秋 気 1     218句

秋気濃し渾身で聴くブラームス 本橋仁 露光

作品
作者
掲載誌
掲載年月
紙質の腰をたしかむ秋気かな 能村研三 199910
遠富士や夜明の星に秋気澄む 原静寿 酸漿 199911
琴座から白山までの秋気かな 高橋将夫 199911
潮風にきのふがうすれゆく秋気 奥田節子 火星 199911
白樺の林のかもす秋気とも 鷹羽狩行 199912
突堤の釣人にある秋気かな 村川雅子 200001
松姫の墓卵塔に秋気満つ 大塚洋子 酸漿 200001
秋気満つ無銘備前の大壺に 田中藤穂 水瓶座 200002
除幕てふ一石の綾秋気澄む 鈴鹿仁 京鹿子 200010
柝の入りて秋気の緊まる木偶芝居 中村房子 馬醉木 200012
秋気澄む手廻しで聴くオルゴール 野口香葉 遠嶺 200012
秋気澄む境内巡り出棺す 安藤浄子 ぐろっけ 200012
修験みち一草一樹の秋気かな 大西逸子 京鹿子 200102
ワイン蔵眠るワインに秋気満つ 大塚洋子 酸漿 200103
いちはやく滝が秋気を放ちけり 能村登四郎 羽化 200110
秋気澄む橋の意匠の硯箱 矢島久栄 200111
越路かな李朝の壺に秋気溜め 林翔 200112
水洗ひ出来る畳の秋気かな 池崎るり子 六花 200112
秋気澄む日名倉山を指呼に置き 平田安生 風土 200112
空つぽの巣箱が幾つ秋気満つ 内田和子 酸漿 200112
秋気満つかはせみ消えし川の面 嶋崎茂子 百鳥 200112
長谷観音おはす御堂に秋気満つ 三井公子 酸漿 200201
清冽な秋気秘佛も吸ひ給ふ 山田をがたま 京鹿子 200202
秋気満つ古刹の梁に天邪鬼 小阪律子 ぐろっけ 200202
ハードルを一つ飛び越へ秋気満つ 桑坦信子 いろり 200203
秋気澄む町並保存指定域 小林呼溪 200210
秋気澄む轆轤しづかに大胆に 渡辺昭 200210
秋気やがて妖気とならむ夜の闇 林翔 200211
弦を引き絞り秋気を引き絞る 大串章 百鳥 200212
師の眠る黄檗山の秋気かな 高橋将夫 200212
玻璃越しに埴輪の乾く秋気かな 水野恒産 200301
霊木の降らす秋気でありしかな 海輪久子 円虹 200301
筆塚へ対す心根秋気満つ 府川房江 遠嶺 200302
川沿ひの秋気澄みけり馬蹄音 砂川せい輝 遠嶺 200302
梵鐘をおほひし網に秋気澄む 星佳子 200311
瑞巌寺の「鶏足」の額秋気澄む 竹中龍青 200312
瑠璃いろの高麗瓦秋気たつ(慶州) 谷口みちる 200312
吊橋の中ほどにある秋気かな 大野信子 草の花 200401
瑞巖寺の「鶏足」の額秋気澄む火 竹中龍青 200403
ならなくに秋気は水の面から 宇都宮滴水 京鹿子 200410
名のままの墓碑立並ぶ秋気かな 島崎家墓 酸漿 200410
秋気澄み藪に納まる稲荷堂 村田さだ子 酸漿 200410
霊峰に透る法螺の音秋気満つ 卜部黎子 春燈 200411
街なかを羊の群れや秋気澄む 戸田和子 200411
面影橋といふさへ秋気漂へり 鈴木榮子 春燈 200411
まだ青き嶺を連ねて秋気澄む 辻恵美子 栴檀 200411
秋気澄む木にも石にもいくさ傷 久保知音 対岸 200412
摩崖仏の御目御鼻秋気満つ 林翔 200412
幾世経し石筍石華秋気満つ 石本秋翠 馬醉木 200412
もてなしの炉火闌の秋気かな 中田みなみ 200412
秋気澄む身廊長き教会堂 辰巳陽子 春耕 200412
語り部の紀州訛や秋気澄む 菅沢陽子 春燈 200501
万国旗かかげて聖地秋気立つ 徳田正樹 河鹿 200501
森を来る口笛幼な秋気澄む 坪井洋子 200502
秋気澄む二十五菩薩来迎図 さわいりまりこ 遠嶺 200502
琥珀の酒秋気と共に咽喉に入る 林翔 200510
拍手打つ仏と神に秋気かな 能村研三 200510
渦巻くは秋気か夢か仙娥滝 阿部ひろし 酸漿 200510
川幅が滝幅となり秋気澄む 大串章 百鳥 200511
木目浮く欅の漆器秋気満つ 石川敬子 対岸 200511
鑿を待つ石の肌に秋気澄む 安藤しおん 200512
盲聾の迫りし齢秋気配 伊藤稔代 200512
名陶に秋気満ちたり欣びも 林翔 200512
秋気みつ山の力や毘沙門天 谷村幸子 200512
秋気澄む谷汲山へ赤き橋 藤田佑美子 栴檀 200601
秋気澄む新体操の少女らに 田口たつお ぐろっけ 200601
朱色濃き壇上伽藍秋気澄む 大槻球子 遠嶺 200601
山影に収まる村や秋気満つ 高倉和子 200601
秋気澄む墓前に父母を独り占め 大石よし子 雨月 200602
秋気澄む食卓に山近づけて 高倉恵美子 200602
秋気澄む雷干しの瓜食めば 服部早苗 200602
秋気澄む寺の一角写経場 西宮舞 200603
企つに遅きことなし秋気澄む 伊藤白潮 200610
神木の鼓動千年秋気澄む 藤井寿江子 馬醉木 200611
茅葺きの秋気截つかに蕎麦を打つ 大沢美智子 200611
秋気澄むえぼ鯛干物はたと小さし 鈴木榮子 春燈 200611
大台原の野草の揺れぞ秋気配 伊藤稔代 200612
狂言は猩々の舞秋気澄む 永井雪狼 200612
秋気澄み語り合ふごと双塔立つ 宇田紀代 200612
ユダヤ式降神の儀や秋気澄む 泉田秋硯 200701
製材の音立ち上がる秋気かな 出来由子 200701
闊歩するウエスタンブーツ秋気配 平井とも子 200701
秋気満つ姫の鎧の紺一色 数長藤代 200701
秋気澄む瑞牆山を目のあたり 田中きよ子 酸漿 200701
魚はねて広がる水輪秋気澄む 丹生をだまき 京鹿子 200702
秋気澄む大きな口の鯉の列 阿部正枝 遠嶺 200702
大堂の未完の竜や秋気澄む 及川澄江 風土 200711
指揮棒が秋気踊らせ曲をどる 林翔 200711
山際の空の青さの秋気かな 丸山敏幸 200711
浅沓の禰宜の祝詞に秋気澄む 望月洋子 200712
馬子唄に酔うて信濃や秋気満つ 坪井洋子 200712
本堂に正しく座る秋気かな 高倉和子 200712
望楼の風鐸に穴秋気澄む 田村園子 200712
雨過ぎてあまねく秋気満ちてをり 山口ひろよ 200712
見渡して富士の曲線秋気澄む 井上紀子 200801
鐘ひとつ打ちては秋気ふるはする 山田天 雨月 200801
秋気満つ竹生古刹の舟廊下 千田百里 200801
秋気澄み羅漢二体の耳うちす 近藤きくえ 200801
時計回りに供ふる榊秋気澄む 服部早苗 200801
行間に詩のあり秋気澄みてをり 近藤喜子 200801
一列に歩く木道秋気澄む 瀬戸悠 風土 200801
頂上ヘリフト近づく秋気かな 西岡啓子 春燈 200801
橋桁に水のぶつかる秋気澄む 濱地恵理子 200802
秋気澄みけり入魂の師の碑より 柴崎英子 絹の波 200806
黒竹の葉ずれ書院に秋気満つ 邑橋節夫 菊揃へ 200806
木の陰に秋気潜める日暮かな 清水伊代乃 酸漿 200810
馬通す緩ききざはし秋気満つ 能村研三 200810
みどりなほ深けれど山に秋気満つ 鈴木幾子 酸漿 200811
秋気澄む堂の静謐四天王 笠井清佑 200811
筒上げの轆轤の土や秋気澄む 能村研三 200812
掛け替へしカーテン秋気孕みけり 風間史子 200812
秋気満つ空(くう)を見つめる幼なの目 木村美猫 ぐろっけ 200812
墨香の詩の一巻秋気澄む 水野あき子 遠嶺 200812
幸運の証の黒子秋気澄む 星井千恵子 遠嶺 200812
光悦の黒楽茶碗秋気満つ 古川さかえ 酸漿 200901
宮殿の大きな壁画秋気澄む 長瀬恒子 遠嶺 200901
蒸気機関車据ゑたる上野秋気澄み 古川さかえ 酸漿 200901
余韻引くアイーダ・トランペット秋気澄む 生方義紹 春燈 200901
総玻璃の駅の秋気やクリスタル 坂根宏子 200901
棟上げの槌音高し秋気澄む 堀口希望 200901
郁夫描く祇園精舎に秋気満つ 花岡豊香 酸漿 200901
秋気満つ三国史展の長蛇列 金井香ル 200902
名にしおふ養老の滝秋気澄む 大石よし子 雨月 200902
篠の道轍に満つる秋気かな 延広禎一 200902
曳船の綱真つ直ぐに秋気満つ 木原今女 ぐろっけ 200902
今朝の秋気比松原波立ちて 塩見治郎 雨月 200911
鴨川を行く快き秋気配 山崎里美 200911
秦人の御佛の前秋気生る 竹中一花 200911
三井寺やシテの今日の日秋気満つ 東亜未 あを 200911
深々と肺笑まふまで秋気吸ふ 石田きよし 200912
上りつめし45階秋気澄む 望月晴美 200912
秋気澄む波静かなる浮御堂 増田一代 200912
秋気満つ箱階段の漆黒に 安斎久英 末黒野 200912
秋気澄む高野の裾の小さき庵 安部和子 雨月 200912
始祖鳥の空の青さや秋気澄む 近藤喜子 200912
秋気かな風の変へゆく湖の色 大村峰子 万象 200912
土佐和紙に飛白体ある秋気かな 延広禎一 201001
信仰の島に鈴の音秋気澄む 藤本一城 201001
秋気澄むすなはち伎芸天女かな 大野崇文 201001
宝塔に杉の秋気の冥さかな 松川悠乃 ろんど 201001
座禅堂にひびく警策秋気満つ 菅野日出子 末黒野 201001
秋気澄む墨痕著き朱印帳 古川敦子 末黒野 201002
秋気澄み鉦鼓のひびく天上寺 中山勢都子 ぐろっけ 201002
蓬莱てふ賃取橋の秋気かな 松本三千夫 末黒野 201002
いつか観たユトリロの絵の秋気色 川井秀火 ろんど 201002
秋気澄む千年の塔屹立し 丹生をだまき 京鹿子 201003
合掌の秋気を仰ぐ矢箆原家 布川直幸 201010
「幸の鐘」五点の間あい秋気澄む 東亜未 あを 201011
秋気澄むもののふの世の勅使門 徳井節子 馬醉木 201011
海老蔵のあの目を見たや秋気澄む 角谷美恵子 ぐろっけ 201012
秋気澄む半円形に日本海 福島茂 201012
高原に祝婚の鐘秋気澄む 鈴木浩子 201012
振り上げる剣の影の秋気かな 中野京子 201101
かはせみのぱつと水打ち秋気澄む 田所節子 201101
秋気澄む一刀彫師の柔和な目 近藤きくえ 201101
声明の流れて里の秋気澄む 秋山信行 やぶれ傘 201101

 祝『肩の稜線』

暁光に生るる稜線秋気澄む

楠原幹子 201101
流鏑馬の嚆矢の馬場や秋気澄む 岡野里子 末黒野 201102
秋気満つ生きて男が持つ病 服部郁史 京鹿子 201103
納豆は大粒ぎらひ秋気満つ 堀内一郎 あを 201110
大門の木組みあらはに秋気満つ 吉田希望 201112
頬杖に押し寄せてくる夜気秋気 千田百里 201112
膝は発条秋気を上る女坂 細川洋子 201112
雲水の足の速さよ秋気澄む 渡邊泰子 春燈 201112
晨鐘に目覚むる暮し秋気澄む 岡野里子 末黒野 201201
秋気ふと鏡の奥にゐる私 松田都青 京鹿子 201201
影富士の肩に入り日や秋気澄む 永塚尚代 ぐろっけ 201201
再読の「俳話一滴」秋気澄む 近藤きくえ 201202
日を拒む杉の参道秋気満つ 中野久雄 末黒野 201202
一舟の川を渡れる秋気かな 高倉和子 201210
雲映す池広びろと秋気澄む 加藤静江 末黒野 201211
紙端に二十六穴秋気満つ 辻前冨美枝 201211
張り板の布あざやかに秋気澄む 相沢有理子 風土 201212
九十九折りの参道秋気澄みにけり 南恵子 万象 201212
街に聞くヒールの音の秋気かな 藤井久仁子 ぐろっけ 201212
連山の裾の夕映え秋気満つ 高倉恵美子 201212
あかあかと地獄絵図あり秋気澄む 橋本榮治 馬醉木 201212
秋気澄む乗鞍よりの槍穂高 藤井久仁子 ぐろっけ 201212
夫遺せし観音像や秋気澄み 横山昭子 雨月 201212
厳かに三井の晩鐘秋気澄む 増田一代 201301
素龍本修復なりて秋気満つ 山本麓潮 万象 201301
秋気満つ大樟下の遥拝所 福島悠紀 ぐろっけ 201301
秋気澄む熊野詣の今むかし 坂根宏子 201301
文庫蔵の朱塗長持秋気満つ 松本三千夫 末黒野 201301
秋気澄む弓飾られし蔵屋敷 大森尚子 風土 201302
捨石の裾は地の中秋気満つ 中野京子 201302
燭上ぐる義経堂や秋気満ち 藤井君江 馬醉木 201302
坪庭の日差し変はりて秋気配 藤見佳楠子 201311
秋気凛々北斎の波がしら 遠藤真砂明 201311
飛火野の草の匂ひの秋気かな 笠井清佑 201311
黝(あおぐろ)き闇の秋気や露天風呂 松川悠乃 ろんど 201312
秋気澄むバンダナ粋に装蹄師 相沢有理子 風土 201312
八ヶ岳の彼方に富士山や秋気澄み 塩見治郎 雨月 201312
まつさらな釘を打ち込み秋気澄む 有松洋子 201312
生き伸びて紹る手足や秋気澄む 山内碧 201401
秋気澄む杜の神鶏見え隠れ 松本三千夫 末黒野 201401
秋気澄むチャペルの島へ手漕ぎ舟 門伝史会 風土 201401
彩色の仏画の前や秋気澄む 林いづみ 風土 201401
等々力の修験の滝や秋気澄む 菅野日出子 末黒野 201401
熊楠の森深々と秋気籠め 安部和子 雨月 201402
生き伸びて細る手足や秋気澄む 山内碧 201402
試歩の道秋気は空を抱きけり 増田菖波 春燈 201402
欠伸する程の長生き秋気澄む 松田都青 京鹿子 201402
拝殿の秋気すなはち鹿島神 布川直幸 201410
秋気澄む岡部旅籠の撥ね上げ戸 能村研三 201411
水音の轟き那智の秋気澄む 伊東和子 201412
城塞を登りきりたる秋気かな 片岡久美子 201412
朝粥の匙の木目や秋気澄み 成智いづみ 馬醉木 201412
秋気燈む日は金箔がよく延びる 高橋将夫 201412
野に秋気剣に殺気のありにけり 高橋将夫 201412
秋気澄む高楼に時刻む音 浜福恵 風土 201412
飛行機雲無音の宙を裂く秋気 宮崎左智子 201501
守護神は剣片手に秋気かな 岡本尚子 風土 201501
いづこより調律の音秋気澄む 菅野日出子 末黒野 201502
秋気澄む手動のドアの一輛車 加藤静江 末黒野 201502
八の字に開く蔵の戸秋気澄む 山崎稔子 末黒野 201502
秋気澄むはち切れさうな握り飯 北川孝子 京鹿子 201503
あぢさゐの疲れし葉にも秋気澄む 布川直幸 201508
秋気 →2      

 

2021年9月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。