雪 渓 2     196句

雪渓を仰ぐ反り身に支へなし    細見綾子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雪渓に息荒き影落しけり
白井剛夫
200310
寝ね足りて遠雪渓の匂ひたつ
高橋さえ子
200310
白馬嶺の雪渓はるか牛を飼ふ
山口順子
200311
羅臼岳の雪渓登攀者胡麻粒めく
須賀遊子
200311
雪渓の風まぶしめば茅潜
小林碧郎
馬醉木
200311
雪渓の思はぬ固さ踏みにけり
島村ひろ子
対岸
200311
蒼天の雪渓眩し指呼の中
村林久子
遠嶺
200311
雪渓や日輪襞を飾りをり
清水和子
酸漿
200312
男一人大雪渓を登り来る
清水和子
酸漿
200312
長湯治して雪渓を痩せさする
伊藤白潮
200406
雪渓につまづき硫気もろに浴ぶ
伊藤白潮
200407
雪渓を翻の果にホルン吹く
小林和子
風土
200408
バスで行く雪渓までを夕焼けて
小林和子
風土
200408
雪渓は染まりカールは暮れかかる
浅川正
雲の峰
200408
雪渓の全容霽るる穂高岳
松村富子
200409
雪渓の青ざめつつも晴れきれず
長沼三津夫
200409
雪渓に向けたる顔をかがやかす
長沼三津夫
200409
雪渓に出て雲脚の迅きこと
長沼三津夫
200409
雪渓に拾ひて鷹の羽根ならむ
長沼三津夫
200409
雪渓の一歩にどこか軋みたる
長沼三津夫
200409
雪渓をまぶしみ誰も若からず
長沼三津夫
200409
雪渓の端の崩れを恐れをり
栗虫信子
200409
雪渓の褌のごとく晴れ上る
大西八洲雄
万象
200410
大雪渓登る鉄爪痕残し
岡田有峰
築港
200410
雪渓を刮り煮炊の水と為す
佐藤紀子
200410
雪渓や笑顔の並ぶ旅写真
村瀬八千代
遠嶺
200411
雪渓の黒点しかと我ありぬ
小山陽子
200412
青年になつて雪渓仰ぎをり
曷川克
遠嶺
200506
厳浄の日や雪渓と青空と
小澤克己
遠嶺
200508
雪渓を天に丸太の無人駅
西山美枝子
酸漿
200508
雪渓の麓なかなか眠られず
高橋芳子
火星
200509
雪渓の白樺ごしに荒々し
桑添礼子
栴檀
200509
妙高の雪渓近しスイッチバック
三輪慶子
ぐろっけ
200509
雪渓や屋根に石置く木曾の納屋
神保みね子
酸漿
200509
雪渓にくらめば天地くつがへる
長沼三津夫
200509
雪渓を一景として句碑の前
長沼三津夫
200509
雪渓の霧に瀬音の遠こだま
長沼三津夫
200509
雪渓の霧に湿りて髪白む
長沼三津夫
200509
雪渓に一会の言葉交しけり
長沼三津夫
200509
雪渓を見に霧雨の岩伝ひ
此川たき
200509
雪渓の罅を大きく痩せにけり
此川たき
200509
雪渓の亀裂広がる一部分
此川たき
200509
天空へ雪渓の霧上りゆく
此川たき
200509
雪渓を滑走別の世と思ふ
横溝千津子
200510
木道のはるかの先に一雪渓
西山美枝子
酸漿
200510
雪渓に心はろけく置きにけり
笹倉さえみ
雨月
200510
雪渓を登る四顧より鳥鳴きし
岡田有旦
築港
200510
岳沢に雪渓失せて桷熟るる
小林碧郎
馬酔木
200511
雪渓に蒼き亀裂の奈落かな
大室恵美子
春燈
200511
雪渓を釘打つやうに登りけり
高木武人
百鳥
200511
山雀の声の澄みをり斑雪渓
内藤順子
酸漿
200604
雪渓や絶食に似て旅にあり
伊藤白潮
200607
雪渓を攀づ等身の影を曳き
伊藤白潮
200607
大雪渓落ちて来さうなハイウエイ
中出敦子
200608
雪溪へ乗るに体の力抜く
滝村みさ子
200608
雪渓といふ剣と槍かち合へり
鷹羽狩行
200609
頂きし帽子の中の大雪渓
小澤克己
遠嶺
200609
雪渓の龍の鱗のやうな照り
小林正史
200609
雲のビタミン雪渓と蕗のとう
遠山みち子
200609
雪渓を踏むに力を入れにけり
遠山みち子
200609
あこがれし雪渓間近山の宿
小田知人
ぐろっけ
200609
雪渓の霧らふは霊気かも知れず
長沼三津夫
200609
雪渓の洞を源流をどり出づ
長沼三津夫
200609
雪渓を仰ぎ喘ぎつ崖伝ひ
長沼三津夫
200609
雪渓の一朶に瀬音たかぶれる
長沼三津夫
200609
雪渓の瀬音たしかに足裏より
長沼三津夫
200609
雪渓にあれば裸の日が寒き
長沼三津夫
200609
雪渓をうつす湖熊注意
数長藤代
200610
シャッターチャンス雪渓のVサイン
富沢敏子
200611
立山の雪渓なべて太り気味
富沢敏子
200611
手をのべて雪渓の雪含みけり
中里カヨ
酸漿
200612
雪渓の穂高背に聴くコンサート
清水けい子
八千草
200612
手触れむと大雪渓へ五歩六歩
佐々木幸
200612
雪渓に触るる十指を開き切り
佐々木幸
200612
雪渓に繋がる蝦夷の空広し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200705
雪渓と汚れちまつた魂と
伊藤白潮
200707
流涕さながらの雪渓遠目にす
伊藤白潮
200708
雪渓の山頂に火をもてなさる
風間史子
200709
かの虜囚ほどの雪渓なればこそ
高橋澄子
200709
雪渓に摘みし雪笹朝の卓
竹尾志眞子
200709
霊山を仰ぎ雪渓日和とも
長沼三津夫
200709
神の意の雪渓をかく輝かす
長沼三津夫
200709
雪渓やもし句碑あらば師の句欲し
長沼三津夫
200709
雪渓のこの大岩の座りぶり
長沼三津夫
200709
雪渓の霧にたちまち盲ひたる
長沼三津夫
200709
雪渓を洗ひ流して霧晴るる
長沼三津夫
200709
雪渓に今生の塵つもりたる
高橋将夫
200710
雪渓の小さくなりゆく穂高岳
大畑雅敬
200710
雪渓や病後の一歩踏み出だし
澤藤蓑助
200710
雪渓を眼下に降るロープウェイ
加地芳女
雨月
200710
穂高への雪渓しるき夜のテラス
吉田幸敏
200710
朝日射す富士の雪渓空の旅
鈴木照子
200711
尿りの跡大雪渓に残し去る
野沢しの武
風土
200711
稜線の雪渓鞍を掛くるごと
工藤ミネ子
風土
200711
雪渓も滝も一句に詠み入れよ
伊藤白潮
200807
雪渓の裾踏み得たり谷卯木
手島靖一
馬醉木
200809
雪渓を吹く霧くらし一の倉
手島靖一
馬醉木
200809
雪渓の輝き剣岳雲に立つ
塩見治郎
雨月
200809
大雪山の淡き雪渓夕茜
前川ユキ子
200810
雪渓に億万の光の粒子
近藤喜子
200810
屋根付きの石のきざはし遠雪渓
小澤克己
遠嶺
200810
慰霊碑よ雪渓ひかる奥壁よ
吉田空音
炎環
200811
コーヒーのおかはり比良は雪渓晴れ
丸山佳子
京鹿子
200904
砲声に富士の雪渓揺るがざる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200907
雪渓の夕陽詩人のゴブレット
神原徳茂
遠嶺
200908
雪渓や貴婦人に似し木のありぬ
近藤喜子
200908
人の影にも雪渓の汚れゆく
片山由美子
200909
雪渓に真向ひ展望レストラン
山路紀子
風土
200910
雪渓を駆け下りる風テント鳴る
田中春生
200912
雪渓を縫ひて登りぬバスルート
高田令子
201008
御嶽の雪渓に聞く水の音
小林優子
酸奬
201008
寄つてたかつて雪渓を汚した日
笠井敦子
201009
雪渓を落ちくる石の早さかな
田中喜久子
酸奬
201009
雪渓を出でくる水に竹杓子
金山千鳥
酸奬
201010
雪渓へ御釜へ雲の影迅し
藤原照子
201011
雪渓を出づる流れのきらめけり
森清信子
末黒野
201012
雪渓虫雪の汚れに見失ふ
志奈禮子
万象
201012
雪渓やこんこんと割る茹たまご
有賀昌子
やぶれ傘
201101
上下左右雪渓せまるパノラマ車
田中きよ子
酸奬
201103
雪渓を巡り巡れるパノラマ車
田中きよ子
酸奬
201103
雪渓の青さに沈むランプの灯
成瀬櫻桃子
櫻桃子選集
201105
雪渓を指呼にパン焼く香りかな 柿沼盟子 風土 201108
雪渓に解き放たるる沢ルート 浅井青二 雨月 201110
雪渓へ信濃きんばい咲き揃ふ 室伏みどり 雨月 201110
雪渓をゆく豆粒の登山隊 室伏みどり 雨月 201110
這松に大雪渓の尾を垂らす 室伏みどり 雨月 201110
雪渓の揮のごとく晴れ上る 大西八洲雄 万象 201110
雲の間に白馬雪渓夕茜 片岡久美子 201111
雪渓のまばゆき昼を渡りけり 今井春生 201112
大雪渓雲の乗り行く白馬岳 今野明子 末黒野 201112
雪渓の大き信濃に入りにけり 勝谷茂子 馬醉木 201201
白炎の大雪渓をしかと踏む 加藤千津 万華鏡 201206
雪渓を滑りし風の来りけり 柿沼盟子 風土 201208
雪渓の嶺よく霽れて津軽富士 安田とし子 ぐろっけ 201208
雪渓の白さの光る妙高山 山本達人 かさね 201209
俄杖拾ひ雪渓めざしけり 藤原照子 201209
抜き放つ雪渓と言ふ鈍き太刀 上辻蒼人 風土 201209
雪渓は烏天狗の爪痕か 宮原悦子 雨月 201209
雪渓のくぼみに蝶や生きてをり 山本耀子 火星 201211
雪渓に浮き雲のかげ落ちにけり 大島英昭 やぶれ傘 201212
雪渓を遠見紅葉の枝越しに 松本三千夫 末黒野 201301
雪渓の中より榛の花上ぐる 江見悦子 朴の青空 201307
交差する雪渓長し浅間山 丸山酔宵子 かさね 201307
雪渓の浅間を見上ぐる熱気球 丸山酔宵子 かさね 201307
宿の窓占むる雪渓利尻富士 伊藤純子 201310
蓼科山の雪渓蝶の形して 江見悦子 万象 201310
月山の汚れ雪渓かくす靄 吉田政江 201311
雪渓や荷を上げ下ろすヘリコプター 来海雅子 201311
遠目には雪渓浄土月の山 舩山東子 ろんど 201309
宿の窓占むる雪渓利尻富士 伊藤純子 201310
蓼科山の雪渓蝶の形して 江見悦子 万象 201310
月山の汚れ雪渓かくす靄 吉田政江 201311
雪渓や荷を上げ下ろすヘリコプター 来海雅子 201311
雪渓の落ち合ふところ岩つばめ 原田しずえ 万象 201410
手に受けて飲む雪渓の水うまし 山田春生 万象 201410
雪渓の雄山迫りて我小さき 滋野暁 末黒野 201411
峰映す池雪渓に抱かれをり 滋野暁 末黒野 201411
雪渓を渡り参道石畳 布施由岐子 末黒野 201411
雪渓の遠き小屋の灯明の星 田中繁夫 末黒野 201411
影曳いて雪渓を蝶遠ざかる 久保東海司 201501
雪渓のかけらを入れて冷し酒 山田春生 万象 201510
遠雪渓水車のこぼす水の糸 古川夏子 201510
喃語めく雪渓よりの水一縷 成田美代 201510
雪渓に映える紺碧みくりが池 岡田桃子 201511
雪渓を育んでゐる蝦夷の風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
雪渓のこの一滴が黒部川 杉本光祥 201609
雪渓のひかりを天に群青忌 今田清三 馬醉木 201610
百名山の大雪渓に杖を挿す 田村すゝむ 風土 201611
月山の雪渓にまづ吐息洩る 田中臥石 末黒野 201612
雪渓に立てば大きな空のあり 白水良子 201612
雪渓の裾野クレパス十二色 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
雪渓や村の鎮守の青々と 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
ゆく雲や雪渓にさす影はやし 竹村淳 201709
山襞に残る雪渓空の青 菅野日出子 末黒野 201709
雪渓を掘つてとりだす缶ビール 山田春生 万象 201710
雪渓のほそき筋なす前穂高 大山春江 万象 201710
雪渓の残る連峰遠眺め 川村欽子 雨月 201710
はたちの抽出し雪渓の眩しさ 井上菜摘子 京鹿子 201711
雪渓や父の足跡重ね踏む 村田あを衣 京鹿子 201711
雪渓を巻き込み川の轟けり 山内碧 201801
手稲山雪渓に空降りて来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
山なだらかに雪渓の白たすき 齊藤實 201807
雪渓の奥羽山脈機影落つ 大森三保子 馬醉木 201808
雪渓に風のとどけし瑠璃の羽根 夏生一暁 馬醉木 201809
雪渓を眼下に蝦夷へ高度下げ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
雪渓の雲を走らす槍・剣 鈴鹿呂仁 京鹿子 201907
雪渓に埋もるジュラ紀の記憶かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
雪渓を踏んで此岸を遠ざける 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
雪渓に蝦夷の歴史といふ重さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
雪渓やダイダラボッチ匙のあと 今泉忠芳 日輪馬車のタクト 202009
雪渓の足跡に歩を重ねゆく 武田巨子 春燈 202009
雪渓は巨大雄鶏となりに貂 森なほ子 あを 202009
大雪渓抜け雲表の白馬岳 和田照海 京鹿子 202010
雪渓を懺悔懺悔と登りゆく 藤井美晴 やぶれ傘 202209
川の字に残る雪渓湯殿山 宮澤靖子 末黒野 202211
碧天や大雪渓を登る雲 伊藤鴉 末黒野 202211
雪渓 →1

 

2023年8月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。