冴 ゆ 2     146句

ひとりゐて壁に冴ゆるや昼の影   富田木歩

作品
作者
掲載誌
掲載年月
飛機雲の一直線に冴ゆるかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200501
熊逃げし森に満月冴えにけり 大串章 百鳥 200501
本堂をつきぬけて冴ゆお唱名 東亜未 あを 200502

 悼 瀬櫻桃子氏成

櫻桃子のアダムのりんご冴えにけり

松崎鉄之介 200502
星冴ゆるギリシャの神をちりばめて 堀口希望 200503
星冴ゆる路上ライブのサキソフォン 佐々木よし子 200503
星冴ゆる闇に白雲動かざる 柴田毅 築港 200503
人体の不思議展出て月冴ゆる 田中敬子 百鳥 200503
月冴ゆる父の一語のあればこそ 吉野のぶ子 遠嶺 200503
無着色添加物なき星座冴ゆ 飛鳥由紀 200503
大瓶の泡盛冴ゆる古酒古々酒 尾辻のり子 河鹿 200503
こんなにも軽くて母の骨冴ゆる 小澤克己 遠嶺 200503
八角のサイロの古色北斗冴ゆ 安原ときこ 遠嶺 200503
月冴ゆる影絵のやうなピラミッド 高柳ちゑ 遠嶺 200503
松葉もて通夜の焼香星冴ゆる 海野みち子 万象 200504
帆を上げる黒塗りジャンク湖の冴え 角谷美恵子 ぐろっけ 200504
月冴ゆる胸突き坂の前かがみ 栗原公子 200504
冴ゆる夜の星大きかり五ヶ瀬村 前田陽子 200504
冴ゆる日の子を産みをへし熟寝なり 服部早苗 200504
月冴ゆる確かに聞きし父の声 阿部正枝 遠嶺 200504
公達の納経の数銀字冴ゆ 河合佳代子 栴檀 200505
山の宿水車の軋む音の冴ゆ 水野弘 ぐろっけ 200505
岩山の声あぐるかも月冴ゆる 鳴海清美 六花 200505
月冴えて木花之開耶姫現るる 宮崎正 ホトトギス 200506
湖よりの風の止まぬ日月冴ゆる 宮崎正 ホトトギス 200506
大のぞき小のぞき冴ゆる鴨場かな 春日久子 八千草 200506
骨を咬む牙の音冴ゆ虎の檻 竹内太郎 200507
夕燒の消ゆる湖畔に灯影冴ゆ 瀧春一 菜園 200509
燈臺の白きが冴えて汐ぐもり 瀧春一 菜園 200509
さんさんと夜の五箇山月の冴え 山田耕子 京鹿子 200511
一と雨に街の灯冴ゆるオペのあと 大橋敦子 雨月 200511
古都といふ静けさ破り鐘冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
鐘冴ゆる京都に奈良にバチカンに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
風冴ゆる高層ビルに弾かれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
言冴ゆる会ふは別れの始まりと 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
星ひとつ伴ひて冴ゆ針の月 赤座典子 あを 200601
舷灯の星くづとなり夜の冴ゆる 濱崎悪美子 河鹿 200602
点と線真つすぐ繋ぎ星冴ゆる 瀬下るか 200602
北斎の線の躍動風冴ゆる 浜田はるみ 遠嶺 200602
団地の道歩く鴉に空気冴ゆ 村山春子 200602
月冴えて太平洋を航く孤愁 刈米育子 200603
十二月開戦の日の喇叭冴え 有田蟻太 200603
喪帰りの小橋に星の冴ゆるなり 佐藤いね子 馬醉木 200603
冴ゆる空原爆ドームに鳩遊ぶ 仲村洋子 百鳥 200603
山脈や鳥獣戯画の冴ゆるなり 奥村邦子 200603
丸石にたかしと刻む塚の冴え 松村多美 四葩 200603
師の欲さるるものに紙子や冴えまさり 橋添やよひ 風土 200603
機音の冴ゆる丹後や絹の道 橋添やよひ 風土 200603
きれぎれの夢の終りの風冴ゆる 川崎俊子 馬醉木 200604
星冴ゆる積木の家に招かれて 田中聡子 遠嶺 200604
谷戸奥や托鉢僧の声冴ゆる 横井博行 万象 200604
オリオンの冴えて鍵音とばしけり 外川玲子 風土 200604
風冴えて筑波双峰近うせり 三輪慶子 ぐろっけ 200605
蔵の窓牢獄めきて月冴ゆる 荒木治代 ぐろっけ 200605
星冴えて祈れるものへ鳴り出さむ 市堀玉宗 栴檀 200605
ナポリよりローマへの旅星冴ゆる 中島英子 八千草 200605
地下鉄を出て来し吾に月冴ゆる 嶋田一歩 ホトトギス 200606
東京十九番ホーム月冴ゆる 嶋田一歩 ホトトギス 200606
月冴えて見送る駅の天の川 山田耕子 京鹿子 200606
白内障の目にも晧々月冴ゆる 岸本林立 雨月 200612
テレビ塔完成予想図月冴ゆる 齊藤實 200702
調絃の音叉の余韻星冴ゆる 井原美鳥 200702
ガリ版の「濱」の文字冴ゆ創刊号 深見眞弓 200702
ビロードまとふ夜となり星冴ゆる 本多俊子 200702
コーヒーを好みの二杯目虫冴ゆる 丸山冬鳳 京鹿子 200702
間歇泉噴出の刻月冴ゆる 中山勢都子 200703
冴ゆる夜や本を閉ぢれば浮遊感 加藤峰子 200703
冴ゆる夜の瓶の大小共鳴す 高田令子 200703
ホイツスルに集まる園児冴ゆるかな 稲葉ちよこ 風土 200703
宴終へ雑踏失せて星冴ゆる 小國佐世子 遠嶺 200704
月は冴えモスクにネオン点灯す 森理和 あを 200704
星冴ゆるアザーンの声で目醒めたり 須賀敏子 あを 200704
冴ゆる灯や急患室の血の匂ひ 小島みつ代 200704
風当り強き家路の星冴ゆる 大北昌子 200705
こほろぎの減りゆく聲の冴えにけり 瀧春一 200706
こゝろ冴え今宵は酒を欲せざる 瀧春一 200706
月冴えて雲流氷の如くなり 瀧春一 200706
月冴ゆる朝日に主役譲りつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
降神を司る祢宜の声冴ゆる 金田美恵子 ぐろっけ 200801
朝ぼらけ冴ゆる干潟の砂紋かな 菊池由惠 酸漿 200802
釣竿に一灯冴ゆる夜の海 菊池由惠 酸漿 200802
冴ゆる日の真昼の重さ翳つくる 鈴鹿仁 京鹿子 200803
死期近き兄看取る夜の星冴ゆる 栗山恵子 雨月 200803
古燐寸に銀巴里とあり星冴ゆる 三沢蘭 遠嶺 200803
星冴ゆるエディット・ピアフの愛の歌 三沢蘭 遠嶺 200803
月冴ゆる千夜一夜の師走かな 国永靖子 ぐろっけ 200803
屈込み弾切るビオラ冴ゆるかな 赤座典子 あを 200803
霊場の参詣道とや山路冴ゆ 溝内健乃 雨月 200804
月冴ゆる人の痛みは我が痛み 伊吹之博 京鹿子 200804
鐘冴ゆる鴉の下りし地の固き 中田みなみ 200804
益子焼触れし器の音冴ゆる 福澤乙 酸漿 200804
冴ゆる月子と住みなれし丸木小屋 相沢有里子 風土 200805
春浅き菠薐草の色冴ゆる 八田與四郎 酸漿 200805
増上寺人のまばらに鐘冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
徳川を偲ぶよすがの寺冴ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
冴ゆる月見上げて黙の通夜の客 上原重一 200901
冴え冴えと忘れがたきを燃やしゐる 松田都青 京鹿子 200901
「なぜ生きる」眠れぬ夜の月冴ゆる 日山輝喜 200902
快晴でありつづけんと梅冴ゆる 稲畑汀子 ホトトギス 200902
磨かれし丸太に寒の月冴ゆる 西村博子 馬醉木 200902
声明はしろがねの声星冴ゆる 石崎浄 風土 200902
宵闇や磯馴の松の冴え冴えと 原田しずえ 万象 200902
読み継ぎし一書や冴ゆる午前四時 吉田とよ子 春燈 200902
一痕の月冴ゆ嶽を従へて 豊田都峰 京鹿子 200902
月冴ゆる木立はかげと徹しきる 豊田都峰 京鹿子 200902
明け空に二十七夜の月冴ゆる 廣瀬雅男 やぶれ傘 200902
冴ゆる日や夫主(しゅ)のもとへ旅立ちぬ 横井明子 200903
あさぼらけ勤行のこゑ冴えわたる 近藤きくえ 200903
空海へつなぐ法灯冴えまさり 峯桜子 遠嶺 200903
冴え星の降らせし夢や北の森 飯塚恵美子 炎環 200903
風冴ゆるここに出雲のさざれ石 山田暢子 風土 200903
空堀に有象無象の冴え動く 大森尚子 風土 200903
月冴ゆる埋め草のやう沼の舟 風間史子 200903
ルミナリエ消え去り冴ゆる夜となる 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200903
網走の獄舎にヒールの音冴ゆる 小阪律子 ぐろっけ 200903
ルミナリエ果てて港都に月冴える 中山勢都子 ぐろっけ 200903
翡翠の水音冴ゆるあしたかな 伊藤いな栄 酸漿 200903
ドラ冴える国旗の二十巡らんと 品川鈴子 龍宮の客 200904
千年の祈りの道や鐘冴ゆる 峯桜子 遠嶺 200904
いつまでも子は子なりけり星冴ゆる 村瀬八干代 遠嶺 200904
月冴えの机動かす午前二時 堀本悠 遠嶺 200904
あさつては冴える私に会へるかも 松川都青 京鹿子 200904
月冴ゆるしろより白きマリア像 村田冨美子 京鹿子 200904
チェリストの瞑目深き音色冴ゆ 岡田貞峰 馬醉木 200904
語り合ふ宇宙への夢星冴ゆる 辰巳比呂史 200904
耳鳴りは死者のささやき月冴ゆる 和田政子 200904
淋しさに寂しく応へ影冴ゆる 近藤喜子 200904
星冴ゆる喪服の馴染む孫となり 近藤倫子 ぐろっけ 200904
冴ゆる夜や知らぬ従兄と会ふ忌日 近藤倫子 ぐろっけ 200904
海荒れて糶なき糶場風冴ゆる 森脇貞子 雨月 200904
正装の隆盛像に風の冴ゆ 菊池由惠 酸漿 200904
笑みもちてひげはそるべし冴え返る 太田一貴 炎環 200905
天命を待つ姉の呼気冴え返る 中山皓雪 200905
収骨の音冴ゆ洞の大榕樹 砂川道子 万象 200905
荒涼と海冴え冴えと狼煙台 山田暢子 風土 200905
母の碾く石臼の棒冴え返る 木原今女 ぐろっけ 200905
灯冴ゆる月命日の供華の白 小石珠子 春燈 200905
冴ゆる夜や夫の背中へ清め塩 坂場章子 200906
長八の鏝絵の冴えや雀の子 山本浪子 風土 200906
星冴えて心ほぐして綺麗なジャンフ 陽山道子 船団 200906
冴ゆる日の鈍く光れる朴の幹 柿沼盟子 風土 200911
浮雲や青く冴えたる空深く ことり 六花 200912
冴え渡る神の守りの白狐 松田和子 201001
出掛けるに身支度しかと冴ゆる朝 稲畑汀子 ホトトギス 201001
ジャズを聴く書架の透き間の塵冴ゆる 鴨下昭 201001
お会式太鼓九十五年の音の冴ゆ 橋本リエ 春燈 201001
冴ゆ →3      

 

2021年1月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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