春泥/春の泥 2      167句 

春泥に押しあひながら来る娘    高野素十

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春泥にまみれて止まるパラシュート
泉田秋硯
200206
ポンペイの廃墟に轍春の泥
塩路五郎
200206
春泥の靴や二階に子の笑ひ
三浦のぼる
百鳥
200206
春の泥木の橋まつすぐに乾き
今瀬剛一
200206
春泥を跳び越す若さ試しとも
中島あきら
200206
職退きし気軽さで跳ぶ春の泥
福山広秋
200206
春泥の撥ねて紅殻格子かな
高橋将夫
200206
春泥や大王松の幹太し
竹中一花
200206
小流に入り春泥の靴洗ふ
小林れい
酸漿
200206
春泥の児の靴並ぶ四ツ目垣
小菅高雪
春耕
200206
粛々と行くべし春の泥濘は
青山岬
銀化
200206
春泥に出る長靴の膝の上
田中武彦
六花
200206
春泥や敷藁つづく外流し
古屋道子
200206
湯の町に残る射的屋春の泥
山路紀子
風土
200207
春泥に犬が吠えつぐ土竜道
杉本寛
200207
雲水の破れ脚絆に春の泥
石橋萬里
ぐろっけ
200207
光とは濡れてゐるもの春の泥
長山あや
ホトトギス
200209
老人の大きな木靴春の泥
近藤きくえ
200209
春泥を跨ぐフレアを使ひ切り
中原道夫
銀化
200303
春の泥のつぴきならぬ戀らしき
篠田純子
あを
200303
春泥や遅るる妻の手をとりぬ
中島隆
帆船
200304
春泥にためらひの無き通学児
篠崎荘市
酸漿
200304
春泥をまたぐ全裸の劇果てて
中村堯子
銀化
200304
春泥の寄ると触るとその話
佐藤多恵子
銀化
200304
不時着の紙飛行機や春の泥
白髭美佐子
200305
春泥を避け春泥の道をゆく
塩川雄三
築港
200305
石畳とは名ばかりの春の泥
加藤弘一
築港
200305
春泥の靴の気になる陶器店
藤井初江
百鳥
200305
春泥の跡長々と猫車
三代川次郎
雲の峰
200305
ゆつたりと生きよと光る春の泥
柳川大亀
銀化
200305
肩借りて春泥の靴拭ひけり
千坂美津恵
200306
春泥を来て滞納指導のドア叩く
加藤峰子
200306
菜を積みて車きしめり春の泥
池部久子
酸漿
200306
近道をして春泥に阻まるる
金森教子
雨月
200306
春泥や遠流の島の理髪店
中村昭義
百鳥
200306
犬の名はラガー春泥跳び越しぬ
谷上佳那
百鳥
200306
春泥を踏みし蹄を洗ひをり
高柳かつを
百鳥
200306
春泥や轍にたまる濁り水
長谷川守可
百鳥
200306
耕耘機舗道に春泥こぼしゆく
内藤三男
ぐろっけ
200306
春泥を跳びて試験に受かりし日
岩崎可代子
ぐろっけ
200306
秘仏堂へと春泥の道つづく
木場田秀俊
200307
春泥に片足づつのリズムかな
柴田久子
風土
200307
春泥に残す靴跡賭けごころ
鳴海清美
六花
200307
春泥や暗闇に手をつなぎたる
江坂衣代
百鳥
200307
虚子の忌の犬の嗅ぎゆく春の泥
水野恒彦
200307
春泥やゆつくりと押す車椅子
横尾恵子
200308
校庭の変らぬ母校春の泥
嶋田摩耶子
ホトトギス
200308
春泥や灯油カー抜く選挙カー
藤原りくを
八千草
200310
回り道して春泥を下校せり
小林呼溪
200403
春泥をあぶな歩きに犬の主
鷹羽狩行
200404
春泥の跡の残りし旅衣
稲畑汀子
ホトトギス
200404
遠敷おにゅう早春泥もて記す山と八
朝妻力
雲の峰
200404
跳ぶちからまだありにけり春の泥
淵脇護
河鹿
200404
飛石は八洲の如し春の泥
成井侃
対岸
200404
拭ひたる金剛杖の春の泥
近藤きくえ
200405
嬌声や轍に光る春の泥
相馬計太
帆船
200405
春泥や柾目の通る桐の下駄
芝尚子
あを
200405
春泥を拭はれ牛の胴ぶるひ
久保一岩
雲の峰
200405
声高に尼さまがゆく春の泥
岩渕彰
遠嶺
200405
無残なる春泥となる鶴ねぐら
淵脇護
河鹿
200405
春泥のとび散つてをり荒筵
上野澄江
百鳥
200405
春泥は眩しかりけり村の道
高木武人
百鳥
200405
春泥の牛を糶り出す電光計
有島夛美
河鹿
200406
靴をぬぎ先づ春泥をいとしみぬ
林翔
200406
長き嘴抜きて春泥したたらす
佐々木よし子
200406
春泥の蹄トトロの森にをり
高尾豊子
火星
200406
春泥の靴の重たくなりにけり
久保田妙
百鳥
200406
春泥を駆けて来て犬抱きつきぬ
山田六甲
六花
200406
春泥や遊び疲れて猫戻る
西村咲子
六花
200406
隣る世にちちはは忘れ春の泥
小林和子
風土
200406
雀らに空鮮しき春の泥
小林和子
風土
200406
春泥に落ちて新聞紙の四角
今瀬剛一
対岸
200406
牛の吐く息太かりし春の泥
早乙女信
対岸
200406
親よりも長き脚なり春の泥
渡辺美代
対岸
200406
土讃線春泥の靴なだれ込む
福田かよ子
ぐろっけ
200407
春泥を堀りてお宝埋める犬
島内美佳
ぐろっけ
200407
春泥を越えて灯ともる家に着く
栢森定男
風よ
200407
春泥の足跡ふゆる神の前
遠野萌
200408
春泥の青春摺りこむユニホーム
平野きぬ子
八千草
200408
春泥に太き腕貸す山男
平野きぬ子
八千草
200408
春泥や彷徨ぐせも遠きこと
山元志津香
八千草
200408
戰勃るか春泥に釘ばらまかれ
八田木枯
夜さり
200409
春泥となりつつ街路樹を育て
稲畑廣太郎
ホトトギス
200502
春泥を落し地下足袋干してあり
筧節子
築港
200504
春泥をつけて戻りぬ試歩の夫
前田久子
築港
200504
春泥やごめんなさいの言へない生徒
武田美由
六花
200504
沼いまだ覚めず春泥やはらかし
中尾杏子
200505
二丁目の春泥わたる尾
栗栖恵通子
200505
春泥の中に三宝柑の種
高橋将夫
星の渦
200505
春泥の靴揃ひたる祝賀会
長戸幸江
百鳥
200505
己が顔あり春泥の水たまり
浜口高子
火星
200505
春泥のこびりつきたるズボン揉む
佐本英介
築港
200505
春泥を進むほかなし車椅子
中山富子
築港
200505
春泥や何処へ散歩に行きし靴
南原正子
酸漿
200505
逡巡の吸殻あまた春の泥
広渡詩乃
200505
春泥や地球の自転に追ひつかぬ
篠田純子
あを
200505
春泥の子を洗ひをる幸せよ
赤池英津子
遠嶺
200506
春泥の背まで付点音符かな
工藤進
200506
春泥を血気の頃は踏んだ筈
齋藤實
200506
春泥やところどころに光るもの
坂野辰
築港
200506
春泥を跳んで少女の振り返る
吉村一郎
百鳥
200506
春泥を跳んで袴の出てゆけり
高橋喜和
百鳥
200506
フェンス越え飛び込むボール春の泥
水野範子
ぐろっけ
200506
芝植ゑむとて春泥を道までも
工藤ミネ子
風土
200506
春泥の子をやはらかく下げて跳ぶ
生田恵美子
風土
200506
田鶴去りて春泥の野のつづきをり
須原正三
200506
春の泥足裏よごさず猫の行く
芝尚子
あを
200506
春泥や石仏に沿ひ川に沿ひ
清原彰子
河鹿
200507
春泥を小さな靴が渡るかな
岩上とし子
200507
独りでは歩けぬ視力春の泥
山田をがたま
京鹿子
200507
春泥を踏みしめてくる神馬かな
卓田謙一
万象
200509
春泥やおろしたばかりの嬰の靴
桑原泰子
八千草
200509
春泥や鳥の言葉は短くて
辻兎夢
200509
春の泥付きしボールをナイスオン
四戸和彦
八千草
200510
春の泥光をためてゐたりけり
島谷征良
風土
200602
春泥に落ちても毬の汚れざり
小澤克己
遠嶺
200604
春泥の靴にも応へ自動ドア
谷口みちる
200604
骨董市めぐりし靴に春の泥
若本彰子
酸漿
200604
春泥や門の際まで足の跡
秋岡朝子
200605
春泥に落してきたり発句一句
高橋照葉
ぐろっけ
200605
春泥を来て甲冑に畏まる
安室敏江
百鳥
200605
春泥の付きたるままの祝餅
水谷ひさ江
六花
200605
春泥の獣の匂ひしてゐたり
水谷ひさ江
六花
200605
春泥やうちうちだけの骨納
前川千枝子
春燈
200606
春泥にまみれて牛の力満つ
佐々木よし子
200606
春泥を登る火の粉を浴ぶるまで
佐山苑子
遠嶺
200606
大股の深き靴跡春泥に
池田光
200606
春泥の靴見えてゐる牛丼屋
大山文子
火星
200606
春泥の谷中細道迷ひをり
宮川みね子
風土
200606
春泥の中に小さな村があり
柴田佐知子
200606
すべりしは誰春泥の光りをり
中田みなみ
200606
流鏑馬の腹春泥にまみれをり
鎌倉喜久恵
あを
200606
頭にも春泥跳ねて子の帰る
渡邊民子
200607
修学院の小草にかわく春の泥
坂口夫佐子
火星
200607
春泥の片足乾くフラミンゴ
高橋照葉
ぐろっけ
200607
この道の外に道なし春の泥
野口みどり
酸漿
200607
昆虫学者の頬に乾ける春の泥
樋口みのぶ
200608
少年の一直線に来る春泥
村田冨美子
京鹿子
200608
春の泥轍(わだち)に光滲み出づ
ことり
六花
200608
沼と化す雨乞ひ池や春の泥
伊藤律子
四葩
200609
春泥のよろこんでゐる木沓かな
戸栗末廣
火星
200609
春泥をつけていつもの猫であり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
春泥を勲章として餓鬼大将
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
春泥を固めて昨夜の風であり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
春泥に猫もうかれてゐるやうな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
春泥の現れ北国の目覚かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
白銀と春泥の鬩ぎ合ひかな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
園児等に踏まれ遊ばれ春の泥
布川直幸
200704
春泥やでんぐり返へる赤みみず
石脇みはる
200705
春泥や靴をどれほど洗つたやら
秋岡朝子
200705
救急車の音に跳びのき春の泥
本藤みつ
200705
ノラとなる日は春泥を気にもせず
小林朱夏
200705
母にすぐわかる道草春の泥
福場朋子
200706
春泥や名もなき通りひとつ抜け
坂本節子
200706
玄関に子の靴の変春の泥
清水幸治
200706
春泥の筵渡りて法事客
生田恵美子
風土
200706
春泥を付けし子の靴我を踏む
石川裕美
ぐろっけ
200706
裏門を入り春泥の靴となる
小島みつ代
200706
春泥を一気に跳んでなほ余裕
隅田享子
200707
足裏に思ひ出帰る春の泥
星野道子
遠嶺
200707
春泥を来る醍醐寺の僧の列
服部早苗
200707
春泥を跳ね飛ばし子の帰宅する
大空純子
ぐろっけ
200707
若者は軍靴思わせ春の泥
北川光子
ぐろっけ
200707
春泥に歩幅ほどよき石置ける
川崎良平
雨月
200707
春泥を背なまで蹴って子は韋駄天
山元志津子
八千草
200708
春泥にまみれ正捕手目指しをり
久留米脩二
馬醉木
200708
絶景に春泥厭はざる佳人
稲畑廣太郎
ホトトギス
200803
春泥→3      

 

2021年3月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。