六月/六月尽/ろくぐわつ 3     227句

六月を奇麗な風の吹くことよ    正岡子規

作品
作者
掲載誌
掲載年月
六月や磨かれ乾く舟の中 岡本眸 200806
六月の象の孤独よ長睫 久保田美智子 200808
六月はまたも齢を賜ふ月 松井のぶ 200808
六月や金平糖に角六つ 七種年男 200808
六月やひと息つきし畑仕事 伊藤一枝 酸漿 200808
六月の夕焼け古書を買うて出て 定梶じょう あを 200808
六月の雨美しき竹の幹 鎌倉喜久恵 あを 200808
六月のひかり家鴨の引く水脈に 大崎紀夫 やぶれ傘 200808
壇ノ浦六月の雨横ざまに 藤井美晴 やぶれ傘 200808
六月の明るき水際おそれけり 岡本眸 200808
六月の刻みパセリに揚げパセリ 辻直美 200809
放生の渦にうづ乗る六月来 山崎靖子 200809
六月の終の便りをいくたびも 木下もと子 200809
六月の森にわたしを立て掛ける 吉田明子 200809
六月や救急ベッドの上に覚め 鈴木とおる 風土 200809
六月の杭をはなさぬ捨て小舟 水井千鶴子 風土 200809
六月やくまなく灯す地下の街 柿沼盟子 風土 200809
六月の漆器の赤の持ち重り 藤田素子 火星 200809
六月や風の抱へしチェロケース 榎本慶子 炎環 200809
六月の足より冷ゆる雨なりき 石脇みはる 200809
六月や雨降らぬ星輝きぬ 天野きく江 200809
六月のひまはり手持無沙汰風 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200809
六月の雲たれこめる川面かな 白石正躬 やぶれ傘 200809
晴れやかな嶺六月の祝賀の輪 内藤紀子 遠嶺 200810
六月の花嫁ぱつとカフェに現る 片野光子 ぐろっけ 200810
六月の花嫁に添ふ野立傘 川合まさお ぐろっけ 200810
六月の雨音一人夜を過す 家塚洋子 酸漿 200810
六月や体ちかちかしてきたり 高倉恵美子 200810
六月のセロハンテープの濁りかな 殖栗歩 炎環 200908
六月や自分で作るカツサンド 森戸柚斎 炎環 200908
六月の天地めぐるリフトの音 城孝子 火星 200908
六月や眞水といへばコンビニへ 佐藤喜孝 あを 200908
六月や真珠に替ふる首飾り 荒井書子 馬醉木 200909
六月の水音たてて呑み干さる 佐用圭子 200909
逢へぬ日のろくぐわつ孔雀翅ひろげ 水野恒彦 200909
六月の大きな穴をのぞいてる 本多俊子 200909
六月や墨太く描く百合の花 藤本る衣 炎環 200909
六月の木洩れ日降らす鳥の声 久米憲子 春燈 200909
六月の木に筋肉のあるごとし 辻美奈子 200909
六月の果つや異国ですし食うて 千田百里 200909
長い祝辞いらぬ六月の花嫁に 田原陽子 200909
折り返す六月の句碑見届けし 数長藤代 200909
シヤガールの空飛ぶドレス六月尽 宇都宮敦子 200909
双塔に六月の風吹き通る 杉浦典子 火星 200909
竹間を六月の風流れけり 岩木茂 風土 200909
六月の湖畔へ揃ふ靴二つ 竪山道助 風土 200909
六月や地球は水を手放さず 柴田佐知子 200909
六月の雨より先に帰宅せり 倉持梨恵 200910
六月や風に波打つ鳩の胸 片山由美子 201006
玉子割るとき六月となりゐたり 井上信子 201007
六月の青銅めける箱根山 鈴木多枝子 あを 201007
六月や青き地球のバルト海 島玲子 風土 201008
六月やああ白秋のデスマスク 和田あきを 風土 201008
六月の雨美しき窓に読む 舩越美喜 京鹿子 201008
六月の湖に水嵩戻りけり 鴨下昭 201008
木の花の白を尽せる六月来 荒井千瑳子 201008
六月の蒲公英露草羊雲 東亜未 あを 201008
残り物ごま和納豆六月尽 安部里子 あを 201008
彫刻の猫六月のベンチ占む 田中藤穂 あを 201008
蜘蛛の囲や六月の雨ビーズとなり 鈴木多枝子 あを 201008
めひらくと六月越後水の國 佐藤喜孝 あを 201008
六月の素肌になじむ藍木綿 荒原節子 201009
六月や混沌として空と海 宇都宮敦子 201009
六月や赤子のかかとまんまるし 雨宮桂子 風土 201009
六月の気合や仁王の大張手 田中一美 ろんど 201009
六月のうがひ手洗ひぬかりなし 後藤那生 ろんど 201009
六月の青嶺目にしむ師の墓前 久保田雪枝 雨月 201009
六月の誕生会の赤飯よ 伊藤セキ 酸奬 201009
六月や敷島に水溢れをり 大地真理 201010
六月や迷彩のこる工学部 柴田志津子 201010
満潮を待つて六月動き出す 松田都青 京鹿子 201010
六月の茶屋の勧むる冷しあめ 菊池由惠 酸奬 201010
六月の月ややいびつややうるみ 今井千鶴子 ホトトギス 201011
六月のいまだに凍るビアンコ湖 田中きよ子 酸奬 201103
六月は吾が誕生日誘ひ待つ 西田史郎 201107
夕暮れのまこと六月らしく来る 井上信子 201107
六月の自然のめぐみ子と頒かつ 吉波喜久恵 201108
六月や加齢と言はれ脈乱れ 笠井清佑 201108
六月やふさぎの虫をもてあまし 西山浅彦 春燈 201108
六月や北斗七星弓なりに 鈴木良戈 201108
六月六日近づく朝の声清ら 井田実代子 雨月 201108
日の落ちて漸く六月に戻る 赤座典子 あを 201108
六月の重き夜気裂く汽笛の音 宮田香 201109
リフトの膝へ六月の熱射かな だいじみどり 201109
六月や鳥海山の雪姿 だいじみどり 201109
六月や爪の先まで山気吸ふ 山崎靖子 201109
六月の水の重たし陶土練る 宇都宮敦子 201109
ろくぐわつの犢鼻褌たふさぎ風に翻り 水野恒彦 201109
六月や水郷めぐるかいつぶり 竹内悦子 201109
雲間より六月の陽と青空と 白石正躬 やぶれ傘 201109
六月の雨に送られ嫁ぎけり 能美昌二郎 201110
六月や虚子の袴と桐の下駄 國保八江 やぶれ傘 201110
六月の土の香樹の香朝の径 貫井照子 やぶれ傘 201110
六月の川流木の通せんぼ 定藤素子 雨月 201110
花ブラシ明るし雨の六月来 志方章子 六花 201110
六月を五年先まで予約する 火箱ひろ 船団 201201
雨宿りめく六月の蕎麦屋かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
六月や首にまつはる風湿り 布川直幸 201206
六月へ黒く鎭もる桑畑 井上信子 201207
六月来上より生ゆる嬰の歯よ 深川峰子 201208
シャンパンの音清々し六月婚 河崎國代 春燈 201208
六月のブックカバーの匂ひかな 井上信子 201208
なやましきもの六月の汗臭さ 木村茂登子 あを 201208
碁会所にろくぐわつの父さがしをり 篠田純子 あを 201208
ろくぐわつが靠れてをりぬ椎の虚 篠田純子 あを 201208
六月の心身濡れてをりにけり 高橋将夫 201209
ろくぐわつの水の眩しき重信忌 水野恒彦 201209
六月や衣の白色こころとす 本多俊子 201209
六月や近くて遠き導の灯 篠原幸子 春燈 201209
オブジェ抱く赤松林六月来 山崎靖子 201209
六月の暖炉に薪の爆ぜてをり 宮崎高根 201209
青空のすこし老いたり六月来 甕秀麿 201209
イカロスとならで六月金星ショー 甕秀麿 201209
青青と六月のきて誕生日 代田青鳥 風土 201209
六月や「水」と題して写真展 代田青鳥 風土 201209
六月や手櫛で梳きし洗ひ髪 高野春子 京鹿子 201209
六月の空に憂ひのありどころ 向江醇子 ぐろっけ 201209
六月のいのちの音の湾処かな 小幡喜世子 ろんど 201209
六月の暮しはじまる貝の紐 西田孝 ろんど 201209
六月の朝日射し入る猪肉屋 大山文子 火星 201209
六月の影も豊かに大欅 今井千鶴子 ホトトギス 201210
貝ボタン穴をくぐりて六月へ 林昭太郎 あまねく 201210
漕ぎ出づる六月の湖藍ふかし 小島昭夫 春燈 201212
六月の足に精虫棲むごとし 山本鬼之助 201212
六月や風に修司の詩の重し 神田恵琳 跫音 201303
六月やインド更紗に象の列 山尾玉藻 火星 201306
六月の心恥かし体育館 平井奇散人 船団 201306

 天安門事件二十四周年

平らかに六月四日過ぎゆけり

藤井美晴 やぶれ傘 201309
六月の風をあつめて鴉発つ 城孝子 火星 201309
六月の風つかみたる赤子の手 涼野海音 火星 201310
六月の扉の奥の扉かな 佐々木紗知 京鹿子 201310
六月の雨意深めたる信貴生駒 大橋晄 雨月 201310
六月や奈良の大佛三度逢ふ 向江醇子 ぐろっけ 201310
野は白き穂と白き花六月は 青木朋子 201310
七月の天六月の地面かな 佐藤喜孝 あを 201310
六月も一枚の紙バサッと剥ぐ 古川忠利 ろんど 201311
六月やただ青々と牡丹園 瀧春一 花石榴 201312
草を抜く六月の香に噎せるかな 長崎桂子 あを 201408
六月を送らむ夜の風の中 井上信子 201408
六月の空白し雨生まれけり 藤丸誠旨 春燈 201408
六月や数多の雨の名の美しき 松尾春香 ろんど 201409
六月の朗読会は木の下で 佐藤千重子 201409
六月の夜目に光の濡れてをる 雨村敏子 201409
六月の土に定まるトマト苗 鎌田悟朗 ろんど 201409
六月の水の匂に目醒めけり 紅谷芙美江 万象 201409
六月の花嫁舟をしたがへて 綱川恵子 万象 201409
六月の歌舞練場のがらんどう 北村淳子 ろんど 201409
六月がはじまる雨の匂ひして 有松洋子 201409
六月の風に降りきし鳶の羽 山田美恵子 火星 201409
アンテナの六月の意志きゅうり苗 鎌田悟朗 ろんど 201409
天空の闇六月の赤き月 国包澄子 201409
六月の緑の底の温泉場 生井慶子 万象 201410
六月の風や摩文仁の石の黙 比嘉半升 万象 201410
六月の日射の白く広々と 今井千鶴子 ホトトギス 201410
六月はむらきき多し邸の庭 稲岡長 ホトトギス 201411
六月の茅花に風のとどまらず 稲畑汀子 ホトトギス 201506
北上川の青を貫き六月ヘ 能村研三 201507
禽がきて六月さむく目覚めたる 井上信子 201507
決められて一人住みをり六月尽 井上信子 201507
六月の手慣れし辞書のしめりかな 吉村さよ子 春燈 201508
北上は母なる流れ六月ヘ 大畑善昭 201508
縁者の忌あまた修して六月尽 鈴木セツ 201508
六月の大根島に秘薬買ふ 福島せいぎ 万象 201509
クールビズむかし六月無礼かな 後藤眞由美 春燈 201509
六月の雨美しき孔子像 江木紀子 雨月 201509
紫陽花の六月はわが生まれ月 今井千鶴子 ホトトギス 201510
六月の耳鳴り遠く海の音 わたなべじゅんこ 船団 201602
六月や傷ついている溶鉱炉 中林明美 船団 201602
唯一つ祭日の無き六月来 生田高子 春燈 201608
六月や川はにごりて海に入る 長坂正昭 春燈 201608
六歳児六月六日のピアノかな 河本由紀子 春燈 201608
とりどりの花咲きつぎて六月来 本間羊山 風土 201608
六月の雨風轟く慌ただし 長崎桂子 あを 201608
六月や明月院は水のいろ 頓所友枝 201608
六月の空より詩降る除慕式 伊藤朝海 201608
六月の風不意に来て止みにけり 高田令子 201609
六月の引込み思案靴の紐 濱上こういち 201609
六月の水の匂や厨の灯 久保久子 春燈 201609
六月の自販機に買ふみくじかな 森田節子 風土 201609
六月の書架の谷間を魚のごと 七田文子 201609
六月の見ゆるかぎりの橅林 今井春生 201609
六月の岩すべりゆく水の色 本多俊子 201609
六月の風に吹かれて良き便り 安野眞澄 201609
ヘッドホン手に六月の美術館 山田佳子 201609
六月や島影に沼騒々と 井上和子 201610
六月の庭木のみどり空かくす 水谷直子 京鹿子 201611
六月のあなたが居ない京の路地 たかはしすなお 201709
六月の夕風腕に広げけり 永田万年青 六花 201709
六月の海峡に立ち男老ゆ 水野恒彦 201709
六月の雪形まぶし羊蹄山 原田しずえ 万象 201709
六月のふくれきつたる雑木山 岡尚 風土 201709
六月の峰濃淡の覇を競ふ 上辻蒼人 風土 201709
日に触れし枝六月の花白し 矢崎すみ子 201709
六月の波郷の女ふと思ふ 田原陽一 201709
六月の空健やかに白樺 辻由紀 雨月 201709
六月や五臓にひそむ虫一匹 持田信子 春燈 201709
言ひくるめられてゐる六月の河 直江裕子 京鹿子 201710
一瓶に六月の彩あふれしめ 竹内喜代子 雨月 201710
六月の風を見てゐる展望台 太田チヱ子 末黒野 201710
六月の土の匂いの祖父の膝 中井保江 船団 201805
六月→4      

 

2021年6月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。