鹿 2   100句

鹿の音に人の貌みる夕部哉   一髪   曠野集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
快晴の古都近づけて鹿と人 稲畑汀子 ホトトギス 200411
背山より鹿の鳴き声茸買ふ 田中藤穂 あを 200411
蝦夷鹿の眺める海もオホーツク 早崎泰江 あを 200411
鹿鳴けば月の傾ぶく山の鼻 林彌生 草の花 200412
蝦夷鹿の澄める眼を畏れをり 戸栗末廣 火星 200412
鹿鳴くやうかと見過す千度石 辻井桂子 春耕 200412
金泥の平家納経鹿の声 さわいりまりこ 遠嶺 200501
尾根の道親に添ひたる鹿の糞 森理和 あを 200501
さ牡鹿の眼に寂光のありにけり 延広禎一 200501
片瀬波鹿鳴く声となりにけり 栗栖恵通子 200501
鹿鳴くや落石の音ひびくなか 岸田爾子 200501
鹿鳴いて降臨の地の日暮れかな 淵脇護 河鹿 200502
脚線美ぞんぶんに見せ鹿鳴けり 伊藤希眸 京鹿子 200502
鹿なりといふふたこゑを皆聞きぬ 瀧春一 菜園 200509
飛火野をよぎりて鹿の寄辺あり 稲畑汀子 ホトトギス 200510
月まろし出でこよ山の鹿狐 水原春郎 馬酔木 200511
草を喰む鞍馬の野鹿修験道 河合佳代子 栴檀 200511
鹿煎餅買へば直ちに鹿寄り来 川浪広子 築港 200511
神域に鹿のハーレムありにけり 近藤喜子 200512
神鹿の尻の白毛夕の園 佐藤彰 築港 200512
おもむろに鳥居を潜る神の鹿 上野恵津子 築港 200512
角のなき角突きあはす神の鹿 上野恵津子 築港 200512
引潮の真砂に鹿の集まり来 杉浦典子 火星 200601
くれがての鹿たちの耳硬さうな 城孝子 火星 200601
水呑んでまた歩きだす牡鹿かな 城孝子 火星 200601
空堀の中より天へ鹿鳴けり 岩月優美子 200601
鹿逃げて蝦夷の没日に跳び込めり 中田みなみ 200601
暮れぎはの土の色して鹿眠る 鈴木厚子 栴檀 200601
老鹿の岩の如くにうづくまり 若江千萱 雨月 200601
廃鉱の山より鹿のなく声が 山本漾子 雨月 200601
鹿の声しかと聴きとむ峠かな 山本漾子 雨月 200601
鹿の鳴く声を間近に山下る 田中喜久子 酸漿 200601
横たはる高さ鹿の目光りけり 大和あい子 百鳥 200602
潜居せし義経館鹿の声 嶋木勝次郎 遠嶺 200602
夕鹿の塔の九輪を仰ぎをり 岩淵彰 遠嶺 200602
鹿撫ぜて正倉院展へ急ぎけり 松村越子 馬醉木 200602
鳴き交す鹿の走れば黄昏るる 松村越子 馬醉木 200602
たもとほる角を伐られし鹿の貌 大石よし子 雨月 200602
正倉院展出でてのひらに鹿の息 河崎尚子 火星 200602
風の出ておどろき易き鹿の耳 師岡洋子 ぐろっけ 200602
きりきりと綱引き合へり勢子と鹿 藤田佑美子 栴檀 200602
疾駆する鹿尻の毛を逆立てて 角南英二 栴檀 200602
奈良に来てハツピーイブの鹿に煎餅 丸山佳子 京鹿子 200603
縄かけし勢子をひきずる雄鹿かな 森樹夫 栴檀 200603
泡ふけり勢子に追はるる鹿の口 鈴木和香 栴檀 200604
逃げまはる鹿の口角白き泡 清水雅子 栴檀 200605
一本の綱を引き合ふ勢子と鹿 大平勝子 栴檀 200605
鹿啼いて回峰行の山深し 南一雄 200609
目を逸らす鹿撃ち殺す銃の先 谷榮子 雨月 200610
夜鹿啼く天平の世を手繰るかに 近藤敏子 200611
夕鹿の妻恋ふ顔となりゐたり 鷹羽狩行 200612
牝の鹿の細身寄りくる月夜かな 鷹羽狩行 200612
起ち上がり牡の鹿となる月下かな 鷹羽狩行 200612
奈良の夜と思ふ妻恋ふ鹿の声 鷹羽狩行 200612
筒抜けに月光界の鹿の声 近藤喜子 200612
鹿の出て警察沙汰となりしかな 守屋井蛙 酸漿 200701
潤みたる目や貧相な神の鹿 山中宏子 200702
かたはらに深き息づき鹿の妻 吉田明子 200702
その奥の灯ともり初めて鹿の声 今橋眞理子 ホトトギス 200703
人波にじつと佇む鹿老いて 恒成久美子 ぐろっけ 200703
万燈の闇に鹿の目ひかりけり 長谷川史郊 馬醉木 200704
夜は鹿を寄する山湖の月明り 山田弘子 ホトトギス 200704
白樺の皮食みこぼす牡鹿かな 田中久仁子 万象 200704
岩窟の温泉の鹿へと呼ばれけり 刈米育子 200705
鹿啼いてはつたと軽き旅衣 小澤克己 遠嶺 200709
鹿よぎる古都の静寂の中にあり 稲畑汀子 ホトトギス 200711
裏庭に鹿集ひ来し夕餉時 柳川晋 200711
風に透き通り来る夜の鹿の声 大橋敦子 雨月 200711
星青く寧楽山あはし鹿の声 水原秋櫻子 馬醉木 200711
東大寺はなればなれに鹿鳴けり 岬雪夫 200712
山雨はや上がりて鹿のこゑの鋭し 伊藤たか子 遠嶺 200712
鹿はつと立ち上がる木洩れ日の揺れ 近藤喜子 200801
公園の鹿と渡りぬ信号機 植竹惇江 春燈 200801
雀色時平仄合はぬ鹿のこゑ 後藤眞由美 春燈 200801
百八の磴も通ひ路鹿の秋 八染藍子 200801
鹿ほどにとほき目をしてみどりごよ 辻美奈子 200801
蝦夷鹿と白骨の木と熊危険 吉岡一三 200801
さを鹿の次はわたくし山の水 佐藤喜孝 あを 200801
鹿暗くや雨のダム湖の向かう岸 安原ときこ 遠嶺 200802
夕鹿の鼻よせてくる二月堂 垣岡暎子 火星 200802
夕さりの鹿や旅人に甘え寄り 落合由季女 雨月 200802
菓子袋持つ子へ鹿は一目散 大井邦子 ぐろっけ 200802
鹿鳴いて丹波の山に粗き星 内海良太 万象 200803
飛火野の鹿とわたくし十三夜 陽山道子 船団 200803
どの鹿も法の目をしてせんべい欲し 丸山佳子 京鹿子 200804
天平の仏に添うて鹿の妻 林友次郎 天帝 200806

 「朱雀」200号を祝して

笛吹けば鹿の集まる朱雀門

鷹羽狩行 200808
薪能矢来の外に鹿侍り 小林成子 200808
日溜りや相寄る鹿の尻白き 小泉貴弘 筑波の道 200811
文机に考へ深く夜の鹿 近藤喜子 200811
高空へ声の極みを夜の鹿 近藤喜子 200811
緑多き公園近し鹿遊ぶ 市村義夫 風土 200812
宴席にぬつと顔出す神の鹿 金田美恵子 ぐろっけ 200812
踞る遠眼差しの神の鹿 金田美恵子 ぐろっけ 200812
神鹿の人に馴れたる眼と合へり 金田美恵子 ぐろっけ 200812
遠鹿や三角窓を月渡り 高橋芳子 火星 200812
雨となる八瀬に鹿鳴く夕べかな 佐用圭子 200901
火袋も覗きて鹿の飢ゑあらは 八染藍子 200901
鹿よぎる千尋の道バス止めて 島純子 ぐろっけ 200901
闇裂きて牡鹿現れたる神の森 犬丸勝子 200901
鹿 →3      

 

2021年10月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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