新米・今年米 4     198句

新米の粒々青味わたりけり    福永耕二

作品
作者
掲載誌
掲載年月
新米を研ぐ音軽し退院す 中村ふく子 201411
知己よりの新米質をねんごろに 北尾章郎 201411
新米の照りが夕餉を明るくす 齊藤實 201411
ぱんと叩いて新米の紙袋 根橋宏次 やぶれ傘 201411
新米の袋開けば息づけり 山崎刀水 春燈 201411
新米としつこく唱へよそひけり 溝渕弘志 六花 201411
新米を旨しといふ子大人びて 竹内悦子 201412
新米の糠を飼葉に塗しけり 曽根薫風 馬醉木 201412
手の平の新米吾子ら飢ゑ知らず 小川玉泉 末黒野 201412
新米炊くや光の粒の立ち上がる 大西由美子 春燈 201412
新米の湯気に涙や訳も無し 物江康平 春燈 201412
新米の手のひらにある艶光り 久保東海司 201412
新米を二十キロとは妹よ 須賀敏子 あを 201412
父島の塩で新米むすびかな 須賀敏子 あを 201412
老いの身にずつしり重き今年米 鈴木阿久 201412
ブランドを誇る新米店頭に 岡野ひろ子 201412
新米と思へば磨ぐ手も弾みけり 青野安佐子 201412
産土に捧げかがやく今年米 岡野ひろ子 201412
嘘つかず新米一合半を炊く 高田令子 201501
丁寧に新米をとぐ忌日かな 野畑さゆり 201501
供へたし新米をとぐ音と香を 野畑さゆり 201501
新米に副ふる大とろ敬老日 小川玉泉 末黒野 201501
新米を仏に供へ恙なし 千葉惠美子 末黒野 201501
惚れ直すひとめぼれなる新米に 大島寛治 雨月 201501
銘柄と産地競ひぬ今年米 片岡良子 雨月 201501
袋詰の新米並ぶ収穫祭 蒲田豊彦 雨月 201501
稲穂添へ新米届く丹波より 武生喜玖乃 雨月 201501
ふるさとの新米貰ひ帰宅かな 佐藤健伍 201501
新米を焚き神仏に供へけり 佐藤健伍 201501
新米を五袋届けし馴染客 渡辺安酔 201501
新米を研ぐ手やさしくなりてをり 門伝史会 風土 201501
新米を研ぐ音鼻唄交りかな 中田禎子 201501
ややの顔刷りて新米届きけり 江島照美 201501
二キロ入り新米並ぶ日帰り湯 森理和 あを 201501
新米はなほふる里の日の匂ひ 杉本綾 201502
新米売るファッシヨン街の裏通り 原田しずえ 万象 201502
供へたし新米をとぐ音と香を 野畑さゆり 201502
新米や祖母の口癖思ひつつ 亀井紀子 201502
新米を炊き上げ匂ふおこげかな 秋山文子 末黒野 201502
列なして花嫁に撒く今年米 森岡恵子 万象 201502
新米の千体仏の光りさす 鎌田悟朗 ろんど 201502
新米をふはつと握る拳かな 布川直幸 201509
新米を積む金塊を積むごとく 布川直幸 201509
新米をむすぶ手捌き母の味 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
新米に塩一振りといふ至福 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
新米として水加減炊き加減 稲畑汀子 ホトトギス 201510
家中が新米を炊く匂ひかな 稲畑汀子 ホトトギス 201510
新米の御斎に心置くことも 稲畑汀子 ホトトギス 201510
嬰(こ)の重さほどの新米届きけり きくちえみこ 港の鴉 201510
新米に京の漬物噛みしむる 水原春郎 馬醉木 201511
湖眩し新米入荷の道の駅 松本鷹根 京鹿子 201511
代代の枡で量りし今年米 岩下芳子 201511
新米を満たす大波寄する音 岡田桃子 201511
光る塩振り新米を結びける 青谷小枝 やぶれ傘 201511
水移すやうに新米移しけり 戸栗末廣 201511
夫あればこそ炊きたての今年米 栗原公子 201511
新米や昔杓文字に主婦の権 峰崎成規 201512
初物の首位守りたる今年米 時澤藍 201512
新米を装ふ至福と致しけり 谷岡尚美 201512
新米搗く糠の匂ひの夕厨 井島郷雲 万象 201512
ワンコイン入れて新米躍り出づ 相良牧人 201512
炊き上がるときに新米匂ひ立つ 青野安佐子 201512
新米や今年不作と娘言ひ 田中臥石 末黒野 201512
新米を炊きをり突と地震来る 田中臥石 末黒野 201512
新米を洗うおいしいお嫁さん 林田麻裕 201512
百姓をまだ続くると新米来 大橋晄 雨月 201512
一等判ぽんぽん打たる今年米 佐藤山人 201601
十八のどんぶり飯や今年米 安井和恵 201601
故郷より俵で届く今年米 大森道生 春燈 201601
新米を洗ふに水も光りけり 牧田澄子 雨月 201602
病む母の新米の香をよろこべり 立花一枝 201602
堅く口縛りて届く今年米 吉田葎 201602
供出の新米馬車で納めけり 都留百太郎 末黒野 201602
新米や囃子聞こゆる畔の上 楠本和弘 201603
新米を炊いて決勝戦の朝 山田佳乃 ホトトギス 201604
新米で傘寿寿ぐ握り飯 神田惣介 京鹿子 201604
新米を研ぐやはらかき掌 岩下芳子 201611
新米に頬ずりしたり老農夫 山ロ千代子 万象 201611
今年米年貢のごとく届けらる 和田絢子 春燈 201611
摺りたての新米人肌のぬくみ 柴田ふさこ 201612
道楽を続くると添へ新米来 大橋晄 雨月 201612
故里の佳き名戴く今年米 永井惠子 春燈 201612
新米の湯気に落とすや地卵を 永井惠子 春燈 201612
新米は袋に静かな夜でした 辻響子 201612
第一便の新米出荷深き礼 辻響子 201612
もてなしのまづ新米と村自慢 辻響子 201612
創業祭新米当てた人の次 宮野了子 201612
新米を庖瘡神にひとつまみ 内海良太 青嶺 201612
新米はひとめぼれなり嫁も子も 黒澤佳子 あを 201610
恒例の旧友よりの新米来 大橋晄 雨月 201701
新米を握ればかすかなる温み 阪上多恵子 雨月 201701
能勢棚田なる新米ともてなさる 片山喜久子 雨月 201701
新米の一粒づつに目鼻あり 高木晶子 京鹿子 201701
新米を積み上ぐる蔵冷たくす 内海保子 万象 201701
新米よと置かるる袋下ぶくれ 甲州千草 201701
新米の姫と小町を選り惑ふ 須賀ゆかり 201701
袋よりこぼれて青き今年米 岡本秀子 201701
新米の姫と小町を選り惑ふ 須賀ゆかり 201701
袋よりこぼれて青き今年米 岡本秀子 201701
今年米海坂藩の話など 根橋宏次 やぶれ傘 201701
新米をとぐ音聞こえ鼻歌も 白石正躬 やぶれ傘 201701
いま流行一粒の塩今年米 七郎衛門吉保 あを 201701
竈もつ男へ持たす今年米 押田裕見子 201702
新米やともあれ卵かけご飯 角野良生 201702
今年米妻仏飯を大盛りす 田中臥石 末黒野 201702
新米のむすび頬張る道の駅 秋山信行 やぶれ傘 201702
今年米コイン精米機に入れて 森美佐子 やぶれ傘 201702
新米を塩で結ぶや感謝のみ 長崎桂子 あを 201702
新米を新碗に盛り差向い 竹村淳 201703
風穴に暗き灯明今年米 大内和憲 万象 201703
新米とはいつまでのこと零余子飯 中川句寿夫 ここのもん 201705
今年米丼飯といふ昔 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
新米に長き縁のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201710
姉上へと書かれ新米届きけり 柴田志津子 201709
新米を送りほっこり湯治宿 七郎衛門吉保 あを 201711
今年米手にし鼻よす目ききかな 七郎衛門吉保 あを 201711
自販機につんと上向く今年米 つじあきこ 201712
新米の名が口火切る国自慢 森岡正作 201712
東京へ明日届くてふ今年米 岡田桃子 201712
新米と聞いて見とれてしまひけり 溝渕弘志 六花 201801
手に掬ひ手に温かし今年米 岡田正義 雨月 201801
掬ふ掌のしろじろ光り今年米 伊藤希眸 京鹿子 201801
受取りに苦労する程今年米 須賀敏子 あを 201801
父祖の地の新米届く明日は晴れ 中島美冬 春燈 201801
自炊子へ送る新米無洗米 下田奉枝 雨月 201802
新米に梅干一つ進化せず 高木晶子 京鹿子 201802
磨き上げ酒を醸さん今年米 山田佳乃 ホトトギス 201803
縁側に積む新米や高く積む 永井恵子 春燈 201803
父の名に新てふ字あり今年米 磯貝尚孝 清閑 201804
ほの温し新米に手を埋めれば 今井康子 201802
新米をこぼるるほどに供へけり 高倉和子 201802
玄関に子のメモのあり今年米 山口郁子 末黒野 201804
新米を白の茶碗に八分目 林豊美 船団 201806
新米に心を添へてたまはりし 稲畑汀子 ホトトギス 201810
水加減減らし新米炊き上る 稲畑汀子 ホトトギス 201810
新米の滋賀県産に箸とどめ 佐藤淑子 雨月 201811
新米研ぐ老いを分け合ふ妻のゐて 山崎刀水 春燈 201811
塩むすびのふはり大きく今年米 秋山文子 末黒野 201812
新米の手ざはり先祖に遇ふごとし 中貞子 201812
新米のおこげ香ぐはし土鍋炊 荻坂真稚子 雨月 201901
新米の美味しうなぎも又うまし 林いづみ 風土 201901
新米の一つぶ掬ふ重さかな 西村白杼 京鹿子 201901
在所から「ひとめぼれ」てふ今年米 佐々木あつ子 やぶれ傘 201902
新米の荷の届きたる旗印 佐藤花木 雨月 201903
新米を軽々担ぎ男来る 横田敬子 201905
新米を嗅ぐや家郷の梁太し 田岡千章 201905
優賞の新米五キロ提げて来し 三井所美智子 201907
いもうとの新米届く金曜日 須賀敏子 あを 201912
一年を晴れ晴れ僕の今年米 辻響子 201912
新米をこぼさぬやうに量りけ 穐好樹菟男 馬醉木 201912
新米やただそれだけの塩むすび 大西由美子 春燈 201912
揃ひたる顔ほころびて今年米 久保夢女 201912
新米と念を押されし夕餉かな 中原敏雄 雨月 201912
今年米続けし友のこれまでと 大橋晄 雨月 201912
新米を送る荷札の楷書かな 島玲子 風土 201912
新米と特筆大書のとき来る 柿沼盟子 風土 201912
長子ゆゑ継ぎて老いたり今年米 福井ひでとし 雨月 202001
新米を供へて語るひとしきり 大石よし子 雨月 202001
ひとしきり講釈聞きて今年米 赤石梨花 風土 202001
新米の荷造り確か父の技 大坂正 末黒野 202001
新しき釜もて炊くや今年米 中里昌江 末黒野 202001
新米といふめでたさの重みかな 望月晴美 202001
新米を出荷捨て値の二等米 田中臥石 末黒野 202001
息災といふよろこびの今年米 橋添やよひ 風土 202002
バイキング里の新米お代りす 佐藤玲子 京鹿子 202002
大振りの土鍋で炊いて今年米 貫井照子 やぶれ傘 202002
恭しく祓ひ給ひし今年米 岩下芳子 202002
百歳の好々爺です今年米 長沼佐智 船団 202003
水漬きたるもののひとつに今年米 今橋眞理子 ホトトギス 202003
新米に一汁一菜てふ夕餉 稲畑汀子 ホトトギス 202010
甲斐駒の水清らかに今年米 相川健 202011
新米の湯気にも思ふ戦後かな 安立公彦 春燈 202011
炊立てを仏と分かつ今年米 栗原公子 202011
新米のにほひ倉庫に満ちみちて 前田美恵子 202011
つきたての新米指に温かし 須賀敏子 あを 202011
手に掬ふ新米の仄かなぬくみ 土井三乙 風土 202012
新米の姫と呼ばるるこの重さ 甲州千草 202012
空気握るか新米の塩むすび 平松うさぎ 202012
雑りつ気なきふるさとの今年米 内山花葉 202012
新米の扶持三俵の届きけり 田中臥石 末黒野 202012
新米と一緒の笑顔娘婿 田中臥石 末黒野 202012
新米を炊く香の朝の猫の顔 秋川泉 あを 202012
新米を八分搗してゐたりけり 山田六甲 六花 202012
新米の艶がこんなに白いとは 山田六甲 六花 202012
みすずかる小諸の宿の今年米 山中志津子 京鹿子 202101
懐郷の止まず新米湯気立ちて 川高郷之助 202101
贈り主聞けば見ずとも今年米 安原葉 ホトトギス 202101
新米やうすかすみたる目鼻立ち 根來隆元 202101
忌日の子新米積んで帰りけり 大内幸子 六花 202101
在宅を確かめ届く今年米 森美佐子 やぶれ傘 202101
二人居や四人分炊く今年米 浅嶋肇 やぶれ傘 202101
新米のまだ暖かき握り飯 小池一司 やぶれ傘 202101
釜替へて炊き上り待つ今年米 菅野日出子 末黒野 202102
新米やすすむ二人の象牙箸 小池桃代 末黒野 202102
今年米渡せぬ人となりにけり 善野行 六花 202102
命日を待ちて新米炊きにけり 松田明子 202105
特別な日かと問はれて今年米 稲畑汀子 ホトトギス 202110
新米と分る炊きたて御飯かな 稲畑汀子 ホトトギス 202110
新米→1

 

2021年10月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。