流 氷 1   215句

流氷のかなたにソ聯兵動く   高島茂   草の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
流氷のとざせる波止に佇ち無言 松永唯道 円虹 199806
流氷や相うちあへるこだまして 松永唯道 円虹 199806
尾自驚流氷原に身じろがず 松永唯道 円虹 199806
オホーックの流氷統べて鷲飛べり 松永唯道 円虹 199806
流氷や足の踏場もなきこの世 奥田筆子 京鹿子 199901
流氷のま中なりける鳥卍 小菅佳子 199906
流氷の一湾照らす朝日かな 松崎佐 円虹 199906
船航けば流氷鳴りて迎へけり 松崎佐 円虹 199906
流氷の太きに憩ふ尾白鷲 松崎佐 円虹 199906
流氷の海坂白し果てしなく 松崎佐 円虹 199906
流氷や月夜のごとく海光る 松崎佐 円虹 199906
尚も魚くさき流氷船乗場 平橋昌子 199907
誓子忌の流氷いまだ沖去らず 南波保子 199910
流氷は嘶きをもて迎ふべし 青山茂根 銀化 200001
流氷のひしめき湾の漁場奪ふ 山本雅子 馬醉木 200004
流氷のそれぞれ風の音となり 竹内悦子 200004
流氷の鳴るに眠れぬ利尻富士 佐々木ミツエ 200004
夕西流氷見張る尾白鷲 阿部悦子 酸漿 200004
流氷に鴎紛れて浮寝かな 阿部悦子 酸漿 200004
流氷や海別岳に夕日落つ 阿部悦子 酸漿 200004
流氷を見て来たと言ふ友なりし 加藤君子 火星 200005
流氷に触れて濡れざる指の先 藤浦昭代 円虹 200005
流氷に生くクリオネも透明に 藤浦昭代 円虹 200005
行く流氷来るあざらし何故鳴くの 山田緑光 海程 200005
流氷の蒼き発光波洗ふ 村瀬初実 春耕 200005
流氷を押し出してをり海の碧 藤村美津子 春耕 200005
流氷の来しも帰るも突然に 藤村美津子 春耕 200005
流氷を押し出す風の尖るごと 藤村美津子 春耕 200006
流氷や雲気いろいろ面白く 山田緑光 海程 200006
流氷やまだ食うトドの無表情 山田緑光 海程 200006
流氷一夜明けてたましい澄みわたる 山田緑光 海程 200006
群衆へ眼つむれば流氷きしむかな 斉木ギニ 海程 200006
目も鼻も矢鱈に乾ぶ流氷期 田村すゝむ 風土 200011
流氷の帯国境の如く置き 田村すゝむ 風土 200011
沖合ひに白き炎の起つ流氷群 田村すゝむ 風土 200011
流氷群一夜泊りの沖にかな 田村すゝむ 風土 200011
紺碧の沖を橋とし流氷来 田村すゝむ 風土 200011
波音もなき流氷の駅に佇つ 田村すゝむ 風土 200011
魚臭き町流氷の接岸す 田村すゝむ 風土 200011
流氷の風を背負ひて蟹売女 田村すゝむ 風土 200011
翅のあるもの流氷の沖へ翔ぶ 田村すゝむ 風土 200011
飛ばんとして流氷掴む尾白鷲 田村すゝむ 風土 200011
流氷の真只中に無位無冠 田村すゝむ 風土 200011
流氷に漂ひし夜や眠られず 田村すゝむ 風土 200011
流氷の離岸の風を待つ日かな 田村すゝむ 風土 200011
風出でて流氷沖へ連れ去りぬ 田村すゝむ 風土 200011
流氷の沖の閂抜きにけり 栗栖恵通子 200104
鷲一羽とび流氷はエメラルド 江倉京子 あを 200104
畳々と流氷鷲の飛ぶかぎり 岡田貞峰 馬醉木 200105
流氷を盤石として鷲踏まふ 岡田貞峰 馬醉木 200105
流氷原みづからを裂きかく畳み 岡田貞峰 馬醉木 200105
流氷の輝く沖の海暗し 松崎鉄之介 200105
流氷追ふ高速艇の舵垂直 松崎鉄之介 200105
流氷塊藍の覗きの色に透く 松崎鉄之介 200105
流氷原左右に大鷲毅然と座す 松崎鉄之介 200105
知床の華の流氷追ひにけり 松崎鉄之介 200105
流氷の接岸の海枕上ミ 松崎鉄之介 200105
流氷の茜に染まる岬かな 杉浦富士子 遠嶺 200107
流氷や終着駅は始発駅 高橋笛美 ホトトギス 200108
流氷期少年が押す非常ベル 塩見恵介 船団 200108
流氷ばなし寒さこらへて聞きにけり 能村登四郎 羽化 200110
クリオネと再会しけり流氷下 森景ともね 船団 200112
流氷来と記録破りの十二月 尾崎マチ子 200204
呻くかに流氷の音湾を占む 藤原照子 200204
流氷の去り風残る岬かな 藤村美津子 春耕 200205
枷解けし流氷海猫と漂へる 野口伊久子 馬醉木 200206
流氷や寄せ木細工の化粧箱 安原ときこ 遠嶺 200206
流氷の一夜に去りて町残り 村松紅花 ホトトギス 200207
流氷に乗りし夕日のゆれはじむ 続木元房 ホトトギス 200209
流氷に水平線のでこぼこす 島玲子 風土 200301
流氷の端の重なり立ち上る 島玲子 風土 200301
迦陵頻伽流氷見ゆと雲居より 山陰石楠 200304
流氷や殻なき貝の遊泳す 加藤みき 200304
床柱きしみ流氷来る頃か 鉄山幸子 銀化 200304
流氷来流氷飴の注文来 竹山みや子 築港 200304
流氷に無縫のゆるびありにけり 橋本喜夫 銀化 200305
流氷の沖に呑まれし大落暉 小森泰子 馬醉木 200306
流氷の沖に真白き炎立つ 田村すゝむ 風土 200306
船大工動く流氷監視せり 高橋峰村 200306
流氷に一湾を開け渡しけり 市川十二代 ぐろっけ 200306
流氷を待つ昏さかなオホーツク海 尾辻のり子 河鹿 200402
肩蒲団流氷見ゆとラヂオ言ふ 鎌倉喜久恵 あを 200403
流氷を見るだぶだぶの借着なり 藤原照子 余韻 200403
流氷の眩しさに雲影落す 村山博子 雨月 200404
流氷に群青の海渦を巻く 村山博子 雨月 200404
流氷の音をラジオで聞きにけり 名取富子 帆船 200404
にぎやかに来て流氷の接岸す 三浦香都子 対岸 200404
流氷のきしみ終はりし月光界 豊田都峰 京鹿子 200405
流氷の胴の青透くうねりかな 林玲子 200405
風止んで沈黙の闇流氷野 河村岳葉 築港 200405
流氷の間に一坪程の海 河村岳葉 築港 200405
退くときが来て流氷の総退却 河村岳葉 築港 200405
退き遅れし流氷子等にいたぶらる 河村岳葉 築港 200405
流氷の白き原野の迫り来る 村山博子 雨月 200406
流氷の奏づる波のオホーック 村山博子 雨月 200406
船傾ぎて流氷に顔近づきし 石川敬子 対岸 200406
流氷の接岸の街静かなり 石川敬子 対岸 200406
流氷の上に流氷鴎飛ぶ 石川敬子 対岸 200406
朝日射す流氷の海輝けり 石川敬子 対岸 200406
流氷やコロポックルを彫る生活 史あかり ぐろっけ 200406
流氷の下にクリオネ泳ぐらん 藤田京子 ぐろっけ 200407
流氷来人は捨てたきもの抱へ 大野里詩 帆船 200409

 悼 中山砂光子さん

流氷の便りのくるに君逝けり

伊東秀二 200504
流氷に閉ぢ込められて鯱死せり 大塚初江 200504
流氷塊重なり合ふに息を呑む 滝村みさ子 200504
流氷の寄するに海の傾けり 滝村みさ子 200504
流氷の見ゆる座敷を予約せり 高野良 帆船 200504
オホーツクの風や流氷きしと鳴る 渡辺周子 雲の峰 200504
流氷や浜のをんなは浜に老い 遠野萌 200504
朝焼けの流氷に立つ尾白鷲 冨永道子 百鳥 200505
砕氷船泣くが如くに流氷割る 太田絵津子 200505
流氷船砕ける音の身に響く 徳永キヨ 築港 200505
流氷の仏立つごと昏れにけり 吉中愛子 万象 200505
月のなき夜を一気に流氷来 青野れい子 200505
月中天にあり流氷の軋む音 青野れい子 200505
扉いちまい隔て流氷圏にあり 青野れい子 200505
流氷のもんどり打てる修羅場かな 青野れい子 200505
流氷のおらびぬ月の雫降る 堀本祐子 遠嶺 200507
オホーツクの幸を抱いて流氷群 木村茂登子 あを 200602
流氷の下豊饒の命の環 木村茂登子 あを 200602
流氷に遊ぶ旅人ペンギンめく 笹原紀世子 200604
船溜り蓮葉流氷漂へり 三戸千佐子 200604
流氷のさきがけ沖に白き帯 小野千枝子 万象 200604
流氷や聖者のごとく尾白鷲 根本眞知子 200606
岸離る流氷青く溶け始む 榎美幸 万象 200606
わだつみの流氷に差す朝日かな 柴村郁子 遠嶺 200606
流氷来とろ火に極意ありにけり 桜井葉子 遠嶺 200607
流氷と津波警報同時に出る 大塚初江 200703
流氷に誘はれてをり若き瞳に 田原陽子 200704
流氷を沖へ押しやる一夜風 石田玲子 200705
流氷を見にゆく話畳拭く 直江裕子 京鹿子 200705
流氷原エゾ鹿の群点点と 丹生をだまき 京鹿子 200706
流氷のもんどり打ちて崩れけり 中島知恵子 雨月 200707
バルチック艦隊のごと流氷来 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
オーロラの使者流氷に乗り来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
爺爺ちゃちゃ岳へ登れとばかり流氷みつ 大塚初江 200804
網走の海はモノクロ流氷期 田中敬 200805
啼き交はす海猫に流氷かがよへり 相沢有里子 風土 200805
耳疼く円がな流氷せめぐ音 相沢有里子 風土 200805
流氷の町居酒屋の土間濡れて 相沢有里子 風土 200805
流氷の去りしオホーツク毛蟹漁 松崎鉄之介 200806
一港を閉ぢ流氷の犇けり 山本無蓋 200806
押し渡る流氷原の機関音 山本無蓋 200806
当然のやうに流氷来たりけり 片山タケ子 200806
流氷の一片夜のオンザロック 富沢敏子 200806
流氷の沖へ一直線の航 泉田秋硯 二重唱 200806
鬩ぎ合ひつつ流氷の近づきぬ 境幹生 200808
流氷の砂にまみれて残りけり 立石萌木 雨月 200809
流氷の波うねりつつ接岸す 坂口三保子 ぐろっけ 200906
流氷の接岸喜ぶ漁師居て 坂口三保子 ぐろっけ 200906
流氷船光砕ける音のして 七種年男 200907
鳥けものめくや流氷軋み合ひ 渡部節郎 転舵の渦 200911

 清水志句集『流氷』序句

薔薇色となり流氷が沖めざす

鷹羽狩行 200911
流氷の南下の旅と会ふ機窓 北川英子 201004
流氷の来るぞ来るぞと酒を酌む 鈴木浩子 201004
満目の流氷せめぎ海暮るる 佐々木新 春燈 201004
遥かなる流氷想ひ旅の果て 和田政子 201005
流氷の千々をまぶしみ北に生く 平野伸子 馬醉木 201006
尾白鷲舞ふ流氷の海無限 山下佳子 201102
漂へる流氷の縁鷲止る 赤座典子 あを 201103
一湾に流氷声を上げにけり 前田美恵子 201104
クリオネも共に流氷接岸す 木村茂登子 あを 201104
流氷来アムール河の蒼を籠め 松原智津子 万象 201105
出稼ぎは流氷初日見とどけて 松原智津子 万象 201105
機翼下に流氷光るオホーツク 金山藤之助 201107
流氷の海を睥睨尾白鷲 金山藤之助 201107
流氷や北方領土指呼にして 金山藤之助 201107
蒼海に千切れ流氷斑海豹 金山藤之助 201107
韃靼と紋別の路流氷来 上家弘子 ろんど 201204
流氷に佇てば足裏に海の音 田村すゝむ 風土 201205
吃水線流氷浄土に在りしかな 土屋草子 ろんど 201206
近づくといふ流氷に町活気 安原葉 ホトトギス 201208
流氷の軋みすなはち海の哭く 山田閏子 ホトトギス 201208
流氷を見て欠航の帰路となる 稲畑汀子 ホトトギス 201303
流氷や北をひびかす男唄 鈴鹿仁 京鹿子 201303
大鵬逝く流氷怒濤の輝きに 杉本光祥 201303
流氷斯日は銀灰色に沖を占む 豊田都峰 京鹿子 201304
流氷期月のひびきはしろがねに 豊田都峰 京鹿子 201304
流氷の軋みし音や旅枕 佐山五稜 風土 201305
最果ての海に見にゆく流氷群 門伝史会 風土 201306
吹き晴れて流氷帯を船進む 門伝史会 風土 201306
流氷は鳥のゆりかごたゆたへり 森田節子 風土 201306
鳥の立つ流氷沖に向きを変へ 森田節子 風土 201306
地続きとなりし流氷軋む夜 松原智津子 万象 201306
流氷野夕べ国後島掴めさう 土屋草子 ろんど 201306
流氷期未完の一句捨てました 佐々木紗知 京鹿子 201306
流氷の哭く夜星座の近々と 林昭太郎 201403
波音を封じ流氷青みけり 望月晴美 201404
流氷のぱつくり割れて海の青 岡真紗子 201405
流氷の埠頭に紛れ来て欷けり 土屋草子 ろんど 201406
流氷の忍びのやうに離岸せり 上家弘子 ろんど 201406
流氷の去りしオホーツク豊饒に 上家弘子 ろんど 201406
流氷の去つて風透くオホーツク 佐瀬晶子 ろんど 201406
波音を殺し流氷接岸す 田村すゝむ 風土 201504
流氷を押す流氷の力づく 安居正浩 201505
流氷や茶店賑わう無人駅 松川悠乃 ろんど 201505
流氷の軋みて深む昼の闇 竹田ひろ子 ろんど 201505
流氷のアムール発の彩とりどり 土屋草子 ろんど 201505
流氷の白群(びゃくぐん)追うてゐたりけり 瀬川公馨 201506
流氷の饒舌なるやオホーツク 本間せつ子 末黒野 201506
流氷の重なり合うて影もなし 一民江 馬醉木 201506
身中に夜も流氷の音軋む 藤原照子 201506
餌を狙ふ烏影著し流氷に 榎美幸 万象 201605
流氷のかけら帯なす岬かな 榎美幸 万象 201605
知床へ流氷煌めく水平線 榎美幸 万象 201605
流氷→2      

2021年2月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。