雪渓 1     100句

雪渓は垂れ明星は位を占むる    藤田宏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
テント灯す雪渓で割るウイスキー
塩田博久
風土
199809
フィヨルドを航く雪渓の尾を目指し
橋本和子
199811
傾ける雪渓を来しをみなども
深澤鱶
火星
199811
羚羊か雪渓よぎる影速し
岡野美代子
馬醉木
199908
朝空に雪渓嵌めし袋掛
岡野美代子
馬醉木
199908
雪渓や谿水ひびく神の山
粕谷容子
春耕
199908
雪渓や出でて火星は強き星
宮津昭彦
199908
雪渓の蛸足垂らす五月富士
遠藤白雲子
199908
雪渓を仰ぐ裾野の美術館
佐藤康子
遠嶺
199909
雪渓のほこたて富士の大斜面
鷹羽狩行
199909
雪溪の先端のごと逝きおほす
柳生正名
海程
199910
清流の魚跳ねてをり遠雪渓
今井松子
遠嶺
199910
雪渓の風身にまとふ尾根歩き
中里カヨ
酸漿
199910
雪渓の消えて山容優しくす
小竹由岐子
円虹
199910
雪渓の残る沢へと下山かな
小竹由岐子
円虹
199910
消尽といふことほぎや雪溪や
田中亜美
海程
199911
雪渓を踏み太陽に真向へる
貞吉直子
馬醉木
199911
日翳れば雪渓蒼しほととぎす
野口みどり
酸漿
199911
雪渓を白馬に上げて秋耕す
神蔵器
風土
199911
雪渓を行くリュックの色いろいろ
長沼紫紅
199911
雪渓やみくりが池はまだ覚めず
長沼紫紅
199911
雪渓は遠き樹海のその彼方
中田征二
ぐろっけ
199911
雪渓の見えてより道始まりぬ
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912

 猪狩銀龍句集『足跡』序句

第一歩より雪渓を目ざしたる

鷹羽狩行
200002

 城端句碑除幕

立山の雪渓峨々と光りをり

稲畑汀子
ホトトギス
200005
雪渓に人皆小さく佇みぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200006
雪渓の丈に己が身反らしけり
岡本高明
200006
雪渓へロープウェイが影落す
久保晴子
雨月
200008
行手また行手大雪渓現るる
武政礼子
雨月
200008
雪渓や歌ひ出したるチロル帽
吉村玲子
円虹
200009
十字架に来て雪渓の途切れたる
吉村玲子
円虹
200009
大鳥居雪渓の照り返しをり
白瀬露石
春耕
200009
雪渓の汚れしままに横たわる
林田加杜子
いろり
200009
雪渓へ肩のザイルを掛け直す
山本雅子
馬醉木
200010
雪渓行乙女も若さ失へり
阿部寒林
200010
落石の音雪渓に出ては止む
阿部寒林
200010
吾が影のほかに影なし雪渓は
阿部寒林
200010
夜の雨の痕跡もなし雪渓は
阿部寒林
200010
雪渓が流れとなれる小屋泊り
阿部寒林
200010
いきなり雪渓山の体温どつと流れ
阿部寒林
200010
容赦なき雪渓のりたつた独り
阿部寒林
200010
近づかぬ雪渓を登り来る人は
阿部寒林
200010
黒部へ下る雪渓もやゝ汚れつゝ
阿部寒林
200010
地図にある径雪渓を過ぎて見ゆ
阿部寒林
200010
雪渓に置けば手袋遺品めく
阿部寒林
200010
下り切る雪渓なほも高処にて
阿部寒林
200010
奔流となり雪渓を抜けし水
吉村ひさ志
ホトトギス
200102
妻との旅雪渓踏むを至福とす
堀田政弘
200102
雪溪に月連泊の痕のこす
中原道夫
銀化
200106
雪渓に山の高さを知ることも
稲畑汀子
ホトトギス
200106
雪溪や光年をもて距離をいふ
中原道夫
銀化
200107
目の前の大雪渓や土筆摘む
武井美代子
風土
200108
雪渓の嶺に一礼して下る
武井美代子
風土
200108
雪渓をそびらに山毛欅の樹齢かな
朝妻力
俳句通信
200108
青空にもたれ雪渓立つてをり
村上瑪論
銀化
200108
大雪渓天に鉋をかけし青
佐藤喜孝
あを
200108
雪渓やバルーンのやうな雲上げて
小澤克己
遠嶺
200110
霧退きし雪渓うろこ連ねたり
手島靖一
馬醉木
200110
雪渓の水岳人を昂らす
和田照海
京鹿子
200110
雪渓の一岳に日の燦々と
金森教子
雨月
200201
雪渓の流れ模様や句碑凛と
石鍋みさ代
春耕
200204
雪渓の晴れを見にゆく宿の下駄
神蔵器
風土
200207
雪渓は汚れちまつた悲しみに
山室キミ子
銀化
200207
雪渓の岳みはるかす野点かな
横山庄一
百鳥
200208
天の意の雪渓として照り給ふ
長沼三津夫
200208
雪渓にかかりて雲の影迅し
長沼三津夫
200208
雪渓に人影の吸ひ込まれゆく
長沼三津夫
200208
雪渓の端の滲みて地を濡らす
長沼三津夫
200208
雪渓の裾ぎりぎりの一駐車
長沼三津夫
200208
雪渓の霧に立ち濡れ遭難碑
長沼三津夫
200208
雪渓に憩へば去年の瀬音鳴る
長沼三津夫
200208
飛騨谷へ雪渓ふかし西穂高
渡辺立男
馬醉木
200209
雪渓に生れしばかりの風を受く
岡田万寿美
雲の峰
200209
逆境にありて雪渓あふぐのみ
土井田晩聖
銀化
200209
雪渓にあんぐりと洞人の丈
森理和
あを
200209
雪渓や十八歳の遭難碑
亀田宏子
百鳥
200211
雪溪を外れて用を足しにゆく
中原道夫
銀化
200305
暮れ方の舟足ゆるし遠雪渓
小澤克己
春の庵
200305
草の絮飛ぶ雪渓の水を呑む
星川淑子
200307
わが乗れるゴンドラの影雪渓に
金丸鐵蕉
200307
縦縞の雪渓けものめきにけり
金丸鐵蕉
200307
御嶽の雪溪覗く桃介槁
松崎鉄之介
200308
雪渓の奥より湧けりしらさ雲
柴田由乃
風土
200308
杉山の翳り雪渓汚れけり
海野廸子
対岸
200308
雪渓をけもののごとく叩き撫す
岡本眸
200308
手を置けば濡れて雪渓すこし減る
岡本眸
200308
雪渓へちらばる声の中に師も
植松安子
200308
雪渓の風に齢を吹かれをり
加瀬美代子
200308
雪渓の断層に刻とどめたる
加瀬美代子
200308
踏み込んで出羽の雪渓未だ深し
金田きみ子
200308
雪渓へ踏み出す息を整ふる
佐保美千子
円虹
200309
雪渓へ締め直したる靴の紐
西村純一
雲の峰
200309
雪渓やわが息ホルンの口出づる
落合絹代
雨月
200309
雪渓や白馬大池雲のせて
清水和子
酸漿
200309
天降りたる雪渓としてかがやける
長沼三津夫
200309
雪渓に汗ばみし身をつつしめる
長沼三津夫
200309
雪渓の最短距離を鳥つぶて
長沼三津夫
200309
雪渓の源流としてしたたれる
長沼三津夫
200309
雪渓の夜もまなうらに迫り来る
長沼三津夫
200309
雪渓に佇ちて遠くの声を聴く
遠藤匡子
遠嶺
200310
雪渓 2→      

 

2021年8月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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