新 涼 7  131句

新涼の身にそふ灯影ありにけり    久保田万太郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
新涼のまがふことなき青き海 前川明子 200912
新涼や総身見せて鯉跳ぬる 穂苅照子 万象 200912
新涼や地にくっきりと箒の目 小倉正穂 末黒野 200912
新涼やしゃきしゃきと鳴る裁ち鋏 及川照子 末黒野 200912
新涼や波打際の蟹の穴 大山文子 火星 200912
窓開けて新涼の風深く吸ふ 家塚洋子 酸漿 200912
新涼の遠野の旅やホップ園 神保みね子 酸漿 200912
新涼や遠き電車の音聞こえ 中村ツヤ子 酸漿 200912
新涼やゆつくりと打つ筬の音 生田喬也 200912
新涼や友へ手描きの地図送る 陽山道子 船団 200912
新涼の風の届かぬ山門に 浅井陽子 ホトトギス 201001
新涼や星にささやく葉擦れ音 笹倉潤 ホトトギス 201001
新涼やガレのグラスで吟醸酒 河本利一 201001
新涼や田の一隅に鷺遊び 清海信子 末黒野 201001
新涼の中野坂上バスを待つ 松村光典 やぶれ傘 201002
新涼や文机の向き少し変へ 矢野百合子 201002
新涼や気球は海へ出でゆけり 古川夏子 201002
心寄せ合へば新涼おのづから 稲畑汀子 ホトトギス 201006
新涼の順番を待つ目借時 芝尚子 あを 201006
新涼のベランダなるも未完成 稲畑汀子 ホトトギス 201008
新涼やここは津軽の城下町 稲畑汀子 ホトトギス 201008
着席す新涼の風伴ひて 稲畑汀子 ホトトギス 201008
佇めば新涼の風聞く古刹 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
屋根の反りより新涼の滑りくる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
本州の北の端てふ新涼に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
新涼の朝刊匂ふよい天氣 竹貫示虹 京鹿子 201008
大の字になる新涼の青疊 竹貫示虹 京鹿子 201008
新涼やどの漁船にも人見えず 鷹羽狩行 201009
寝乱れの新涼の夜具引き寄せる 布川直幸 201009
新涼の風に道案内させる 稲畑汀子 ホトトギス 201009
新涼の風の交はる高札場 内山花葉 201010
新涼やLP盤の深き音 赤座典子 あを 201010
新涼や楽屋暖簾の水浅葱 矢口笑子 春燈 201011
新涼や木曾は馬籠の檜笠 藤村達江 春燈 201011
新涼や龍の水吐く手洗鉢 松本三千夫 末黒野 201011
新涼の森へこころを預け来し 松本三千夫 末黒野 201011
新涼や鳴き砂踏みて渚まで 山本康夫 201011
本陣の土間に新涼分かち合ふ 森岡正作 201011
新涼の匙にかがやく夕餉の灯 田所節子 201011
新涼の陶人形の陶の肌 林昭太郎 201011
新涼や夜の匂ひの確かなり 七田文子 201011
新涼や雲の行方を野に佇ちて 安藤久美子 やぶれ傘 201011
新涼や石樋の水の一筋に 大浅田均 万象 201011
新涼の水に切り分けごま豆腐 奥田茶々 風土 201011
新涼や美術館出てコンサート 奥田茶々 風土 201011
新涼や流に足を浸しつつ 菊地惠子 酸漿 201011
新涼や上堂僧の衣の揺れ 冨田君代 酸漿 201011
新涼や月のやうなる耳ふたつ 福水尚子 ろんど 201011
新涼や余白の多き処方箋 日下部亞こ ろんど 201011
新涼といふ安らぎを揺り椅子に 川崎良平 雨月 201011
新涼の卓布にならぶ銀の匙 川崎良平 雨月 201011
ドカと置く大根新涼の台所 木村茂登子 あを 201011
新涼の髪切つてゐる折鶴蘭 芝尚子 あを 201011
新涼やガラス細工の兎愛づ 清水侑久子 201012
汀子月旦新涼の風が吹く 稲岡長 ホトトギス 201012
新涼や座敷童子が添ひ寝する 岩永充三 201012
新涼や時を忘れて峠茶屋 布村松景 春燈 201012
新涼のベッドに五体投げ出せり 布村松景 春燈 201012
新涼や無心に磨く飾り窓 豊谷ゆき江 春燈 201012
新涼や上下自在の介護椅子 柴田志津子 201012
新涼や砂が吸ひこむ波の音 大橋伊佐子 末黒野 201012
新涼や浮き桟橋の夕汽笛 城戸緑 末黒野 201012
新涼や予後の大事と夫に告ぐ 岡野里子 末黒野 201012
新涼の入日はるかや伊良湖岬 内藤庫江 末黒野 201012
新涼や広き御堂の青畳 大川暉美 末黒野 201012
新涼や雨意ある湖岸如泥石 浜田南風 201012
新涼や膝ストレッチ怠らず 小林正史 201012
新涼の夕べ畳の薄湿り 前川明子 201012
新涼のえびの天婦羅五十席 田原陽子 201012
新涼の湯の花匂ふ湯殿かな 渡辺安酔 201012
新涼や吐くだけ吐きし臍の貌 相澤和子 ろんど 201012
新涼や朝の樹間の透き通る 阿部すず枝 万象 201012
新涼や拭き込まれたる長廊下 松下信子 万象 201012
新涼に包丁の音かろくなり 年森恭子 ぐろっけ 201012
新涼や茶殻で掃きし人恋し 遠藤実 あを 201012
招かれて坐す新涼の青畳 山田春好 201101
新涼や診察券の一つ増ゆ 松田泰子 末黒野 201101
居留地の新涼道雄の「越天楽」 高橋大三 ぐろっけ 201101
新涼や使ひはじめのカタン糸 芝尚子 あを 201101
新涼の門開きたる武家屋敷 井島郷雲 万象 201103
神田川新涼少し吐き出せり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
大潟の風新涼を少し抱き 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
山見えてより信濃てふ新涼に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
稜線を統べ新涼の風となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
動かざる山新涼の動き初む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
新涼や一句存問仕る 稲畑汀子 ホトトギス 201108
さういへば新涼の風なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201108
新涼といへさうな朝旅立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201108
きざはしの先に新涼ありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201108
寝過ごしてもう新涼といへざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201108
新涼の大樹の影を抜ける道 稲畑汀子 ホトトギス 201108
山国の新涼を恋ひ来たりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201108
羽音来て新涼の風掻き回す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
新涼の夜風の高さ纏ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201109
新涼や父の手擦れの羽箒 能村研三 201109
新涼やホテルの朝の奈良茶粥 田下宮子 201110
新涼を待つは良き友待つに似て 望月晴美 201110
新涼の楉鋏んでゐるひびき 大畑善昭 201110
新涼の踝たたたく心地よさ 赤座典子 あを 201110
新涼やヨーガで深く呼吸する 須賀敏子 あを 201110
新涼のいがらっぽさや酢橘飴 長崎桂子 あを 201110
新涼や森ぬけて買ふ朝の麺麭 コ田千鶴子 花の翼 201111
新涼の手水を湛へ鞍馬石 伊東和子 201111
新涼や日々成長の園通ひ 松田和子 201111
新涼の地に藉くおのが影鋤ける 根岸善雄 馬醉木 201111
新涼や祥瑞徳利捻文 諸岡孝子 春燈 201111
新涼やシェフの画添へておしながき 白神知恵子 春燈 201111
新涼や天目茶碗に潤む星 齋藤晴夫 春燈 201111
新涼や白き脚絆の托鉢僧 矢田有年 春燈 201111
新涼や竿一本の川下り 松田明子 201111
新涼を掬ひてリフト昇りゆく 飯塚文子 201111
正真正銘米寿の命もて新涼 大橋敦子 雨月 201111
新涼や演能「石橋」鑑賞会 鈴木石花 風土 201111
新涼や剃り跡たたく化粧水 久世孝雄 やぶれ傘 201112
新涼や骨整へて立ちあがる 亀井福恵 京鹿子 201112
新涼の空へとシーツ貼りにけり 高野春子 京鹿子 201112
新涼や踊り稽古の裾さばき 内山タエ 末黒野 201112
新涼や箒目さやに屋敷神 内山タエ 末黒野 201112
新涼やお経とジャズの共演す 甕秀麿 201112
新涼の朝は鯨の夢を見て 林弥樹 201112
新涼や介護日誌の一行詩 金田けいし ろんど 201112
新涼や句碑と覚しき石ひとつ 中原敏雄 雨月 201112
新涼や馬柵の噛み疵擦り痕 斎藤栖峰 馬醉木 201201
新涼や鳥居とならぶ大欅 佐藤喜仙 かさね 201201
新涼や毬に化けたる眠り猫 中村是空 ろんど 201201
新涼の比良へ靴紐締めなほす 西本育子 万華鏡 201206
新涼の都市に表情生れけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
新涼と沢庵坂にすれ違ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
新涼も土産としたる旅鞄 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
新涼を纏ひて若き虚子の文字 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
新涼の風纏ふ地に来て見舞ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201208
新涼→8      

 

2021年9月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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