年の背のまだ伸びる 種田果歩 201512
新涼や栞の紐をまつすぐに 浅田光代 風土 201512
山荘の庭新涼の朝の風 安原葉 ホトトギス 201601
新涼や足音坂を下りてくる 今井千鶴子 ホトトギス 201601
新涼の色をたたへて山湖あり 今橋眞理子 ホトトギス 201601
新涼の椅子に朝刊匂ひけり 松田泰子 末黒野 201601
新涼や尾を跳ねあげて御饌の鯉 西川みほ 末黒野 201602
新涼の水に晒して削ぎ牛蒡 西川みほ 末黒野 201602
新涼に学ぶ心の芽生えつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
新涼の風縄文の香を纏ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
朝の間の新涼しかと身に纏ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201608
新涼と思ふ朝の間励まねば 稲畑汀子 ホトトギス 201608
新涼といふ旅心ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201608
新涼やふり返る日々なきままに 稲畑汀子 ホトトギス 201608
新涼を纏ひてグレゴリオ聖歌 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
新涼→ 9      

 

2021年9月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。