緑 蔭 5    145句

緑蔭に凶器ばかりの鋳掛の荷    岡本眸

作品
作者
掲載誌
掲載年月
乱世に遠き皇居や大緑蔭 平野加代子 春燈 201609
緑蔭のごとき主治医の部屋に入る 太田佳代子 春燈 201609
タクシー待つ欅通りの緑陰に 鈴木石花 風土 201609
緑蔭や裾の短き修行僧 加藤静江 末黒野 201609
緑蔭やメタセコイアの幹高し 鈴木七雄 末黒野 201609
緑陰に入りて真顔となりにけり 矢野百合子 201609
緑蔭に並びて白き椅子二つ 岡淑子 雨月 201609
刻委ぬ学びの神の緑蔭に 松本鷹根 京鹿子 201609
緑陰に探してをりし己が影 高橋将夫 201609
緑陰の中へ消えたる二人かな 永田万年青 六花 201609
林泉の緑蔭に時忘れけり 森清信子 末黒野 201610
緑蔭や隠れ家めける小料理屋 菅野日出子 末黒野 201610
緑蔭のがらくた市に長く居て 土井ゆう子 風土 201610
緑蔭より乾杯の声野外餐 森脇貞子 雨月 201610
緑陰の木椅子眠気の湧いてくる 田部井幸枝 201611
緑蔭や白き聖衣のマリア像 石黒興平 末黒野 201612
緑陰や影に色ありベンチにも 黒澤佳子 あを 201610
緑蔭や緑の奥になほみどり 森なほ子 あを 201610
緑陰に乾くベンチと猫と我 渡部ひとみ 船団 201701
緑蔭を出るより首都の風となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
緑蔭の真ん中にゐてうすみどり 今井肖子 ホトトギス 201706
緑陰に隠れごころの刻すぎぬ 岡本まち子 馬醉木 201707
緑蔭に埋もる鐘楼より一打 藤原照子 201708
緑蔭に入りて樹のこゑ鳥の声 柴山久子 風土 201708
緑蔭やゲットーの檻見えはじむ 柳川晋 201708
緑陰の神様たくさん門前町 つじあきこ 201709
緑蔭に思ひ思ひに画架立てて 櫛橋直子 雨月 201708
緑陰を占める豆棋士夢大き 前田美恵子 201709
緑蔭を抜けて図書館まで五分 安藤久美子 やぶれ傘 201708
緑蔭に居て村重の城偲ぶ 大橋晄 雨月 201709
緑蔭に歩き疲れし児と憩ふ 山本漾子 雨月 201709
坂登る緑蔭あれば休みつつ 郭公 やぶれ傘 201709
歩く会緑蔭もなき石の椅子 長崎桂子 あを 201709
昼すぎや緑蔭から緑蔭へと 長崎桂子 あを 201709
緑蔭や私の眠る乳母車 甕秀麿 201710
緑蔭の保父と手つなぐ花いちもんめ 平野みち代 201710
緑蔭のギターケースのドル紙幣 平野みち代 201710
緑陰にしつらふ母の昼餉かな 布施政 馬醉木 201710
緑蔭に我が影つれて入りにけり 橋本順子 201710
緑陰にゆりかごのごと指定席 藤田美耶子 201710
緑蔭を住処の如く白寿翁 大森道生 春燈 201710
もの忘れ笑ひとばして大緑蔭 塩貝朱千 京鹿子 201710
緑蔭に入りてしばらく動けざる 永田万年青 六花 201710
緑蔭や辛夷の青き実を握り 田中臥石 末黒野 201710
緑蔭の細き疏水や太宰の忌 菅野日出子 末黒野 201710
緑蔭を出でず句帳の五六人 石黒興平 末黒野 201711
緑蔭にかろき会釈のふたりかな 平沢恵子 春燈 201712
緑陰に丸ごと横たう獣の骨 梨地ことこ 船団 201805
緑蔭を残して男立ち去れり 小宮山遠 201805
緑蔭や瀬音にも似て街の音 辻美奈子 201806
緑蔭に首都の喧騒及ばざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
緑蔭の果てに東京タワーの威 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
神祀る緑蔭に斧許さざる 稲畑汀子 ホトトギス 201806
健脚でありしは昔緑蔭に 稲畑汀子 ホトトギス 201806
風いつも棲みて緑蔭なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201806
緑蔭をはみ出してゐる天守閣 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
緑蔭の広さは城の歴史かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
緑蔭やセロ奏者への硬貨選る 藤原若菜 春燈 201808
緑蔭を出づれば影のついて来る 楠原幹子 201808
FMに切替へ緑蔭のベンチ 高木嘉久 201808
緑蔭の兵と母また兵と妻 大橋櫻坡子 雨月 201808
緑蔭をはみ出す色やランドセル 安斎久英 末黒野 201808
緑蔭や不動明王立ち並ぶ 中貞子 201809
緑蔭に鯉のうねりの波肇る 善野行 六花 201809
緑蔭の微笑は電波母国訊く 中田みなみ 201809
緑蔭に解散空へ一目散 中田みなみ 201809
緑陰や虫も子どももうれしそう 林田麻裕 201809
緑陰にきれいな虫の名を知らず 火箱ひろ 201809
緑陰をまあるく散歩する白馬 たかはしすなお 201809
緑蔭の長明庵史黙読す 松本鷹根 京鹿子 201810
緑蔭に動く野点の衣の色 森なほ子 あを 201809
緑蔭の安きに師父の句碑たふと 播磨武子 雨月 201810
緑蔭に集ふ藪蚊を同士討ち 菊谷潔 六花 201810
緑蔭に入りたりげな六地蔵 善野行 六花 201810
緑蔭に鍵ついてゐる投句箱 倉澤節子 六花 201810
飛石に乗れば緑蔭逸れてゆく 湯川雅 ホトトギス 201810
緑蔭の並木の道やバスの窓 小池みな 末黒野 201810
緑蔭や瀬音のなかの相聞歌 河原敬子 201811
緑陰の椅子軋らせてモナリザも 陽山道子 船団 201812
緑陰や人透き通り歩きをり 沼田巴字 京鹿子 201904
緑蔭の兵と母また兵と妻 大橋櫻坡子 雨月 201907
やすらぎの大緑蔭に入りにけり 佐藤淑子 雨月 201907
緑蔭己れに気合ひかけて居り 北川孝子 京鹿子 201907
緑蔭の固唾呑む音関ケ原 鈴鹿呂仁 京鹿子 201907
緑蔭へ弓矢一閃放たれり 小林陽子 201908
緑陰に入り幌上ぐ乳母車 赤座典子 あを 201909
緑陰や声おだやかに看護師と 田中藤穂 あを 201909
緑蔭や白く眠れる童仏 松山潤子 京鹿子 201909
言葉みな溺れてしまふ大緑蔭 鷺山珀眉 京鹿子 201909
フリーマーケット先づ緑蔭を確保して 井尻妙子 京鹿子 201909
緑陰の重き空気に包まるる 黒坂紫陽子 馬醉木 201909
緑蔭の四阿抜くる風の色 豊谷青峰 春燈 201909
緑蔭の殉職の碑に手を合はす 城戸ひろみ 雨月 201909
緑蔭やメロディーバスの遅れがち 井尻妙子 京鹿子 201909
緑蔭のハイネの詩集風が繰る 山中志津子 京鹿子 201909
大家族緑蔭のもとつどひけり 秋川泉 あを 201909
大鎧外して緑蔭に入る 井尻妙子 京鹿子 201910
緑蔭の男の子三人虫博士 塚越弥栄子 末黒野 201910
緑蔭や赤いニカブの占い師 たかはしすなお 201910
カラス来てをり緑蔭を同じくす きくちきみえ やぶれ傘 201911
緑蔭や黒き衣の僧の列 岩永みはる 追伸 202003
緑蔭に駆け込む幼見失ひ 谷口律子 末黒野 202004
緑蔭に入りて街騒遠ざける 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
緑蔭の真ん中に立ち樹となれり 鈴鹿仁 京鹿子 202006
緑蔭にグレイマスクの尼僧かな 中村嵐楓子 春燈 202008
緑蔭に聴く思はざる越天楽 吉田順子 202008
紅茶三分緑蔭の砂時計 小澤えみ子 202009
緑蔭の二人で座りたくなる木 つじあきこ 202009
緑蔭に太極拳の紅扇 平居澪子 六花 202009
緑蔭のさりげなき距離人と人 黒滝志麻子 末黒野 202009
緑蔭や嬰の熟寝の乳母車 長尾タイ 末黒野 202009
緑蔭で釣糸たれる親子連れ 湯本正友 やぶれ傘 202009
緑陰の眠り覚めなくてもいいか 波戸辺のばら 202009
緑蔭に多弁と寡黙集ひけり 田嶋洋子 春燈 202009
緑蔭や郵便受の異国文字 太田佳代子 春燈 202009
緑蔭を出て腹の虫鳴きにけり 谷口一献 六花 202010
緑蔭を抜け緑蔭へ車椅子 山田閏子 ホトトギス 202011
緑蔭のおしゃべり響子さんの椅子 おーたえつこ 202011
一人座す樟の大きな緑蔭に 小林和子 202011
緑蔭やリュックに帽子かぶせ置き 小林清子 末黒野 202011
緑蔭のひとつベンチに端と端 廣畑育子 六花 202012
緑蔭を駈くる風あり車夫のあり 澤田英紀 202107
緑蔭の音叉のやうに渉る風 菊地光子 202108
緑蔭をゆつくりと押す乳母車 熊谷成子 202108
緑蔭の一所あかるし天使像 岩永はるみ 春燈 202108
緑蔭の石碑に刻む聖句かな 荒井慈 春燈 202108
コロナ禍にも緑蔭といふオアシスも 沼田桂子 春燈 202108
緑蔭の三婆密になつてをり 沼田桂子 春燈 202108
緑蔭や程よき石に身をとどめ 西本花音 春燈 202108
パゴダから黄の衣の僧が緑蔭へ 藤井美晴 やぶれ傘 202109
緑蔭の恐ろしき闇阿蘇山道 青柳節子 末黒野 202109
緑蔭にはみ出す嬰児のあんよかな 善野行 六花 202109
緑蔭を縫つて西海子小路かな 門伝史会 風土 202109
街路樹の緑蔭ひとつづつ拾ふ 中村洋子 風土 202109
緑蔭や走り来る子に膝を折り 中根美保 風土 202109
緑蔭にどつぷりひたるカフェテラス 伊藤啓泉 202109
緑蔭に正午を知らす時の鐘 伊藤薫 やぶれ傘 202110
緑蔭のベンチに座すやからす鳴き 黒澤次郎 やぶれ傘 202110
緑蔭にかの監督の椅子ひとつ 浅田光代 風土 202110
緑蔭や子らの野球を観る母ら 森清堯 末黒野 202111
緑蔭へ優しき石に呼ばれける 阪倉孝子 202111
緑蔭に地図と帽子と握り飯 金子正道 京鹿子 202111
緑蔭を駈くる風あり車夫のあり 澤田英紀 202201
緑蔭の猫の利き耳蕩けだす 鈴鹿呂仁 京鹿子 202207
緑蔭に吸はれて影を失ひぬ 三代川玲子 春燈 202208
緑蔭の木椅子を己が書斎とす 辻泰子 春燈 202208
緑陰 →1

 

2022年8月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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