淑 気 1     544句

常臥しの顔の上なる淑気かな    森澄雄

作品
作者
掲載誌
掲載年月

 若竹 八〇〇号を祝して

孟宗の幹々にある淑気かな

鷹羽狩行
199812
襲名の口上ひびく淑気かな
塩田博久
風土
199901
句碑といふ巌のかたちの淑気かな
萩原記代
199901
千木の棟置く杣が家に淑気満つ
野原春醪
馬醉木
199902
引く波の泡立ちたる淑気かな
竹内悦子
199903
雪吊の縄百本に淑気充つ
神蔵器
風土
199903
風止んで愛染堂に淑気かな
松崎鉄之介
199903
野火止の淑気の中を水走る
小林俊彦
春耕
199903
塔照らす灯の交はれる淑気かな
川澄祐勝
春耕
199903
鰐口の音にこぼるる淑気かな
岡本明美
春耕
199903
引く波に泡立ちたる淑気かな
竹内悦子
199908
黒松の樹齢の中の淑気かな
関根洋子
風土
199911
ひとつ根に朴四五幹の淑気かな
千田百里
巴里発
199911
銀無地の屏風をひらく淑気かな
能村登四郎
芒種
199911
着る時の羽織裏なる淑気かな
能村登四郎
芒種
199911
淑気てふものに会ひたることなかり
後藤比奈夫
円虹
200001
起動せるノートパソコン淑気かな
能村研三
200002
中華街中華の淑気放ちけり
松本圭司
200003
淑気かな腕組んでゐる椨大樹
金子篤子
200003
朝日差す赤鳥海山(ちょうかい)に淑気みつ
佐々木ミツエ
200003
一湾を隔つる富士に淑気あり
村山敏行
春耕
200003
菩提寺の欄間の竜の淑気かな
渡辺周子
雲の峰
200003
浦々の波たひらなる淑気かな
岬雪夫
200004
折鶴の対角線の淑気かな
岡和絵
火星
200004
手で掬ふ竜吐の水や淑気満つ
斉藤輝子
春耕
200004
髪染めて卒寿の母の淑気かな
神山テル
春耕
200004
卓上の万年筆の淑気かな
北原志満子
海程
200005
天を指す葱幾畝の淑気かな
川上美穂子
酸漿
200005
万幹の竹ある淑気茶筅邑
塩路隆子
精鋭選集
200008
香合の仁清菱の淑気かな
林裕子
風土
200101
磴のぼる一段ごとの淑気かな
武藤嘉子
木椅子
200102
失はぬ父の頑固さ淑気かな
能村研三
200102
鞍馬には天狗の潜む淑気かな
鈴鹿仁
京鹿子
200102
マッターホルンシュプールの子に淑気みつ
牧悦子
200103
湯しづくに背筋うたるる淑気かな
甲州千草
200103
長短針合掌を解く淑気かな
北川英子
200103
鷹一羽岬を翔ける淑気かな
林泰子
春耕
200103
おのづから老樹を仰ぐ淑気かな
富田直治
春耕
200103
罅走る賓頭盧の背に淑気満つ
棚山波朗
春耕
200103
淑気満つ俳道登れば茶屋に犬
河内童楽
六花
200103
石積の受洗井深し淑気満つ
安達実生子
200104
直角に曲る廊下の淑気かな
鈴木とし子
遠嶺
200104
俳諧の底なし沼の淑気かな
伊藤格
200104
玉砂利を踏む神殿の淑気かな
鈴木冽
春耕
200104
神鶏の杉生に谺淑気満つ
中村碧泉
ぐろっけ
200104
一身に嶺の淑気をもらひけり
小澤克己
遠嶺
200105
昧爽の星入れかはる淑気かな
田中矢水
遠嶺
200105
淑気満ち湖を鎮めの浮御堂
福盛悦子
雨月
200105
孟宗の竹百幹の淑気かな
鷹羽狩行
200202
淑気満つ頃より頭整理して
桑垣信子
いろり
200202
森の息けものの息の淑気かな
渡邊千枝子
馬醉木
200203
槍狭間鉄砲狭間の淑気かな
伊丹さち子
馬醉木
200203
帝釈天木彫絵巻に淑気満つ
井口初江
酸漿
200203
帝釈天松の大樹に淑気満つ
関戸文子
酸漿
200203
鉄沸かす注連の真下の淑気かな
神蔵器
風土
200203
纜に石蓴の靡く淑気かな
田村文江
春耕
200203
冷泉流披講のあとの淑気かな
鷹羽狩行
200203
団欒の中に淑気の入りにけり
片岡静子
200204
長老の盃を満たせし淑気かな
花島陽子
遠嶺
200204
燃えしぶる松の丸太も淑気かな
杉浦典子
火星
200204
船舫ふ綱の軋みの淑気かな
堀義志郎
火星
200204
すれ違ふ人に淑気や段葛
半田順子
馬醉木
200204
廃屋に松一本の淑気かな
杉沢とみを
百鳥
200204
淑気満つ宮居へ二重橋渡る
大島寛治
雨月
200204
風鐸の古代の音色もつ淑気
岸本久栄
雨月
200204
淑気満つすっくと立てる祓主
岸本林立
雨月
200204
竹幹の乾く音して淑気なる
高橋あゆみ
200204
埠頭の砂富士山盛りに淑気満つ
和田照海
京鹿子
200204
エヒメノミコト他十六柱淑気満つ
武田美雪
六花
200204
人気なき宮へ入るより淑気満つ
熊口三兄子
ぐろっけ
200204
掛軸の墨痕かもす淑気かな
飯塚やす子
200205
衣ずれの裾より淑気裏参道
稲辺美津
遠嶺
200205
青インクペンに満たせる淑気かな
鳴海清美
六花
200205
淑気かな夕べ明るき山見えて
野口香葉
天女櫻
200209
嬰の手に握り返され淑気かな
毛利慶子
200211
淑気かなジョージ・チャキリスの靴の先
篠田純子
あを
200301
淑気満つうしほ窶れの礁かな
能村研三
200302
田の神に打つ柏手の淑気かな
朝妻力
雲の峰
200302
日本一の大赤松の淑気かな
三宅句生
馬醉木
200303
銅板の狛犬青く淑気満つ
大木よしえ
築港
200303
淑気満つ百の石段登りゆく
大木よしえ
築港
200303
神の杜竜田大社の淑気満つ
細原由起子
築港
200303
淑気満つ駅までの川好きな川
土屋酔月
帆船
200303
気を祓ふ五色の幟淑気満つ
百瀬虚吹
風土
200303
津に浦に冨士の淑気のゆきわたる
鷹羽狩行
200303
曽孫の男の子づくしの淑気かな
柴田雪路
200303
黒ずみし大黒柱にも淑気
大庭三千枝
200303
寒川の石橋(しゃくきょう)像に淑気満つ
岡田房子
酸漿
200303
うつすらと雪ある庭に淑気満つ
渋谷ひろ子
酸漿
200303
陵の並ぶ鳥居の淑気かな
唐澤まさし
酸漿
200303
裾野まで全き富士や淑気満つ
太田昌子
馬醉木
200304
賑ひをゆき山門の淑気かな
宇田喜美栄
200304
淑気満つ硯机上に草思堂
鈴木輝子
遠嶺
200304
横薙ぎの大刀の切先淑気満つ
鈴木タマ子
百鳥
200304
仰ぎ見る真間の急磴淑気かな
能村研三
200307
列柱の等間隔に淑気たつ
内山照久
200307
一幅の翁ぶる書の淑気かな
小澤克己
遠嶺
200401
代々木てふ森の深さの淑気かな
阿部ひろし
酸漿
200403
倭舞舞ひおさめたる淑気かな
阿部ひろし
酸漿
200403
久遠寺の磴のいただき淑気満つ
中川悦子
酸漿
200403
舞殿に白鳩群るる淑気かな
塩田博久
風土
200403
就中翁の面の淑気かな
芝尚子
あを
200403
霊山の淑気に仰ぐ歓喜天
大畠政子
雨月
200403
湯煙に行基菩薩や淑気満つ
木村てる代
雲の峰
200403
墨磨りていささか淑気満ちにけり
堀田知永
雲の峰
200403
淑気満つ女人菩薩図志功展
中村恭子
200403
取り囲む大道芸も又淑気
小澤登代
草の花
200403
お胎内の淑気の闇を巡りけり
名和未知
草の花
200403
浜に来て潮騒もまた淑気満つ
塩川雄三
築港
200403
参道の杉の鬱蒼淑気満つ
塩川雄三
築港
200403
山神の在す砦に淑気満つ
塩川雄三
築港
200403
淑気満つ波穏やかな船溜り
大石登志美
築港
200403
淑気満つ鍵のかかりし蔵にまで
奥村光子
築港
200403
近江富士湖東に淑気放ちけり
山崎泰世
200404
掛軸の師の墨跡の淑気かな
内山照久
200404
一碧の空一塔の淑気かな
岸本久栄
雨月
200404
二の丸の地に羽搏つもの淑気満つ
淵脇護
河鹿
200404
大漁旗はためく港淑気満つ
山下繁子
河鹿
200404
淑気満つ紺を極めし雨後の嶺々
安藤ヒサ子
河鹿
200404
首飾りのやうな湾の灯淑気満つ
川崎幸一郎
京鹿子
200404
喜寿といふ軒端に見し淑気かな
河内桜人
京鹿子
200404
ここに集ふ人の和固き淑気かな
水原春郎
200404
舞ふ巫女の緋色の袴淑気満つ
青木政江
酸漿
200404
本殿にとどろく太鼓淑気満つ
関戸文子
酸漿
200404
火星より映像届く淑気かな
高橋とも子
百鳥
200404
校庭に真白きべース淑気満つ
鍬形幸子
百鳥
200404
直角に刈らるる垣の淑気かな
板橋智恵子
百鳥
200404
茶掛幅無ただ一文字の淑気
大川冨美子
ぐろっけ
200404
ピアノ鳴り体育館に淑気満つ
近藤倫子
ぐろっけ
200404
牧場の高き木立の淑気かな
望月周
百鳥
200404
すれ違ふ弓持つ人や淑気満つ
景山まり子
百鳥
200404
淑気満つ四百年の大藁家
青山悠
200405
天心に月嶺々に淑気満つ
遠藤和彦
遠嶺
200406
山頂の淑気に齢忘じをり
橘澄男
山景
200408
直面の仙台平の淑気かな
山本浪子
風土
200501
生け花の天地人なる淑気かな
山田六甲
六花
200501
父の座に父が座りて淑気かな
山田六甲
六花
200501
硯より墨の匂ひの淑気かな
滝沢伊代次
万象
200501
禅堂にたつたひとりの淑気かな
小澤克己
遠嶺
200501
御明かしの穂長の影の淑気かな
高崎武義
200501
神猿の金色の眼の淑気かな
杉良介
200501
鳶の輪の淑気いよいよ御所の上
鷹羽狩行
200502
熊野路のうす紫の淑気かな
高橋将夫
200502
天窓のしらじら明けてくる淑気
池尻足穂
雲の峰
200502
山も木も川も雪なる淑気かな
内山恵美子
200503
大富士に茜さしたる淑気かな
小林碧郎
馬醉木
200503
金色堂黄金いぶしの淑気満つ
佐藤国夫
馬醉木
200503
悠然と雫のありし淑気かな
鈴木勢津子
200503
参道は祈りへの道淑気満つ
細原由起子
築港
200503
坊出で来高野の僧の淑気かな
指尾直子
雨月
200503
雲置ける那須の五峰に淑気満つ
紺野とも子
200503
稲荷社の鳥居千本淑気満つ
中御門あや
雲の峰
200503
淑気かな富士にひとすぢ川光る
赤座典子
あを
200503
淑気みつ切れ長の眼の栄西像
藤田千代江
200504
千年の柏槇凛と淑気満つ
関戸文子
酸漿
200504
神杉の太き走り根淑気満つ
石原光徳
酸漿
200504
水の上をものの絮とぶ淑気かな
戸栗末廣
火星
200504
松生花水引に満つ淑気かな
信崎和葉
六花
200504
マイセンの馬車の貴婦人にも淑気
山元志津香
八千草
200504
花道を淑気のはしる鏡獅子
長谷川子
馬醉木
200504
城山のけものと出会ふ淑気かな
淵脇護
河鹿
200504
登山道掃かれ城山淑気満つ
徳田正樹
河鹿
200504
淑気満つカクテルの名はマンハッタン
浦川哲子
200504
二頭馬車ひづめの揃ふ淑気かな
大平勝子
栴檀
200505
パラボラアンテナ宇宙の淑気捉へたる
酒本八重
里着
200506
松の葉に雨滴びつしり淑気かな
大谷美保子
栴檀
200506
雄峰の杉雌峰の橅の淑気かな
藤江朋子
万象
200510
子の家族来てより淑気四散せり
田所節子
涼しき嵩
200511
我を呼ぶ幼の声も淑気満つ
田所節子
涼しき嵩
200511
湖上より仰ぐ竹生の淑気かな
古賀勇理央
百鳥
200602
神木の忍みどりの淑気かな
阿部ひろし
酸漿
200602
尉と姥小さき音にもある淑気
宇都宮滴水
京鹿子
200602
岩山と呼びて淑気の播磨富士
山田六甲
六花
200602
宇宙へとつながる富士の淑気かな
徳田正樹
河鹿
200603
千木まぶし巫子もまぶしき淑気かな
浜田南風
200603
淑気かな不二とふ山が視野を占め
林翔
200603
火と水を止めし闇はや淑気満つ
北川英子
200603
淑気満つ神宮池の波荒し
福山悦子
200603
しんがりを走りきつたる淑気かな
堀口希望
200603
見えぬ眼のソプラノ歌手に淑気みつ
太田絵津子
200603
願掛けの愛染堂の淑気かな
菊池由惠
酸漿
200603
青墨の香の立ちこむる淑気かな
大橋麻沙子
雨月
200603
すぐ消ゆる飛行機雲の淑気かな
篠田純子
あを
200603
舞ふ巫女の襟足白き淑気かな
田中芳夫
200604
微笑みし伎芸天女に淑気満つ
小林成子
200604
弾痕の私学校跡淑気満つ
徳田正樹
河鹿
200604
海底に眠る戦艦淑気満つ
徳田正樹
河鹿
200604
游禽の白ばかりなる淑気かな
渡部志津子
200604
淑気ほのか常のわが座に納まれば
斎藤道子
馬醉木
200604
淑気満つる書架や源氏物語
野口香葉
遠嶺
200604
モーツァルトの調べ弾める淑気かな
村本真由美
遠嶺
200604
淑気かな鳥の群れゐる神の池
塩田京子
遠嶺
200604
砂時計の砂の一粒づつ淑気
浜口高子
火星
200604
明治帝の御製の軸に淑気あり
生方義紹
春燈
200604
鞘堂の檜木造りや淑気満つ
寺沢千都子
万象
200604
酒蔵に漲る淑気代々の酒
大房帝子
酸漿
200604
日の差して香むらさきに淑気満つ
栗林房子
風土
200604
伊勢の宮淑気溢るる川に杜に
手島伸子
雨月
200604
みどりごの肌着干さるる淑気かな
甲斐よしあき
百鳥
200604
駅長の帽章光る淑気かな
安室敏江
百鳥
200604
豪雪の日本列島淑気かな
池崎るり子
六花
200604
大いなる淑気満ちたる六十年
池崎るり子
六花
200604
百歳の淑気溢るる笑顔かな
池崎るり子
六花
200604
聖堂のパイプオルガン淑気満つ
長野純顕
対岸
200604
神苑に聞く凍裂の淑気かな
友田直文
200605
野良猫の三つ指ついてゐる淑気
金子野生
京鹿子
200605
淑気かな雪の溶けたる水たまり
ことり
六花
200605
白梅の淑気咲かせてをりにけり
ことり
六花
200605
神門の内にみなぎる淑気かな
島崎久美子
酸漿
200605
条幅の禅の飛白や淑気満つ
小澤克己
塩竃
200608
鶴の野に鶴ゐる淑気夜明けゆく
西村梛子
馬醉木
200612
長城のかなた日出づる淑気かな
長谷英夫
馬醉木
200612
山寺の水の響きも淑気かな
滝沢伊代次
万象
200701
鶏鳴の一声のみの淑気かな
掛井広通
200703
一直線の野馬追通り淑気みつ
佐藤喜代子
200703
牡丹園と淑気を分ち牡丹句碑
小山梧雨
200703
冠雪の富士山頂に淑気みつ
新倉舒子
200703
大僧正の揮毫の黄河淑気みつ
岩崎靖子
200703
神の庭多羅葉の葉の淑気かな
菊池由惠
酸漿
200703
手に据ゑし鷹の眼の淑気かな
須賀允子
万象合同句集
200703
朝鮮鐘浦曲にひびく淑気かな
山本麓潮
万象合同句集
200703
灯明のほむらふくらむ淑気かな
渡辺安酔
200703
被せ藁のひとつに庭の淑気かな
鈴木庸子
風土
200704
淑気満つ青竹筒の投句箱
菅原末野
風土
200704
梛の葉を鏡のうらに淑気かな
本多俊子
200704
巨いなる板根に満つる淑気かな
岩月優美子
200704
滝音の山気貫く淑気かな
三輪温子
雨月
200704
浄められし静寂の宮居淑気満つ
大井彌雨
雨月
200704
船端に藻の打ち寄する淑気かな
戸栗末廣
火星
200704
海底の山脈尖る淑気かな
掛井広通
200704
指長き木喰仏の淑気かな
橋本和子
200704
ひとり乗るエレベーターの淑気かな
橋本和子
200704
陵の鯉の金色淑気満つ
井口初江
酸漿
200704
林中の日の一条に淑気満つ
永岡セツ
酸漿
200704
棕櫚の葉の扇びらきに淑気満つ
高橋さえ子
200704
淑気いま川健かに流れけり
高橋さえ子
200704
吐く息のすでに淑気や男坂
金子野生
京鹿子
200705
淑気かな指折作句の部屋あかり
松下幸恵
六花
200705
大榾のくづれて燃ゆる淑気かな
山下青坡
200707
倭舞舞ひをさめたる淑気かな
阿部ひろし
二の杉
200710
さゆらぎもせぬ灯明の淑気かな
小川匠太郎
200801
盆栽のえぞ松淑気満ちにけり
佐藤ふみ子
200801
師の色紙額にをさめし淑気かな
滝沢伊代次
万象
200801
干支飾書院の棚に淑気満つ
山田六甲
六花
200801
毛氈に座するや淑気充ちて来し
山田六甲
六花
200801
隙間風淑気を運び来たりけり
ことり
六花
200801
宴の後淑気を未だ身に纏ひ
鈴木榮子
春燈
200802
竹筆に一字のかすれ淑気充つ
神蔵器
風土
200802

 掛井広通『孤島』

孤島より広がる宇宙淑気かな

能村研三
200802
森深き淑気の中に要石
阿部ひろし
酸漿
200802
淑気満つ太平洋を指して水脈
工藤義夫
馬醉木
200803
流木に枝葉残れる淑気かな
横田初美
春燈
200803
御仏の満面の笑み淑気満つ
羽賀恭子
200803
淑気かな氏神さまの篝の火
松嶋一洋
200803
天地をつなぐ光芒淑気満つ
山田天
雨月
200803
道場の淑気震はせ面一本
田中豊子
200803
罅入りの李朝の茶碗淑気満つ
柏原章子
200803
ヘルパーの皆半袖に淑気満つ
成宮紀代子
200803
あかときの湖大いなる淑気かな
栃内和江
200803
淑気かな写経に墨の匂ひたつ
鎌倉喜久恵
あを
200803
神宮に長き渡殿淑気満つ
櫨木優子
200804
霊木の鎌足の杉淑気かな
代田青鳥
風土
200804
一本の凸凹道の淑気かな
島田和子
風土
200804
鶴首の壺より出づる淑気かな
延広禎一
200804
木綿垂(ゆうしで)にかすかなる風淑気満つ
近藤きくえ
200804
月面を昇る地球の淑気かな
冨松寛子
200804
大琵琶に淑気の風の渡りけり
吉田豊子
雨月
200804
大観展へ入るなり淑気みちにけり
戸村朗子
200804
淑気かな剣道場に柱なく
中田みなみ
200804
鹿島神宮大杉天に淑気満つ
関まさを
酸漿
200804
未熟児の笑顔の賀状淑気あり
大房帝子
酸漿
200804
杉大樹覆ふ宮居の淑気かな
小泉和代
酸漿
200804
淑気満つ折り目新たな割烹着
寺内信
遠嶺
200804
日の出前子ら先き駈くる淑気かな
山下青坡
200805
淑気満つ信濃八方明け初むる
峯桜子
遠嶺
200806
鯉しづむ淑気の水輪二つ三つ
鈴木直充
素影
200811
千年の杉の霊気と淑氣かな
高橋将夫
200901
朝まだき淑気の中に髭剃りぬ
小澤克己
遠嶺
200901
丹の門に淑気四葉の釘隠し
能村研三
200901
襖絵の松にみなぎる淑気かな
滝沢伊代次
万象
200901
塀越しに鮮やかに松淑気なる
ことり
六花
200901
淑気満つ六曲一双山水図
片山由美子
200902
太鼓打つかかと構への淑気かな
能村研三
200902

 甲富代句集『高野槙』上梓

千年の槙の秀つ枝の淑気か

能村研三
200902
蕭条と卑弥呼の国の淑気かな
塩路隆子
200903
貴婦人てふ島の保護蝶淑気満つ
坂上香菜
200903
水音の玄武洞窟淑気満つ
藤見佳楠子
200903
さざれしの音神祇なる淑気かな
四條進
200903
北條五代の墓に淑気の満ちにけり
都丸美陽子
春燈
200903
ピアノ蓋開くや黒白(こくびやく)淑気満つ
荒井千佐代
200903
番鳩庭に降り来し淑気満つ
青木政江
酸漿
200903
御祓の揃ひ装束淑気満つ
菊池由惠
酸漿
200903
百八つ煩悩祓ひ淑気かな
鎌倉喜久恵
あを
200903
風鎮の房の紫淑気満つ
高尾幸子
遠嶺
200904
禅庭の砂紋波打つ淑気かな
金原登志子
馬醉木
200904
組紐の金糸ひと筋淑気満つ
丸山美奈子
馬醉木
200904
柏手を一家で合はせ淑気満つ
岩田千
200904
常磐木の揺れひとつなき淑気かな
上原和子
200904
小鼓の締緒をほどく淑気かな
河本由紀子
春燈
200904
淑気満つ鏝絵の白虎蔵座敷
豊谷青峰
春燈
200904
淑気かないま老い松の日を鎧ふ
佐々木新
春燈
200904
鶏鳴の高き神苑淑気満つ
名取袿子
200904
陽を受けて小樽運河の淑気かな
岸田爾子
200904
独吟の茂山千作淑気満つ
木村美猫
ぐろっけ
200904
朝拝の巫女の正座や淑気満つ
山路紀子
風土
200904
木曽檜出荷の丸太淑気満つ
村上美智子
雨月
200904
飾扇ひらきて満つる淑気かな
宮平静子
雨月
200904
粗繕りの大注連縄に淑気かな
笹村政子
六花
200904
焼栗の爆ぜ滝道の淑気かな
浜口高子
火星
200904
海面にならぶ舟屋の淑気かな
城孝子
火星
200904
浅葱幕ふり落されし淑気かな
飯塚ゑ子
火星
200904
焚き付けの豆殻爆ぜる淑気かな
山形悦子
火星
200904
千年を生きをる銀杏淑気満つ
谷合青洋
酸漿
200904
鉢巻のひねりに淑気船を出す
渡部節郎
転舵の渦
200911
笹の葉に陽の当りゐる淑気かな
佐藤喜仙
壁炉
200911
淑気かな石の表札洗はれて
大坪景章
万象
201001
めはじきの小啄木鳥の梢の淑気かな
田中貞雄
ろんど
201001
淑気満つ古墨の罅のこまやかに
林いづみ
風土
201001
炉に据ゑし鉄瓶の湯気淑気なる
ことり
六花
201001
鹿寄せに高鳴るホルン淑気満ち
小林成子
201002
淑気満つ新生児室の大硝子
水原春郎
馬醉木
201002
瓔珞に淑気みなぎりゐたりけり
阿部ひろし
酸奬
201002
尊氏の鎧の藍や淑気満ち
坂上香菜
201003
湯煙に差し込む朝日淑気満ち
塩路五郎
201003
孔子像鳥語降りくる淑気かな
白澤よし子
馬醉木
201003
大岩に雨滴てんてん淑気かな
加藤みき
201003
朱の透くる葩餅の淑気かな
久保田雪枝
雨月
201003
国宝の宮に人無き淑気かな
中原敏雄
雨月
201003
拍手の大きな父や淑気満つ
高倉和子
201003
不知火の筑紫の海の淑気かな
小林優子
酸漿
201003
産土の神の鈴音淑気満つ
井口初江
酸漿
201003
木立中観音在し淑気満つ
冨田君代
酸漿
201003
早暁の神事の沓音淑気満つ
原桂子
201003
淑気満つ茜色増す海と空
壁谷猪一
201003
建ちかけのスカイツリーの淑気かな
篠田純子
あを
201003
つくばねを添へたる淑気刺身皿
高谷栄一
201003
丹頂鶴(たんちょう)の一声園に淑気満つ
金山藤之助
201004
朱の橋を映す水面の淑気かな
井上美智子
201004
天井の龍の眼に淑気満つ
山口順子
馬醉木
201004
淑気満つ松十方に枝張りて
五領田幸子
馬醉木
201004
加賀友禅衣桁に淑気ひろげけり
小林千草
馬醉木
201004
重箱の水引き飾り淑気満つ
片山茂子
遠嶺
201004
妻逝いて淑気もくそもあるものか
太田寛郎
201004
淑気満つ社のどこも濡れてをり
中村恭子
201004
鬣にさざなみ立てる淑気かな
城孝子
火星
201004
雨あとの松のみどりの淑気かな
笠置早苗
火星
201004
筆先へ心音通ふ淑気かな
池田光子
風土
201004
千年の神杉に満つ淑気かな
荒原節子
201004
鼓打つ淑気弾る一の宮
川井秀夫
ろんど
201004
桜木の鋼の幹の淑気かな
いそべみつ
ろんど
201004
鼓打つ淑気弾ける一の宮
川井秀夫
ろんど
201004
淑気かな見返り弥陀の立ち在す
佐々木新
春燈
201004
旧正の淑気身近にタイ暮し
大口堂遊
春燈
201004
青竹の揃ひの酒器の淑気かな
黒滝志麻子
末黒野
201004
玉砂利を踏む音さへも淑気満つ
小山紫乃布
末黒野
201004
大覚寺右近左近の淑気かな
四條進
201004
墨を擦る主宰の手元淑気満つ
中根健
201004
濡れゐたる峻険の城淑気満つ
寺田正人
201004
神杉の太き走根淑気満つ
石原光徳
酸漿
201004
面打ちの翁や庵の淑気満つ
今井松子
遠嶺
201005
鵯の飛び立つ声の淑気かな
隅田恵子
雨月
201005
国宝の有楽窓てふ淑気かな
岡田のり子
201005
一面の景色白妙淑気かな
宮野百合子
201005
黒式尉とまなこあひたる淑気かな
竹内慶子
春燈
201006
遊行寺の宝物館の淑気かな
島谷征良
風土
201101
太鼓打つ踵構への淑気かな
能村研三
201101
一階の音に聞こゆる淑気かな
ことり
六花
201101
天領の湯宿庭石にも淑気
吉田耕人
ぐろっけ
201102
式木立つ鞠庭四角淑気かな
粟倉昌子
あい
201103
神苑に高き嘶き淑気満つ
藤見佳楠子
あい
201103
双眼鏡淑気の沖に絞りけり
小野恵美子
馬醉木
201103
あをあをと青岱墨や淑気満つ
神蔵器
風土
201103
真つ一黒な墨の香りにある淑気
鴨下昭
201103
子供らの瞳の中の淑気かな
須賀敏子
あを
201103
手を上げて背筋伸ばして淑気吸ふ
田中藤穂
あを
201103
参道の一直線の淑気かな
矢口笑子
春燈
201104
コバルトの富士湧水の淑気かな
宇都宮敦子
201104
枕木の白丸印淑気かな
山本久江
201104
磯山に海光とどく淑気かな
黒滝志麻子
末黒野
201104
産土神の森の闇濃き淑気かな
乙坂きみ子
末黒野
201104
天空に富士秀麗の淑気かな
飯田角子
酸漿
201104
神苑の対の大楠淑気満つ
網野茂子
酸漿
201104
騎馬像に日の燦々と淑気満つ
網野茂子
酸漿
201104
重籐の弓引き絞る淑気かな
水谷靖
雨月
201104
虚子の墓詣で自づと湧く淑気
堀田こう
雨月
201104
リスト弾く第一音にある淑気
涌羅由美
ホトトギス
201105
俳磚の藍文字にある淑気かな
涌羅由美
ホトトギス
201105
初ミサの聖堂に満つ淑気かな
涌羅由美
ホトトギス
201105
大仏に見下ろされゐる淑気かな
三村純也
ホトトギス
201105
風呂敷に包まれてゐる淑気かな
中島悠美子
京鹿子
201105
通り過ぐ走者の背筋淑気満ち
根本公子
末黒野
201105
母すでに起きて淑気の厨かな
今橋眞理子
ホトトギス
201106
重箱の家紋の辺り淑気満つ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201109
一政の鯛の朱と藍淑気満つ
コ田千鶴子
花の翼
201111
新しき一歩淑気に踏み出せり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201111
句碑の文字より立ち上る淑気かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
一本の道一歩より淑気満つ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
百人に百の淑気でありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
淑気満つ中にも偲ぶ人のこと
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
西の賀に東の祝ぎに淑気満つ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
屋敷神淑気放ちてをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
朝の気といふ淑気満つ厨かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201201
鈴の緒の紅白の縒り淑気充つ 田中貞雄 ろんど 201201
応援の寄書車体淑気かな 能村研三 201201
朱に淑気一閑張りの色紙箱 能村研三 201201
淑気かな足裏に固き青畳 山田六甲 六花 201201
本殿の龍の眼光淑気満ち 石川かおり 201203
世界遺産の宇治上社淑気満ち 山口キミコ 201203
聖遺物淑気とともに安置され 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
松籟に孤鴉ひと声の淑気かな 神田恵琳 春燈 201203
ポストヘの四五歩に触るる淑気かな 和田政子 201203
神棚に灯す光りの淑気かな 渡辺安酔 201203
正宗に包丁を買ふ淑気かな 徳田千鶴子 馬醉木 201203
暁の月かざす欅の淑気かな 清水節子 馬醉木 201203
クレソンの群生の洲の淑気かな 田中貞雄 ろんど 201203
筆浸す硯の海の淑気かな 小池清司 かさね 201203
車窓よりこぼるる富士の淑気かな 小林美登里 かさね 201204
傾ける納屋も畷も淑気満つ 中山皓雪 201204
病癒えし漢の肩に淑気満つ 折橋綾子 201204
御手洗の龍のうねりや淑気満つ 平野みち代 201204
早ばやと膝の笑ふも淑気なり 村高卯 201204
大皿の五爪の竜や淑気満つ 大文字孝一 春燈 201204
三輪山を転がつて来る淑気かな 雨宮桂子 風土 201204
炉の炭の爆ぜゐる音も淑気かな 石井秀一 風土 201204
淑気満つさねさし相模一の宮 落合絹代 風土 201204
合同句集銀の背文字の淑気かな 森清堯 末黒野 201204
朱の橋と平橋続く淑気かな 有賀鈴乃 末黒野 201204
黄心樹の注連縄ゆるみなく淑気 田中貞雄 ろんど 201204
被災地の淑気手渡す郵便夫 吉田克美 ろんど 201204
二三筋畝立つてゐる淑気かな 小林成子 火星 201204
大徳寺釜の小ぶりも淑気かな 野上智恵子 万象 201204
神苑の金の日の斑や淑気満つ 中島霞 ぐろっけ 201204
千古の森に抱かるる宮淑気満つ 堀田こう 雨月 201204
万の幹万の燈籠淑気満つ 古賀しぐれ ホトトギス 201205
淑気かな国旗に直ぐな畳皺 長島操 万象 201205
三島太鼓とどろき渡る淑気かな 三澤いつ子 万象選集 201205
赤松の千の雫に淑気満つ 若田部艶子 万象選集 201205
青空に小鷺の舞へる淑気かな 北本奈津子 万象選集 201205
鴨塚に日のやはらかき淑気かな 井原ミチ 万象選集 201205
産土の闇に神灯淑気満つ 梅本不二男 万象選集 201205
宍道湖の白き波の穂淑気満つ 井上篤子 万象選集 201205
音絶えて大地鎮まる淑気かな 柳沢宗正 万象選集 201205
衣擦れの百間廊下淑気満つ 田口貴美子 万象選集 201205
雪かむる真白き花の淑気かな 石川純子 万象選集 201205
一陣の風もなき宮淑気満つ 木谷節子 万象選集 201205
淑気満つ焼け木杭の匂ふ浜 當間シズ 万象選集 201205
振りこぼす巫女の神鈴淑気あり 竹下陶子 ホトトギス 201206
放鷹の鈴の音にある淑気かな 北崎展江 くりから 201209
金襴の淑気漲る下拝殿 田中貞雄 ろんど 201301
淑気満つ梅鼠てふ古代色 能村研三 201302
淑気満つ手水噴き出す龍の口 山口ひろよ 201302
陵の砂紋正しき淑気かな 国包澄子 201303
松籟のさやに高鳴る淑気かな 中本吉信 201303
一条の日矢に赤らむ淑気かな 高谷栄一 201303
炊き立ての飯の光に淑気満つ 岡部名保子 馬醉木 201303
御手洗の杓の青竹淑気かな 古川千鶴 かさね 201303
文机に墨の香立ちて淑気満つ 小池清司 かさね 201303
早暁の奥深き杜淑気満つ 青木英林 かさね 201303
振舞ひの酒待つ列の淑気かな 後藤克彦 かさね 201303
神棚の榊の水替へ淑気満つ 丸山酔宵子 かさね 201303
青い空流るる雲の淑気かな 吉田博行 かさね 201303
見馴れたる狭庭の暁の淑気かな 羽根嘉津 201303
日を返す大河滔々淑気満つ 大橋晄 雨月 201303
一湾の碧き潮満つ淑気かな 碇天牛 雨月 201303
煙出しのあたり明るむ淑気かな 根橋宏次 やぶれ傘 201303
淑気満つ弓道場の夜さりかな 須賀敏子 あを 201303
壁に在る小面うごく淑気かな 篠田純子 あを 201303
観音の法水たまふ淑気かな 片岡久美子 201304
ドナルド・キーン日本を語る淑気かな 山下健治 春燈 201304
燃えしぶる松の丸太の淑気かな 杉浦典子 火星 201304
幕あひに柝の音の残る淑気かな 緒方佳子 火星 201304
島々の朝日に染まる淑気かな 野坂民子 馬醉木 201304
桐箱のむらさきの紐淑気満つ 宮川みね子 風土 201304
屏風絵の余白の金の淑気かな 丸尾和子 雨月 201304
淑気満つ使ひ古りたる箪笥にも 荒木泊代 ぐろっけ 201304
淑気満ち空気が止まるごと思ゆ 北村香朗 京鹿子 201304
外つ国の名入り献灯淑気満つ 庵原敏典 末黒野 201304
富士近き本宮の空淑気満つ 中山良子 末黒野 201304
波ひとつひとつの淑気隅田川 橋本くに彦 ホトトギス 201305
一山のおのづからなる淑気かな 岩岡中正 ホトトギス 201306
ぬか床に混ぜ込みゐたる淑気かな 山田六甲 六花 201401
棟札を掲げしあたり淑気満つ 田中貞雄 ろんど 201401
淑気満つ紫峰筑波の裾野かな 布川直幸 201401
学校始めや七曜に淑気満ち 布川直幸 201401
人気なき春日社さんの淑気かな 井上石動 あを 201402
抗うて髪が逆立つ淑気かな 能村研三 201402
東京に星の出揃ふ淑気かな 田所節子 201403
復興の鳥居に淑気およびけり 小山繁子 春燈 201403
大阪城に浮雲三つ淑気かな 大橋晄 雨月 201403
一湾の海穏やかや淑気満ち 大島みよし 201404
一字だに読めざる書幅淑気満つ 米山のり子 馬醉木 201404
今井千軒ぐるり淑気のなかに居る 川井秀夫 末黒野 201404
紺屋川を松葉流るる淑気かな 林範昭 火星 201404
奈良墨や硯の海に満つ淑気 池内結 末黒野 201404
播州に「鳴らずの鐘」の淑気かな 橋添やよひ 風土 201404
大琵琶の芯に一島淑気かな 石田きよし 201404
淑気いま岩屋に寄する波頭 後藤桂子 万象 201404
淑気満つ高野や杉は穂を正し 樺山翠 雨月 201404
淑気満つ志功作釈迦十大弟子 土井三乙 風土 201404
葭蔵のゆつくり開く淑気かな 浜口高子 火星 201404
逞しき千代の蘇鉄や淑気満ち 田中淺子 201404
蕉翁の生誕の地の淑気かな 山本漾子 雨月 201404
たこ焼の終始にからむ淑気かな 椿和枝 201404
うらうらと竹林にある淑気かな 仁平則子 201404
手水舎の名水掬す淑気かな 宮原悦子 雨月 201405
淑気満つ最後の一人起きてきて 今橋眞理子 ホトトギス 201406
空と海分かれ来たりし淑気かな 河野美奇 ホトトギス 201406
扁額の八の字は鳩淑気満つ 橋場美篶 末黒野 201304
三井寺の鐘の余韻にある淑気 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
中国と日本の山河淑気満つ 王岩 あを 201501
九十四の姉もつ父の淑気かな コ田千鶴子 馬醉木 201502

 吉武千束句集『太古のこゑ』

耶馬よりの太古のこゑに淑気満つ

能村研三 201502
石翁の農神像や淑気満つ 小林共代 風土 201502
街中に光あふるる淑気かな 山田天 雨月 201503
淑気なき主亡き朝を迎へけり 田代貞枝 201503
降り積もる淑気の中に大社 岩木茂 風土 201503
淑気満つ開山堂の覗き窓 笹村惠美子 201503
厨子内に溢るる淑気開扉仏 塩路隆子 201503
淑気満つ妻の流儀の床の松 北尾章郎 201503
淑気かな絹の帷を沼に置き 吉田政江 201503
青空へ未完校舎の淑気かな 植田初美 春燈 201503
神杉の秀に陽のわたる淑気かな 福島照子 京鹿子 201504
表札の古びしほどの淑気かな 中島芳郎 201504
川の気のとどく碑淑気満つ 数長藤代 201504
満つ淑気歌舞伎古事記へ踏み込みぬ 柳本渓光 ろんど 201504
松島の彩なす潮淑気満つ 降幡加津 ろんど 201504
墨打たる角材にある淑気かな 鈴木庸子 風土 201504
武蔵野の林四方より淑気満つ 落合絹代 風土 201504
稜線にかぎろひ立てる淑気かな 吉田順子 201504
松には松杉には杉の淑気満つ 吉田順子 201504
花弁餅前に幼の淑気かな 山田佳子 201504
大楠の根を張る力淑気満つ 一民江 馬醉木 201504
披講子のこゑの玲瓏淑気満つ 玉置かよ子 雨月 201504
鳶の輪の淑気外宮に内宮に 高木典子 雨月 201504
しののめの淑気を醸しゆく山河 高木典子 雨月 201504
暁闇の響動もす神鼓淑気満つ 高木典子 雨月 201504
和太鼓の擾振りあがる淑気かな 佐渡谷秀一 対座 201505
広げたる帯の海より淑気立つ 半田稜 ろんど 201505
淑気満つ神に仏に灯をともし 下平しづ子 雨月 201505
大的を射通す矢音淑気満つ 横山昭子 雨月 201505
水掛くる佛像五基に淑気満つ 渡辺貞子 京鹿子 201505
注連縄に門の淑気を整へり 山下美典 ホトトギス 201506
寄せ植ゑの鶴の羽搏く淑気かな 鈴木静恵 花こぶし 201508
松風に波立つ濠の淑気かな 鈴木静恵 花こぶし 201508
魚塚に注げる御酒や淑気満つ 渡部恭子 馬醉木 201510
淑気 →2      

 

2021年1月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。