臘 梅 4    140句

臘梅を折らばやとおもふ素老人   八田木枯

臘梅  蝋梅・唐梅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
もう一羽来て臘梅を啄める 細野恵久 ぐろっけ 201201
臘梅や壺は形見の唐津焼 森理和 あを 201201
大き壷臘梅どさり寿司処 赤座典子 あを 201201
臘梅を見ず城太郎遷化以後 神蔵器 風土 201202
臘梅のつぼみに日差し師の忌来る 杉浦典子 火星 201203
素心臘梅底知れず香を吐き続け 大橋晄 雨月 201203
臘梅を一枝手折りきたりけり 筒井八重子 六花 201203
臘梅の黄の深み増す上天気 宮田香 201204
かどとれし風と臘梅碧き空 近藤きくえ 201204
臘梅の香に魅せらるる曲り角 都丸美陽子 春燈 201204
臘梅の溶けんばかりや俯きて 松本三千夫 末黒野 201204
臘梅の魔性や闇を濃くしたり 福永尚子 ろんど 201204
臘梅や離れ家へ下駄の音軽く 安田一郎 京鹿子 201204
臘梅の蕾香を溜め光ため 樺山翠 雨月 201204
臘梅のかをり女の多き句座 和田崎増美 雨月 201204
臘梅の日ざしこぼるる膝頭 矢野百合子 201205
臘梅の夕陽離さず透し見る 野口喜久子 ぐろっけ 201205
正門に臘梅を置く心延へ 大橋晄 雨月 201205
臘梅の彩老成のものと思ふ 溝内健乃 雨月 201205
臘梅の黄に透きとほる日ざしかな 堀田こう 雨月 201205
臘梅を嗅ぎゐて雨滴落ちてきし 志方章子 六花 201205
臘梅の枝のすべてが下を向く 出口誠 六花 201205
臘梅や夜のポケットに鍵鳴らし 柳生千枝子 火星 201205
臘梅へ蔀戸あぐる写経堂 井村和子 風花 201206
臘梅の日ざしのありてこその色 山下美典 ホトトギス 201206
臘梅のうつむき通す壊ゆるまで 稲山忠利 ぐろっけ 201206
臘梅や生死一対一の通夜 鳥居美智子 ろんど 201206
素心臘梅土の初乳を吸ひたるや 本島むつみ 万華鏡 201206
臘梅や忌日の僧の御着き待つ 千原叡子 ホトトギス 201207
臘梅やいまも喪ごころありにける 谷岡尚美 201207
臘梅やきのふに還る道なくて 頓所友枝 冬の金魚 201209
臘梅や桂郎呉夫墓ならび 神蔵器 風土 201303
臘梅のほのかにかをり友見舞ふ 早崎泰江 あを 201303
臘梅のさはに香れる安土郷 増田一代 201304
臘梅の香を活けし床尉と姥 川崎利子 201304
臘梅や老舗蕎麦屋の出入口 長濱順子 201304
臘梅の蕾開きて木々めざむ 吉田宏之 201304
臘梅や老舗そば屋の出入口 長濱順子 201304
臘梅やひんやり肩の貼湿布 中澤弘 春燈 201304
臘梅の透けるいろなる情のいろ 小山繁子 春燈 201304
五分咲きの臘梅の空碧きかな 山下健治 春燈 201304
臘梅や小流れつたふ谷戸ぐらし コ田千鶴子 馬醉木 201304
臘梅の影濃くありぬ八一歌碑 森田節子 風土 201304
臘梅や山門高き東慶寺 中沢三省 風土 201304
臘梅の自らに酔ひ零るるか 大橋晄 雨月 201304
玉響の命臘梅開き初む 山田夏子 雨月 201304
卒寿喜寿祝ぎ臘梅の高香る 久保田雪枝 雨月 201304
臘梅や卒寿の素心尚びて 久保田雪枝 雨月 201304
一花とて上向くはなし臘梅は 大崎ナツミ 雨月 201304
臘梅やひとりの時間ふくらます 山崎靖子 201305
臘梅をまなこに入れて透きとほる 岩下芳子 201305
臘梅の一枝バスは華やげり 明石文子 ぐろっけ 201305
臘梅の匂へる径を畑通ひ 吉本淳 ぐろっけ 201305
臘梅の風を容れたり天女洞 中田のぶ子 ろんど 201305
臘梅や茶房店主の束ね髪 田中藤穂 あを 201305
臘梅の溶けし光を浴びにけり 滋野暁 末黒野 201305
臘梅に呼び止めらるる心地かな 新倉ゆき江 末黒野 201305
臘梅や葵の紋の御輿蔵 山本漾子 雨月 201305
臘梅やすずろ歩きの猫の鈴 鳳蛮華 201305
臘梅や三味の音する根津の奥 清水量子 201305
臘梅のつぼみに鼻を近づけぬ 山田六甲 六花 201402
臘梅を差し上げたくて小枝切る 森理和 あを 201402
朝光に臘梅の風すきとほり 藤井寿江子 馬醉木 201403
苗木よりの臘梅初の莟つけ 山崎稔子 末黒野 201404
風つたふ臘梅の香や女人寺 中村紀美子 春燈 201404
臘梅や鉢かつぎ姫ゐたりける 中貞子 201404

 悼 石脇みはる

臘梅の薫る梅町三丁目

岩下芳子 201404
臘梅の花ほつほつと日日好日 藤岡紫水 京鹿子 201404
臘梅の香りとけゆくもやの朝 吉村さよ子 春燈 201404
臘梅の散りつつなほも花盛り 山田春生 万象 201404
臘梅や黄檗山の托鉢僧 粟倉昌子 201404
臘梅や札所によべのしづり雪 竹内慶子 春燈 201404
臘梅や壺に貫入走りけり 神蔵器 風土 201404
忌を修しもどる臘梅月夜かな 西村博子 馬醉木 201404
臘梅の香に顔を寄せ掌に掬び 鎌田篤 雨月 201405
臘梅の離れても香の身ほとりに 齊藤眉山 末黒野 201405
臘梅は黄に里山はむらさきに 西田孝 ろんど 201405
臘梅を活けて客待つ湯葉の店 菅野日出子 末黒野 201405
臘梅を見てゐる我を鳥が見る 出口誠 六花 201405
臘梅一枝箸置にしてひとりの膳 和田絢子 春燈 201405
去年の実を残し臘梅咲きにけり 出口誠 六花 201405
去年の葉も残し臘梅満開す 出口誠 六花 201405
空碧し臘梅ほつと開き初む 高橋照子 雨月 201405
臘梅を奔放に挿し自画自讃 竹内喜代子 雨月 201406
朝の陽に透ける臘梅横に見て 奥田温子 やぶれ傘 201406
透明な風臘梅をざわめかす 山口ひろよ 201405
臘梅や鶏の蹤きくる農の庭 小林共代 風土 201502
臘梅の匂ひを包む小雨かな 山田六甲 六花 201502
大木の影の臘梅香り立つ 中山静枝 201503
臘梅にまつはる風の止みにけり 小川玉泉 末黒野 201503
臘梅や空の眩きまた増えて 鈴木阿久 201503
臘梅にいい匂ひねと子ら仰ぎ 鈴木阿久 201503
臘梅の香に集ひけり書院床 宮田豊子 春燈 201503
臘梅へ蜜のやうなる日差かな 梅村すみを 201504
臘梅や一語こぼれてまた一語 雨宮桂子 風土 201504
窓外の臘梅の黄に仮寝かな 鈴木阿久 201504
土産にと庭の臘梅一枝剪る 伊庭玲子 201504
臘梅や大塔の空底抜けに 山本とく江 万象 201504
小鳥翔ち臘梅の香を広げたり 綱川恵子 万象 201504
臘梅の香や押せば開く長屋門 鎌田篤 雨月 201504
隠れ住むとも臘梅の香に鮮ら 鎌田篤 雨月 201504
蝋涙に似て臘梅のしづくかな 内藤呈念 ホトトギス 201505
日を溜めて臘梅匂ふ大藁屋 中野久雄 末黒野 201505
臘梅や寺苑の風のやはらかく 森清尭 末黒野 201505
臘梅の香に歩をかへす里日和 岡本ヨシエ 末黒野 201505
臘梅や頬刺す風の匂ひ立ち 榊山智惠 末黒野 201505
臘梅の香り乗りくる花信風 赤岡茂子 春燈 201505
穴太の庄なり臘梅の香高し 中島陽華 201505
臘梅や堆肥置き場に猫車 瀬島洒望 やぶれ傘 201505
臘梅の香の流れ暮るる門 岡山敦子 京鹿子 201505
臘梅や死者へ生者へ香を放つ 犬塚李里子 201506
臘梅の香も新たなる寒さかな 永峰久比古 馬醉木 201604
臘梅のほろりと解く日のかけら 柴崎英子 201604
臘梅の香をひとゆすり明烏 宮崎紗伎 春燈 201604
遠目にも臘梅の黄の騒ぎをり 黒澤登美枝 201604
臘梅の香のこぼれ出づ小匙ほど 宮崎靖夫 201604
臘梅の大樹にむせて長屋門 森清信子 末黒野 201604
臘梅の色に誘はれ万歩計 井上静子 201604
臘梅やビスクドールの青深き 中田禎子 201604
またたきて日ごと臘梅花ふやす 鈴木庸子 風土 201604
臘梅の香に社家町の昼深し 水田壽子 雨月 201604
活け直す臘梅こぼれ残す枝 野中圭子 京鹿子 201605
臘梅の何も求めぬやうに咲く 原友子 201605
臘梅の香に佇みし朝上がり 今井充子 201702
臘梅のかをり届きぬ法の庭 堺昌子 末黒野 201703
人待たす臘梅に顔うづめゐて 高橋道子 201704
臘梅を白寿の母の身ほとりに 大石誠 201704
臘梅の黄色に香り人誘ふ 宮田豊子 春燈 201704
臘梅や郵便受けの学会誌 中澤弘 春燈 201704
臘梅の香の包みたる寺領かな 持田信子 春燈 201704
臘梅の仄かに匂ふ足湯かな 五十嵐富士子 末黒野 201704
臘梅の雨滴したたる寂光土 山田春生 万象 201704
臘梅の香の透きとほる禅の寺 田中佐知子 風土 201704
臘梅のしづくの氷る坐禅堂 岩木茂 風土 201705
臘梅の香り移りし包み紙 井上静子 201705
臘梅を仰げばははの世が近し 原友子 201705
臘梅や独鈷杵胸に修行僧 田中とし江 201705
噎せ返る臘梅園の香の強き 加藤タミ 末黒野 201706
臘梅に鳥の和毛の揺れてをり 廣畑育子 六花 201706
臘梅に朝の日ざしのゆきわたる 宮川みね子 風土 201706
臘梅→ 5      

 

2021年1月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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