冴 ゆ 4     100句

更けけりな燧の冴る網代守   常仙

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冴ゆる夜の菰の蘇鉄に謀りごと 山尾玉藻 火星 201501
短日や五時のチャイムも冴え渡る 斉藤裕子 あを 201501
青不動の冴ゆる眼に居竦みぬ 辻知代子 201502
約定に交はす割印朱の冴ゆる 伊東和子 201502
音冴ゆる堰千条のきららかさ 辻知代子 201502
折れさうな阿修羅の六臂灯の冴ゆる 一民江 馬醉木 201502
静脈の蒼さや総身冴ゆる夜の 有松洋子 201502
青不動の冴ゆる眼に居疎みぬ 辻知代子 201502
冴ゆる夜のベテルギウスや影たしか 井上石動 あを 201503
六道の明王像や灯の冴ゆる 工藤はるみ 風土 201503
晩節は音もなくくる星冴ゆる 本多俊子 201503
月冴ゆる電車が駅に着くメロディー 笹村恵美子 201503
冴ゆる夜や眼下に遠き港の灯 太田良一 末黒野 201503
月冴えて衣流したり余呉の湖 高島正比古 京鹿子 201504
断層に残る肌色風冴ゆる 箕輪カオル 201504
ローソンの明かりかうかう冴ゆる風 山口ひろよ 201504
よその児が泣く外廊下月冴ゆる 相沢有理子 風土 201504
撥冴えて調べの冴えて宵の艶 黒沢由紀子 201505
礎にアンモナイトや街冴ゆる 田岡千章 201505
海冴ゆる雄々しく根付くマングローブ 元橋孝之 京鹿子 201506
「奥の細道」の献詠冴ゆる野辺送り 鈴木静恵 花こぶし 201508
芒種ゆゑにかみちのくの記憶冴ゆ 千田敬 201508
星冴ゆる羊七十匹が行く 中井保江 船団 201508
冴ゆる灯や糶場に声の飛び交うて 渡部恭子 馬醉木 201510
月冴えて射礼稽古の的一つ 石崎和夫 201510
酢加減の勘冴えてをり胡瓜揉 能村研一 201510
月冴ゆるべートーベンのピアノ曲 津川かほる 風土 201512
連弾のしらべ窓辺に月冴ゆる 北川孝子 京鹿子 201601
風冴ゆる気になる句集繰りてみる 宮田豊子 春燈 201602
作られし青空に冴ゆ天安門 赤座典子 あを 201602
冴ゆる夜を仰ぐ遠吠え心地なる 辻美奈子 201603
冴ゆる夜や口笛の行く歩道橋 栗原公子 201603
川音の冴えて小さき夜の橋 竹内タカミ 201603
川魚の石に眠りて月冴ゆる 田代貞枝 201603
冴ゆる夜のそろそろ月と語る頃 安永圭子 風土 201603
朱の色映し御手洗の川冴ゆる 辻水音 201603
星冴える江ノ電白く走り去り のざきまみこ 201603
冴ゆる灯や穂に含ませる試し墨 佐藤保子 馬醉木 201604
薪しき星座描かむ星冴ゆる 齋藤晴夫 春燈 201604
空冴えて月の切つ先極めけり 東正則 末黒野 201604
太白の冴ゆる青さや遠汽笛 平野みち代 201604
頬を指す弥勒菩薩の冴ゆるなり 足立良雄 201604
鴨冴えて孤影群影それぞれに 鈴木良戈 201605
稜線の赤き筑波嶺風冴ゆる 中山結雪 201605
目も耳も丹田も冴え月の道 森清信子 末黒野 201605
浮世絵の行灯百基冴ゆる夜 飯田久美子 末黒野 201605
冴ゆる灯や最後の晩餐去りがたく 熊岡俊子 雨月 201701
鵜に勧進眉丈の夜気の冴ゆるかな 能村研三 201702
草奔の志あり月冴ゆる 荻布貢 201702
一景は鳥の寄る辺に橋冴ゆる 鈴鹿呂仁 京鹿子 201702
天皇(すめらぎ)や丹塗りに託す社殿冴ゆ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201702
星冴ゆる記憶の壺のすこし開く 寺田すず江 201703
冴ゆる夜やスーパームーンを懐に 平野多聞 201703
蜑の軒低く連ねて風冴ゆる 松本三千夫 末黒野 201703
この星も飛沫の一滴銀河冴ゆ 中島芳郎 201704
大方の詩人嘘つき冴ゆる月 今井康子 201703
星冴ゆる眼差しの鋭きミュージシャン 溝呂木信子 201704
静寂の寺町通り風冴ゆる 前原マチ 末黒野 201704
眉月の冴ゆるや師の訃受けし宵 桔梗純 万象 201705
鑿跡の冴ゆる洞窟灯のほのか 森清信子 末黒野 201705
堂冴ゆる迫力の目の雲龍図 橋場美篶 末黒野 201705
対岸に並ぶ島の灯冴ゆるかな 平木三恵子 末黒野 201705
冴ゆるてふことも一会と思ひつつ 後藤比奈夫 ホトトギス 201706
一枚の紙の重さや月冴ゆる 西村白杼 京鹿子 201802
星冴ゆる資材置き場に砂利の山 瀬島洒望 やぶれ傘 201803
月冴ゆる遠き父母近くして 饗庭惠子 末黒野 201803
反復の足踏みの冴ゆ稽古能 石黒興平 末黒野 201803
竹林の重さの中や風冴ゆる 松本三千夫 末黒野 201803
夕間暮れ時報の冴ゆる漁港かな 渡谷和代 万象 201803
冴ゆる夜の一点光る飛行場 森有子 201803
月冴ゆる嘘も気取りも許さじと 池乗恵美子 末黒野 201804
鳥一羽一声高き空冴ゆる 滝口洋子 末黒野 201804
冴ゆる夜の音無き音を聞いてをり 岩月優美子 201804
光背に千の仏や堂冴ゆる 井上和子 201806
刻々と月蝕まれ星冴ゆる 下田奉枝 雨月 201806
聖人の忌日を祝ふ鐘冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201811
手習ひの墨色冴ゆる秋となり 手島伸子 雨月 201901
刃と串の手捌き冴ゆる式包丁 能村研三 201901
冴ゆる夜の北斗に勇気貰ひけり 伊庸昌枝 201902
冴ゆる夜の母の小言に逆らへず 太田昌子 馬醉木 201902
月冴ゆる古人もながめしか 柴田靖子 201902
一人居や句のきっかけと星冴ゆる 赤座典子 あを 201902
駅員の指さしの声冴ゆる夜 小山よる やぶれ傘 201903
珈琲の匂うや山の水冴ゆる 田中美恵子 201903
引き潮の残す砂紋や月冴ゆる 池谷鹿次 末黒野 201903
一片の雲も許さず星冴ゆる 林いづみ 風土 201903
神門の冴ゆる檜皮や神鵜待つ 道端齊 201903
風冴ゆる荒波まるで海の牙 近藤喜子 201903
海原の冴ゆる入日の余韻かな 横路尚子 末黒野 201904
リコーダーの響くベランダ月冴ゆる 菅野日出子 末黒野 201905
芳一の耳にも冴ゆるみすずの詩 高野昌代 201906
父を愛し父をゆるさず冴ゆる星 井上菜摘子 京鹿子 201912
冴ゆる夜の煎じ薬の匂ひかな 山田暢子 風土 202001
教皇の来日近し鐘冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
神木の洞を抜けきぬ冴ゆる風 黒滝志麻子 末黒野 202002
石松の道中合羽堂冴ゆる 間島あきら 風土 202002
雑踏の吾も一粒星冴ゆる 本池美佐子 202002
いもうとは今夜も不在月冴ゆる はしもと風里 202003
冴ゆ →5

 

2022年1月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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