冴 ゆ 3     145句

更けけりな燧の冴る網代守   常仙

作品
作者
掲載誌
掲載年月
仏像泥にいよよ冴ゆる眼四天王 北尾章郎 201002
月冴ゆる岳は刃を天に向け 藤原はる美 201002
鐘冴ゆる愛染堂の丹の柱 清水美子 春燈 201002
耳鳴りは星のささやき冴ゆるかな 岩永充三 201003
艦の灯の海へこぼれて風冴ゆる 松本三千夫 末黒野 201003
月冴ゆる亀甲しるき松の幹 乙坂きみ子 末黒野 201003
風冴ゆる山の稜線威を正す 木下和代 末黒野 201003
繙きし指針の一書星冴ゆる 木村美智穂 遠嶺 201003
供養碑の予定地鐘の冴ゆるかな 村田くにいち 風土 201003
一人居の壁に冴ゆるや夜の背 岡野ひろ子 201003
工場の一つ移りて月冴ゆる 須賀敏子 あを 201003
風冴ゆる忍び返しの剣塀 小澤淳子 201004
漉紙の乾き切つたる白冴ゆる 永田二三子 酸漿 201005
あらためて胸に点す灯月冴ゆる 山田弘子 ホトトギス 201006
冴ゆる夜の小さき星となられしか 今井千鶴子 ホトトギス 201006
何もかも冴ゆる思ひの夜更けゆく 今井千鶴子 ホトトギス 201006
星冴ゆる窓開け放ち見る図鑑 藤浦昭代 ホトトギス 201006
天空に星冴え渡る外湯かな 西尾京子 酸漿 201006
月冴えて家の明かりを消させをり 出口誠 六花 201012
白湯啜る天窓に月冴えざえと 高橋泰子 201101
CDを流し続けて通夜冴ゆる 中島節子 ぐろっけ 201101
坂ばかりソウルの町の灯冴ゆ 吉成美代子 あを 201101
イオニアの空に冴えゆく三日の月 松村光典 やぶれ傘 201101
童女の名墓石に認め鐘冴ゆる 大木清美子 201102
冴ゆるとはシートベルトのはまる音 加藤峰子 201102
冴ゆる面時に鬼女とも能舞台 加藤峰子 201102
冴えわたる紺紙金泥経拝す 近藤きくえ 201102
上弦の月冴ゆる夜に痛かりき ことり 六花 201102
鋸の音冴え冴えと聞こえ来し ことり 六花 201102
解く髪に冴ゆる匂ひのしたりけり ことり 六花 201102
碁石打つ音の強弱冴え渡る 蓮尾みどり ぐろっけ 201102
能面の冴えて飾らる宿の廊 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201102
煌々と月冴え風の磯馴松 田所節子 201103
月冴えて五重の塔の軒の反り 樋口英子 201103
洋上の三つ星殊に白く冴ゆ 伊藤由良 末黒野 201103
亡き友に捧ぐる一打鐘冴えて 和田崎増美 雨月 201103
古城は語らず星空の冴ゆばかり 栗山恵子 雨月 201103
冴え冴えと鍵の蛇巻きは尾を上げて 土居通子 ろんど 201103
冴ゆる夜の小面遥か見つめをり 松岡和子 201104
蝉丸の墓に近づき音冴ゆる 本多俊子 201104
月冴ゆる夜くちびるの開く音 松原仲子 201104
宴果てて更なる孤独月冴ゆる 岡谷栄子 201104
大山の空極みなき青の冴え 横井博行 万象 201104
冴ゆる日の行つたり来たりしたあとに 大東由美子 火星 201104
彫深き十二神将堂冴ゆる 松本三千夫 末黒野 201104
綾織りの白冴え冴えと冬鴎 石坂比呂子 ろんど 201104
冴え冴えと枢のこるや鉄輪ノ井 土居通子 ろんど 201104
満月の冴え渡りゐて動かざる 大橋晄 雨月 201104
堂冴ゆる一切経を摺る摺師 塩見治郎 雨月 201104
歌舞伎座の更地や月の冴えまさり 藤原照子 201104
月青く冴えて男の訃報あり 遠藤真砂明 201104

 井上有一の書

反吐の出る程の気迫ぞ貧冴ゆる

延広禎一 201105
磨り減りし城の階段冴ゆるなり 菊池由惠 酸漿 201105
仄青き灯に冴え冴えと塔泛び 中條睦子 万象 201110
冴ゆる夜の無韻につもる砂時計 コ田千鶴子 花の翼 201111
月冴えて群れゐる雲もほの白し 蟻蜂 六花 201112
星冴えて牧草群は香を蔵す 秋葉雅治 201201
チョーク音冴ゆる黒板一講目 塩路隆子 201202
国宝の鐘の音冴ゆる鶴林寺 山口キミコ 201202
鈍色の海静まりて佐渡冴ゆる 川崎利子 201202
風冴ゆる澄まず穢れず神田川 井上信子 201202
月冴えてやがて欠け初む天のショウ 長島清志 かさね 201202
弟を送る楽の音月冴ゆる 上原重一 201202
母の夢覚めてしじまの冴ゆるかな 河本由紀子 春燈 201202
クルス紋冴ゆる歴史の剥げゆけり 大西よしき ろんど 201202
円柱に裏菊の紋冴ゆるかな 浅井敦子 万象 201202
語部のこきりこ節や声冴ゆる 辻知代子 201203
星冴ゆる峡は一戸を残すのみ 宮井知英 201203
佛頂面冴ゆ観音の十一面 大西よしき ろんど 201203
冴え冴えと夜空は星を育てをり 瀬戸悠 風土 201203
月蝕の皆既となるや星冴ゆる 田中富有能 風土 201203
皆既蝕の月赤銅よ星冴ゆる 田中富有能 風土 201203
明日香路や虚空の風の音冴ゆる 後藤桂子 万象 201203
一人聴く深夜放送灯火冴え 松本三千夫 末黒野 201203
月冴ゆる関門橋や赤間宮 宮元陽子 末黒野 201203
人形の目の冴え冴えとありにけり 久永つう 瀬戸の海 201203
コンビニの灯り冴ゆるや深夜便 伊東和子 201204
鳥居の朱冴えし潮の満つる時 橋本順子 201204
冴え冴えと裏日本といふ日本 井上信子 201204
難聴てふあらたなる老い月冴ゆる 都丸美陽子 春燈 201204
馬事公苑蹄鉄を打つ音冴えて 黒滝志麻子 末黒野 201204
宇治橋に一礼冴ゆる善女たり 塩貝朱千 京鹿子 201204
天地に宿る神々杜冴ゆる 古賀しぐれ ホトトギス 201205
風冴ゆる隙間だらけの光かな 湯川雅 ホトトギス 201206
闇といふ脇役冴ゆる六連星 橋本くに彦 ホトトギス 201206
担がれて蛇綱全長冴ゆるなり 大竹淑子 風土 201206
地下室の百万冊の本の冴え 伊藤紀子 ろんど 201206
揚舟の日に曝されて風冴ゆる 熊切修 末黒野 201206
銀漢や稽古弓弦の音冴えて 石崎和夫 201212
事故跡やシグナルの赤冴えて憑く 中田みなみ 201212
癒えし目に満天の星冴ゆるかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
月冴ゆる忌日の多き月なりけり 井上信子 201301
フクシマの灯のぽつりぽつんと月冴ゆる 内山花葉 201302
ことごとく父の訓へや星冴ゆる 吉田葎 201302
祇王・祇女の玉眼妖し風冴ゆる 田中浅子 201303
冴ゆる夜は鉛筆の芯つんつんに 片山博介 春燈 201303
訃音の人の働き盛り灯影冴え 松本三千夫 末黒野 201303
神君の戒名十六文字冴ゆる 間島あきら 風土 201303
暗すぎず明るすぎずに冬灯冴ゆ 石田きよし 201303
シンバルの発止と打たれ冴ゆるかな 石田きよし 201303
開帳の冴ゆ玉眼に辣みたり 村高卯 201303
霊験記かたる太棹冴えわたり 片山喜久子 雨月 201303
初弘法蕎麦猪口に見る呉須の冴え 橋本靖子 201304
冴えわたる技や神事の的射抜き 伊藤和子 201304
土佐志士の寓居跡なり月冴ゆる 片岡久美子 201304
香華なき佛間の冴えてゐたりけり 井上信子 201304
心冴えて見えざるものの見ゆる真夜 長山あや ホトトギス 201305
団々と擬宝珠の並ぶ橋冴ゆる 土居通子 ろんど 201305
踏切といふ冴えかへるところかな 定梶じょう あを 201305
富士よりの風冴え伊豆の一の宮 大久保白村 ホトトギス 201306
冴ゆる夜の帰心にふるる泪かな 藤丸誠旨 春燈 201312
月冴ゆる君の唇近付けば 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
白銀の世界に仕上げ首都冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
箒目に余韻集めて鐘冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
招き入れ冴ゆる心をほぐされよ 稲畑汀子 ホトトギス 201401
庭手入にも心して冴ゆる日よ 稲畑汀子 ホトトギス 201401
電飾の樹の天辺に星冴ゆる 有賀昌子 やぶれ傘 201402
堂の闇線香の火の冴ゆるかな 田中佐知子 風土 201402
星冴ゆる淋しきときの「冬の星座」 塩路隆子 201402
磨崖仏仰ぎし夜の星冴ゆる 安部和子 雨月 201402
闇深む木木打ち鳴らし風冴ゆる 長崎桂子 あを 201403
山襞を彩どる高尾冴えわたり 吉田美智子 末黒野 201403
月の冴ゆ闇に待機の油槽貨車 高久正 201403
テーブルは囲むものとぞ冴ゆる夜 井上信子 201403
紅の濃き子供歌舞伎や声冴えて 片岡久美子 201403
一滴が源流となり川冴ゆる 佐藤喜仙 かさね 201404
一本の欅の空や月冴ゆる 浜福惠 風土 201404
冴ゆる堂龍の眼の険しさに 木戸宏子 201404
山陰の人家を覆ひ風冴ゆる 池谷鹿次 末黒野 201404
高くして寒満月の冴える夜 羽賀恭子 201404
海峡の八端クルスや風冴ゆる 田中信行 201404
新聞の入試解答冴え返る 藤見佳楠子 201404
仮の世の赤き待針冴え返る 高野春子 京鹿子 201405
琺瑯のケトル笛吹き冴え返る 神戸京子 ろんど 201405
月冴ゆる戻ることなきかぐや姫 江島照美 201405
公園の工事重機の音冴ゆる 嵐弥生 末黒野 201405
点滴のきざみゆく刻冴え返る 紅谷芙美江 万象 201405

 桂文枝六代目襲名披露会

冴え返る月に語りて六代目

井上曜子 201406
冴え返る草庵茶室畳の目 井上曜子 201406
冴ゆる夜の湖鳴り止まぬ消費税 鴨下昭 201405
姉逝きて彼岸を前に冴え返る 池田光子 201405
風鈴の幽かなる音や目の冴えて 山崎稔子 末黒野 201411
紙漉きの音冴え冴えと魂迎 浜口高子 火星 201411
風冴ゆる今夜も潜る縄のれん 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
気紛れな君気紛れな僕冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
冴ゆ→ 4      

 

2021年1月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。