さくらんぼ 4     204句

さくらんぼ楽しかるべき数に盛る   佐藤秀蒼子   暖流

さくらんぼ  桜桃  サクランボ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
甲斐の日に仕上げられたるさくらんぼ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
甘さとは届かぬ高ささくらんぼ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
さくらんぼ仏となる石なれぬ石 神蔵器 風土 201107
掌にひと粒の幸さくらんぼ 森下康子 201108
街路樹も駅のホームもさくらんぼ だいじみどり 201109
みそつ歯へにこにこにことさくらんぼ 荒木甫 201109
灯にかざすこれ天童のさくらんぼ 大坪景章 万象 201109
味読せる天声人語さくらんぼ 松本三千夫 末黒野 201109
自転車の補助輪とれてさくらんぼ 山路紀子 風土 201109
さくらんぼ色と甘さを含みをり 近藤きくえ 201109
句座清し宝珠のごときさくらんぼ 大橋晄 雨月 201109
掌にのせてしばし愛しみさくらんぼ 廣瀬義一 雨月 201109
さくらんぼもて生誕の日を自祝 廣瀬義一 雨月 201109
説法の庭にたわわのさくらんぼ 椋本一子 雨月 201109
さくらんぼこぼるる程に盛らずとも 椋本一子 雨月 201109
幼児の手窪こぼるるさくらんぼ 椋本一子 雨月 201109
級友の縁をつなぐさくらんぼ 椋本一子 雨月 201109
みちのくの友より賜ばりさくらんぼ 古田和子 雨月 201109
葉の陰に亡夫の植ゑしさくらんぼ 林美智 ぐろっけ 201109
熟るるまで一日置かむさくらんぼ 志方章子 六花 201109
さくらんぼ厨の水をはじきたる きくちきみえ やぶれ傘 201109
地震の地より無事の証のさくらんぼ 中沢三省 風土 201110
さくらんぼいつも気嫌のよき子なり 近藤紀子 201110
さくらんぼもぎて彈める仲間たち 北村香朗 京鹿子 201110
突然の朝の雨音さくらんぼ 丑久保勲 やぶれ傘 201112
留守番にも留守番日和さくらんぼ 鷹崎由未子 花野 201112
母と娘はやはり似ているさくらんぼ 三原千佳 京鹿子 201201
さくらんぼ本当にこれでいいですか 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
優しさとは何だらうさくらんぼ食む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
さくらんぼ杏仁豆腐に木目匙 塩路五郎 201207
おめでたうの長き蝋燭さくらんぼ 赤座典子 あを 201207
さくらんぼ膝を揃へて兄いもと 栗栖恵通子 201208
さくらんぼ摘む月山を引き寄せて 神蔵器 風土 201208
さくらんぼときめく色に朝の卓 宮崎紗伎 春燈 201208
胎の子に母は揺藍さくらんぼ 安田優歌 京鹿子 201208
さくらんぼ水子地蔵の二重あご 蓮尾みどり ぐろっけ 201208
快晴の採るより食べるさくらんぼ 栄元修子 ぐろっけ 201208
さくらんぼ飛脚便にて届きたり 大日向幸江 あを 201208
銘々皿にきっちり分けてさくらんぼ 木村茂登子 あを 201208
幸せのたとへば赤きさくらんぼ 太田慶子 春燈 201209
亡き父のこと甦るさくらんぼ 藤田京子 ぐろっけ 201209
さくらんぼ娘時代は迅く過ぎて 史あかり ぐろっけ 201209
さくらんぼ恋してるらし子のみやげ 頓所友枝 冬の金魚 201209
さくらんぼ物言ひの似る姉妹 長久保郁子 かさね 201210
さくらんぼ幸せですと書いてある 青木朋子 201210
年老いて良友得たりさくらんぼ 三浦澄江 ぐろっけ 201210
さくらんぼ皺を集めておちよぼ口 三輪慶子 ぐろっけ 201210
さくらんぼ国旗はためく公舎前 丹後みゆき ぐろっけ 201210
さくらんぼ甘しふるさと出羽の産 田中臥石 末黒野 201210
戦争も飢ゑし日も過去さくらんぼ 小倉正穂 末黒野 201210
深皿によろこびを盛るさくらんぼ 箕輪カオル 201210
さくらんぼ柄のうごきだす口の先 きくちきみえ やぶれ傘 201210
妻の名に贈りくれたるさくらんぼ 古田考鵬 雨月 201210
生きるとは歯と唇で噛むさくらんぼ 鴨下昭 201211
さくらんぼ山気を甘くしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
妻の名を呼んで供へるさくらんぼ 竹貫示虹 京鹿子 201306
茎ぶつちがひ竹籠のさくらんぼ 上原重一 201307
一粒に笑みの溢るるさくらんぼ 森理和 あを 201308
寡黙なる父のみやげのさくらんぼ 増田甚平 ろんど 201309
さくらんぼ一つ食べてはペンを執る 大橋晄 雨月 201310
母逝きし年まで生きてさくらんぼ 志方章子 六花 201312
線ほそく生きて二人のさくらんぼ 一門彰子 船団 201401
濃厚なプリンに踊るさくらんぼ 志貴香里 201406
木沓履く乙女は園児さくらんぼ 橋本靖子 201407
なかよしの買はれいくなりさくらんぼ 甕秀磨 201409
抱けば泣く子にさくらんぼ揺らしをり 苑実耶 201409
等分に分くる手速ささくらんぼ 中村ふく子 201409
さくらんぼ耀うて名はナポレオン 塩見英子 雨月 201409
さくらんぼ大粒空へくつきりと 市川伊團次 六花 201409
さくらんぼ一粒食べて先の事 石田朝子 末黒野 201409
さくらんぼの苞を喜ぶ元酒豪 北尾章郎 201409
さくらんぼころころ笑ふ人とゐる 高野春子 京鹿子 201409
ラジオから仏蘭西恋歌さくらんぼ 井上石動 あを 201409
雨あがり闊歩の少女さくらんぼ 長崎桂子 あを 201409
ロザリオに触れてはならぬさくらんぼ 鴨下昭 201409
曾孫見せに行くとふ知らせさくらんぼ 岸本久栄 雨月 201410
ちよきできてちよきばかりの児さくらんぼ 平野みち代 201410
山形の誇るブランドさくらんぼ 桂敦子 201410
病む友にまづは裾分けさくらんぼ 伊藤由良 末黒野 201410
さくらんぼ色の移りし妹の唇 上野紫泉 京鹿子 201410
バイエルのけいこの後のさくらんぼ 奥田好子 ホトトギス 201411
さくらんぼつるからまりて盛られけり 野村鞆枝 京鹿子 201411
幼子の笑顔のごときさくらんぼ ふじの茜 201412
人の世の夢の数だけさくらんぼ 中居由美 船団 201502
さくらんぼ載せて生命線が濃し 田中貞雄 ろんど 201505
さくらんぼ先づ桐箱の香より来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
四代のうからやからやさくらんぼ 石井雲雀 末黒野 201508
張り合ふも認め合ふ仲さくらんぼ 山下ひろみ 201508
まばたきて一・二・三・四さくらんぼ 神蔵器 風土 201508
遠い日の記憶に甘しさくらんぼ 久保夢女 201508
字を覚え初むる子の笑みさくらんぼ 黒滝志麻子 末黒野 201509
さくらんぼ青春の香の喫茶店 及川照子 末黒野 201509
出来立ての夕餉彩るさくらんぼ 皆川千佐恵 末黒野 201509
ネクタイを捨てて久しやさくらんぼ 大坪景章 万象 201509
さくらんぼ嫌ひの妻よありがたう 大坪景章 万象 201509
どの児にも明るき未来さくらんぼ 原田しずえ 万象 201509
いつまでも続くしりとりさくらんぼ 寺沢千都子 万象 201509
食ひ初めの赤子の笑みやさくらんぼ 城詰操 万象 201509
たとふれば幸せの彩さくらんぼ 三輪温子 雨月 201509
フルーツパーラー木箱に光るさくらんぼ 菊池洋子 やぶれ傘 201510
店先で雨宿りするさくらんぼ 渡邊孝彦 やぶれ傘 201510
さくらんぼ種の連れゆく偏頭痛 神田美千留 京鹿子 201510
稚見せに姪の土産のさくらんぼ 石黒興平 末黒野 201510
良き縁もちて到来さくらんぼ 相良牧人 201510
ふふみつつまだ歯をあてずさくらんぼ 井田幸子 雨月 201510
みちのくの甘さを運ぶさくらんぼ 池田光子 201510
十倍の大きさに描くさくらんぼ きくちえみこ 港の鴉 201510
息災の証と届くさくらんぼ 山咲和雄 末黒野 201511
近くまで来たのでといふさくらんぼ 片山煕子 京鹿子 201601
さくらんぼつまみて濁す言葉尻 平野みち代 201602
仮面夫婦の真ん中にさくらんぼ 津田このみ 船団 201602
見舞状なれば窓辺にさくらんぼ 井上信子 201608
寄せものに沈めて赤きさくらんぼ 高橋道子 201608
悪い子も良い子になってさくらんぼ 赤座典子 あを 201608
心配をたがひに言はずさくらんぼ 高橋道子 201609
よき師ありよき友ありてさくらんぼ 菅澤陽子 春燈 201609
在りし日の夫とのテニスさくらんぼ 吉田とよ子 春燈 201609
器から脚のこぼるるさくらんぼ 小林文良 春燈 201609
きりもなき母娘の会話さくらんぼ 門伝史会 風土 201609
追伸に一言本音さくらんぼ 竪山道助 風土 201609
さくらんぼ生後二日の大あくび 岡尚 風土 201609
てのひらに昔がありぬさくらんぼ 水井千鶴子 風土 201609
一粒で恋に陥るさくらんぼ 奥田茶々 風土 201609
ガキ大将見ぬこと久しさくらんぼ 川田好子 風土 201609
分け合ひて二三個がよしさくらんぼ 山本とく江 万象 201609
無心にて食べるものなりさくらんぼ 古川京子 万象 201609
さくらんぼどこに置いても艶めきぬ 穂苅照子 万象 201609
さくらんぼふふみ幸せふふみけり 樺山翠 雨月 201609
包み解く艶めき溢れさくらんぼ 本多正子 雨月 201609
齢よりも若き声出てさくらんぼ 中田みなみ 201610
さくらんぼ好きも嫌いもあるものか 犬塚芳子 201610
ほとけらへ供へ日本のさくらんぼ 浜福惠 風土 201610
妻亡くて一人の皿のさくらんぼ 野沢しの武 風土 201610
さくらんぼ山盛り名刺刷りにけり 中嶋陽子 風土 201610
モンローの黒子たとへばさくらんぼ 七種年男 輪中の空 201612
さくらんぼ円周率に点ひとつ 七種年男 輪中の空 201612
モンローの黒子たとへばさくらんぼ 七種年男 201701
さくらんぼ残りの一つ乙子取り 落合由季女 雨月 201705
さくらんぼのぼはさくらんぼ吸ふ口 佐藤喜孝 あを 201704
仏壇に減りゆく数のさくらんぼ 小山田子鬼 201708
青春は今しかないぞさくらんぼ 辻美奈子 201708
さくらんぼ百歳まではもう三つ つじあきこ 201709
美濃焼の皿に山盛るさくらんぼ 加藤北天 雨月 201708
食む子等の笑顔の弾けさくらんぼ 西千代恵 雨月 201708
さくらんぼ熟れて邪念を払ふ空 松本鷹根 京鹿子 201709
余生なほ花も実もあれさくらんぼ 藤田美耶子 201709
つと出る手垣根越しなるさくらんぼ 岩上行雄 末黒野 201709
瑞の柄をまづ称へてやさくらんぼ 浅井青二 雨月 201709
さくらんぼいとこ同士はすぐ馴れて 岩藤礼子 やぶれ傘 201709
カタカナは声出して読むさくらんぼ 岸洋子 201709
余命とは生きるよろこびさくらんぼ 座古稔子 201710
さくらんぼ這ひ這ひの子の早きかな 深川敏子 春燈 201709
高階の窓カクテルのさくらんぼ 中田禎子 201710
さくらんぼまだ熟さざる昼の月 片山煕子 京鹿子 201710
さくらんぼ昨日は昨日今日は今日 藤波松山 京鹿子 201710
好きなひと妻にゐるはずさくらんぼ 大坪景章 万象 201710
遠き日の恋は黄色いさくらんぼ 大山春江 万象 201710
孫らに一つづつ足しさくらんぼ 大橋晄 雨月 201710
さくらんぼあればお菜は貧しとも 久保晴子 雨月 201710
さくらんぼ里の日に照り風に照り 梅田武 末黒野 201710
浄めたる水の干ぬ間のさくらんぼ 松尾龍之介 201712
乙女らは旅に出るはずさくらんぼ 高田留美 船団 201802
土曜日の冷蔵庫楽しさくらんぼ 中井保江 船団 201805
天国に近き枝甘しさくらんぼ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
さくらんぼいつかすつぱくなくなりし 稲畑汀子 ホトトギス 201807
絵具皿を真紅に染めてさくらんぼ 加藤北天 雨月 201808
さくらんぼともに輝く祝膳 中貞子 201809
空青く太宰の墓碑にさくらんぼ 平沢惠子 春燈 201809
お話のハッピーエンドさくらんぼ 鷺山珀眉 京鹿子 201810
噛締める今朝の至福やさくらんぼ 長崎桂子 あを 201809
さくらんぼ手を休めては又一つ 大橋晄 雨月 201810
さくらんぼの真つ赤を選ぶ三十分 佐藤稲子 六花 201810
赤き爪赤き唇へとさくらんぼ 園部蕗郷 春燈 201810
さくらんぼ本当のこと言いそうに 津田このみ 船団 201811
皆髪を染めて来し旅さくらんぼ 中田みなみ 201811
贈られしおしやべり好きなさくらんぼ 青木朋子 201812
二足す二と二掛ける二とさくらんぼ 金子野生 京鹿子 201812
青空に手を突つ込めばさくらんぼう 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
さくらんぼ食みて司教になられしと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
さくらんぼ君の唇染め上げて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
ふたつとも答は正しさくらんぼ 井上静子 201906
妻に供ふ見るたび減つてさくらんぼ 神蔵器 風土 201906
大小のあり色づきしさくらんぼ 安部和子 雨月 201907
さくらんぼ恋の心は丸く書く 鈴木光影 201908
父忌日精進揚とさくらんぼ 飯塚トシ子 201909
さくらんぼ骨折の肘庇ひつつ 須賀敏子 あを 201908
五百円の硬貨と比ぶさくらんぼ 七郎衛門吉保 あを 201908
さくらんぼ古代遺跡の丘陵に 良知悦郎 201909
カクテルに残されしままさくらんぼ 江島照美 発火点 201909
表札の助産婦とありさくらんぼ 住田千代子 六花 201909
くれるならあの一山のさくらんぼ 佐藤香珠 船団 201910
さくらんぼ昨日の時計今日も鳴る 中原幸子 船団 201910
ガラス器の対のさくらんぼを摘まみ 丑久保勲 やぶれ傘 201910
すみつこに私の居場所さくらんぼ はしもと風里 201910
さくらんぼしあはせ忘れかけてをり 杉田智榮子 馬醉木 201910
失恋の指先つまむさくらんぼ 涌羅由美 ホトトギス 201910
をさなごのふくらむほつぺさくらんぼ 今村千年 末黒野 201910
箱詰の優雅に光るさくらんぼ 本多正子 雨月 201910
さくらんぼ口をすぼめて迎へけり 戸栗末廣 201912
さくらんぼ初物は先づ仏壇へ 遠藤清子 末黒野 202004
配らるる数は均等さくらんぼ 稲畑汀子 ホトトギス 202006
息子より小箱で届くさくらんぼ 有賀昌子 やぶれ傘 202007
籠ひとつの入園料やさくらんぼ 小林のり人 春燈 202008
さくらんぼ路地に人影無き日かな 安立公彦 京鹿子 202008
攀じ上る童が掴むさくらんぼ 出利葉孝 202008
テレワーク終り通勤さくらんぼ 須賀敏子 あを 202009
地下鉄を降りてデパ地下さくらんぼ 都築繁子 202009
恋文は横書きがよしさくらんぼ 深川敏子 春燈 202009
奇数より偶数が好きさくらんぼ 波戸辺のばら 202009
オンラインの誕生会やさくらんぼ 森清信子 末黒野 202009
どちらでも良きことばかりさくらんぼ 辻美奈子 202009
初恋の話とび出すさくらんぼ 前田美恵子 202009
出されれば言葉なくなるさくらんぼ 石原健二 やぶれ傘 202009
微笑みの写真に供ふさくらんぼ はしもと風里 202009
そよ風のメロディ紡ぐさくらんぼ 三椚淳 202009
薄暗の給湯室のさくらんぼ 篠田大佳 あを 202009
子の声のアルトソプラノさくらんぼ 山田佳乃 ホトトギス 202011
自粛とけ心安らぐさくらんぼ 西村やすし ホトトギス 202011
議論さておき目の前のさくらんぼ 小原芙美子 風土 202011
幸せを買うたる気分さくらんぼ 森清信子 末黒野 202011
贈られしことも忘れてさくらんぼ 稲畑汀子 ホトトギス 202106
一粒は神の高さにさくらんぼ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106
さくらんぼ →5

 

2022年6月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。