竜 胆 1     142句

竜胆の何おもひ艸野は枯ぬ   白雄

作品
作者
掲載誌
掲載年月
竜胆を活けて真っ白な風が好き 小枝恵美子 ポケット 199911
りんだう咲く牛方宿に塩叺 神蔵器 風土 199911
つるりんだう今年の命燃しけり 三村禮子 酸漿 199912
りんどうや霧の本流海より来 岩間愛子 海程 200001
りんだうの丘聖鐘に包まるる 小菅暢子 200001
龍胆も空も私も逝く人も わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
弔問の朝の来てゐし濃竜胆 稲畑汀子 ホトトギス 200009
かくれんぼのままの猫抱く母はりんどう 村上友子 海程 200009
いつまでも開かぬ竜胆おちょぼ口 桑原敏枝 いろり 200012
茸採女蝦夷龍胆を手折りくる 和田和子 馬醉木 200012
竜胆や娘を英国に嫁がせて 保田英太郎 風土 200101
竜胆の凋む昏さよ連鎖して 芹沢愛子 海程 200102
草木譜へ雨の竜胆たしてやる 渡部ひとみ 船団 200105
りんだう採らば君忽ちに水の色 仁藤さくら 船団 200109
竜胆を手熱く折りぬ父祖の山 長尾康子 風土 200111
竜胆に標高少しずり落ちぬ 佐渡美佐子 船団 200111
竜胆や杣人に径ゆづらるる 棚山波朗 春耕 200111
みちのくよりカサブランカと龍胆着く 松崎鉄之介 200111
濃龍胆吊橋の先行き止り 佐久間俊子 200111
竜胆は男嫌ひと申しけり 泉田秋硯 200112
蝦夷竜胆矢印辿る霧の中 阿部悦子 酸漿 200112
光源は竜胆ゆれる手のひら 森あみ子 船団 200112
刺客ぞな青き風情の竜胆は 葉月ひさ子 船団 200112
茸籠に龍胆にほふ乙女かな 和田和子 馬醉木 200112
竜胆や雪来し富士に応ふかに 山岸治子 馬醉木 200201
草泊りありし辺りや濃竜胆 宮川杵名男 春耕 200201
竜胆もて恋文書いてみようかな 指尾直子 雨月 200201
堂裏の木洩日に咲き濃りんだう 伊田和風 円虹 200202
法要の香煙まとふ濃竜胆 小西瑞穂 ぐろっけ 200204
春竜胆溶岩被ふ草の中 今井久良子 酸漿 200209
龍胆の色の深さや那須連山 須賀敏子 あを 200210
龍膽に桃色ありき黄はあらず 磯野至子 あを 200211
湖の唄聞き度くて来し濃りんだう 小林紗智子 200211
岩肌をななめに小道濃竜胆 梅谷昌弘 雲の峰 200212
竜胆の記憶のひとつ野にのこし 熊倉だい 200212
りんだうや引き戸の軋む峠茶屋 竪ヤエ子 雲の峰 200212
立山のりんだうのこの紫は 堀田清江 雨月 200301
りんだうや机に倚れば東山 岡本眸 200308
竜胆を摘み来て次のバスを待つ 徳丸峻二 風土 200311
竜胆の朝日を待てる色の濃し 阿部ひろし 酸漿 200311
足元の深山竜胆揺れもせず 小林正史 200312
低く低く咲く竜胆を淋しめる 指尾直子 雨月 200312
巻頭の喜びりんだう束で買ふ 鈴木清子 遠嶺 200312
高原の風むらさきに蔓竜胆 柴田久子 風土 200401
白菊のなかの竜胆友逝けり 沖増修治 百鳥 200401
常滑焼に水はたつぷり濃竜胆 原島ふじ子 遠嶺 200401
紫の色を僅かに枯れ竜胆 須賀敏子 あを 200401
竜胆の咲く高千穂に人を恋ひ 島村紀代子 草の花 200401
山の灯の瞬き初めて濃龍胆 鈴木とき子 対岸 200401
龍胆や年々重き誕生日 河西みつる 草の花 200401
牧牛の反芻永し濃竜胆 有島扇水 河鹿 200402
竜胆や風の木道ひとくぎり 原田喜久子 八千草 200403
忌心に竜胆の野をたゞ行き来 河野扶美 ホトトギス 200404
みやまの名冠する竜胆の小ささよ 阿部ひろし 酸漿 200409
朝剪りの竜胆給ふ林火の忌 佐々木とく子 200411
りんだうを挿せば深山の風通ふ 神蔵器 風土 200411
竜胆を供花にをろがむ微笑仏 沼口蓬風 河鹿 200412
老いてなほ背筋きりりと濃竜胆 石渡芳枝 200412
安曇野の畦の極みに濃竜胆 齊藤實 200412
濃竜胆痩身ゆえの帯きつく 島すが子 200412
濃竜胆旅の終りのゆば料理 牛島千鶴子 対岸 200412
風渡る伊那は七谷濃竜胆 池尻足穂 春耕 200412
ひと言を口ごもるかに濃龍胆 岡田和子 馬醉木 200412
龍胆や角髪みづらを結へる太子像 戸田春月 火星 200412
きれぎれの霧とびとびの濃竜胆 小浜史都女 百鳥 200501
手折らんと思へど旅の濃りんだう 窪田米子 遠嶺 200501
竜胆をそへて山中めかしけり 後藤比奈夫 ホトトギス 200502
竜胆活け我が胸軽くなりしかな 諸戸せつ子 春燈 200511
濃竜胆女ひとりの古道あり 井内佳代子 遠嶺 200511
竜胆や卒寿迎へし夫の母 南原正子 酸漿 200511
竜胆や白山はじめ雲の中 鷹羽狩行 200512
りんだうの月にあくがれ夕野歩々 荻野千枝 京鹿子 200512
湿原にまつたき日差し濃竜胆 小宮山勇 遠嶺 200601
濃竜胆軸の漢詩に力あり 小林眞彦 遠嶺 200601
白竜胆父子の眠る墓に挿す 近藤豊子 雨月 200601
竜胆や二両電車のゆつくりと 野口年江 酸漿 200601
輪唱のやうに雲湧く濃龍胆 大曽根育代 遠嶺 200601
返り咲く熊野古道の濃竜胆 白神知恵子 春潮 200602
竜胆の色濃かりけり九十九折 森竹昭夫 遠嶺 200602
竜胆の花折る雨にぬれながら 師岡洋子 ぐろっけ 200602
碧天の力のしづく濃竜胆 山元志津香 八千草 200602
竜胆や空突上ぐる剣岳 清水和子 酸漿 200603
竜胆やこの道いつも雨に逢ふ 関口房江 酸漿 200605
晩年の母のおもかげ濃龍胆 水田清子 200606
一鉢に筆竜胆の満ちあふれ 松崎鉄之介 200607
屹然とある竜胆に身を正す 森岡正作 200610
窓口の常のやりとり鉢竜胆 赤座典子 あを 200610
嶺遠し気を引きしむる濃竜胆 山田怜子 遠嶺 200612
鳥声のとほる朝なり濃竜胆 浜田はるみ 遠嶺 200612
竜胆の無骨に挿してある職場 青木朋子 200612
我なりの幸をみつけし濃竜胆 西澤ひで子 遠嶺 200701
北国の空の青さよ濃竜胆 渡辺玄子 酸漿 200701
山頂の見えゐて遠し濃竜胆 渡辺玄子 酸漿 200701
手桶の水切つて手渡す濃竜胆 芝宮須磨子 あを 200709
竜胆や一周忌てふ俤に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
竜胆の青引き締むる墓の前 岡本幸代 ぐろっけ 200711
濃竜胆潮さす音の遥かより 宮尾直美 200712
踏みさうになりし竜胆渓の水 吉沢陽子 200801
湿原までを竜胆の道しるべ 高田令子 200801
朝の日にめざめ咲きたる蔓竜胆 坂本知子 酸漿 200802
龍胆の蕾固きを求め来し ことり 六花 200808
竜胆の海と思へり那須の山 仁平則子 200812
気安うに触らんといて濃竜胆 田岡千章 200812
詩草とも言うべき書なり濃りんだう 小澤克己 遠嶺 200812
一輪のりんだう今日の憂ひ閉づ 神崎あい 遠嶺 200812
竜胆の花よく開く山日和 田中きよ子 酸漿 200901
下山者と交はすあいさつ濃竜胆 渡邉孝彦 やぶれ傘 200901
りんだうや息整へて峠越 曽根満 万象 200902
りんだうのむらさきいよよ高嶺晴 八田木枯 晩紅 200908
秋めくや供華の竜胆女郎花 林佳枝 酸漿 200911
待ちつかれ乗り合ふバスに濃い竜胆 芝宮須磨子 あを 200911
まぼろしに千代子唄声濃りんだう 西田史郎 200911
りんだうや師の生誕の宴満つ 遠藤和彦 遠嶺 200911
アルプスを望むロビーや濃竜胆 宮田香 200912
裏山に一足入れり濃竜胆 井上玉枝 酸漿 200912
濃りんだう活けても暗し青不動 松田とよ子 200912
魂の交差する詩濃竜胆 橋本良子 遠嶺 201001
雲流れ芙美子の墓の濃竜胆 小原徳男 遠嶺 201001
野に点と現れボッカ来る濃竜胆 岡田貞峰 馬醉木 201001
竜胆の草に沈みし海の色 東芳子 酸漿 201001
りんだうやおひさま空に高くして 天野美登里 やぶれ傘 201001
権禰宜の木沓の照りや濃竜胆 山路紀子 風土 201002
りんだうを撮るにりんだう踏んでをり 遠山みち子 201002
龍胆の重たき色を疎みけり ことり 六花 201009
竜胆や浅間へ径の細りゆく 安立公彦 春燈 201011
竜胆や乗り継ぎリフトの最終便 高橋泰子 201011
龍胆の打ち上げられし浜辺かな ことり 六花 201011
尼様のここちで抱きぬ濃りんだう 望月木綿子 201011
笹原にひそと咲きをり濃竜胆 坂根宏子 201101
竜胆の一鉢を置く居場所かな 満川房子 酸漿 201102
りんだうは律義な叡子さんらしく 稲畑汀子 ホトトギス 201109
竜胆や向きのあやしき道しるべ 黒坂紫陽子 馬醉木 201111
源流の暮色深々濃竜胆 成田美代 201111
熊よけの鈴がちかづく濃竜胆 小林千草 馬醉木 201112
竜胆やリフトに揺らすスニーカー 山口ひろよ 201112
竜胆の命惜めと濃紫 川上恵子 雨月 201112
竜胆や雨鮮やかに通り過ぎ 本多正子 雨月 201112
山宿の床一輪の濃りんだう 本多正子 雨月 201112
人影の絶えし高原濃竜胆 大橋伊佐子 末黒野 201201
竜胆へ風は意のまま峠道 河合とき 末黒野 201201
洗い張り板を卓とし置く竜胆 三橋早苗 ぐろっけ 201202
りんだうや山の日差の惜しみなく 小川玉泉 末黒野 201202
竜胆に霧の匂ひや岳の径 粥の味 和田郁子 201209
竜胆→ 2      

 

2021年10月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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