春泥/春の泥 4      200句

返り血のごとく春泥乾きたる   斎藤きょうこ   暖流

作品
作者
掲載誌
掲載年月
余震産むために春泥震へをり 布川直幸 201203
茶室への足跡著し春の泥 杉山弥生 末黒野句集 201203
春泥を避けし本塁草野球 西川みほ 末黒野句集 201203
拳骨の父を逃れし春の泥 吉田葎 201204
すれ違ふ人の靴みな春の泥 坂根宏子 201205
おじぎする工事看板春の泥 藤本秀機 201205
春泥に塗られて亀の欠伸かな 小池清司 かさね 201205
拾はれぬ十円玉や春の泥 川崎真樹子 春燈 201205
跳越すも踏入るもよし春の泥 石田康明 春燈 201205
春泥を上手に跳ねて浦の猫 岡野ひろ子 201205
春泥をひと跳びタカラジェンヌなり 山尾玉藻 火星 201205
春の泥ぽたりと重き朱印帳 大東由美子 火星 201205
春泥の照りにはとりは声を張る 岡澤田鶴 201205
春泥を躱しそこねてふるさとよ 風間史子 201205
春泥の一本道を檀那寺へ 瀬戸悠 風土 201206
軽がると春泥除けて通る猫 小林あけみ 万象 201206
鶏小屋へ卵をとりに春の泥 杉浦典子 火星 201206
小さきを大きく跳びぬ春の泥 天谷翔子 火星 201206
春泥に一思案して桂馬跳び 金子野生 京鹿子 201206
春泥をわざと踏みゆく子の笑顔 小寺ふく子 六花 201206
春泥を子のゴム長の逆なです 上家弘子 ろんど 201206
春泥や大木巡る土竜塚 上月智子 末黒野 201206
分校に着く春泥の靴ばかり 古賀しぐれ ホトトギス 201207
春泥や一万八千石城下 高田令子 201207
春泥や猫の足跡畳まで 海村禮子 春燈 201207
春泥や無心の姉の手を引きて 布川孝子 京鹿子 201207
春泥や諍あとのほろにがさ 牧野慶 ろんど 201207
草踏んで春泥跳んで流人塚 小原登志春 雨月 201207
道標に沿ひ春泥に合ふ羽目に 安斎久英 末黒野 201207
近道の路地に伏兵春の泥 村田とくみ ぐろっけ 201208
春泥を蹴散らしてゆく十五頭 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
春泥を跳ぶ老人の拳かな 山尾玉藻 火星 201303
春泥の駐輪場の轍かな 岡野安雅 かさね 201305
春泥の坂を一番札所かな 藤井君江 馬醉木 201305
春泥の足どり腓火照りかな 松木ひろ ろんど 201305
春泥に片足掴まるふるさとや 和田政子 201305
待つ人の来ぬ春泥の靴乾く 田代貞枝 201305
幾筋も好しきいろ春の泥 加藤みき 201305
七人が持ち込んで来る春の泥 向江醇子 ぐろっけ 201305
信心の足跡なりし春の泥 山本耀子 火星 201305
親越ゆる靴のサイズや春の泥 桂敦子 201306
杖惑ふ真珠光なす春の泥 神田恵琳 春燈 201306
駄菓子屋の引戸四枚春の泥 山路紀子 風土 201306
どこをどうさまよひ来しか春の泥 遠藤逍遙子 風土 201306
陪塚のみちなき道の春の泥 東野鈴子 雨月 201306
春泥に悔やむことのみありにけり 諸戸せつ子 春燈 201306
正造の距みし春泥われも踏む 亀田やす子 ははのこゑ 201306
春泥を班長がとぶ通学路 相澤和子 ろんど 201306
春泥に歩巾戸惑ふ女靴 福田房子 末黒野 201306
春泥を詫びてタクシー拾ひけり 稲岡長 ホトトギス 201307
春泥に躊躇の小犬抱き跳ぶ 史あかり ぐろっけ 201307
春泥の翳り宿して牛が来る 鴨下昭 201307
よちよちの仔犬撥ね上ぐ春の泥 松井洋子 ぐろっけ 201307
落研出身春泥かるくまたぎけり 遠山陽子 201401
春泥や猫の差し足宙におき 生田恵美子 風土 201401
春泥に滑つてならぬ踏み応へ 稲畑汀子 ホトトギス 201403
一人づつまたぐ春泥高層下 秋葉雅治 201404
餓鬼大将背にあっぱれ春の泥 貝森光洋 六花 201404
春泥を頬につけたる子の笑顔 コ田鶴子 馬醉木 201404
内野手の春泥に足取られけり 和田紀夫 201405
タップ踏むやうに春泥落としけり 鎌田光恵 201405
転んではならじ春泥ひかりけり 齋藤厚子 201405
春の泥野蛮なる美と力あり 川南隆 ろんど 201405
春泥のかがやいてゐる正午かな きくちきみえ やぶれ傘 201405
春泥の根岸の路地を迷ひけり 小林成子 火星 201405
春泥やおのころ島の人と添ふ 中田禎子 201405
春泥や平地に御座す村の神 工藤ミネ子 風土 201405
春泥や歩み重たき喪のおくり 森田利和 201405
春泥を跳ばむ生れ日なればこそ 甲州千草 201405
春泥を来て春泥を帰らざる 常田創 201405
御猟野乃杜春泥の小径かな 中田禎子 201405
工事場の踏み乱されし春の泥 泉和美 末黒野 201406
登校時子等のはしやぎの春の泥 東秋茄子 京鹿子 201406
禰宜の沓通りすぎたる春の泥 竹内悦子 201406
飛火野に大き靴跡春の泥 大橋晄 雨月 201406
春泥の我張りとかわく旅の靴 江澤弘子 201406
春泥や巫女緋袴にはね上げて 谷貝美世 末黒野 201406
春泥をひたひた歩くさびしさよ 有本惠美子 ろんど 201406
春泥を足裏に付けて子の無邪気 北郷和顔 末黒野 201406
春泥を大きく跨ぎ獣医来る 原友子 201406
春泥を跳び来て少女胸隆し 田中臥石 末黒野 201406
愛犬も主も共に春の泥 野村鞆枝 京鹿子 201407
塗替への足場に乾く春の泥 菊地葉子 やぶれ傘 201407
お互ひに道ゆづりあふ春の泥 野村鞆枝 京鹿子 201407
春泥や馬柵すれすれに競走馬 西川みほ 末黒野 201407
春泥や裏木戸までの三四歩 野村鞆枝 京鹿子 201407
春泥を跳びて失ふイヤリング 三川美代子 201407
草野球それ球追ひて春の泥 野村鞆枝 京鹿子 201407
人込みを避け春泥に填りたる 小林朱夏 201503
風骨は継ぐべし春の泥跳ぶべし 千田百里 201504
春泥の礫蹴り上げ馬駈くる 宮田香 201504
発掘の西方遺跡春の泥 笠井清佑 201504
春泥や父の大靴捨てかねて 水原春郎 馬醉木 201504
破顔してをとこ春泥ためらはず 生田作 風土 201505
春泥に夫の手を借る春の夢 大橋伊佐子 末黒野 201505
春泥の上に生まれて死ぬ定め 柳川晋 201505
春泥の照り翳りして腥し 寺田すず江 201505
ぼこぼこと春泥の道熊野まで 雨村敏子 201506
春泥や獣医の後を牛舎まで 辻由紀 雨月 201506
春の泥とんで少女の意趣がへし 直江裕子 京鹿子 201506
長靴は春泥まみれ獣医来ぬ 相沢有理子 風土 201506
サッカーの児の靴大き春の泥 奥田茶々 風土 201506
ふるさとの春泥さへもなつかしき 本間羊山 風土 201506
春泥や己が足跡見る鴉 藤原若菜 春燈 201506
春泥や宙にさまよふ左足 本間せつ子 末黒野 201506
春泥の故郷に戸籍置きしまま 足立良雄 201506
この世なる春泥しかと踏みにけり 岩月優美子 グピドの瞳 201506
朗報を告ぐや春泥跳ね上げて 小松誠一 201506
春泥にまみれ子の齢隠しをり 岡山敦子 京鹿子 201507
春泥の靴乱雑に保育園 今村千年 末黒野 201507
春泥を抜けて春泥化粧坂 今村千年 末黒野 201507
春泥をシャツにパンツにラガーマン 今村千年 末黒野 201507
肩押し合ひラガー蹴上ぐる春の泥 漆山浩一 末黒野 201507
春泥の径をたどりて母の里 赤松郁代 万象 201507
流鏑馬の跡の春泥荒れてゐし 佐津のぼる 六花 201507
何処までも付いて来る気の春の泥 和田華凛 ホトトギス 201508
春泥やじぐざく歩き是非もなく 安斎久英 末黒野 201508
凹凸の凹に翳ある春の泥 八木健 八木健俳句集 201509
春泥にまだ堅き底ありにけり 原田達夫 箱火鉢 201511
春泥を踏み来し靴と知られけり 稲畑汀子 ホトトギス 201603
選ぶ道葉先生は春泥に 稲畑汀子 ホトトギス 201603
春泥の一歩忌心重ねつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
春泥を踏まねば着けぬ絶景へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
春泥や鉛筆書きの農日誌 能勢俊子 馬醉木 201604
春泥を足裏に試歩終りけり 松本幹雄 馬醉木 201605
春泥や幼子ひよいと宙に吊り 楠原幹子 201605
春泥に掴まりゐたる禰宜木沓 石崎浄 風土 201605
春泥に清き言霊拾ひをり 中田禎子 201605
春泥の下の歴史よ震災忌 江島照美 201606
春泥を跳ね上げてゆくランドセル 篠藤千佳子 201606
春泥や道交はればなほ光る 田中とし江 201606
春泥の靴並びをり保育園 野畑さゆり 201606
縄電車春泥に来て折り返す 石崎浄 風土 201607
春泥やありもせん支柱(て)を掴みたる 瀬川公馨 201607
春泥の道をゆつくり牛登る 松本正生 やぶれ傘 201608
春泥を来て少年のふくら脛 陽山道子 船団 201701
春泥の忌心ほどに濡れてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
公道に春泥散らし耕耘機 大霜朔朗 末黒野 201704
学舎の蒼き乾きや春の泥 鈴鹿呂仁 京鹿子 201705
春の泥宅急便の走りぐせ 鈴鹿仁 京鹿子 201705
抜け道の春泥避けてよろけをり 石井秀一 風土 201705
春泥の靴がいつぱい児童館 高橋まき子 風土 201705
ぴかぴかに光れよ春の泥だんご 岩下芳子 201705
ランドセルに春泥はねし下校の子 近藤紀子 201705
春の泥小さき足と跳ね踊る 有松洋子 201705
春泥の未踏の艶を惜しみけり 宇都宮敦子 201705
税務課へ春泥つづきゐたりけり 菅谷たけし 201705
春泥の靴のずらりと浄瑠璃寺 榎本秀治 201705
九十九折りなりし古里春の泥 植村蘇星 京鹿子 201706
日射し濃き春泥ほのと匂ひ立つ 植村蘇星 京鹿子 201706
地祭りの祢宜の袴や春の泥 高橋正江 末黒野 201706
ゴルファーの球春泥を弾きをり 長谷川はまゆう 末黒野 201706
春の泥畦に飛ばして耕転機 斉藤マキ子 末黒野 201707
春泥の小さき靴を迎へけり 是松三雄 末黒野 201707
春泥の靴を並べて月斗の忌 上辻蒼人 風土 201706
呼ばれても春泥ひと跳びとはいかぬ 岸洋子 201706
春泥に塗れ乳牛佇めり 赤座典子 あを 201804
春泥や鳥の足跡踏みてゆく 中貞子 201805
春泥や己蔑む日のありぬ 藤生不二男 六花 201805
散歩道春泥懐かし小雨かな 溝渕弘志 六花 201805
泥吐けば吾が身の重し春の泥 西村滋子 京鹿子 201805
春の泥うちひろごりて陰の神 南うみを 風土 201805
直会へ靴陸続と春の泥 南うみを 風土 201805
春泥を二人で跳んで入籍す 遠山陽子 201805
近道をしてまぬがれず春の泥 黒滝志麻子 末黒野 201805
春泥を大きくとんでランドセル 尾崎みつ子 雨月 201806
散歩道春泥懐かし雨激し 溝渕弘志 六花 201806
春泥につかず離れず象の鼻 中西恒弘 201806
探鳥の靴に乾きし春の泥 中西恒弘 201806
道草やどこへ寄りしか春の泥 近藤紀子 201807
春泥を羅漢唯今托鉢中 平野多聞 201807
春泥の鴨をそぞろに尋ねけり 石崎和夫 201807
春泥をつけ制服のアルマーニ 藤井啓子 ホトトギス 201807
春泥を石もて落し寺に入る 高倉和子 201807
春泥をつけて戻りぬ護摩祈願 森田明成 201807
君たちはどう生きるかと春の泥 松永みよこ 船団 201809
縄電車春泥に来てまはれ右 平田初音 京鹿子 201901
運動場肩を組む背に春の泥 工藤はる子 201902
春泥を踏んで黒猫闇に消ゆ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
二重橋前春泥を許さざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
春泥を厭はぬ君のピンヒール 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
逃げ道は先細りする春の泥 鈴鹿仁 京鹿子 201905
消し切れぬ戦士の記憶春の泥 藤岡紫水 京鹿子 201905
春泥や濃き牛乳は噛んで飲む 吉清和代 201905
春泥や月面に踏み出すやうに 近藤喜子 201905
杣出しの馬が鈴振る春の泥 くどうひろこ 201906
春泥や年少組の列乱る 厚芝唯菜 京鹿子 201906
春泥の巨大農機やプレーリー 伊吹之博 京鹿子 201906
春泥の付きしおしぼり椅子にあり 永田万年青 六花 201906
春泥や足の先よりフラミンゴ 江見巌 六花 201906
青春の挫折と夢や春の泥 福森順子 京鹿子 201907
春泥や隣り村との道しるべ 安斎久英 末黒野 201907
春の泥落とす夕ベの余韻かな 及川照子 末黒野 201908
春泥を軽く飛び越すランドセル 遠山のり子 201909
春泥も歴史の一部なる城址 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
春泥や命育むものとして 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
春泥の靴の犇く忌日寺 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
春泥を避け来る猫の器量かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
春泥はてらてらタイヤ痕深く 藤井奨晴 やぶれ傘 202005
春泥や下取り祭の紅テント 林せり 船団 202006
春泥を掘ってこつんとアトランティス みぎわせり 船団 202006
春泥を踏むふるさとも無く寂し 重原爽美 202006
春泥にゆつくり走る宅配便 岡尚 風土 202006
老愁や春泥をゆくいさぎよさ 平野多聞 202007
一歩踏み出せ春泥は深けれど 松井季湖 202007
春泥ヘバックで入るミキサー車 丑久保勲 やぶれ傘 202007
春泥やかつて武士馳せし道 高木邦雄 末黒野 202008
春泥や野を駈くる駒息粗く 与田幸江 末黒野 202008
春泥の靴に道草ばれてをり 涌羅由美 ホトトギス 202009
春泥にガラスの靴のはまりけり 天谷翔子 202010
靴の子も下駄の子もあり春の泥 秋川泉 あを 202004
イケメンの紅いチーフや春の泥 林せり 船団 202006
子ら走る園の八橋春の泥 森清堯 末黒野 202008
春の泥四方に奔る森の径 遠山のり子 202010
春泥にガラスの靴のはまりけり 天谷翔子 202010
春泥をよけて蛇行の三輪車 小山繁子 春燈 202105
春泥に跳ぬるや瞳輝かせ 柿原よし子 春燈 202105
春泥 →5

 

2022年3月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。