15    200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
遠蝉に労られゐる老いの季 宮田豊子 春燈 202011
夕暮れてなほ鳴き止まぬ法師蝉 村上國枝 春燈 202011
寒蝉の鳴き細りして止みにけり 後藤大 春燈 202011
舌打ちのやうに短く真夜の蝉 三代川玲子 春燈 202011
つくづくとひとりと思ふ法師蝉 三代川玲子 春燈 202011
一匹の蝉百匹分の声で鳴く 志方章子 六花 202011
爆心地近づけば止む蝉の声 平居澪子 六花 202011
滝水を離れて蝉の声溢る 延川笙子 六花 202011
限られし日のたふとさや蝉の声 浜田久美子 六花 202011
少年の狙ひ定まる蝉しづか 阿部さちよ 202011
蝉生まる森の緑を透かしつつ 原博美 風土 202011
蝉の声くぐりて森の深さかな 黒滝志麻子 末黒野 202011
だらだらと過ごす身囃す蝉の声 岡野里子 末黒野 202011
最後まで話は聞けと法師蝉 齊藤實 201911
まつすぐに空突く大樹法師蝉 高木邦雄 末黒野 202011
一人居の朝の目覚めや蝉の声 及川照子 末黒野 202011
風をよぶ水車小屋より蝉の声 堺昌子 末黒野 202011
初蝉や日ざしの戻る庭の樹々 山崎稔子 末黒野 202011
初蝉や木立の風の向かうより 六崎正善 末黒野 202011
いちどきの蝉声鬨を告ぐるやう 山口郁子 末黒野 202011
日々無聊蝉の初鳴き記し居り 中野千代子 末黒野 202011
温暖化梅雨も明けぬに蝉の声 治部少輔 202011
寒蝉鳴く絆の糸の太さとは 中川のぼる 202011
灌木に鳴く蝉のいて野分晴 柿沼盟子 風土 202012
夕風に声のびやかや法師蝉 森清堯 末黒野 202012
亭亭と神杉の杜蝉響む 大川暉美 末黒野 202012
昨日より早き落暉や法師蝉 斉藤マキ子 末黒野 202012
法師蝉説法超えの舌鋒よ 北郷和顔 末黒野 202012
大欅蝉の木となる昼下がり 小池桃代 末黒野 202012
山の端に沈む夕日や法師蝉 西計郎 末黒野 202012
蝉とらへ猫が「だうだ!」と見せに来る 秋川泉 あを 202012
山寺や暮れゆく渓の法師蝉 延川五十昭 六花 202101
朝方に裏に来て鳴く法師蝉 黒澤次郎 やぶれ傘 202101
鳴きながら蝉の飛びたつ雨後の空 永淵惠子 202102
現世の色となりゆく羽化の蝉 角野良生 202104
読み止しの本にうつ伏せ法師蝉 滋野暁 末黒野 202104
雨上がりひときは高き蝉の声 山咲和雄 末黒野 202104
川鳴りの耳許蝉の殻つぶす 亀田虎童子 202107
蝉の穴むかし覗きし覚えあり 亀田虎童子 202107
空蝉に残せし土の記憶かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202107
廃校に校歌碑のこり蝉時雨 能村研三 神鵜 202107
狂ひ飛ぶ蝉命終の間際まで 能村研三 神鵜 202107
空蝉の透きとほりたる羽化月夜 小林陽子 202107
蝉鳴いて都心に人の戻りつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
蝉の声忌日の空を軋ませて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
蝉の穴覗いて眼落しけり 山田六甲 六花 202108
城垣の美しき城蝉しぐれ 山田六甲 六花 202108
初蝉の念仏ひとつ浄土門 鈴鹿呂仁 京鹿子 202108
空蝉のどこまで透けば無にならむ 村田あを衣 京鹿子 202108
蝉時雨やんで寂しき風のあり 石田静 202109
ひたと来て声に火のつく油蝉 栗城静子 202109
アパートの向うで油蝉が鳴く 大崎紀夫 やぶれ傘 202109
初蝉の鴉よくゐる辺りより きくちきみえ やぶれ傘 202109
車椅子押しゆく歩道蝉時雨 天野美登里 やぶれ傘 202109
蝉のこゑ考へごとの隙間へと 安藤久美子 やぶれ傘 202109
空蝉の葉陰の宿り爪甘し 鈴鹿呂仁 京鹿子 202109
大楠の千の抜け殻蝉しぐれ 鈴鹿呂仁 京鹿子 202109
倒木の風禍の喘ぎ蝉の森 鈴鹿呂仁 京鹿子 202109
法師蝉論し聴して老い凌ぐ 松本鷹根 京鹿子 202109
空蝉を握りつぶせる殺意かな 亀田虎童子 202109
午後からは背山へ帰る蝉の風 山田六甲 六花 202109
松蝉の声のかなたに遠嶺あり 藤生不二男 六花 202109
初蝉や皆無言なる遍路道 野村昌代 202109
たからかにみんみんみんと蝉時雨 佐藤竹僊 あを 202109
初蝉のカナカナカナと坂戸山 七郎衛門吉保 あを 202109
無観客それでも五輪蝉時雨 須賀敏子 あを 202109
松蝉の鳴く大町を白馬へと 泉一九 やぶれ傘 202110
初蝉は線路向うの木立より 倉澤節子 やぶれ傘 202110
空蝉やありあふものもうつくしき 根來隆元 202110
歩みでてたちまち蝉の時雨かな 根來隆元 202110
手にしたるその空蝉の軽さかな 根來隆元 202110
蝉しぐれなかに怒れる声のあり 平佐悦子 202110
初蝉や薬また増え退院す ふなかわのりひと 202110
境内は蝉の故郷子ら走る 谷田貝順子 202110
草むらへ隠すやにおく落ちた蝉 飯塚トシ子 202110
青白い腹見せ蝉の生終はる 菅原朋子 202110
蝉の木と家族七人わが暮し 大畑善昭 202110
少しづつ減らす写真や蝉時雨 小田里己 202110
飴色に透くる空蝉風生まれ 高久正 202110
敗戦の史実はるかや蝉時雨 牛島晃江 202110
一木の蝉にソーシャルディスタンス 福田肇 202110
攀ぢ上る初蝉に幹こそばゆし 福田肇 202110
蝉しぐれ清澄山の回向かな 鈴木基之 202110
穴出でし蝉振り向くなふりむくな 南うみを 風土 202110
七年の地下出づ蝉の声高し 鈴木石花 風土 202110
断層の亀裂より湧く蝉の声 岩木茂 風土 202110
掃き寄せて髪一本と蝉の殻 浅田光代 風土 202110
この自由うれし嬉しと蝉しぐれ 西村白杼 京鹿子 202110
初蝉やマスクを取りに戻りたる 佐藤竹僊 あを 202110
落蝉や三階五階外階段 篠田純子 あを 202110
蝉の声ミンミンばかりなる異変 田中藤穂 あを 202110
耳鳴りにみんみんは無し蝉時雨 森なほ子 あを 202110
慣れ親しカフェを包む蝉時雨 大日向幸江 あを 202110
家計図のどこに吾居る蝉時雨 田中車庫 あを 202110
読み返す信書一通残る蝉 西川保子 春燈 202110
初蝉や江戸の名残の庭の松 佐藤信子 春燈 202110
たどたどしき初蝉の声聞きもらさず 橘正義 春燈 202110
遠縁の人の饒舌蝉時雨 永井惠子 春燈 202110
空蝉や隠しおほせぬ疵ひとつ 荒井ハルエ 春燈 202110
蝉の穴はしやぐ媼のイヤリング 小林紫乃 春燈 202110
けふもまたメダル自慢や蝉時雨 室井津与志 春燈 202110
遠ざかる夕日を追うて蝉しぐれ 西村洋平 春燈 202110
蝉時雨ゲルニカの書を読みてをり 山岸明子 202110
空蝉や逢ひたき人に逢ひに行く 北城美佐 202110
図書室は木箱のごとし蝉しぐれ 広渡敬雄 202111
月白や裏返る蝉少し動く 広渡敬雄 202111
戦争の記憶内耳の蝉しぐれ 久礼隆志 202111
暗闇を耐へたる証蝉の穴 森清堯 末黒野 202111
夕蝉の頻りや用のあれこれと 森清堯 末黒野 202111
夕蝉や棚引く雲の茜色 岡野里子 末黒野 202111
まだ力ぬけてはをらぬ蝉の殻 石黒興平 末黒野 202111
蝉しぐれ寺の巨木をふくらます 菅野日出子 末黒野 202111
一山の蝉しぐれ聞く七七忌 斉藤マキ子 末黒野 202111
神南備の寒蝉繁き亭午かな 高木邦雄 末黒野 202111
古刹へと続く古道や蝉しぐれ 今村千年 末黒野 202111
道草の子のランドセル蝉の殻 今村千年 末黒野 202111
目覚しや徹夜の耳へ蝉時雨 滝口洋子 末黒野 202111
蝉時雨十日の命つくるまで 滝口洋子 末黒野 202111
昼の蝉けやき並木を我が物に 松浦哲夫 末黒野 202111
初蝉や一湾望む丘の上 山崎稔子 末黒野 202111
空蝉の爪の食ひ込む葉裏かな 秋山文子 末黒野 202111
ぢいぢいと吾を呼ぶごとし蝉時雨 杉山善信 末黒野 202111
暮初むる峡の駅舎や蝉時雨 平田きみ 末黒野 202111
蝉しぐれゴミを出す日のゴミを出す 大崎紀夫 やぶれ傘 202111
日の暮れは蝉の骸がカタと揺れ きくちきみえ やぶれ傘 202111
蝉時雨SLのせる転車台 青谷小枝 やぶれ傘 202111
蝉しぐれ僧侶はこゑを張り上げて 有賀昌子 やぶれ傘 202111
夕蝉の長き一鳴き流れ雲 渡邉孝彦 やぶれ傘 202111
父の忌の墓域に蝉のこゑしきり 秋山信行 やぶれ傘 202111
瓶詰めの空蝉となり愛される 中西厚子 202111
瓶詰めの空蝉となり愛される 中西厚子 202111
もう飛べぬ蝉が仰ぎし深さかな 久保夢女 202111
空蝉の爪の渾身生くるとは 木多芙美子 春燈 202111
法師蝉待つててくれる交差点 大谷満智子 春燈 202111
初蝉やひと声残し何処へやら 遠藤レイ 春燈 202111
救急車の音と競演蝉時雨 遠藤レイ 春燈 202111
蝉しぐれはや七年の師の忌日 井尻妙子 京鹿子 202111
蝉しぐれ百花の園に百の木々 井尻妙子 京鹿子 202111
千年の木蔭に憩ふ蝉涼し 本郷公子 京鹿子 202111
落蝉や命のぬくみ日にかへす 三輪桜花 京鹿子 202111
拾ひ読む朝刊蝉に急かされて 三輪桜花 京鹿子 202111
蝉ぢぢと遺風は無言風となる 上野紫泉 京鹿子 202111
蝉の殻歩道にふたつ儚さを 長崎桂子 あを 202111
慣れ親しカフェを包む蝉時雨 大日向幸江 あを 202111
家計図のどこに吾居る蝉時雨 田中車庫 あを 202111
ほの暗く木の根取り巻く蝉の穴 大山夏子 202112
軒先に蝉の躯の黙かな 江口九星 202112
蝉時雨稿煮詰れば迫り来る同 ホトトギス 湯川雅 202112
糸のごとくに初蝉の鳴きいづる 岩岡中正 ホトトギス 202112
蝉に蝉重ね神の木仏の木 古賀しぐれ ホトトギス 202112
春日野の蝉死す千年の礎石 古賀しぐれ ホトトギス 202112
残る蝉悔いなく過ごせと鳴かれても 佐渡谷秀一 春燈 202112
急かさるる用事もたねど法師蝉 佐渡谷秀一 春燈 202112
祖師堂や一山占むる残る蝉 岡野里子 末黒野 202112
千の挽歌万の挽歌よ蝉時雨 小田嶋野笛 末黒野 202112
夕照の神南備山や法師蝉 高木邦雄 末黒野 202112
空蝉の風のふれゆく浄土かな 大川暉美 末黒野 202112
呼び覚ます青雲の頃法師蝉 伊藤鴉 末黒野 202112
ふる里の景立ち上がる蝉しぐれ 菊池和子 京鹿子 202112
蝉の鳴く前に箒を仕舞ひけり 住田千代子 六花 202112
ビー玉の入りさうなる蝉の穴 高倉和子 202112
カップインして蝉声のあふれけり 服部早苗 202112
蝉声の大樹に遠し坊の跡 田中とし江 202112
日がさせばどつと鳴きだす油蝉 石原健二 やぶれ傘 202112
今日はまたやけに大きな蝉の声 伊藤薫 やぶれ傘 202112
日陰ればひとしほ高き蝉の声 奥田温子 やぶれ傘 202112
幹を這ふ蝉の思はぬ速さかな 奥田温子 やぶれ傘 202112
一筋の風のソリスト法師蝉 古賀しぐれ ホトトギス 202201
独唱の果の沈黙法師蝉 古賀しぐれ ホトトギス 202201
読経に和すかに続く蝉の声 森竹治郎 末黒野 202201
一匹の蝉百匹分の声で鳴く 志方章子 六花 202201
静かには寝させてくれぬ蝉の声 志方章子 六花 202201
蝉きかず虫鳴かず冬異変めく 田中藤穂 あを 202202
蝉声の昂ぶり谷戸の行きどまり 丸山千穂子 末黒野 202204
朝蝉や何か急かるる今日のこと 上野静子 末黒野 202204
授かれる天寿や蝉の仰臥して 小林清彦 末黒野 202204
物想ふ容してをり蝉の殻 亀田虎童子 あを 202204
蝉時雨一山包み込む刹那 稲畑廣太郎 ホトトギス 202207
蝉生るる夜はしらしらと濡れゐたる 北村操 202207
松蝉に話途切れてしまひけり 小林共代 風土 202208
器師のをらぬ東京蝉時雨 菅原末野 風土 202208
薄情は声にならざる蝉しきる 松本鷹根 京鹿子 202208
被爆ドームその十方の蝉しぐれ 亀井福恵 京鹿子 202209
赤四手の木立に雨後の蝉時雨 渡邊孝彦 やぶれ傘 202209
森を抱く鎌倉五山蝉しぐれ 町山公孝 202209
松蝉に引き留められて長湯かな 赤座典子 あを 202209
蝉鳴かぬ炎暑の街の静もりぬ 田尻りさ 六花 202209
横移動してまた鳴くや油蝉 田尻りさ 六花 202209
真夜に蝉一言鳴けり君思ふ 田尻りさ 六花 202209
落ち蝉はゆつくり四肢をゆがめをり 手島百合子 やぶれ傘 202210
朝蝉や今日を励めと急き立てる 長崎桂子 あを 202210
法師蝉日比谷の水場錆にけり 篠田純子 あを 202210
もう湧かぬ海女の置き水ちつち蝉 水谷甚 春燈 202210
松蝉や開く庵の明り窓 加藤静江 末黒野 202210
初蝉の一声時を惜しみけり 戸田澄子 末黒野 202210
地鳴りとも老いを呑み込む蝉時雨 喜田君江 末黒野 202210
石庭に輪廻の波や蝉しぐれ 平松うさぎ 202210
黙祷の声に止みたり蝉時雨 菅原健一 202210
学生街の空を揺さぶる蝉時雨 谷口摩耶 202210
蝉 16

 

2023年7月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。